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タイプ40「脇役達は短編でこそ目立つ!」


要弧が最近よく狼といい感じな雰囲気を出している。


でも残念だったな!二人はまだ恋人同士じゃないんだぜ!!


 いいのかそれで?


いいのさ!!!

 もうすぐは〜るですねぇ♪  恋をいたしませんか?♪


「という訳で狼、春はナンパの季節だ。かわいい女の子を摘みに行こうじゃないか」

北崎がまるで音恩みたいな事を言った。

「というか、お前らにとっちゃオールシーズンナンパの季節じゃねぇかよ」

「だが春は女の子も積極的にデートをしたがるのだよ。温かい陽気の中を男の子とデート、ロマンチックに弱い乙女ならもちろんの事、どんな女の子だろうと頬を染めない子はいないだろう!!」

「オレの知っている知人五名は一切そんな素振りを見せませんが?」

「ばかやろう!赤城君たちは別だ!ていうか女の子としてカウントするのはどうかと思う!」

北崎はどこからともなく飛んできたカバンを後頭部に叩き込まれた。

気絶した北崎の代わりにしゅうが現れる。

「どうも、みんなのアイドルしゅうです!・・・さて、狼くん。実は女の子をナンパするというのは口実でね・・・僕らには調べなければならない事があるんだ」

「はぁ?なんだよ調べるものって?」

「はぁ・・・君は何か大切なものが無いような気がしないかい?」

「いや、別に、全然」

「音恩がいないだろ音恩がぁ〜〜!!!親友を忘れるなんてあんまりだよ狼くん!」

狼は心の中ではっきりと言った。親友じゃねぇよ、と。


「実は音恩がリンチに遭ってからというもの・・・あいつ何だかオレ達と付き合いが悪くなってさ。一緒にナンパしなくなったし、クラスでは女子にいつも話しかけているのに・・・最近上の空で全然ナンパをしないそうだよ。女子達はそんな音恩をみて気持ち悪いって苦情を言うんだ。かわいそうに、寂しいのだろう」

≪ナンパをしない音恩・・・確かに不気味だ≫

「そんなのナンパ野郎じゃねぇ!あいつ実は死んだんじゃねぇの?」

要弧がいつの間にか横から口を挟んできた。

「あとさぁ、ここら辺に私のカバン無いか?さっきわざと投げたからさぁ」

「正直だね・・・はい、北崎の後頭部にめり込んでたよ」

しゅうがカバンを要弧に渡した。

「ちなみにあいつが最近しょっちゅう寄っている場所があるんだ。オレの追跡能力も捨てたもんじゃないな」

≪できれば捨ててくれ≫

狼の切実な思いとは裏腹に、しゅうは自分の最低な能力に自信を持ち始めた。

「それで・・・あいつが寄っている場所なんだが・・・」



  総合病院


「ここだ」

そこは丁度前回の婚約阻止騒動でお世話になった病院。

「最近、というより、退院した次の日からずっと通っているんだよ。もちろん怪我は治ったはずだし、ナンパそっちのけでここに来るのには理由があると思うんだけどなぁ」

しゅうの疑問に要弧はスパッと回答をした。


「ナース目的に決まってんだろ?」


狼たち三人は無言で肯定した。

「まぁ、ナース目的だとしたら・・・わざわざナンパをやめる理由が分からないけど・・・恐らく、やつが恋をしているのは間違いない。という事で、早速調べてみようじゃないか!」

