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夏の旅行だ!恋のバトル終結!

 よい子は寝る時間、がやってきました。

みんなの部屋も一応電気は消して眠ったふりをしています。

え?なんでそんな事するかって?


 あれだ、寝込み襲うためだよ。{もちろん禁止行為ですよ}


 北崎&音恩&しゅう

「海、温泉、そして肝試しですら女の子とイチャイチャできなかった今!」

「立ち上がるべきだよなぁ!」

「無論だ!女子の部屋へどっきり登場こそ男のロマンだ!」

北崎と音恩としゅうはすでに思考回路が麻痺して自殺行為に入ろうとしていた。

「でだ、まずは手ごろなひじり&おみ&りすちゃんの部屋に侵入しようと思うのだが」

「てめぇ!あつし!まだひじりちゃんに未練があるのか!?バカだろ!おみがいる部屋なんて入ったら最後屍として発見されるぞ!!ここはみおちゃんのいる部屋に侵入すべきだ!」

「こらねお!お前こそみおちゃん狙いだろ!このロリコンが!!お前の場合本当に犯罪に走りそうだからここはしずくちゃんのいる部屋に!」

「「ようこがいるじゃねぇかあ!!」」

北崎と音恩のダブルツッコミが決まった。


「ふぅ〜、お前らの事はバカだと分かっていたつもりだが・・・ここまでバカだとはな」

北崎が眉間を押さえながらそう言った。


「それはこっちの台詞だぜ?一番安全な部屋を指定してやっているのによう?バカだろお前ら」

音恩はガンを飛ばしながら言う。


「どうやら貴様らには鉄拳で分からせるしかないようだな、殺す勢いでやるから死ぬなよ?」

しゅうが本気の顔でそう言いながら指の関節を鳴らし始めた。


「「「死ぬなよバカどもがぁああ!!!」」」


ここに、本物のバカ達が本当に馬鹿らしいことでバカな事をした。



 骸骨&慎&将騎

この部屋では三人が既に布団を敷いて寝ていた、様に見えるが、

本当に寝ているのは将騎のみである。

≪さて・・・そろそろなえみちゃんの助太刀にでも≫

慎がゆらりと体を起こして布団から出る。


「どこへ行くのですか?」


骸骨が起き上がって慎に声をかけた。

「・・・ちょっと、夜の旅館を探検に」

「夜更かしは体に悪いですよ、それに夜なんですから他のお客さんに迷惑がかかりますよ」

「・・・それ以外に、理由があるんでしょう?ようすけさん」

振り返って不敵な笑みを浮かべる慎。

≪・・・なんやこいつ・・・やっぱ危険人物やな≫

「他の理由?私にはわかりませんねぇ」

「あなたは恐らく従兄弟であるひじりちゃんの味方なんでしょ?いくらなんでもわかりますよ、この部屋割りだって、仕組んだのはあなただ」

「・・・お見通し・・・ってわけか」

「そうそう、あなた、関西弁なんでしょ?」

≪な!何でそないなことまで!?≫

「どんなにうまく隠したつもりでも、時折見せるちょっとした発音のなまりで、わかっちゃいますよ」

「・・・一本取られたわ、あんた、只者とちゃうで」

「誉め言葉として受け取っておきましょう」

不敵な笑みの慎と、苦笑いの骸骨。

「行くっちゅうんなら、邪魔させてもらうで」

「そうでしょうね、では、一手交えましょうか」

二人はお互いに構えながら、静かに戦いは始まった。


 奈絵美&美緒&辰来

電気の消された暗闇、そして畳十五畳ほどの空間で、三人はお互いの気配を探り合っていた。

≪う〜ん、みおちゃんとたつき君に気付かれないでどうやって部屋を出ようかな・・・≫

奈絵美は確かに感じる二人の視線を受け止めながら困っていた。

≪なえみさん、申し訳ありませんが、今夜はぜひとも我が姉にチャンスを譲ってください!≫

辰来が罪悪感を必死に胸の中に抑えてそう心に呟いた。

≪なえみさん・・・お願い!今はじっとしてて!おみ姉のために!≫

美緒も心の中でそう懇願しながら奈絵美を見つめていた。


 数分後

≪・・・ね・・・眠い!!≫

辰来が襲い来る睡魔と激しく争っていた。

