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タイプ10「夏+仕事=図書」

今日はヒロインが臣です。

夏休み、とは言っても、学校が消えたわけじゃなく、

特に、委員会などという労働機関にいたっては、休み中の出勤を言い渡すわけで、

まぁ、ようするに、図書委員会の図書当番の日が今日なのである。


夏らしく、セミの声が聞こえる、

冷房の効いた図書室でなら、セミの声も苦ではない、

むしろ夏を改めて実感させてくれる意味では、悪くはない。

図書室には自由研究で調べ物に来る生徒や、純粋に本を読みに来た者、

それを除いては、俺と臣と羊の三人である図書委員しかいない。


「・・・ひま〜」

羊がだらけながら言う、

こうしてみると元オレだったとは到底思えない、

だらけて机の上に頭を乗せて天然系をもろにアピールしているようだ。

まぁどうせ女子の中にいて変貌でもしたのだろう、

見た目も中身も女の子の羊になったのだ、それはそれで良し。

「・・・・これ読む?」

さり気なく臣が羊に本を手渡す、

「ん?ありがとう〜、どんな本?」

羊がタイトルを見て固まった。

 『DNAの進化の過程と仮定』

「・・・・おもしろいよ」

≪どこがっっっ!!!!≫

ふ、羊の心のツッコミが聞こえたぜ。

「じんもひまか?・・・・これなんかどうだ?」

「ん?」

 『本当は寂しがり屋さんのあの娘のハートの掴み方』

≪・・・・なんだこれは?≫

≪はっ!それはおみからのアピールだな!!≫

≪・・・・なんだか、顔赤いなおみ・・≫

≪気づけおれ!!それは決定的な好意があるという信号!主張だ!≫

≪・・・・寂しがり屋の娘・・・≫

≪そうだ!その着眼点は間違いない!おみの事だ!クールを気取っているが本当はシャイで≫

≪俺の周りに寂しがり屋な奴はいない!!≫

≪こンの鈍感ばかがぁぁああああああ!!!!≫

なぜか重要な時だけ狼には羊からの心の声は聞こえず羊は狼の心の声が聞こえる様だ。

≪なぜおみはこの本をセレクトしたんだ?≫

わからんな、いや、まてよ、これは臣なりのオレへの気遣い?

そうか、彼女のできない俺を気遣ってこの本で女の子ってものを理解して彼女をゲットしろよって言う信号!主張だったのか!!


「違うわボケェェエエエエエ!!!!!」


羊がとうとうキレて狼にローキックをくらわせた。

「・・・・どうしたひじり?」

「ん?ごめんこのバカがね、いや本当バカでさぁもう死んじゃえみたいな?」

「おい、全く攻撃した理由が分からないぞ?」

「うん、そこがそもそもバカってわけで?いい加減にしろってやつ?」

本気でキレている様子の羊に仕方なく狼は黙る事にした。


≪全く・・・こんなにも思ってくれるが周りにいるっていうのに、なんで気づかねぇんだよ、オレ・・・≫

要弧だって臣だって雫だって奈絵美だって俺の事思っているのに・・・。

・・・まてよ、四人もいるんだよな?

・・・・あれ、そう言えば・・・


・・・・オレは、誰を好きになればいいんだ?


羊がふと深刻な顔になった。

全員を選ぶなんて当然だが無理だ、だったら、四人の中から一人を選ぶという事になる。

≪・・・オレは、誰を選ぶんだ?≫

ふと、大きな問題に気付いた羊だった。


図書委員の仕事も終わり、夏の暑い道を歩いて帰っている三人、

「あち〜〜、図書室はあんなに涼しかったのによぉ」

「・・・・アイス買う?」

狼の文句の後、臣がコンビニを指差しながら言った。


コンビニの前で日陰に集まりアイスを食べる三人、

狼と羊はチョコバーを、羊も元は狼なので好みも一緒なのである。

ただ臣だけはソフトクリームが好きなのでそれを食べていた。

≪・・・やっぱり、おみはアイス食べてる時は笑顔だな≫

≪ん?おかしいな、ようこ達と一緒の時はそうでもなかったのに?≫

臣がかわいい笑顔でアイスをなめているのを見る二人。

≪やっぱソフトクリームが好きなのか≫

≪いやいや、だから他の時はそうじゃなかったって≫

≪でも今は笑顔だろ?≫

≪・・・・ハッ!もしや!≫

狼と一緒だから喜んでいるのか!!

≪ふふふ、成る程ね≫

一人納得する羊。

「なぁおみ」

「・・・ん?」

狼が唐突に臣に話しかけた。

「お前って、好きな食べ物何?」


「・・・・・辛い料理なら何でも」


≪アイスじゃねぇのかよ!!≫

「い、意外だな」

「ねぇねぇ、辛い料理がすきって事は、辛いの平気なんだ?」

「いや・・・・得意ではない、ただ、辛くて・・・痛くて痺れる感じが、好き」


≪≪・・・・・ちょっとMだったんだ≫≫


「・・・そうか、驚いたよ」

「うん、かなり驚いたよ」

狼と羊が困惑した顔で言った。


まだまだ、夏は暑くて長続きしそうだ・・・・。



臣はミステリアスですよ、クールですよ、でも天然度なら狼といい勝負です。

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