兄弟喧嘩
~ボクの名前~
ボクの兄弟は二人。
ボクより2歳年上の“大ちゃん”
そして、人間の仁君。
ボクはこの家の家族になったんだ。
お父さんもいるよ。
お父さんは、時々お酒を飲みながら、ボクや大ちゃんをなでてくれる。
そして、時々美味しいものをくれる。
お母さんがボクに名前をつけてくれた。
「お兄ちゃんワンコが大ちゃんだから、弟ワンコの君は“福ちゃん”」
どうして、お兄ちゃんが大ちゃんで、ボクが福ちゃんなのか分からないけど、とってもいい名前らしい。
それにお兄ちゃんと合わせると、大福ってことになるらしくて、とっても美味しいんだって。いつか食べてみたいなぁ。
~ケンカ~
ボクがまだ1歳になる前に、大ちゃんと大喧嘩した。
ボクはちっとも悪くない。
だって、ちょっと大ちゃんのそばに寄っただけだったんだ。
そしたら、大ちゃんが怒ったんだ。
でも、ボクは悪くないし、負けたくないから、本気で戦ったよ。
でも、お母さんは大慌てだった。
「福ちゃん、止めて!」
どうしてお母さんは大ちゃんの見方をするの?
ボクが大ちゃんの首を噛んでいたから?
噛んじゃいけないの?
ボクは悲しかった……。
お母さんは、大ちゃんを抱き上げて、逃げようとしたんだ。
ボクは、大ちゃんばかりがお母さんに優しくされて悔しかった。
気がついたら、お母さんの腕や手から血がダラダラと流れていた。




