タイプ43「作者語 元を見れば」
ネタが無いからやったわけではない。
その証拠に本日は二つアップしただろ?
これはアレだ、ちょっとバッドストーリーな物語を読んで気分が悪くなったから反骨精神で持論を説いたんだよ!
ようするに作者の戯言だ。飛ばしてもなんら問題ない。そして自分で言うのもなんだがおもしろくないぞ!
「・・・タイプパニックってどんなお話だっけ?」
このオレ、作者はそんなことをポツリと呟いた。
そして狼が不審な目で見てくる。なんだ?どうした?
「あんた・・・まさか収拾がつかなくなったとか思っているんじゃないだろうな?」
「・・・・おいおい、収拾つかせることなんて、それこそ簡単にできちまうだろ?オレはこの物語の方向性というかテーマが何だったかを思い出そうとしているんだよ」
「・・・あったのか?テーマとか?」
「・・・・なかったような気もする」
狼はやはりオレを見下した目で見てきた。まぁいいか。
「こういう時はな、オレ自身がなぜ物語を書いているのかという原点に戻ればわかるんだよ」
「ほう?それで?その原点とは?」
時をさかのぼる事・・・小学校中学年のころだ。
オレの家は母上がとても厳しい人でな、オレは子供のころからあまりマンガを持っていなかった。それゆえか・・・オレはマンガがおもしろいものとは思っていなかったのだよ。
・・・・だが、あるマンガに出会って・・・オレは劇的に変わった・・・。
父は母上とは全くもって逆の性格だったので、とても甘やかしてくれる性格だった。
それで、ある日古本屋に寄ったとき・・・オレに好きなマンガを買ってやると言ったんだ。
オレはそれまでにどんなマンガがあるのかも知らないし、おもしろくて有名なマンガも知らない・・・そんなオレが、気まぐれで手に取ったマンガが・・・・。
「・・・ドラえもんの大長編マンガだった・・・」
「・・・・・あ、ごめん、今笑う所だったか?」
まぁ、滑稽かもしれないが・・・小学生のオレはドラえもんにはまった。
あのご都合主義の現実と非現実の混ざり合った世界。
独特で、それぞれが輝いている登場人物。
そして物語のおもしろさといったら・・・小学生のオレは瞬く間にドラえもん信者になった。
それから、オレは小学生高学年となる。
そのころには、多くのマンガも持っていたし、小説にも手を出していた。
これはもう立派な本好き、読書家とよく周りには言われたものだ。
そして、オレはこのころに、また新たなる世界に突入していた。
ドラえもんのパロディー小説・・・・。
ネット内にそういったサイトが目白押しに存在していた。
オレは、有り余るドラえもん好きが抑えられず、うん、まぁ書いた。
「まさか貴様が二次創作出身とはな・・・」
ちなみにドラえもん以外は書いた事が無い。オレってすごくね?
「なにが?」
狼がうるさいので、話を戻そう。
まぁ、書いたきっかけなんて、皆様の予想通り・・・俺自身が楽しみたかったため、だ。
ドラえもん達をかっこよく動かしたい。
おもしろい、んでもって感動できる話を作りたい。
それ故、ドラえもんのパロディー小説では、ストーリーは別のアニメで登場人物をドラえもん達にしただけ、という物が多かったのだが、オレはストーリーをオリジナルにした小説をよく書いていた。
正直・・・あのころは本当に楽しかった。
中学生時代、オレはまさにわが道を進んでいた。
ドラえもん好きを隠すつもりもなく、自由に生きていた。
そして小説も、オレ自身が楽しむために書いていた。
だが、ある日、ふと変わった。
そうなったきっかけは、恐らく・・・バッドエンドの小説を読んだからだろうな。
特に、東野圭吾の作品にはすごい影響を受けた。
知らない人はいない、超有名な作者だ。オレは特別好きって訳ではないが、母上が大量に買って来たので読む事にした。
東野圭吾の作品は本当におもしろい。
読みたい気持ちを読者に与えるなんて芸当はなかなかできないものだ。
だがそんな不思議な物語を、あの人は作る事ができるのだ。
もはやオレが尊敬する人〜、などと軽く言える人でもないが・・・彼の作品の中には、バッドエンドで終わる物語があった。
その物語は凄まじいものだった。
『殺人の門』『幻夜』
この二つの作品を知っている人は、まぁ確かにハッピーエンドじゃないなとわかっていただけるだろう。
その二つの作品を読んだ事で、オレの小説にかける思いは変わった。
今までは楽しめればいいと思っていたが、変わったのだよ。
どんな風に変わったのかというと。
「読む人が、笑ってくれて、楽しんでくれて、なんか幸せな気持ちになれるハッピーエンドな物語を書きてぇ」
そう思うようになったのだよ。
バッドエンドの物語を読んだ後、オレ自身、何だかスッキリとしない気持ちがあったからだ。
他の東野圭吾の作品で、ハッピーエンドで終わったものを読むと、簡単に言えば元気が出る。
おもしろかったぜ!そして感動だぜ!
そう思って読み終わったこの気持ちは、やはり本を読んだ事によって得られるものだろう。
だが、バッドエンドはそうではない。
どうも納得のいかない、不燃焼で、胸の痛い思いだけが残るのだ。
まぁ、それがいいという人もいるだろう。
でも、笑えないだろ?幸せな気持ちになれたのか?
だからこそ、オレは自分の考えた物語で人を笑わせたい、楽しませたい、元気にさせたい。
そう思って、今でも執筆をしているのだよ。
例えば、いじめを受けて不登校になった人がいるとしよう。
オレはその人を笑わせられる作品をかけているだろうか?
何も勇気を与えるほど素晴らしい作品を書いているわけではない、だがせめてその人が心を平穏にできるぐらいの笑う余裕を作ってほしいから、オレはおもしろい作品を書きたい。
なぁ、オレの今書いているこの物語は、あなたを笑わせれていますか?
「よし、ネタ埋め成功」
「くさい台詞を延々と並べて最後にそれか?」
狼が盛大な溜め息と呆れた顔をした。
「いいじゃないか、オレの理想は物語で人を笑わす。それだけだ」
「・・・それがテーマって事か?」
「うん、まぁそうだな」
会話はそこで止まった。
そしてオレは思った。
ここでオチを言わなきゃ笑わせれる作品じゃなくなっちゃうよね?
だがしかし、オチは無い。
次がんばろう!
学校で親友が事件で殺されて、なんかクラスの雰囲気が悪くなって成り行きでムカつく奴らにいじめられて精神状態がおかしくなった子の物語を読んで、正直やるせない気持ちで一杯になった。
しかもそのいじめの内容が酷かったね、どんな風かなんて書かないよ?オレの物語が汚れちゃうからね。
たださ、弱み握られているからとかでそのいじめを受ける主人公がどうかと思ったよ。現実にいたらひっぱたいてやりたいね。『のび太はいじめられっ子だけどな、一度もその状況に甘んじた事は無いぞ?あきらめた事も無いぞ?いつもそんな不条理な環境を抜け出そうと苦労してたんだぞ?ドラえもんがいようがいまいがそれは変わらない事実だ。お前はどうなんだよ?誰かに助けも求めずに、必死にもならずに、戦う気持ちも見せずに、いじめを享受してんじゃねぇよ。いけないことを止めさせないお前にも、罰は下るんだからな』
こう言ってやりたいね。
まぁオレだったら突っかかって来た奴は丁重にフルボッコな。オレは優しくねぇぞ?