タイプ9「写真集対決終」
遅くなってすみません疲れた・・・
写真集発売日
学校の体育館を借り切って写真部が主となって会場が作られた。
北側に要弧チーム、南側にみゅうチームの写真集が置かれている。
被写体である要弧達はステージから販売の様子を見れるようセッティングされた。
「・・・なんか大掛かりだね」
「当然よ、生徒会にも声をかけて大々的に宣伝までしたんだから!」
雫は自信満々の表情だが、羊は顔を引きつっている。
「ちなみに、混雑を予想しているため、時間ごとに個人の写真集を販売するの、つまり!これはある意味個人戦でもあるの!より多く売れた方が勝ち!それはつまり!相手よりよく売れて部数で勝つ人数が多いチームが優勢になるのよ!」
≪あぁ、そう≫
羊がどうでも言いように心の中で呟いた。
「ごきげんよう、先輩方」
かわいらしい声で声をかけてきたのは、敵陣、みゅうチーム。
「あら、ごきげんよう」
雫が冷ややかな笑みで答える。
「この人怖い〜、睨んでくる〜」
ショートカットの少女が涙目で雫を指差しながら言う。
「先輩、人を怯えさせるような表情は最低ですわ、止めていただけないでしょうか?」
みゅうがわざとらしく大きな声で言った。
すると会場の何人かがこちらを振り向く、
≪やばい!ここで高感度を下げると売れ行きに問題が生じる!≫
羊が心配して雫をみる、すると、
「怖がらせちゃったかしら?ごめんなさい、ほんのお茶目なのよ」
そう言って天使の微笑で返す。
そのあまりにも美しい微笑みはまわりを光らせている気がする、ていうか光っている!
しかも注目していた何人かがその微笑の虜になったようだ、顔を赤くさせて雫を見つめている。これは高感度が更にアップしたと思っていいだろう。
≪・・・やっぱこいつ、アイドル並みに計算高いな・・・≫
羊が静かにそう思った。
第一時、鳥居奈絵美vs華藤レナ
「では!販売開始!」
生徒会の執行委員の合図と共に、体育館に人が溢れるほど入ってきた。
「どうも、生徒会長の本堂です、今日は我が校の特別イベントと言う事で、司会を勤めさせていただきます、にしても、すごい盛り上がりです、やはり我が校自慢の美少女グループの写真集だけあって男子にとってはそこら辺の無名グラビアアイドルより魅力的なのでしょうね」
「当然ですわ、被写体の完璧さもさることながら、男心をくすぐる内容ですもの、思春期真盛りの健全な男子生徒なら買って当たり前よ」
雫が当然と言わんばかりに胸をはって言った。
「ちなみに、うちのなみえの写真のタイトルは『可憐な図書委員長〜本とあなたがお友達〜』よ、メガネキャラと言えば図書室というお約束、それに恋する男子生徒も多いはず、図書室で本を読む美少女、その表情はどれも愛しいものよ」
「なるほど、確かに男子としてはそんな素晴らしいシュチュエーション(妄想)は誰もが憧れてきたものですからね、得点は高いでしょう、代わってレナちゃんはどう?」
「は〜い!私のタイトルは!『お兄ちゃん!〜水泳教えて!の巻き〜』です!」
≪なにぃいいいい!!???≫
羊が、いいのかそんなタイトル!?てか大丈夫!?いろんな意味で!と言った。
「水泳って事は水着写真ってことかい?これはセクシー路線で攻めたねぇ」
「えへへー、今回はスク水なの!学校のプールでね!一生懸命泳いだから!あ・・・でも、ちょっと途中でハプニングがね、ちょっとだけ」
「は、ハプニング!一体どんなハプニングなんだ!?気になる!非常に気になる!!これはもしかして、男子として期待していいのか!!」
「もちろんだよ、お兄ちゃん♪」
『うぉおおおおおお!!!!!』
会場が更にヒートアップする、そして更に羊はドン引きする。
≪そんなんで興奮するって・・・お前ら全員ロリコンかコラ?≫
販売終了、総部数結果、奈絵美、324冊、レナ、339冊。
「やられたわ、あの小娘・・・思ったより計算高いわね」
雫が険悪なムードを出しながら苛立った様子でいる。
「おみの販売結果出たわよ」
奈絵美が結果を伝えにきた。
販売結果、総部数結果、臣、0冊、ナミ、362冊。
「・・・どういうこと?」
雫が黒い顔で奈絵美に問いかける。
「罠にはまったのよ、相手がおみに『写真集を出すのって、気になる男子からだと軽率に思われるかもしれないですよね?』と言われて、おみは販売を断念した」
「お〜み〜?」
後ろで固まっている臣に声をかける雫、
「・・・すまない」
「そんな言葉じゃ許されないわよ」
「・・・ほんと、ゴメン」
そう言うと、臣は泣き始めた。
≪ちょ!な!泣いてる!?あのクールなおみが!?≫
羊は今までのイメージと大幅に違うため驚愕する、が。
「もう〜、本当おみは泣き虫なんだから〜」
「見た目によらず繊細なんだ、仕方ないだろ」
要弧がよしよしと臣を慰める、
