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白イ夢1

 真っ白な部屋の片隅で膝を抱え座り込んでいる少女。


ーああ、またこの夢だー


 この夢は少女にとって最も見たくない夢。何度も何度も繰り返し見る夢。

 少女はこれは夢だと分かっているし、これから起こる出来事も…


 ガチャリと部屋の扉が開き複数の人が入ってくる。白い服に白い肌、表情は皆同じ何の感情も見えない無表情。


 少女は無駄だと理解しつつも侵入者達に最大限の敵意を向け睨みつける、それが少女に出来る、ただ唯一の抵抗。

 無数の白い手が少女に伸びる。抵抗しても無駄と分かっている少女はされるがまま…立たされ、部屋の外へと連れ出される。


 扉の向こうも壁一面白の世界。白い者に手を引かれ真っ白な廊下を進み、真っ白な階段をのぼり、やがて真っ白な屋上へたどり着く少女。

 無数の白い手は屋上の端まで少女を引っ張っていき、そのまま少女を突き落とす…


 ◇


 激しい落下感に体をビクンッと震わせ最悪の朝の目覚めを迎える。

 何度経験しても、この後は、起きて暫くの間体の震えが止まらない。


私が最も多く見る夢、最も見たくない夢。


 何故かこの夢の中では他の夢と違い、はっきりと意識があり、はっきりと夢だと認識もし、目覚めた後も薄れること無く記憶にはっきりと刻み込まれる。


 私に死を求める白い世界の夢。かつては抵抗した事もあったが何をしても形を変え最後には必ず私の命は奪われる…

 そして死の直前までの気が狂いそうな恐怖を感じたまま目がさめるのだ…


 しにたくない?しにたくないっ!!…何故?

 只、意味も無くこの部屋にこの建物に居るだけしか出来ない存在なのに、只、生きてるだけの私は何を怖がっているのだろう。

 只、楽しい夢を見る事だけが唯一の娯楽の私…迷惑しかかけられぬ私は居なくなった方が本当は良いのかもしれない。

 イヤダ、イキタイ。


 そう、私は、私が、私に、いつかきっと私をーーーー。

 せめて次に見る夢はキラキラと希望溢れるものでありますよう…

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