タイプ25「愛と友情はイコールかもね」
いやっほー、テスト撃沈!
どうする?どうなる?知った事か!
まぁ、そんなこんなでバイト編終了です。
「鈴音ちゃん、欲しいものがあったらすぐ用意するよ」
「鈴音さん・・・・のどは渇いてない?・・・退屈してない?」
ホストナンバー2のユウ[要弧]と3のオキ[臣]が男装してお嬢様に営業スマイルを見せている。
「チーズケーキ一つ、あとダージリンの紅茶、ホットでね、あーあ、今すっごい退屈」
セミロングの茶髪ヘアー、きれいなフリフリのドレス、多分ゴスロリ。
パッチリとした大きな目、そして小柄な体格。高校三年生。
そしてあつかましさ全開のお嬢様、『如月鈴音』
彼女は誰もが惚れてしまう要弧と臣に唯一惚れない稀な人種であった。
≪こんのワガママお嬢様が!すましている所がなんかムカつく!≫
早速キレ始めている要弧、笑顔がなんか黒い。
≪・・・・めんどくさい≫
臣は既に諦めモードに入っている。
「私さぁ、女形ホストってタイプじゃないの、あんた達二人とも美形だけど女形だから私の趣味じゃないのよ、他にいいのいないの?」
≪女形じゃなくて女だよ!!・・・まぁ、そんな事初めて言われるけどさぁ≫
≪・・・・なんか、嬉しく思っている自分が・・・情けない≫
二人は心に深い傷を負って真っ白になった。
≪てかキリはどうしたのよ、こういう時こそナンバー1としての出番でしょうが!≫
そんな事を思っている要弧、よもやキリ以上の力量と欠点を持ったホストが来る事など、思っているわけが無かった。
「あ、あの、ユウさん」
一人のホストが要弧に離しかける。
「なんだ?」
「・・・・えっと、キリさんから・・ピンチヒッターとして来た方だそうです」
「はぁ?・・・誰だよ?」
「どうも!ザ・クールワイルドガイ!絶世のイケメン!シンです!」
真っ赤なバラを右手にかっこよく決める狼、次の瞬間バラのように真っ赤な血に染められるほど殴られた。
「な・に・し・て・ん・だ?」
「落ち着け、これは亡きナンバー1ホストキリの遺言で」
「死んでないよな?死んでいるわけ無いよな?」
要弧がそりゃもう笑えるくらい怖い笑顔でこっちを睨んだ、多分今笑うと明日は無い。
「で?・・・何しに来たんだ?」
「いや、お嬢様のお相手でもしようかと」
「べ、べつにあんたがする必要ないでしょ!」
「なぜだね?私はナンバー1から頼まれたのだよ、残念だがそのヒコウセキを渡してもらおうか」
「ラピュタより上にある黄泉の国にソッコーで送ってやろうか?」
「すみませんでした」
「で?作戦は?」
「オレの甘いマスクと楽しいトークでイチコロさ」
「ゴツッ!!」
狼の後頭部に要弧のパンチがクリーンヒット、血しぶきが舞った。
「とにかく、素人のお前が出てきたって意味ねぇよ、さっさと下がってろ」
「・・・悪いが、それはできない相談だな」
「・・・・接客の仕方も満足にできないお前がでしゃばっても」
「悪いな、男同士の約束なんだ・・・破るに破れねぇよ」
狼はそう言って真剣な目をして要弧を見た。
「・・・・で、でも」
「大丈夫だ・・・・オーナーとキリの大事な店を潰すようなマネだけはしない」
「いや・・・まぁ、それもそうだけど」
「頼む・・・オレを信じてくれ」
「・・・仕方ないわね・・・し、信じているから」
「ありがとう・・・その気持ちに答えるためにも・・・」
「絶対にあのお嬢様を口説き落としてやるぜ!」
≪やっぱあんた殺していい?≫
まさか自分の事が好きな幼馴染を前にして他の女を口説くと宣言している、などと、
狼はきっと夢どころか現実起きているってのに気付かないんだからわかるわけ無いよなこの大ボケが!
