タイプ11「子供の時って何でも言えるよね」
新キャラ登場、子供の時の口約束で狼はまぁいろいろと大変な事になりそうで・・・、でも一度約束したことは守ろうね、できるだけ。
夏休み中、偶然にも、
要弧と臣と雫はバスケ部なのでその強化合宿に、
奈絵美は羊と文化祭実行委員として学校へ登校、
つまり、今日は自由の日なのである!!
何日ぶりだろう、自由を満喫するのは、
好きなマンガを読み、好きなアニメやドラマを見て、
パソコンで遊んだり、自分の時間を過ごせている・・・、
あの電話が来るまでは・・・・
「ピロロロロ」
携帯がなる、お笑い番組を見て昼飯を食っていた狼はめんどくさそうに携帯に出る、
「もしもし?」
『じんくん、今日ヒマかい?』
「おう、イケメン崎か」
『いや、北崎だよ』
「で?なんのようだ?今日は珍しく要弧達から開放された自由の日、オレはめっちゃくちゃ忙しいんだ」
『矛盾してるよ、自由の日ならヒマなんだろ?』
「そのヒマがオレにとっての休息なんだよ」
『だったらとびっきりの休息を教えてやる、コンパだ』
「・・・なぬ?」
『丁度一人探していたんだ、メンバーはオレとねおとしゅうとしょうき、そして君だ』
「場所はどこだ」
『うお、変わり身はやっ!・・・場所はテレビ局、ぜひ今すぐ来てくれ』
「よし」
フフフ、要弧達とは別の女子と遊ぶのもいいな、
狼は新しい場所への期待で胸が膨らんでいた。
で、現地に行くと・・・。
「アイドルグループ『ニャンニャン』のミヤで〜す」
「エミです、女優をしてます」
「アミーリュ、職業ミュージシャン」
「コロロなの!タレントなの!」
「ナツキです・・・グラビアやってます」
≪・・・・なに?有名人ばっかじゃん!?しかもカメラ回ってるし!!≫
驚愕する狼、そう、これが悪夢の始まりだった。
「おい、イケメン崎、どういうことだ?」
「だからオレは北崎だって、これはコンパだよ」
「コンパの相手は有名人と決まっているのか?」
「いや、今回は偶然だ」
「何が偶然だ?テレビ局で、有名人相手に、カメラが回っているこの状況で、コンパ?」
「まぁまて、そしてその振り上げた拳を下げろ」
「なんだあつし、お前肝心な事説明しないで連れてきたのか」
音恩が溜め息をついて言う、
「仕方ないだろ、本当の事を言うと面倒だといって来ないかもしれないからな」
「おい、肝心な事ってなんだよ?」
「『ドリームパーティー』という番組を知っているか?」
「・・・あぁ、有名人と一般の人とで食事したり遊んだりして恋が芽生えるかどうかの内容のバラエティー番組だろ?」
「まぁ、要するにオレがそれに応募して見事当選したわけだ」
「・・・・なに?」
「いや、だからな、オレはこの番組の募集に写真付きで送って当選したといっているのだ、だがまさか相手が5人だとは知らず一人足りないのでピンチヒッターとして君を呼んだわけだ」
「・・・なるほどな、まぁカメラで撮られる事以外では相手がすごい有名人ってだけの話だ、むしろそんな人達とコンパができるのは運がいい、今日はようこ達はいないのだからこれぐらい羽目を外してもいいはずだ、よし、オレは出るぜ、イケ崎」
「いや、北崎だ、略して呼ばないでくれ、まぁ承諾してくれた事は実にうれしい、よろしく頼むよ」
そして二人は堅く握手をした。
≪じんくん・・・ようこさん達がこの番組を見ないことを祈るよ・・・≫
あえてその事については触れなかった北崎だった。
そして、本番が始まる。
「どうも〜、今週も始まりました『ドリームパーティー』!今日の女性陣はこちら!!」
≪ふむ、いよいよ始まったな≫
セットは長いテーブルの両側に一列ずつで男性陣と女性陣が座っている。
≪どの娘も容姿はトップクラス、そして同じ高校生、さて、どの娘を狙おうか≫
狼がそう思い彼女たちを見ている間に、女性陣もそれぞれ考えをめぐらしていた。
アイドルグループ「ニャンニャン」のミヤ
≪う〜ん、北崎君か・・・守多くんかな≫
女優のエミ
≪・・・あの黒羽さん、いいかも・・・あと、守多さんも≫
ミュージシャンのアミーリュ
≪タイプなのは、古道・・・と、守多」
タレントのコロロ
≪しょうきくんかわいいの!・・・あとじんも何だかかわいいの!≫
グラビアのナツキ
