タイプ27「女を笑顔にさせてこそ漢だろ!」
・・・・あれ?
作者は勢いに乗って大変なものを書いてしまったようです。
なにはともあれご覧あれ
「「「な、なんだと!!!」」」
北崎と音恩としゅうが口をそろえて驚いた。
「いいモットーだな」
「『女を泣かすお前を殺す』か、ぴったりだな」
「おい音恩、今なんていった?」
「うまい!音恩に座布団一枚!」
早速漫才を始めている四人に少女はこれまでにないくらいの絶望感を感じていた。
「今の状況がわかっているんですか!?知り合いの女性を暴走族に拉致されて犯されそうだっていうのに!」
「あ、きみきみ、この小説そう言った卑猥な表現はNGだから斜線を」
北崎は少女から熱いビンタを喰らった。
「とにかく!一刻の猶予もないんです!敵の居場所もわかりませんがとにかく探しましょう!」
「いや、待ってくれ、羊ちゃんが囚われの身でしかもいろんな意味でやばいって事はよくわかった、だが俺達には情報が少なすぎるし作戦もない、ただのケンカとは違う、族相手のケンカならそれはもう完璧な抗争だ!戦争なんだ!だからこそ、冷静かつ計画的に動くべきだ」
しゅうが珍しく正論を言った。
「そ、それもそうね、で、まずは何から話すの?」
「自己紹介だ、俺達は君が何者かも、なぜこの戦いに参加しているのかも知らない、だからそれを教えて欲しい」
しゅうがそう言うと少女はわかったと言って自己紹介をしようとした。
「ちょっと待ってくれ、見ず知らずの相手に名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀だろ?ここは礼儀を尊重して俺達から自己紹介しようぜ」
音恩がどうでもいい事を言うが、少女は先に早く進みたいのでとりあえず黙っていた。
「よし、まずはこのオレ、古道修介、しゅうと呼んでくれ、スキルは『物体浮遊』だ」
「なんですかスキルって!?ふざけないでくださいよ!」
「オレは黒羽音恩、女の子のタイプは特にいとわない、スキルは『物体透視』だ」
「女の子のタイプなんて聞いてませんよ!しかも貴方までスキルとか言わないでください!」
「僕は北崎淳、なぜか周りから名字で呼ばれる男だ、スキルは『鬼の耳』」
「名字で呼ばれるとかどうでもいいですよ!しかもスキルが鬼の耳ってなんですか!?」
「そして、ご存知、守多狼、スキルは『虎の爪』」
「狼って名前のくせにスキルは虎の爪っておかしいでしょう!!」
「さ、君の番だ」
「・・・葛城左京です、中学三年生です」
「・・・え?スキルは?」
「そんなものありませんよ!」
「馬鹿だな北崎、彼女には立派な、『言霊鉄砲』があるじゃないか」
「あぁ!そっか〜」
和む四人、そしてブチギレる左京。
「とりあえず、異化頭地の溜まり場を探しましょうか」
左京はにこやかなかわいい笑みで頭にたんこぶを作った四人にそう言った。
「というか待ってくれ、オレの知り合いに元暴走族の奴がいるんだ、そいつと連絡をしていいか?」
音恩が携帯を出しながらそう言った。
「あ、もしもし?ボブ?オレだよオレ、そうジョニー、あのさ、異化頭地の溜まり場って何処か知ってる?・・・あ、はいはい・・・・あぁ・・・なるほど・・・・すみませんでした」
携帯をきる音恩。
「ツッコミは我慢するから、とりあえず何処かわかった?」
「あ?いや、今の間違い電話だった」
音恩は更に強烈な拳を喰らう事になった。
「もう!いい加減にしてよ!遊びじゃないのよ!・・・あんた達が手伝ってくれないんなら!私が一人で探す!!あのお姉ちゃんも!私が助けるんだから!!」
左京はそう言って走り出した。
「あんた達なんて!あの暴走族とかわらないわよ!最低な男達ね!」
左京は泣きながら走り去る、そして、四人はお互いの顔を見合った。
「最低だとさ?」
「まぁ、そうかもね」
「あの子は一人で大丈夫なのかい?」
「あぁ、俺達に付いて来て抗争に巻き込まれるよりは、よっぽどマシだろ」
狼は軽く笑いながらそう言った。
「さて・・・お前ら、殺す覚悟はできているか?」
「当然」
「もちろん」
「当たり前だろ?」
音恩と北崎としゅうが口々に答える。
「「「「じゃあ、死刑執行と行こうか」」」」
港町の使われていない倉庫、42番倉庫
「おい、要弧たちに連絡はしたか?」
異化頭地のリーダー、雷門がタバコをくわえながら下っ端に聞いた。
