タイプ4「学校っすね」
「えっ!?明日から学校行くの?」
羊が晩ご飯を食べている骸骨に向かってそう言った。
『イェス』
茶碗を片手に返事をする骸骨。
「散歩って、まさか学校に行ってたのか?」
狼がカニクリームコロッケを箸でつまんで言った。
『せやねん、そんで学校に行って親類のフリして手続きしたっちゅーわけや』
「骸骨の親類などいない!」
『安心せぃ、人間にちゃんと化けたさかい』
「そんなこと出来たのか?」
『ま、よーするに、明日から学校行きや』
「えぇ〜」
しょぼくれる羊、
「折角学校が休めると思ったのに〜」
『にしてもひじりちゃん、女言葉もう習得したんか?』
「うんまぁね、今日はいろいろあったから」
「確かに今日は疲れたな」
『ふ〜ん、それよりじんはん、おかわりいただけます?』
「お前骸骨なのによく食うな」
謎の多い骸骨だった。
翌朝、
『制服は昨日ワイが作っといたで〜』
「へぇ〜、そんな事もできるんだ」
『ささ、着てみ着てみ』
ばっちり着こなす羊、
「おぉ、可愛く着れてる〜」
「お〜い、もう行くぞ〜」
一階から狼が呼んでいる。
「じゃ、骸骨、留守番頼んだぞ」
『任せとき!』
「「いってきま〜す」」
『きいつけてなー』
狼と羊が玄関を出ると、丁度要弧が来たところだった。
「おはよう!ようこちゃん」
「うん、おはよう」
「ようようこ」
「あぁ」
少し羊と態度に差がないか?と思った狼だが、要弧は気にせず羊を連れて先に行く。
「おはよう!」
「あ、ひじりじゃん!え?なんでここに?」
雫が羊に寄りながら質問を浴びせる。
「今日から転校する事になったの」
「そうなんだぁ〜・・・え?・・・家は?」
「え?もちろんじんの家」
「・・・え!?うそ!危ないじゃん!」
≪まて、どうゆう意味だ≫
羊と狼が同時に心の中で突っ込む。
「じんに襲われてない!?こいつ名前の如く変態だからさ!」
「え、いや、何もないです」
羊がそう言っているうちに狼は先に進んで行く。
「ちょっとじん!ひじりちゃんがかわいいからって襲っちゃダメだからね!」
「・・・・・」
雫の馬鹿にするセリフを無視して先へ進む狼、
羊もまぁいつもの事だと思っていたら、
ふと雫の顔が見えた。
「え?」
今にも泣きそうな顔が、そこにはあった。
なぜ、雫は泣きそうな顔をしているのか・・・。
「ど、どうしたの?」
羊が声をかけると、振り返った顔は、いつもの雫の顔だった。
「え?なに?どうかしたのひじり?」
≪あれ?・・・見間違い、だったのかな?≫
疑問が残っていた羊だが、要弧も先に進んでいたので二人は走って追いかけた。
≪うわ〜、まさかじん達と同じクラスになるとは・・・奇跡だ≫
狼や要弧に雫、奈絵美、臣は同じクラスだ、そこに編入されるとは、確かに良くできている。
担任に案内され、いつも通いなれた教室に来る羊。
「今日から転校してきた、守多羊さんです」
「よろしくお願いします!」
羊が頭を下げる、そして教室内の知っているクラスメイトを見る。
まず一番に感じるのは男子の熱い視線、うん、すごい見てる。
女子からも結構見られてる、目立たなければ良いのだが。
「守多さんは名字の通り、実はじん君の従兄弟なんです」
「えぇええぇええええ!!??」
≪≪なに!?その反応!?≫≫
狼と羊がまたもや同時に心の中で叫ぶ。
「てぇめえじん!!羨ましいぞこの野郎!!」
「お前なんか敵だ!こんなかわいい従兄弟がいやがって!」
「そうよ!マネージャーなんだから仕事を疎かにしたらどうするの!」
野次を飛ばすクラスメイト、困り果てる羊、
ブチギレ寸前の狼、
「誰のマネージャーだ俺は!!」
「は?決まってんじゃん、ようこ達の」
「そんなの知らん!」
必死に言い返す狼だが、担任が静かにしろと注意したので、しぶしぶ黙る狼、
「じゃあ、ひじりさんは、慎君の隣に座ってね」
≪うわ、ここまでミラクルが起きるか!≫
あの女装が趣味のなんちゃってかわいい慎の隣に座った。
「よろしくね、ひじりさん」
「よ、よろしくお願いします」
「ビックリしてる?僕がオカマだから」
「いえ、じんから話は良く聞くので」
「へぇ、仲良いんだね」
笑いながら目を細めて言う慎。
仲が良い以前に同一人物なのだが、ここでそんな事を言うわけにはいかない。
とりあえず黙っている羊だった。
まぁ学校はどうだったといわれても、別に久しぶりではないし、いつもと同じだ。
いや、羊だけはそうもいかない様だ。
「男子・・・うぜぇ」
寄ってくる男子が多すぎる、
まぁ要弧たちには近づきたくても要弧が騒がれるのが嫌いなため近寄れないよう睨みをきかしている、故に男子にとって新しい美少女の登場は嬉しいものだった。
だが数分後には羊も要弧たちのグループに入り結局近づけなくなったのだが・・・。
そして災難を被ったのは羊だけではなかった。
「じん、ちょっと顔かせ」
他のクラスでも美少女の転校生の話で持ちきりだったため、その美少女の従兄弟である狼はすぐに目を付けられた。
隣のクラスの不良のリーダーや上級生の不良まで狼に寄って来た。
「体育館裏まで来い」
「あぁ?なんで行かなきゃなんねんだよ?」
ただでさえ機嫌の悪い狼はだいぶご立腹のようだ。
「いいから来い!」
集団で狼を囲む、仕方なく狼は連れてかれた。
「やばいね、じん連れていっちゃったよ」
慎がのんきに言った。
「全くだ、じんの恐ろしさを知らないな」
奈絵美が溜め息をついて言う。
「自慢じゃないけど私がいつも怒らせてるからストレスは相当あるよ!」
あぁ、そうだな、と羊は黙って雫に頷いた。
「ま、じんが強いとわかればひじりにも手を出そうなんて思わなくなるだろ」
「・・・・だな」
要弧と臣は極めて冷静だった、というか気にしてない。
体育館裏
「じん、貴様はただのマネージャーなのだ、手を出したらどうなるかわかってるか」
「・・・・」
「なんか言ったらどうだよ?ビビって何も言えないか?」
「・・・・」
「お前みたいな底辺が要弧さんたちと対等なんて思うなよ!」
「・・・・よし」
すでに30人ほどはいる集団の中心で座っていた狼はおもむろに立った。
「なんだ?なにかするのか?」
一人の不良がそう言うと、狼はそいつの肩に手を置き言った。
「お前ら、言い残す言葉はそれで良いんだな、じゃ、死刑執行だ」
数分後、体育館裏では不良の屍が散乱していた。
「・・・やべぇ、強い」
「地味だったのに、強かった」
とりあえず不良たちは昇天した。
感想、評価待ってるよ〜!byひじり