≪くっ!・・・こんなところで・・・負けてたまるか!お姉ちゃんのために!!少しでも恩返しするために!!僕は!僕はぁああ!!・・・・≫

既に思考回路が半分眠っている最中、辰来は視線を美緒に向けた。

「・・・ス〜・・・・スー・・・」

≪ね・・・寝てる!?みおちゃん寝てるよ!!・・・いや、寝顔がすごくかわいい・・・っは!何を考えているんだ僕は!!しっかりしろ!今はなえみさんを監視しなきゃ!≫

寝そうな自分の顔面に拳をぶつけながら必死に起きようとする辰来。

≪死ぬ気でがんばれ!!俺!!ファイトだ!!僕!!≫

一人称がこんがらがってきた辰来、それでも必死に起きていた。


既に奈絵美も寝てしまっていることに気付かずに・・・・。


哀れな弟の切なる願いは届くのだろうか?



 羊&臣&栗鼠

この部屋では、栗鼠が既に眠っており、一見静かに見えた。

だが、臣と羊の戦いは、既に始まっていた。

「・・・ひじり・・・どうした?寝れないのか?」

臣が目の下にクマを作りながら布団に横たわっていた。

「お、おみこそ・・・寝たほうがいいんじゃない?」

羊は起き上がって既に10杯目を超えるブラックコーヒーを飲んでいた。

≪うぅ〜、まさかおみがこんなに長く起きているなんて・・・でも、私には『無糖ブラックコーヒー[カフェイン80%増量]』があるんだから、寝るわけ無いわ≫

絶対体に悪い危険な飲料物を大量に摂取した羊は勝ち誇った顔をしていた。

もちろん、体に害なので多分救急車を呼ぶはめになると思う。

≪・・・・ひじり寝ないな・・・このままだと、じんの部屋にいけない・・・どうしよう≫

睡魔を必死に払いのけながら臣は目を開けていた。

≪・・・苦しい・・・でも、悪くない感じ・・・まだがんばれそう・・・≫

Mの性格がかなり役に立っているようだ。


 小一時間経過

≪・・・・なんだろう、コーヒーを飲む度に・・・頭痛と吐き気が・・・きもぢわるい≫

顔色を悪くしながら羊が20杯を越えるコーヒーを飲みきった。

すでに眠いとかそんな甘い状況ではない、多分死の一歩手前だと思われる。

≪・・・ふらふらする・・・なんか、息も荒い・・・でも気持ちいいかも・・・苦しいけれど・・・あれ?目の前が・・・揺れてる・・・なんか・・・耳鳴りが・・・≫

二人がいよいよ限界を超えそうになってきた、そして・・・。


「「バタン!」」


二人は仲良く夜空のお星様になりました。いや、死んでないけどね。



 狼&要弧&雫

いよいよ、重要人物たちの部屋に入ります。

果たして・・・一体どうなっているのか?


暗い部屋、畳に敷かれた三つの布団。

その三つの布団は隣に幅をあけずに密着していた。


≪・・・・俺、ただいま究極な状況に陥っております≫


狼が誰に言うわけでもなく一人で心の言葉を実況した。

密着した布団の真ん中はもちろん狼、

右手に寝ておられる要弧殿は狼の右腕を腕枕にして密着して寝ておられます。狼と要弧の顔の距離、約5センチ程。

代わって左手に寝ておられる雫殿は狼の腰に手を回して抱きついて寝ておられます。体はもちろんぴったりと密着。

てか要するに三人で仲良くくっ付きあいながら寝ています。

しかも近距離であどけない寝顔がばっちり見える。

おいおい狼!さすがにここまでされたらお前も鈍感ではいられないだろ?

さあどうだ!なんか言ってみろ!!


≪・・・・暑苦しい・・・・≫


どうやらこいつは人類史上最強の鈍感最低狼の称号を神より授与される程の鈍感力どんかんりょくを持っているようだ。


≪ったく、今は夏だぞ?こんなに近づかれたら暑くて寝れねぇだろうが!・・・と言っても、まさかここで俺が下手に動いてこいつらの目を覚まさせたら・・・絶対怒るぞこの二人は!!いかん!それだけは避けねば・・・だが・・・寝たい・・・でも、暑くて寝れない・・・だが・・・二人をへたに退かせば目を覚まされて殺される・・・・やべぇ、俺どうすりゃいいんだよ!?≫

