タイプ20「ストーカーと追っかけの違いって何?」
恋をする人間には二種類ある。
純粋に犯罪手前のジョークで終わらせられる『追っかけ』と、
いや、ちょ、お前それ犯罪だから?みたいな『ストーカー』の二種類である。
「私さぁ、最近誰かに四六時中見られている感じがするの」
雫がいつものメンバーで弁当を食べている時ふとそう言った。
「・・・それっていつもの事だろ?」
要弧が特に気にせずそう言った。
「いや、そりゃ学校で注目を浴びているのはいつもの事なんだけど、家の中でも視線を感じるのよ・・・気のせいかな?」
「気のせい気のせい、しずくの家に侵入なんて無理に決まってるだろ?」
要弧がサンドイッチをほう張りながらそう言った。
≪・・・・心配だ・・・≫
そう心に呟いたのは、もちろん羊。
≪この御時世、ストーカーの手口もますます凶悪かつハイテクになってきている。しずくは特にかわいいもんだからそれに群がる害虫だってわんさかといるはずだし・・・しかもしずくはこのメンバーの中では一番か弱い!※{そう思っているのは羊だけです}こういうときこそ守らなきゃ!よし!≫
「じん!折り入って相談が!」
そう言って羊は狼の方を振り向いた。
「へぇ〜、おみって料理上手いな、このたまご焼きうまいよ」
「・・・そ、そうか・・・こ、今度また、作って・・・いいか?」
「まじ!そりゃ助かるぜ!」
二人で仲良くお食事中。
「この誤解だけはそこらじゅうに振りまくバカおおかみがぁあああ!!!!」
出た!羊の得意技!クロスバスター!!
説明しよう、クロスバスターとは要するに自分の腕を交差させて相手の首を絞める技である!まあつまりは首絞め技みたいな?
「グフッ!ヘルプ!ヘルプ!ガハッ!!ちょ!死ぬって!!」
「当然の制裁よ!てか死ね!この際だから地獄見て来い!!」
「・・・・ひじりとじんって仲いいね」
「まぁな、だがそろそろ止めないとじんが死ぬぞ?」
臣と奈絵美がのんきにそんな会話をしていた。
「はぁ?しずくのボディーガード?」
「そう!か弱いしずくを守るために一役買うってわけ!」
狼が露骨に嫌な顔をした。
「なによ?何か不満でもあるの?言いたい事があるなら言いなさいよ!」
「じゃあこの際だから言わせてもらうが!」
「ただし『やりたくない』という選択肢はないから」
≪終わった・・・・≫
「はい、言いたい事はないのね!決定!」
「いや!ある!オレよりもようこのほうが適役だと思います!」
「は?やだよ、お前がやれ」
要弧はあっさり狼を見捨てた。
「だ、だったら!警察行け警察!」
「馬鹿だな君は、警察は実害がなければ動いてくれないんだよ、それぐらい常識だ」
今度は奈絵美が冷たく言い放った。
「・・・ほら、別にみんなで帰ればいいじゃん」
「・・・・しずくは・・・部活の掃除当番だから・・・・いつも帰るの遅い」
「それぐらい待ってやれよ」
「・・・・暗い夜道を、女子だけのグループで帰っていたら・・・・それこそ狙われる」
「・・・じゃあ・・・適当な男捕まえて」
「「「「それがお前」」」」
「あぁ!なるほど、っておい!!」
狼が頑なに拒絶していると、雫がポツリと言った。
「いいわよ・・・そんなに私と一緒に帰るのがいやなら・・・無理には頼まないわ」
場の空気が凍る。
≪え?やばいぞこの空気、オレだよな?オレがなんだかんだ言って拒否しているからこんな気まずい空気になっちまったんだよな?やばいって!重いよ!空気が重過ぎるよ!あと四人の視線が痛いよ!みんなオレを睨んでいるよ!あの目には殺意がこもっているよぉおおお!!≫
「・・・一緒に帰ろうぜ!」
狼はそりゃもう爽やかにそう言った。
帰り道
日は既に沈んでおり、本当に真っ暗な夜道を、狼と羊と雫が三人で帰っていた。
「本当に暗いね・・・掃除当番ってしずくだけなの?」
「他にもいるけど、みんな私と別方向だから」
「ほぉ、お前も大変なんだな」
「そうそう、暇人のじんとは全然違って忙しいのよ」
「へいへい、そうですか」
三人がゆっくり歩いていると、狼が後ろに気配を感じた。
「・・・さっきからずっと付いて来ているな」
「え!?どこにいるのよ!?」
「シッ!しずく、後ろを振り向かないで、気付かないふりをしてて」
「え?・・・う、うん」
「次、右に曲がってみろ」
三人は右に曲がる、すると、後ろの気配も右についてきた。
「もう一度右に行って」
やはり、後ろの気配は三人の後を追いかけている。