≪・・・慣れてるって事は、いつもの事なんだ・・・≫
羊は黙って見過ごす事にした。
「いよいよ、ひじりの出番ね」
「は、はい≪くそ!男どもに自分の写真を売るのは気が進まないが、仕方ない≫」
ステージに出る雫と羊、
相手はショートカットのあの泣き虫な少女だった。
「さぁ!今度はどんな写真集なんですか?楽しみでたまりません!」
生徒会長が泣き虫な少女にマイクを向ける。
「サナは、『お兄ちゃん!〜一緒に運動会編〜』だよ!一生懸命がんばってるサナを見てね!あと、ちょっとサナ泣き虫だから、泣き顔の写真もあるよ」
≪ロリコンを重視しつつ、Sな性格の奴も虜にする作戦か、面白い≫
雫がそう考えていると、ふといい事を思いついたようだ。
「さぁ!今度は期待の新人!ひじりちゃん!一体どんな写真集なんだい?」
「タイトルは『白衣の天使〜ひじりナースの初々しい看護編〜』ひじりが大胆にもナース服を着て看護をしてくれる、天使の笑顔も満載だが・・・なにより、注目すべきはミニスカート!ひじりの生足が見放題だ」
『おおおぉぉぉおおおおおおお!!!!』
「えぇ!?ちょ!恥ずかしいですよ!」
その反応がよかったのか、会場がまた一気に盛り上がる。
≪な、なんなんだ・・・こいつら≫
販売結果、総部数結果、羊、421冊、サナ、398冊。
「よっし!400部数突破よ!さすがひじり!」
≪・・・あぁ・・・俺の写真集が400冊も・・・男のものに・・・≫
続いて行った雫戦は、雫が巧みな話術で高感度を上げ、
販売結果、総部数結果、雫、412冊、ナナ、372冊。
そしていよいよ、最後の要弧vsみゅうの闘いとなった。
「さぁ!いよいよ残すは大将戦!勝つのはどっちだぁ!!」
≪ふん、知れたこと、そっちには300冊近く出遅れているのよ、勝てるわけないわ≫
みゅうは余裕の笑顔ですましていた。
一方要弧も別に負ける気などないと言わんばかりの自信満々な様子だった。
「さぁ!みゅうちゃんはどんな写真集なんだい?」
「私は、『教えて先輩!〜保健室で一緒〜』で〜す、すっごい内容だからね♪」
「おぉ!これまた会場は熱気で溢れかえる!このままだとみゅうチームの勝利が決まってしまう!対するようこさんは!」
「・・・『ボーイッシュ・ガール〜禁断の恋〜』・・・」
「・・・はい?」
「私はボーイッシュな性格だからな、なかなか面白い写真ではあるぞ、私が日ごろ見せない表情とかな」
「な!なんと!この写真集さえ買えばようこさんの日ごろは見れない表情が見れるとは!これもレベルが高いぞ!!」
≪ふふ、やはり強敵ですねようこ先輩、でも、いくらあなたでも、せいぜい500冊が限界・・・勝負はもらいましたわ≫
みゅうが微笑む、そして、いよいよ結果が発表された。
販売結果、総部数結果、要弧、782冊、みゅう、435冊。
「な!700冊!!!」
みゅうが驚いて結果を見る。
会場も予想外の結果に驚きを隠せない。
「おぉ〜?これは予想外!いくら魅力的だとはいえ、なぜ700冊もうれたのかぁ!」
生徒会長がマイクに向かって叫ぶ、すると、ステージの横から雫が出てきた。
「いいかしら?会長」
「ん?どうぞ」
「この結果に驚いている人も多いことでしょうが・・・からくりとしてはいたって単純、ようこの魅力は男子だけには止まらず!女子達も虜にしたのです!」
「そ、そうか!男子だけでは400冊がいいところ!だが女子も入れれば700冊!いってもおかしくない!何てことだ!ここに来て一気に逆転!勝利チームは
要弧チーム!!!」
そして、会場は片付けられ、狼もようやく開放される。
「・・・先輩」
みゅうが悲しい顔をしながら別れを惜しんでる。
「・・・どうしても行っちゃうんですか?」
他の女子も狼に離れたくない様子・・・だが。
「・・・ごめんね、俺はやっぱ、ようこ達の隣にいるのが似合ってるから」
「・・・わかりました」
みゅう達はそう言って、その場を去った。
「・・・・えーっと」
狼が振り返って、要弧達に向き合う。
「・・・・わるかった、ごめん・・・あと、ありがとな」
素直に言う狼、
要弧たちは意外に思ったようだが、
「ったく、今回だけだからな」
「あぁあ!迷惑の掛かる奴だよ本当!」
「埋め合わせはきっちりしてもらうからな」
「・・・・・よかった」
「まぁ!これで一件落着ですね!」
羊が元気にそう言う。
ふと、羊が地面に写真が落ちているのを見つける。
「なんだろう?」
拾って見ると、
そこには狼とみゅうが抱き合っている姿が映っていた。
≪なんじゃこのやばすぎる写真はぁああああ!!!!!≫
「どうしたひじり?」
≪ハッ!!!≫
後ろから要弧が覗き込んで、写真を見てしまう。
「・・・・・」
「・・・・よ、ようこ、ちゃん?」
「・・・・じん、ぶっ殺す」
その後、狼の悲鳴が聞こえたそうな・・・。