一年の最後だ、さぁ締めるぜ
本日、大晦日なり。
一年の最後という日なのに、狼の家ではコタツを囲んで骸骨と羊と狼がまったりとしていた。
「一年ももうすぐ終わるねぇ〜」
「羊ちゃんものんびり屋さんやな〜、来年は何年やったっけ?」
「たしか丑年だろ?」
「うしかぁ〜、なんかパッとしない年ねぇ」
コラ、丑年に失礼だろう。
「にしても・・・俺が二人になってからかなり経つよなぁ?」
「そうそう、なんか懐かしいわね」
「いや〜ホンマ、あんたらと出会った時はぎゃあぎゃあわめいてましたが、意外とうまくいってますやん」
「本当、一時はどうなるかと思ったがな・・・」
「でも私が現れたお陰でいい事もたくさんあったでしょ?」
狼が思い出してみる。
「・・・・あったか?」
「ええ!ほら!・・・友達増えたじゃん」
「あほな迷惑イケメンズに美少女後輩軍団、旧友のグラビアアイドルにバイトの上司や仲間、んでもってお嬢様、そして中学生の少女・・・ろくなお友達がいないな」
「・・・・別に、むしろ悪いのお前じゃね?」
羊はすねた。
「まぁ・・・例年よりは、楽しい一年だったかな・・・」
狼はそう言って窓の外を見た。
「あぁ〜あ、雪が積もってきやがったな」
「え!?雪!私遊びに行く〜」
≪・・・・こいつも、俺にどんどん似てこなくなってきたな・・・≫
それでも、笑顔の羊を見ると、自分も笑ってしまう狼だった。
要弧の家
こちらでは要弧と弟の辰来が仲良く年越しそば作りを・・。
「あぁ!お姉ちゃん!鍋から火が吹いてるって!」
「わぁあ!あれ!?こ、これどうすればいいの!?」
「お姉ちゃん!そば入れるの早すぎ!どろどろに溶けちゃうよ!」
「う、うん、え、えっと、隠し味にマヨネーズ・・」
「やめて!ゲテモノなんかで年越したくないよ!!」
「・・・ご、ごめんなさい」
要弧はあからさまに元気をなくして台所の隅に縮こまっていた。
「お、お姉ちゃん、ほら、元気出して、ね?」
「いいよ・・・辰来の方が料理できるでしょ・・・私ゲテモノしか作れないし」
そんな風にいじけていると、台所に母がやってきた。
「ったく、何しょぼくれているのよ?女々しいわね」
「お、お母さん、お姉ちゃんは女の子だからそれで合っているんだよ?」
くわえタバコで金髪ロングヘアーのヤンママ登場。うわぁ、無駄に美人。
「料理なんて慣れよ慣れ」
「そ、そうだよお姉ちゃん!やっていれば料理なんて慣れるよすぐに!」
「馬鹿、男に慣れさせるんだよ」
≪え?強制?≫
「お前らの父さんだって始めのころは涙流しながらおいしいって食べてくれてたよ、ゲテモノを」
≪父さん・・・そんな苦労があったんだね≫
「・・・狼も・・慣れさせれば・・・いいのね?」
変なスイッチが入った要弧。
「そうよ!男なんて一度味覚が壊れればこっちのものよ!」
「う、うん!私!がんばる!」
「・・・お姉ちゃん、たしか臣さんって、料理上手なんだってね?」
辰来が白い目で要弧を見た。
「現実を見てがんばろうね?」
「・・・・はい」
とりあえず気を取り直す要弧であった。
雫の家
「もうすぐ年が終わりそうだって言うのに・・・なんであんたがいるわけ?」
「あ、おかまいなく」
なぜか雫の家にお邪魔している音恩。
「全く、家が近所だかなんだか知らないけど・・・女の子に家に遠慮なく入るなんて最低ね」
「狼だったら快く入れてた?」
音恩は袋叩きにされた。
「じょ、冗談です・・・いやね、本当は狼の家で年越しの予定なんだけど、どうせなら美少女と一緒にあいつの家に行ってやろうと、というかぶっちゃけて言うと俺がただたん雫ちゃんとご一緒したいだけ、というわけです」
「・・・はぁ〜、そんなセリフ、狼以外からの男全員から言われたわよ」
遠くを見る雫、それを見て苦笑いの音恩。
「・・・狼はどんな子がタイプなのかねぇ〜?」
「はぁ?」