「はい、要弧に臣、雫、奈絵美全員に電話して来るように連絡しました」
「それで?大切な人質の羊は?」
「イスに縛り付けていますよ、周りのやつらにも手は出さないように言っておきました」
「心配だな、あいつらは女を見るとすぐやりたがる、中学生にだって手を出す変態どもだからな、オレが直々に見張っとくか」
雷門が個室から出ると、広い倉庫内は面の悪い輩でうじゃうじゃしていた。
羊はその中央でイスにしばられている。
もう既に気がついているようだ、それと、もうむさくるしい男達にちょっかいを出されているようだ。
「止めてよ!つーか止めろよ!足さわんな!」
「気が強い女だな、だが、縛られているんだから、無抵抗だろ?」
「やべぇ、こんなかわいいやつそうそういないぜ」
「あぁ、要弧たちも後から来るらしいし、俺楽しみだわ」
「でもその前にちょっと悪戯を」
そう言った男は、羊に手を伸ばそうとした、だが、横から鋭い蹴りが入った。
男は派手に吹っ飛び、コンクリートの地面に倒れこむと、嘔吐した。
「誰が・・・手を出していいと言った?」
雷門が蹴り上げた足を元に戻しながら、ドスの聞いた声でそう言った。
「す、すみませんでした!」
他の二人が謝る、蹴られた男は気絶していて何も言わない。
「女に手を出すのは、要弧が着てからだ・・・あいつらの目の前で汚すんだよ、てめえらの遊び道具じゃねぇ、わかったか」
ハスキーな声だが、確かな威圧感があった。
「さて、悪かったな譲ちゃん、つっても、あんたの人生はここで無茶苦茶になるけどな」
羊をみて、雷門はそう言った。
「・・・へぇ、厳つい男や不細工な男のリーダーにしては、いい顔してるね、あんた」
羊が少し笑いながら言った。
その顔は、整えられたきれいな顔だった・・・左側にある火傷の後らしき部分を除いては。
黒い長髪は後ろ縛りされていて、冷たい男という印象だった。
「強気の女だな、だがそんなやつに限って、案外男と深い関係になった事がない」
「なに?モテない男の僻み?どんなにモテなくても、強く生きている男はたくさんいるのに、あんたは堕落者の一人って訳ね?」
「・・・ま、そんなもんだろ」
一切、動揺も怒りも見せなかった雷門の目は、本当に冷たかった。
「・・・で、要弧たちに因縁があるのは何で?好きだから?」
「好き?・・・いや、むしろ憎むべき相手さ」
雷門の表情に、初めて怒りがみえた。
「・・・まぁ、あいつが幸せになるのが、どうも癪に触るからね、その幸せを、摘み取ってやろうかなと」
「・・・最低!」
「なんとでも言え」
雷門はそう言って、羊から目をそらした。
「さて、そろそろ、四人が来る頃なんじゃないか?」
雷門がそう言うと、倉庫の扉が、ゆっくりと動き始めた。
「きた・・・か?」
雷門は、驚いて目を疑った。
「悪いねぇ、入るとき邪魔だったからさ、おたくの友達ボコボコにしちゃいましたぁ」
狼達が、既に動けない見張りを蹴り飛ばして中へ入れる。
「うわ〜、汚いところに汚いやつらが揃ってるね〜」
北崎がここぞとばかりにイケメンオーラを出した。
「全く、こんな所に女の子を連れ込むなんて、男の風上にも置けない連中だな」
音恩が珍しく本気で怒っている顔をした。
「おぉ!羊ちゃん大丈夫だった見たいだね、すぐ助けるから大丈夫だよ〜」
しゅうがのんきに手を振っていた。
「さて・・・お前ら最低なクズどもへの審判を下してやるよ・・・全員死刑!この決定に誰も異議なしぃいいいいい!!!!」
狼が勢いよく突っ込む、それに続き、三人も走った。
「馬鹿が、たった四人で四十人を相手にするつもりか?・・・やっとけ」
雷門がそう言うと、下っ端どもも血気盛んに飛び込んだ。
音恩に三人の男が一度に襲い掛かってきた。
「知ってる?女の子の顔は観賞用、男の顔は、殴るためにある!!」
三人の顔面の鼻に向けて容赦なく拳を叩き込んだ。もちろん、悶絶する男達はろくに動けない。更に音恩はあごに蹴りを入れて三人に終止符を打った。
だが、今度は後ろから木刀で殴りかかってくる奴がいる。
音恩はそれを見切り、横に動いて裏拳を相手の右頬に叩きいれた。
「あ、ちなみにオレの顔も観賞用ね、女の子専用の」
しゅうに殴りかかる男、だが、しゅうはその拳を掴んで更に引き寄せた。
そして相手の力を利用して腹に膝蹴りをする。相手がひるんだところ、すかさず後頭部の髪の毛を掴み、鼻の中心へ手の力と足の勢いでまた膝蹴り。