「もういいわ、次のお店行く、クリス(執事)、車の用意を」
鈴音はそう言って立ち上がる。
「えっ・・・ま、まだ・・・・ゆっくりしていってくださいよ」
臣が止めるが、鈴音はもう見向きすらしない。
「他にいいお店あるかしら?」
「いい男なら、僕がいますよ、お嬢様」
狼がしつこくもバラを持って登場。
「残念だな、もう行かれてしまうのですか?」
自分の中では最高にかっこいいと思い込んでいる狼。
「どうか、僕と少しお話でも」
「ナルシストに用は無いわよ」
狼に10億のダメージ、周りの空気が凍りついた。
≪・・・お、おかしいなぁ〜、かっこつけていたはずなのに・・・≫
狼が嫌な汗をかき始める。
≪・・・終わったな≫
要弧が呆れた気持ちと少し安心した気持ちの溜め息をついた。
≪・・・誰?≫
臣は狼だと気付いてないようだ、そもそもここに狼がいることさえ知らない。
≪・・・・オレ・・・かっこ悪すぎだろ≫
羊が涙を隠しながら泣いていた。
「じゃ、帰らせてもらうわね」
鈴音は冷たい態度を崩さず店を出て行こうとした。
「ま、待ってくれ」
狼が必死に引きとめようと声をかける。
「なによ?まだ何かあるの?」
いらだちの混じった声、狼は今更ながら呼び止めた事に後悔したが、後には引けない。
「え、えっと・・・今後の参考のために、君のタイプを教えて欲しいなぁ〜なんて・・」
「・・・・・知りたい?」
「いや別・・・はい!物凄く気になります!つーかそのタイプになりきれるようがんばりたいです!ハイ!」
珍しく空気をよんだ狼だった。
「私のタイプは・・・ワイルドでケンカが強くて、でも女の子にはちょっと弱かったりする人で、それで鈍感な人が理想なの、この全てが揃ってないと好きになれないわ」
≪・・・え?・・ちょ、それって・・・・オレのことじゃねぇええかああ!!≫
羊が心の中で叫んだ。
「・・・・お前、結構変わった奴が好きなんだな、そんな奴どこにいるんだよ」
狼が真面目な顔をしてそう言った。
≪お前以外誰がいるんだよ!何!?わざと?わざとだよね!?≫
今、羊と読者の心のツッコミが重なった、と思う。
「ワイルドで見た目は怖いけど、意外な性格の人って、ギャップがあっていいでしょ?」
≪そういや、ギャップありすぎる人が俺の周りには多すぎる気が・・・≫
「あぁ!要するに、強気な奴が実は人には滅多に見せない所があったりする、とかってやつか!それなら俺も納得だぜ!」
≪うぉおい!!なんだよ納得って!≫
「あら、ナルシストにしては話がわかるじゃないのよ」
「当然だろ?好きなタイプについての討論なら任せろよ」
≪いや、なんだよ好きなタイプについての討論って?オレそんな事できたのかよ!?≫
羊のツッコミをよそに、二人は別の意味で白熱する。
「あなた面白いわねナルシスト、名前はなんていうの?」
「ふっ、名前なんてナルシストでいいさ」
「本当、変わり者ね、いいわ・・・このお店、気にいった、今夜はもう時間だけど、また来るわ」
「そうか、それまでにあんたの気に入る男が現れるといいな」
「余計なお世話よ・・・じゃ、また今度」
そう言って鈴音は店を出て行った。
「なんだ、あいつ意外といい奴だな、いや本当、タイプについてオレと対等に討論できる奴がいるとは、驚いたぜ」
「・・・・って、いつの間にかお客さんにしちゃったよこいつ」
「やべぇ、オキさんやユウさんでも無理だったあのお嬢様を落とすとはな」
「いや、キリさんがピンチヒッターとして呼んだ男だぜ?オレはやる奴だと見抜いていたさ」
クラブ内がざわつき始める。
「ん?ん?ん?なんだ?このざわつきは?」
「狼、結構やるじゃん、お客さんとして落とすなんて」
要弧が褒め言葉をかける。
「・・・・フッ、何言ってんだよ、あいつはただの客じゃねぇ・・・友だ」
『ドカッ!』
要弧が思いっきり踵で狼の足の指を踏んだ。
「だぁああおがぁああああ!!!!」
「バカ!≪あんな女と仲良くしないでよね!≫」
のた打ち回る狼をよそに要弧は怒りながら休憩室へ戻った。
≪・・・自業自得だよ、オレ・・・≫
羊は静かにそう思っていた。
翌日
「一時はどうなるかと思ったが、確かにバイト料は他と比べ物にならないほど高いな」
狼が素直に感想を述べる。
「・・・ねぇ、どうしても引っかかる事があるんだけど」
「ん?どうしたんだよ?」
難しい顔をしている羊にそう聞く狼。
「・・・確かさぁ、親父とお袋には記憶を偽造していたはずだろ?」
「・・・あ、確か骸骨がそんな事言ってたな」
二人の顔に表情が消える。
「うぎゃぁあああ!!ほんま堪忍やて!ゆるしてぇな!!」
骸骨を熱湯の風呂に押し込む二人。
「ちょっと忘れてただけやん!!ちょっとしたミスやん!!」
「なぁ羊、骨って確かダシがとれる筈だよな?」
「うん、取れる取れる」
「んなあほな!取れるわけないでっしゃろ!!たすけてぇーーー!!」
骸骨の叫び声が、どこまでもこだましていた・・・。
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[ただいま作者はテストノイローゼのためテストの事ばかり気になっています、特に気にしないでください]