くたびれた男の見る夢2
ある〜ひ♩もりのなか♩
くまさんにィィィィィであったぁぁぁぁァァィうェェェェェィヤハー♩
仲の良い友人ら男4人でバーベキューをやりにきた俺達。
しこたま食べて、食後の運動がてら少し山に登ろうぜってなった結果。
俺達はくまさんに出会った。
「くまー!クマー!」
「ヤベェヨーヤベェヨーヤバッチョ」
「おおお落ち着け、まず素数を数えるんだ!」
「いや、マジ落ち着けお前ら、まだ、奴はこちらに気付いて無い、刺激しないよう戻れば大丈夫なはずだ!」
皆がテンパっている中、俺は1人冷静に状況を分析しそう皆に声をかける。
「そ、そうだなっ!今ならまだ安全に戻れるはずだ、よ、よーし皆お、俺について来いっ」
「いやお前声デカイよ⁉︎静かにして‼︎」
と今だテンパり気味なのを落ち着かせつつ。出来るだけ物音をたてぬ様に移動を開始する。
「皆ぁ、ここら辺斜めってるから、足を滑らせ無い様気をつ、ふおっ!」
「あっ⁉︎」
「おっ⁉︎」
「ふえっ⁉︎」
足元気を付けろと言おうとしたら、俺自身が滑らせた、と言うかその瞬間全員足を滑らせた。
おむすびころりんころころりん…
「Noooooooooooぉぉぉぉぉう!」
「フヒャァァァァァァァァーッ‼︎」
「イヤァァァァァァァァァーッ‼︎」
「おっほぉぉぉぉぉぉぉぉーッ‼︎」
4人とも山の斜面をコロコロと面白い位に転がって行き。
「ひゃー」
「おふっ」
「ブベシッ」
「アウチッ」
森を抜け道路へと転がり出る。熊からは逃れられた様だが
「ぶはは、お前、服が弾け飛んでパンツ一丁になってんぞ!」
「いや、そういうお前どうした⁉︎大爆発に巻き込まれたかの様に、髪がチリヂリのアフロヘアーになってますけどぉ⁇」
「いやー間一髪だったなー」
「あんた、髪真っ白だけど大丈夫なのっ⁉︎」
と散々なありさま、まあ、皆特に大きな怪我はない様で良かった?
「そろそろ帰ろう」
「ああ、そうだなー山は堪能したしな」
「アハハハ、アフローアフロー」
「うるせー白頭ー」
そんなこんなでボロボロな状態でありながらも和気藹々と俺の運転で帰路に就く俺達だったのだが
「んっ?何か地響きみたいの感じね?」
「そういや、後ろがうるさい…っ⁉︎ぞぞぞぞぞぞ」
「ぞ?」
「象ダー‼︎」
後ろを見ると、巨大な象が…しかも一頭じゃない数十頭の群れでドドドドッと砂煙を上げながらこちらに向かって来ている!
「ナンジャコリャー‼︎」
「流石にアレに巻き込まれたら一巻のお終いだぜっ」
「ふっ任せろ、見事逃げ切ってやるぜ!」
不安な声が上がる中、加速させる俺。だが、車が軽自動車な上、象の速度が半端無い!どんどん距離を詰めてくる大群に俺はハンドルを大きく切り道の無い森の中へ突っ込んで行く。
「ぎゃぁぁぁァー!何やってんだー⁉︎」
悲鳴をあげる面々だが
「任せろっ、俺の華麗なハンドル捌きをみせてやるわ!」
山路を軽自動車でバウンドしながらも華麗に木々を避けで行く俺。
「うおおい、ゾウさん木々をぶっ倒しながら追ってきてんぞ!」
「完全に俺達狙いっ!?」
「おい、前前!やべえぞ崖だ!」
その声にアクセルを更に踏み込む。
「止まれ止まれ!崖だぞ!」
「馬鹿野郎止まったら、後ろの大群にぺちゃんこだぞ、俺に任せろって言っただろ?」
「イヤーッナニスンノー」
俺は更に速度を上げそして…
ブォーン!
「飛んだーッ」
「死んだーッ」
「キャーッいやーん」
づだんっ
崖から飛び出し100メートルになるだろう崖へと着地する。象達は崖に気付くと急ブレーキをかけ崖の前で停止している。
「ひゃっほーやったぜ、すげぇやお前!」
「俺達のヒーローを胴上げしようぜ」
「よっしゃー、せーのわっしょいわっしょい」
「ふおっ、お前らよせよ〜」
助かった俺達は車から降りしばらくの間はしゃぎ合うのであった。
◇
朝が来て目がさめる毎日の恒例行事。
面白い夢だった、先日に引き続き追われる夢ではあったが、愉快な友人が居て、そして、自分自身は頼れる男的役割。
普段、夢の中でも情け無い自身が多い中、数少ないが大活躍する夢もたまには見る。ああ、いい夢だったよ。
だが、ふと現実に帰ると虚しくなる。友人などなく、頼れる男でもない、そんな現実とのギャップに。
ずっとあの夢の中に入れたら幸せなのだろうか?でも、そんな事は叶わないのは知っている…
結局、良い夢を見ようが悪い夢を見ようが気の重さは変わらないんだな…
そして今日も只の1日が始まり、只の1日が終わるのだ…