すると相手は鼻が潰れ流血をした。そして泣いて許しを請う。
「ねぇ、ところでさ、君は泣いて助けを求めた女の子を・・・助けたかい?」
「そ、それは・・・」
「残念、時間切れ、君の人生ここで終了ウウウ!!」
しゅうは髪の毛を掴んだまま地面に何回も頭をぶつけてやった。
北崎は二人の男に囲まれていた。
一人がバットで北崎の足を狙う、そしてもう一人は北崎の顔に殴りかかった。
「君達遅い」
北崎は足に向かってくるバットを逆に蹴って折ってしまった。
続いて殴りかかってきた相手の拳を掴んで握りつぶす。骨の折れた音と悲鳴がした。
「そういえば悲鳴を聞くと興奮するんだって?嫌がっている女の子を見ると喜んじゃうんだって?・・・だったらてめえら自分の体でそれだけの攻撃受けてみろよ?嫌がる自分でも見て喜んでろカスが」
もう一人の折れたバットを持っていた男には北崎の回し蹴りが入った。そして倒れたところを勢いに乗った足でかかと落としを決める。
狼の所には五人も男達が寄ってたかって襲ってきた、だが。
狼の無慈悲な拳は確実に敵のあごを粉砕していった。殴りかかってきた腕は掴んで引き寄せる、そして肘の部分を見計らって曲がる逆方向に膝蹴りをしてその腕をへし折った。
後ろから羽交い絞めして来た奴には、肘鉄を腹に、そして手の力が抜けた所で振り返って鳩尾に拳を叩き込む、更に首を掴んで片手で持ち上げた。
「どうだ?苦しいか?」
「が・・い、いきがっ!」
「お前はいいよな?オレが手を離せばすぐに息ができるようになる」
「が・・っは!」
「でもな・・・お前らが自分達の欲の為に傷付けた女達はな!一生苦しむ傷をつけられたんだよ!一生取り戻せない幸せを奪ったんだよ!!生きているのが辛い人生にしちまったんだよ!!!わかってんのか!」
「・・・す・・・すみませ、がっは!・・」
「てめえの気のない謝罪より、命を差し出して罪を償え」
「・・・げはっ!・・・あががが」
男は白目をむいて気絶した。
「・・・もういいか」
狼はその男を投げ飛ばした。
倉庫の床には、既に動けない男達の屍で、埋め尽くされていた。
「・・・やるじゃないか」
雷門だけが一人、笑いながら四人に拍手をしていた。
「おい、てめえがボスか?」
「・・・まぁね、でも、もう辞めたよ」
狼の問いかけに、雷門はしれっと答えた。
「おいおい、俺達を見てビビッたのか?腰抜けめ」
音恩がそう言うと、雷門はぞっとするような目で音恩を睨んだ。
「勘違いしない方がいいな、オレは裏切り者である要弧を連れ戻しに来た、ただそれだけだ」
「・・・・は?」
狼が呆気に取られていると、パトカーのサイレンが聞こえた。
「どうやら中学生の小娘が呼んだようだな」
「左京か?」
しゅうが振り向くと、扉が開かれて、武装警官が入ってきた。
「またいつか、要弧をかけて戦おう、狼君」
雷門はそれだけ言って、裏口へ走って行った。
「お、おい、追わなくていいのか?」
「・・・・いいさ、今度会った時に」
「やつを死刑に処す」
狼はそれだけ言った。
「てか、助けに来るのが遅いんだよ!」
羊がようやく体が自由になった所で狼にくってかかった。
「仕方ないだろ、こんな場所にいたとは知らなかったからな」
「それで?・・・どうやって見つけたの?」
「それが・・・変な野郎に教えてもらったんだよ」
「はぁ?」
怪訝な顔をする羊、狼も納得いかない様子だ。
「・・・要弧とあのやろう、なんか関係があるみたいなんだな」
ポツリとつぶやいた狼、だが羊はもう聞いていなかった。
「羊ー!大丈夫!?」
雫の声がする、どうやら四人が今来たようだ。
羊が元気よく返事をして四人に駆けていく。
要弧も涙目で羊に抱きついていた、本当に心配していたようだ。
「・・・あ、今日学校サボっちまったな・・・まぁいいか」
海に沈んでいく夕陽を見ながら、狼は思った。
≪・・・オレは羊が自分の分身である事を隠している・・・要弧、お前にも隠し事があるのか?≫
だが、そんな思いも、笑顔で喜んでいる要弧達を見たら・・・。
≪・・・まぁいっか≫
感想評価募集!!
絵師さん募集!!
キャラへの質問締め切り間近!!(新しいアンケートを予定のため)
その他何かあればコメントを!
もちろん書籍化アニメ化漫画化どんとこい!
いいから勉強しろ作者by狼