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現代高校生の反抗記  作者: 鳥頭:β
一章:新天地
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一章:Episode1 長谷川十弥との会話

遂に一章に入りました。

これからも読んでくださっている方は宜しくお願いしますm(_ _)m






「隣、座ってええか?」




東京行きの特急列車に乗って二時間程経っただろうか。

二人がけの席を贅沢にも一人で占領していた俺に話しかけてきた奴がいる。


「・・・どうぞ」


自分でも無愛想と思いながらも必要最低限の言葉で荷物をどけてやる。

対人コミュニケーション能力があまり無い俺にはこれが限界だった。


「おーおおきに」


そいつは大きめのリュックサックとキャリーバッグを座席上の荷物置きに置くと通路側の席に座った。


「・・・・・・俺もそっちに置けばよかった。」

「?なんて?」

「いや、何でもない」


俺の隣に座ってきたこの男、どうやら人とコミュニケーションをとることがお好きなようだ。

望んでもいないのにやたらと話しかけてくる。


「ボクは長谷川十弥。キミは?」

「・・・加藤優佑。」

「そかそか、カトウ君ねー、キミも東防高入学希望者やろ?」

「!・・・よく分かったな」


東防高。

東京防衛高校の略で、自己防衛機能の安定、向上を目指す俺の新しい学校だ。

どうやらこの男も俺と同じ東防高入学希望者らしい。


「この列車に乗っとる学生なんてだいたいそうやろ?」

「なるほどな。まぁそうか」

「いやーでも同級生に早めに会えたんわラッキーやな、よろしくカトウ君。」

「よろしく、長谷川。」






━━━それが俺と長谷川の最初の会話だった。





「カトウ君はどうして東防高に?」


難しい質問だ。

今までの俺の人生を変えたいから。

だめだ。こんな気恥ずかしい台詞をはける程俺は羞恥心を捨ててはいない。

強くなりたいから。

これもだめだ。もし今そんなことを言ったら最後、こいつの口から広がってかわいそうなものを見る目で見られ続けてしまうに違いない。

家庭の事情で。

いやどんな家庭だよ。

女子に背中を押されて。

これでは俺が女子に踊らされている滑稽な男になってしまう。それに佐々浦のイメージを貶すことはできない。


俺がいい答えが思いつかず微妙な表情のまま固まっていると何かを察したのか長谷川が気を使ってくる。


「あっ言いたないなら言わんでもええんやで?

誰にでも事情っちゅーもんはあるしな!」

「あぁ、悪いな・・・長谷川はどうして東防高に行こうと思ったんだ?」

「あー・・・」


俺の返しに長谷川が歯切れの悪い返事をした。


「さっきのお前の言葉じゃないが言いたくないなら言わなくていいぞ?」

「あーいや、別にそーいうんじゃないんけどな?

どっから話そかなーて頭ん中で整理してたねん。」


なんだろう、長い話になるのだろうか。

だとしたらごめん被りたいのだが。


「・・・よしっ。ボクな?」


何故喋り始めた。やめろ。


「ボク、こんな喋り方しとってよう関西の人と間違えられるんやけど、ボクはほんまは東北の人間やねん。ばあちゃんが関西の人でなぁ、いつの間にかこんな喋り方になっとって。」


そうなのか。道理で胡散臭い関西弁だと思ったぜ。


「ボクんちの実家は剣道の道場やっとってな、ちっこい頃はようボコボコにされて泣いとったわ。じいちゃん厳しい人でなぁ。」


そう話す長谷川の瞳は既に遠いところを見ている。

自分の思い出に浸っているようだ。

このまま席から離れてもバレないんじゃないだろうか。


「じいちゃんにボコボコにされて、泣きじゃくっとるとこをようばあちゃんに慰めてもらたなぁ・・・うん、ボクはばあちゃん子だったねん。ちょお恥ずかしいけどな?」


恥ずかしいなら話すなよエセ関西人。


「んで中坊になって友達と遊ぶようになってから、あんま道場には行かんようになってな?

ばあちゃんとも話さんようになった。中学三年間でほぼ話してなかったなぁ、ボク。」


知らねーよ。


「んで高校上がってばあちゃんと話してなくて、そろそろ一回くらい顔出そかなぁて思い始めとった時やった。知っての通り、世界変貌が起こったんや・・・━━━━━」


え、待って。回想入んの?

あってまだ30分くらいだよ?

そんな深いとこまで俺お前と関わりたくな・・・━━━━━










━━━━━世界が終わったんかと思った。


物凄い音と共に衝撃波が迫ってきた。

その衝撃波に飲まれて一瞬意識を奪われて、目を開けた時見えたんは・・・変貌した町やった。


今まであった町を無理矢理四角くしたような形の町に戸惑いを隠せんかった。

そして何より、外からだんだん近づいて来る怪物。

どっかのRPGで見たような怪物が町に近づいてきとった。


まずい、まずいまずいまずい!


四角く切りそろえられた町の外周部分。

恐らくこのままあの怪物共が襲ってきたら間違いなくそこが血の海と化す。

その外周部分には、


「・・・ばあちゃんッ!!」


新しく補導されたような綺麗な道路をボクは走っとった。

大丈夫や。

そんなすぐにあの怪物共がたどり着くはずがない。

それにあの道場にはじいちゃんもおるし怪物なんかにやられる訳がない。

大丈夫や、大丈夫。


「そこんとこ左に曲がりゃちゃんと道場が・・・」


ある種の暗示だった。

最悪の可能性を見ないようにする。


いや、道場自体はちゃんとあったのだ。

そこに怪物と血、というセットが付いていなければ。


「あ、あっああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


━━━じいちゃんとばあちゃんは、死んでた。






最近ちょこちょこ誤字脱字等を編集しています。

見つけたら教えて下さると嬉しいです、優しく。


ここまでお読みいただき感謝。

一章とも付き合っていただければ幸いです。

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