「間違いないな・・・すぐにでも捕まえたいが・・・もしかすると武器を持っているかもしれない、迂闊には近づけないな」
「人通りの多いところに行った方が安全だけど・・・そうなるとストーカーが人ごみに紛れて識別できなるなっちゃうし」
「一番いいのは交番に駆け込むことだな、実際に尾行されているわけだからさすがの警察もこれでしずくを無視することはできない、だが生憎、近くに交番はない」
「そうなると・・・逃げた方がいいかしら?」
「そうだな、恐らくストーカーはしずくの家を知っている、だから逆にしずくの家で待ち伏せをして捕まえた方が利口だな」
「そうね、そうしましょう」
≪・・・あなた達・・・一体何者よ?≫
雫が二人の会話を聞きながら少しひいていた。
「いいか?オレの合図でお前ら先に走れ、俺は後ろのストーカーに注意しながら追いかける」
「了解!」
「・・・別に心配は特にしてないけど・・・気をつけてよ」
「わかってるって・・・・・・今だ!」
狼の声に反応して、羊と雫は一斉に走った。
≪しずくもひじりも運動神経抜群だ、追いつかれることはまずない・・・問題は、後ろの奴をどうするかだな≫
狼が後ろを少し振り返った。
すると白いブレザーを着た人間が猛スピードで走ってきていた。
「ウソォオオ!!?ストーカー足速ぇええええ!!!」
≪いや!つっこむ所がおかしいぞオレ!正しくは『なんで追いかけてきてるんだよ!』だった!くそ!やられた!!≫
そんな無駄な事を考えていたら、みるみる後ろのストーカーが狼に近づいてきた。
「ちっ!こうなったら攻撃あるのみだ!」
狼が意を決してストーカーにタックルを決めた。
「きゃ!!」
「・・・・・『きゃ』?・・・・」
狼がストーカーを押し倒す、だがそのストーカーがやけに細身なのに気がついた。
「・・・あれ?」
「ご、ごめんなさい!私怪しいものじゃないです!陸上部所属のカスミです!」
「・・・・いや、知らない」
「すみませんマネージャーさん!私!どうしてもしずくちゃんの近くにいたくて・・・つい『追っかけ』をしちゃいました!・・・やっぱり、迷惑ですか?」
「≪マネージャーって言われたの久しぶりだな≫あ、いや、なんかしずくが最近誰かに見られてるって言ってたからさ、ストーカーだと思ったけど・・・まぁ追っかけなら別に気にするほどの事じゃないな」
「ほ、本当ですか!追っかけしててもいいんですか!」
「いや、まぁ節度を守っていればいいさ・・・でも、夜道の追っかけは誤解を生むから止めてね?」
「わかりました!じゃあ朝の追っかけと休日のお出かけの追っかけしかしない事にします!」
「いや・・・本人のプライベートを考えると・・・朝の追っかけだけにした方が」
「そ、そうですか・・・わかりました!」
「他は特にしてないよね?」
「はい!盗聴、盗撮、ゴミチェック、住宅侵入、所持品の盗難、毎日メール&電話以外はやってません!」
「うん、それならいいよ・・・・っておい!」
「はい?」
「全部犯罪じゃん!?やってることがプロのストーカーと一緒だよ!!」
「そ、そんなぁ・・・これは、好きだからこそやってしまうことで」
「・・・・あのなぁ、好きな相手を知ることは悪いことじゃない・・・でも一方的にお前がいくら雫の事が好きでしずくの事を何でも知っていても・・・・しずくがお前の事を一切知らなかったら・・・意味ないんだぞ?・・・相手を知る前に、相手に知ってもらえ」
狼がそう優しく説き伏せる。
「・・・わかり・・・ました」
女子生徒はゆっくりと、そう言った。
「じん!!大丈夫!?まさかストーカーに襲われたの!?」
そこへ雫登場。
「え?」
「あ」
「・・・は!」
雫とストーカーと狼の三人が固まる。
「・・・・じん・・・なに女の子を襲っているの?」
「いや、違う!こいつがお前を追いかけていた奴であって!」
「・・・その体勢は何?」
女の子の上に馬乗り。
「・・・・いや、これには深いわけが」
「・・・・・言い訳があるのなら聞こう」
「いやじつはコイツ足がくそ速くてさ、なんでも陸上」
「だが!聞くだけだぁああああ!!」
雫はそう言うと狼に強烈なかかと落としを決めた。
「だはっ!!!≪結局俺はこうなるんだな・・・・≫」
感想評価まってるZe!
後キャラクターへの質問開始だ!
コイツ誰だヨ!みたいな質問から!
好きな食べ物は?とかなんでもいいぜ!
キャラの名前がわからなけりゃ何とか自分で表現してね!では!待ってます!