タイプ42「もしもって事を考えて」
結構時間経っちゃいましたが・・・昔のリクエストを今やっちゃおうと思います。うん、それだけ。
『もしも・・・狼が分裂するのではなく性転換していたら・・・・。』
朝・・・目が覚めたら、何か新世界に目覚めた感覚に陥ってた。
オレの名前は守多狼、普通の高校生だ。
しかし・・・昨日まで男だったのに、本日より女性になってしまった高校生だ。
だが・・・まぁ落ち着けよ。そんな事あるわけ無いだろ?
手術もなしに性転換ですか?おいおい、それはない。ははは。
オレの視界に入ってきているこの長い黒髪は、きっと昨日一気に毛根が刺激されたもんだから髪が伸びただけなんだ。全く、頭髪の神秘はなんて奥深いんだ。
そして若干低くなった身長、細くなった体のライン。ははっ、きっと成長期だからこうなったんだよ・・・いや、ちょっとその言い訳は苦しいかな?
そして・・・言いにくいが・・・なんか胸に胸があるという男としてはそれはどうよ的な変化だが・・・アレだ、たまたま脂肪がここに集まっただけだ。あれ?特に女性と変わらなくない?まぁいいや。
しかし・・・次の体の変化はどうしても言い訳ができない気がする。
オレのアレはどこいった・・・・。
まぁ、多分昨夜寝ている時にどっかに落としたんだろ、はは、オレもやっちゃいけないドジ踏んじまったなぁ・・・ははははははははははは。
「でぇぇぇええええええええええええ!!!!?????」
やっぱり叫ばずにはいられませんでした。
『ついでに・・・・栗鼠が極度のブラコンキャラだったら・・・・』
どうしよう!?どうする!?ブラックジャックを呼んでくれ!!
オレは慌てふためきながら室内をあたふた走り回っていた。
「どうしたのお兄ちゃん!?」
すると・・・妹の栗鼠が下の階から声をかけてきた。やばい、これは妹に見られたら弁解の余地というか、誤解されちゃうって言うか・・・とにかく非常にヤバイ!
「な・・・なんでもないぜ!」
オレはがんばって低い声を出そうとしたが、女性特有の高い声からではやはり元の声は出せないでいた。すると、妹から衝撃的な台詞をぶつけられた。
「・・・・なんで・・・女の人の声がするのかな?」
ヤバイ、やっぱバレちゃった?
「・・・お兄ちゃんを誘惑するお邪魔虫は・・・駆除しなきゃなぁ〜」
あれ?何か・・・栗鼠の様子がおかしいぞ?
「私のお兄ちゃんに手を出さないでよ・・・待ってなさい・・・今すぐあの世に」
栗鼠がゆっくりと階段を上り始めた。
オレの寿命もゆっくり縮み始めた。
って、おい!妹が兄を慕うのはいいけどお前絶対行き過ぎだろ!?
「お兄ちゃんも酷いなぁ・・・私という妹がありながら・・・」
えぇええ!??妹がいたら彼女作っちゃいけないんですかぁあ!???
オレが恐怖におののいている間に、どうやら栗鼠はもう部屋の前まで来てしまったようだ。そしてゆっくりとドアを開ける。オレは腰をぬかして動けずにいた。
「・・・あら・・・お兄ちゃんはどこかなぁ?」
めっさ怖い表情をする栗鼠を目の前にしてとうとうオレは声を出す事すらできず口をパクパクとしただけで何も言えなかった。てかこのままだとオレ死んじゃうよ!誰かヘルプミー!!
「・・・不思議ね・・・あなた、お兄ちゃんとよく似ているじゃない・・・」
おぉ!さすが我が妹よ!オレの事をわかってくれるのか!?