北崎が率先して病院へ入って行った。


「で?・・・まずはどうするんだ?」

「もちろん・・・聞き込みからやるべきだろ?」

しゅうがなぜかカメラを片手にナースに近づいて行った。

「よし、あいつの事は記憶上から抹殺しておこう。で?北崎、お前はどうするべきだと」


「へぇ、足を骨折したんだ。なんなら僕が看病してあげようか?」


北崎は女子高校生の怪我人を口説いていた。

「よし。要弧、帰ろうぜ」

狼は額に怒りマークを出しながらも笑顔で帰ろうとした。

「ま、待てよ・・・その、もし・・・ナンパ野郎が本当にケガとかで通院してたりしたら、その・・・悪いからよ・・・それぐらいを調べてから帰ろうぜ?」

「・・・お前・・・・いつからそんなに優しい性格になったんだ?」

要弧が『なんだと?』という怖い表情で狼を睨んだが、狼は気にせず看護士に話しかけた。

「すみませ〜ん。最近高校生のウザイ感じにかっこいい奴が来てませんか?」

「え?・・・ウザイかどうかはわからないけど・・・ネオくんっていう子なら来てるよ?」

優しそうな男の看護士はそう言った。

「え?・・・まさか・・・マジでケガが深刻だとか?」

狼が一瞬緊張した面持ちになるが、看護士は笑って否定した。

「違う違う、お見舞いに来てくれるんだよ。ネオくんは優しい子でね、毎日学校帰りに寄ってくれるんだよ、あの子のために・・・」


「「あの子?」」


二人が声を合わせて言った。意外な気持ちやら、何となく信じられない気持ちでいっぱいだが、その親切な看護士さんに病室を聞いて、二人はそこへ向かう事にした。


 507個別病室

狼と要弧はさすがに堂々と入室する勇気がなかったので、ドアに隙間を開けて覗く事にした。

室内では、中学生ほどの少女と、音恩が二人で会話をしていた。

「それでそれで?そのヨーコお姉ちゃんはジンお兄ちゃんをまたぶっ飛ばしたの?」

「そうそう、全く相も変わらずな夫婦漫才だろ?」

「でも二人ともやっぱり仲いいよね!いいな〜、私もヨーコお姉ちゃんみたいに仲のいい彼氏が欲しいな〜」

「おいおい、巳空みうは絶世の美少女だから彼氏なんてすぐにできるに決まってんだろ〜?」

「う〜ん、でも北崎のお兄ちゃんとかしゅうとかみたいな軽い男はきら〜い!やっぱり一途な人がいい!」

「ふぅ、まだまだ巳空は子供だな・・・。浮気ってのは男の甲斐性でなぁ」

「言い訳カッコい悪〜い」

「ほぅ・・・言うようになったじゃないか。だがな、言い訳って、そんなに悪いもんばっかりって訳じゃないんだぜ?」

「え〜?何で?」

「ふむふむ、それはな、ジンがヨーコ及びヒジリちゃん達に制裁を喰らわれそうになった時・・・」

二人が楽しそうに会話をしている。正直内容は自分たちの事だったので、狼は止めさせたい衝動をじっと我慢していた。そして、狼と要弧は隙間を閉めた。


ここで、音恩に向かって『このロリコンが!』とか、『子供にまで手を出すなんて・・・お前に見境というものは無いのか!』とか、言ってやりたいことはたくさんあるが・・・それを言うのは、あまりにも相応しくない。

大体、個人病棟に入院している子供というのは、はっきり言って思い病気の子ばかりのはずだ。現に、先程覗いた病室の患者、巳空ちゃんは、目に包帯を巻いていた。

どう考えても、目が見えないというのがすぐにわかる。

まだ幼い子供なのに、そんな彼女を、唯一笑顔にさせてあげられるのは・・・音恩だけ。

あの陽気さや、誰にでも軽く話しかけられる性格が、今の所、彼女を支えているものなのだろう。数多くの患者をみる看護士が、音恩をいい青年だと思うわけだ。


二人はそっと病室を離れた。

あそこは、巳空ちゃんと音恩の場所。何もそこへずかずかと入り込む事は無い。

むしろ、彼女の中にあるヨーコお姉ちゃんとジンお兄ちゃんを崩さないためにも、二人はあえてこの事実を知らないでいようと思った。

病院を出た玄関に、北崎としゅうがいた。

「・・・音恩は結構有名人みたいだな。この病院の看護士は全員彼の事を知っているらしい・・・まぁ、それはつまり、あの女の子も有名という事だな」

北崎が独り言のようにそう言った。

「・・・事故・・・だってさ・・・小学生の時に入院してから三年・・・もう、中学二年生なのに・・・友達がいなかったんだ・・・それをあいつが前回入院して、偶然出会って、友達になったそうだ・・・いいねぇ、あいつの空気よりも軽いその態度が・・・人の為になるなんて」

しゅうもそんな独り言を呟いたが、誰も反応しない。

それで良かったように、四人は病院を後にした。


いつか、彼女が・・・音恩の素顔を見れることを祈って。






雫と羊は決定済みですよね?


奈絵美は慎と何だかよく一緒にいますよね?


・・・・臣は!?


  次回

作者、実は狼をもう一人増やそうかと思っていたのでござる、の巻



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