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タイプ17「夏の旅行だ!恋のバトル其の四」

 黒い夜空に月が浮かんで、遠くの方には海が見える。

真っ黒な海はある意味恐ろしい気もしたが、その壮大な光景は、自分達がいかにちっぽけなのかを実感させた。


今、男湯のバカ3トリオは絶望に打ちひしがれていた。

「・・・壁が・・・たけぇ」

「想定外だ・・・壁がまさか・・・こんなに高いなんて・・・・」

「・・・終わった・・・何もかも」

約9メートルはありそうな巨大な壁を見て、三人は悔し涙を流していた。

「いや、バカだろお前ら」

狼が軽蔑の眼差しを向けてそう言った。

「ふ・・・鈍感な君には到底わかりえない男の夢があるのだよ」

北崎が真っ白になりながら温泉につかった。

「・・・俺は、諦めない!」

「・・・だな、諦めたら・・・それは死を意味するかな!」

音恩《ナンパ師》と、しゅう《オタク》の大バカコンビは今だ諦めなかった。


≪・・・哀れだな、どうせ見れたって、消されるのがオチだ≫


何気に怖い事をサラッと言った狼だった。


「ねぇじん、ここの露天風呂って意外と広いんだって」

慎が何気なく狼にそう耳打ちする。

「へぇ〜、まぁ、確かに広いな」

「それでさ、向こうの茂みを越えるとさ、そこから見る景色は絶景らしいよ」

「ほ〜、そりゃ楽しみだな、気が向いたら行くよ」

「うん、でも、できれば後10分ぐらいしたら絶対に行って欲しいな」

「はぁ?・・・うん、まぁ、わかったよ」

「うん、絶対に行ってよ」

慎が念を押して言った。狼はなぜそんな事を言うのか理解できなかったが、とりあえず承諾した。


「なぁなぁじんはん、ちょっとええか?」

「あ?なんだよ骸骨?」

「実はな、あの前の方に見える茂みあるやろ、あそこを超えてるとな、きれーな景色が見えるねん、行ってみるとええで」

「・・・あぁ、わかった、まぁ気が向いたら行くよ」

「いや、絶対行って欲しいねん、絶対やで!頼んだで!」

なぜか必死に頼んで言う骸骨、とりあえずわかったと返事をした狼だった。


「あ、あの、じんさん、ちょっといいですか?」

今度は辰来が話しかけてきた。

「いや、もうわかってるって、あの茂みの向こうのきれいな景色見にいけって言うんだろ?」

「え?何で知っているんですか?」

「あぁ!もう!わかったから!行くから!行けばいいんだろ!」

狼は怒りながら前方の茂みに向かった。


本当にここの温泉は広いようで、温泉のお湯から出る蒸気の霧に紛れながらも、狼は奥に進んで行った。

「ったく、何がきれいな景色だよ、どうせ海が見える夜景ってだけだろうが!あいつらしつこいにも程があるぞ!」

口で文句を言いながら温泉のお湯をかき分けながら進む狼、そして。

「・・・ん?なんか看板があるな?」

だが、既に古くなっていて読めないようだ。

「ま、どうせいい景色が見れるとかそう書いてあるんだろ」

更に進むと、細かった幅が広くなった。

「お?着いたか?」

そして目を堪えると、遠くに人影が見えた。

「他の客か、てことはあっちにいけば景色が見れるんだな」

ずんずん進む狼、まさか、これが最悪のシナリオの序章だとは思っていなかった。


 ちなみに、男湯では。

「あの〜、ようすけさん、あっちに行けばきれいな景色が見れるって本当なんですか?」

辰来が骸骨にそんな事を聞いていた。

「えぇ、そのはずですよ」

≪なんてな、本当かどうかは知らんけど、あのしんとかいう子がそう仕向けたって事は、恐らく女の子とロマンチックなムードになれる場所につながっているはずや、後はうまくひじりちゃんに伝えて、完璧やな≫

不敵に笑う骸骨、もちろん辰来もその話を聞いて骸骨と同じ考えに至る。

≪お姉ちゃん、今度こそチャンス掴んでよ!≫

そして、事の発端である慎の考えはというと。


≪さて、なえみちゃんにはすぐにでも温泉を出てと言っといたし、あとはじんが女湯に迷い込んで他の子に見つかって袋叩きにでもされれば、その後、なえみちゃん以外とはギクシャクした関係になり・・・ジエンド≫