狼が心の中で葛藤していると、要弧が動き始めた。

「・・ン〜・・」

≪ウェイト!待ってくれ!ちょ!これ以上近づいたら!!≫

要弧が寝ぼけているのかわざとなのか、更に狼の顔に顔を近づけた。

≪・・・ち、近い・・・≫

さすがに赤くなる狼。

そして要弧の寝顔を見つめる。


≪・・・ったく、なんだよ・・・いつもガン飛ばした表情の癖に・・・寝顔は・・・かわいいじゃねぇか≫


そう思ってから、更に赤くなる狼。

≪な、何考えてんだ俺?しっかりしろ!変な気を起こしたら殺されるぞ!!冷静だ、冷静になれ!深呼吸深呼吸≫

気を落ち着かせようとする狼、一先ずこれ以上要弧と近距離で向かい合っていたら身が持たないので優しく要弧を動かす狼。

≪まぁ・・・ここぐらいでいいだろ≫

要弧を離して、安堵した狼。だが次なる試練が訪れる。


「・・・じ・・・ん・・・」


≪ジュワッ!?≫

雫がいきなり名前を呼んだので一時的にウルトラジンになった狼。

だが、それが寝言だと言う事に気付き胸を撫で下ろす。

≪ったく、寿命が半分になったぜ≫


「・・・じ・・ん・・・・きらいに・・・ならないで・・・」


その台詞に、狼は本当に驚愕した。

≪・・・・ジュワッ?≫

ウルトラジンが再発。


≪な、なに言ってんだこいつ?嫌いにならないでって・・・そもそもお前が俺を嫌ってるんじゃねぇかよ・・・なに?もしかしてわざと!?今の寝言わざと!??≫

完璧動揺する狼。

目がまだウルトラジンになっている。


「・・・・じ・・・ん・・・」


だが、雫の表情は、何処か悲しげだった。

今にも泣きそうな、いつもふざけている雫の表情ではなかった。

それに気付いた狼は、少し困った顔をしたが、雫を見て言った。


「・・・別に、お前の事・・・嫌いじゃねぇよ・・・」


≪・・・って、聞こえるわけねぇか≫

狼はそう思いながらも、少し微笑んだ。

そのまま目を閉じて寝ようとする。


狼は気付かなかったが、狼の台詞の後、雫も・・・。


 うれしそうに笑っていた。



 翌朝

バスに集合する一行。

「んだよ、遅刻者が多いな?朝の集合時間はきちんと伝えたはずだろ?」

狼が苛立ちをあらわにしながらそう言った。

「す、すみません・・・遅くなりました」

辰来がフラフラの状態で現れた。後ろには奈絵美と美緒もいる。

「ちょっと、たつき君すごいクマだよ?どうしたの?」

「いや・・・その・・・ちょっと、いろいろありまして」

雫が心配そうに辰来をみて言った。

「全く、どうせはしゃいでろくに寝なかったんだろ?これだから子供は」

要弧が、よもや辰来が一晩中あんたのために睡魔と戦っていた事を知るはずも無く、辰来に説教をした。

≪・・・お姉ちゃん・・・なんか、元気になったね≫

気絶寸前の最中、辰来はそう思っていた。

続いて、なぜか慎と骸骨が殴りあった後のようにボロボロの状態でやってきた。その後ろには元気いっぱいの将騎。

「・・・どうしたんだ二人は?」

「さぁ、何を聞いても答えてくれないので何が起きたのかわかりません」

将騎は正直に狼にそう言った。

今度はバカ三人組が体中に包帯を巻いて出て来た。

「・・・・いや、聞くだけ無駄だから喋らなくていい、乗れ」

狼が冷たく三人にそう言った。

そして、フラフラの羊と臣が栗鼠に支えられながらやっと来た。

「・・・・一応聞くが・・・どうした?」

「お姉ちゃんはカフェインの取り過ぎで体調不良、おみさんは完璧寝不足、正直重症よ」

栗鼠が淡々と状況を説明した。



一同がバスに乗車する。

「・・・なんだよ、昨日の夜戦争でもあったのか?」

狼の問いかけに、全員が声をそろえて言った。


 『なんでもない・・・』


この最後のバス乗車の時、なんだか全員の心が一つになった気がした夏の旅行であった。


 




さぁ、今度は文化祭だな。

ちなみにアンケートも終了いたします!投票してくださった皆様、本当にありがとうございました!

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