「・・・私の奴隷になるって言うんなら・・・命だけは助けてあげるよ?」
「うぉおおおおい!妹よ!お前は何を言っているんだ!?」
オレはあまりにも突っ込みをしたかったためとうとう声が出てしまった。いや、これはむしろ声が出せてよかったと思うべきか。
「え!・・・その突っ込みはまさしくお兄ちゃんのツッコミ・・・もしかして・・・お兄ちゃん?」
「・・・そうだよ・・・正真正銘、栗鼠のお兄ちゃんだよ」
その後、何とか栗鼠はオレの話を理解してくれた。
と言っても、俺自身分かっていない事が多すぎて、正直何の進展もないままだ。
「でも・・・どうしよう・・・お兄ちゃんが・・・お姉ちゃんになるなんて」
「そうだな・・・ただでさえ親がいないのに、女だけで家にいるのは不安だもんな」
「それもあるけど・・・ただでさえ兄弟だからお兄ちゃんと結婚するのはちょっと難しいかなって思ってたのに・・・お姉ちゃんになったら同性になっちゃうじゃない!・・・でも!栗鼠!がんばってお姉ちゃんとラブラブになれるようにがんば」
「ごめん!オレ用事あるから出て行くわ!」
オレは妹から逃れるために外へ脱出した。
街中を行く当てもなくとぼとぼと歩く。
ていうかマジでどうしよう。女になっちまうなんて・・・誰もこんな事信じてくれるわけねぇし、て言うか学校とかどうするんだよ?先生になんて説明するんだ?
言いようの無い不安に駆られて、オレはいつの間にか涙を流していた。どうやら女になった所為で涙腺まで脆くなったようだ。
「か〜のじょ!何か悲しい事でもあったの?」
・・・・なんで貴様がいるんだ・・・・音恩。
「寂しいんならオレが暖めてあげようか?」
「・・・結構です」
全く、不愉快なナンパ野郎に出会っちまったな、ここはさっさと退散すべきだな。
「つれないな〜、一緒に遊ぼうよ!何でもおごるよ〜!」
「だからいいって言ってるだろ!」
「こわ〜い・・・でもそんな所がかわいい〜」
殺してやろうか貴様。
「ね!ね!絶対楽しませてあげるからさ!行こうよ!」
「嫌だって!ちょ!手を離せよ!」
しつこいな・・・いっちょ懲らしめてやろうか?
そう思った矢先、誰かの足蹴りが音恩のあごにヒットした。
仰け反って倒れる音恩。その拍子に、誰かに手をつかまれた。
「こっちよ!」
・・・・要弧だ。
大分走った後、公園についたので要弧はようやく足を止めた。
「大丈夫?ああいうナンパは性質が悪いからね、これぐらいしないとダメだから」
「あ、ありがとう」
「いいって。そうだ、ジュース飲む?走ったから喉が渇いたでしょ?」
そう言って要弧は自動販売機に向かい、コーラを二つ買った。
「ほら、どうぞ」
「あ・・・でも、お金が・・・」
「いいって、おごって上げるよ」
そう言って要弧は笑った。それにつられてオレも笑う。
「・・・なるほど・・・それだけ可愛かったらそりゃナンパされちゃうよね」
「え?・・・そ、そんな事無いですよ」
「あ〜、その恥ずかしそうな顔もかわいいじゃん」
「か、からかわないでください」
何だかいい雰囲気だな。オレはそう思いつつも不思議といい心地だと思った。
「じゃあ、後は一人で帰れる?」
「はい、ありがとうございました」
「うん、気をつけてね」
要弧はそう言って帰って行った。そして・・・・オレはいつの間にか要弧に惚れて・・・
「・・・・・はっ!・・・・・夢・・・か」
狼は異常なまでに寝汗をかいていた。
よほど恐ろしい夢でも見ていたのであろう。
「狼はん、どないしたん?怖い夢でもみたんか?」
骸骨がのんきに聞いて来た。そして、狼は答える。
「・・・あぁ・・・非常に恐ろしい夢だった・・・」
そういえばキャラ投票どうなったっけ?
多分狼が一番だと思う・・・。
はは、企画はよく考えてしなきゃだめだと学んだぜ。