やっぱりこいつ策士だったよ、しかも腹黒い、そして狼に絶体絶命のピンチが襲い掛かってきそうだったのであった。


 女湯

「さて、俺もそのきれいな景色とやらを拝むとするかな」

ぐいぐい進む狼、だが、かなり近づいたところで、気付いた。

≪・・・・・あれ?≫

よく耳を澄ますと、聞きなれた声。

そして見たことのある髪形。

何となく心の底からわきあがる焦りと不安。


「なんかなえみもうでちゃったね〜」

「全く、ひじりもなえみもこんなに早くのぼせるなんて、まだまだだな」

「・・・・そういう、ようこも、顔、赤いよ」

「ほんとだ〜、ようこさんあか〜い」

「そ、そんなことねぇって」


≪・・・なるほど、俺は今・・・デンジャラス・ゾーンに足を踏み入れてしまったようだ≫


珍しく冷静な狼、


≪・・・・しまった!あまりの展開に体が硬直してしまって動けない!!≫


なわけがなかった。


「あれ?あそこに人影があるよ?」

美緒の声がする。

≪やば!ヤバイ!ちょ!え!?ど、どうする!?どうすんの俺!?てか助けて!?誰か助けて!!!≫

「お〜い、あんた誰だよ?」

≪やっべ!!よりによってようこが近づいてきちゃったよ!?死ぬ!!殺される!!ヘルプ!!マジで助けて!!ちょ!動けオレの体!!≫

少しずつ近づいてくる要弧、そして少しずつ寿命が減っていく狼。

そして、とうとう要弧の視界に、狼が捕らえられた。


「・・・・ん〜?」

「・・・・は、ははは、こ、こんばんは」

あまりの恐怖に声が裏返り甲高い声を出してしまった狼。

≪終わった・・・俺死んだよ、間違いなく・・・グッバイマイライフ≫


「あにゃ〜、こんばんは〜」


≪・・・・あにゃ〜?≫

一時停止する狼。

「はにゃ〜、他にもおひゃふさんいたんれすね〜」{いや〜、他にもお客さんがいたんですね}

≪・・・はにゃ〜って≫

「あ、あの、のぼせていませんか?あなた」

よく見ると真っ赤な顔の要弧をみて狼はうまく騙しながらそう言った。

≪こいつ・・・のぼせているよ、まぁお陰で勘違いしてくれているから、それはそれでいいか≫

「む〜、のぼせてないもん!全然平気だもん!」

≪いや、もう、あんた誰だよってゆうぐらいおかしくなっているからあんた≫

「ようこ〜、誰かいるの〜?」

「あ、うん、他のお客さんだった〜」

「ま、ほどほどにしなさいよ」

狼はそう言ってうまく霧に隠れて行った。

「あれ〜?さっきの人は?・・・どこ行ったんだろ?」



 男湯

「ん〜?女湯から悲鳴が聞こえてこないな〜」

慎がのんきにそんな事を言っていた。

「何言っているんですか?悲鳴が聞こえたら大変でしょう」

辰来が笑いながらつっこんだ。

「いやさぁ、さっきじんに女湯への行き方を教えたからね、そろそろ着いているころだと思うんだけどな〜」

「・・・・え?」

「ほら、あっちの茂みを越えるとね、女湯につながっているんだよ、あ、でも、よい子は入っちゃダメだからね〜」

「・・・・えぇぇええええ!!!」

慌て始める辰来。

「ど、どどどどうしよう!じんさん行っちゃったよ!」

「いいのいいの、彼だって喜んでいるはずだよ今頃」


「・・・喜んでいるわけないだろ?この変態が」


帰ってきた狼。

「・・・あれ?」

「あれ?じゃねぇよ、よくもオレをはめやがったな?」

「・・・・ぼ、ぼ、暴力反対・・・です」


「男が女々(めめ)しいこと言ってんじゃねぇええ!!!」


慎、ここでリタイヤ。


結局、その後みんなは普通にお風呂から上がりました。



温泉の次は・・・肝試しで。

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