≪・・・あ!・・・じんくん!・・・覚えてるかな?・・・私のこと≫
何気に全員が狼をセレクトしているが、ナツキだけはもっと特別な感情を抱いていた。
≪・・・懐かしいな、あの頃の私と・・・じんくん≫
「さぁ!紹介が終わったところで、この後はあなた方で進行してください!では!」
司会者がセットから出る、
そして、いよいよ恋のサバイバルが始まった。
目の前にはジュースとお菓子、
そして向かい合う男女、
無言
≪だれか話しかけろよ!!≫
狼が心の中で叫ぶ。
「・・・じゃあ!俺たち男性陣からおもしろトークをしま〜す」
しゅうが慣れた様子で進行役をかってでる。
「まずはこのクールを気取っている北崎から〜」
「む、オレか、よし、とっておきの話をしてやる」
「えぇ!楽しみ!話して話して〜」
ミヤが期待を込めた眼差しで耳を傾ける。
「先週、昼食にイタリアンを食べたいと思ってね、いきつけのイタリア料理店に行ったんだ、そしてスパゲッティーを頼む、そして出されたスパゲッティーを食べたのだが、これが非常に不味かった、いつもの味でない上にこの不味さは異常だったのでウェイトレスを呼んだんだ、なぜこんなに不味いんだ、いつもの味ではないって言ったら、ウェイトレスは涙ながらにこう言った、『申し訳ございません!・・・実は、シェフは今緊急でいないのです、ですが、店を閉めるわけにもいかず、私達従業員が料理をしているのです、ですが、やはりダメですね、本当に申し訳ございませんでした!すぐに作り直します!』ウェイトレスはすぐに料理を持って厨房へ向かった、だが正直食べる気も失せて帰ろうと思っていた、そして出口に向かおうかと思ったが、ふと厨房が目に入ってね、驚いたよ、あのウェイトレスが一人で料理をしていたよ、しかも一生懸命に、とても大変そうだったが、健気だと感じた、涙を流しながら諦めることなくがんばる姿を見て、無理やり帰る事が失礼だと感じてね、結局、うまくはなかったが、彼女の料理を美味しくいただいたよ、それはオレの父が大学生の時の話だそうだ、そして、そのウェイトレスは、今はオレの母だ、料理もうまくはないが、愛情はこもっていると、父はいつも言っている、これがオレのとっておきの話だ」
「・・・・いや、あの、ここで話すにはおかしくないか、その話」
しゅうが困った顔で言う、だが、
「とんでもない、オレの両親はこんな運命的な出会いをしたんだ、俺も、こんな素晴らしい出会いをしたいと純粋に思っただけだ」
女性陣に笑顔を見せながらこの台詞、
とりあえずミヤはもう北崎にくぎづけの様だ。
≪つーかおもしろトークじゃねぇのかよ?≫
狼が疑問の目を向ける。
「じゃ、次はねお」
「パス、おれそんな話できないから」
「じゃあしょうき」
「うん、僕の飼っているパウロの話をしていい?」
「犬の話は結構だ、つまらないし、次、じん」
「早いな、もうオレかよ」
≪面白い話なんぞないな・・・そうだ、適当な怪談話でも≫
「よし、夏にぴったりな怪談話を」
「えぇ!!無理!!」
ここで大声を出す者が一人、
「・・・・ナツキちゃん?」
しゅうがビックリして声を出したナツキを見る。
「え?あ、ご、ごめんなさい、でも意地悪だなぁじんくん、よりによって私の苦手な怪談話するなんてぇ」
≪・・・・・はい?≫
「でも、やっぱり覚えていたんだ、結構昔なのに」
「おいじん、お前売れっ子グラビアアイドルと知り合いだったのか?」
小声で音恩が聞いてくる。
「・・・ナツキ・・・なつき・・・夏・・生・・?」
「・・・どうした?」
「いや、はるか昔沖縄へ遊びに行ったときそんな名前の子と知り合ったような・・」
「はるか昔って・・・ナツキは確かに沖縄出身だがな」
「・・・たしか夜に怪談話したら泣かせちゃったから親に怒られたという記憶が・・・」
「つじつまが合っているな、恐らく間違いないだろ」
「・・・なんか、その時、重大な失敗をしたような・・・?」
「失敗?」
どんどん小さくなる狼、
そしてある禁断の記憶がひらかれた。
「・・・一生、守ってあげるよ・・・」
「は?」
音恩がとぼけて返事をする。
「・・・オレは、ナツキにそんな約束をしたような気がする」
まだまだ、カメラはまわっていた・・・・。
さぁ、まだまだ続く。