「だってさ、あいつモテたい願望がある割には鈍感なのか過去のトラウマからか、君たち四人のマルわかりなラブコールに気づかないからさぁ」
「・・・なんでラブコール出してるって気づいたのよ」
≪あぁ、君たちもなかなかの鈍感なんだね≫
「とにかく、あいつは女の子を悲しませる行為を許すような男でもないし、いいやつなんだけど・・・どっか哀れなんだよなぁ」
「あ、哀れって何よ」
「さぁね」
音恩はそう言いながら、頭の中では別のことを思っていた。
≪・・・狼、お前って、誰を好きになるんだろうな?≫
「・・・ま、別にいっか」
「はぁ?」
「で、雫ちゃん、今度俺とデートしな」
「しない、そして死ね」
雫のコブラツイストをもろに受けた音恩だった。
臣の家
「お姉ちゃん!お雑煮できた!?」
「・・・・うん」
「どれどれ、ちょっと味見・・・うん!バッチシ!」
「・・・・よかった」
妹の美緒が張り切って準備をしていた。
「さ〜て、これで狼さんもイチコロね!」
「・・・・でも、クリスマスのとき・・・やっちゃったからな」
「大丈夫よ!どうせいつもの事じゃない!」
案外ひどいな美緒。
「大丈夫!基本は笑顔笑顔!」
「・・・う、うん」
そして臣の流し目、{だからこれは臣の笑顔なんだって}
「うん!決まってる!」
うん、いろんな意味でね。
「さぁ!大将首討ち取るわよ!」
「・・・お、おぉ〜」
すごい、見事に素でボケている丘姉妹でした。
奈絵美の家
「・・・ほら、これでケーキ完成だよ」
「ほう、オカマならではの特技だな」
奈絵美がメガネを光らせて慎を誉めた。
そして慎は少し怒りマークを出しながらクリームを奈絵美に飛ばした。
「うわ!なにをする!?」
「うりゃ!どうだ!あはは!鼻についてるよ〜」
「・・・き〜さ〜ま〜!てい!」
「うわ!ちょ!服についちゃうよ!」
「え〜い!これでもか!これでもか!」
クリームを掛け合う二人。
「ちょっと〜?二人してなにやってるの?」
すると二人の騒ぎに奈絵美の姉上が注意に来る。
「・・・・え?なに?あ、あんたたち・・」
「あ!お、お姉ちゃん!こ、これはだな・・・こいつが!」
「えぇ!僕だけの所為にしないでよ!」
「全く・・・ちょっと写真とっていい?」
ってオイ!
「つーか何?あんた達大晦日にケーキって一体どんな神経しているのよ?」
お前は写真を激写しておいて何を言っている?
「い、いいじゃない、こんな所でしかいい所見せれないんだから」
「ふ〜ん、ま、がんばってね・・・さて、この写真はどこに売ろうか」
お姉さん、あんた危険すぎるだろ?
「・・・やれやれ、とにかく、このクリームをどうにかしなきゃ」
「・・・慎、お前・・・けっこうその姿色っぽいな」
「奈絵美ちゃん、僕だって男の子だよ?君を見ていると理性がぶっ飛びそうだよ」
「なに?・・・じゃあ、この姿を狼に見せたらどうなるんだろうか?・・・もしかして」
「いや、狼だったらドン引きすると思う」
「・・・・・」
一瞬でも馬鹿なことを考えた事を悔やみ続ける奈絵美だった。
ちょうど夜も更けたころ。
「あぁ〜、除夜の鐘が鳴ってる〜」
羊がのんきにそう言った。
「お姉ちゃんのほほんとしてるわね〜、そのまま寝ちゃうんじゃない?」
「おいおい、こいつは俺なんだぞ?そんなかわいいことするかよ」
「スー・・・」
「「オイ!」」
兄と妹のダブルツッコミが決まった。
「もうすぐ要弧達がくるんだぞ?気を引き締めろよ」
「いや、引き締めろといわれても」
『ピンポーン』
「お、噂をすればだな」
狼はそう言ってお出迎えに行った。
≪・・・よし、今年の抱負は・・・狼と雫のカップルを作ること、これで決まりね!≫
羊は頭の中でそう思いながら、また寝てしまった。
この小説を読んでくださった皆様へ、
ぜひ!よいお年を!
byアツラ
一年過ぎようが百年過ぎようがまだまだ続くんだから、応援よろしくお願いします!