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Card・Story  作者: 美紅
5/10

再びザコキャラ

主人公の名前を

『鬼頭義孝』から『鬼道義孝』に変更しました。

「よし、それじゃあお前のステータスを確認してみるか」

「キキ?」


 俺の言葉にインプは首を傾げる仕草をした。……小さいけど、可愛いな。

 さっそくインプのステータスを表示してみると……。


小悪魔インプ:N】

Lv:1

魔力:10

攻撃力:3

防御力:3

俊敏力:4

魔攻撃:5

魔防御:5

覚醒回数:0

スキル:≪風属性魔法:1≫


 と表示された。って言うか、魔法使えるの!?

 俺はインプのステータスを見て、目を見開く。


「お前、魔法使えるのか?」

「キキィ!」


 俺の問いかけに対し、インプは小さい体を精いっぱい反らし、胸を張って答えた。


「おお……グリンよりスペック高ぇ……」

「ゴブ!? ゴ、ゴブ……」


 俺の小さな呟きが聞こえたグリンは、ショックを受けた表情を浮かべると、涙目になった。


「あー、ゴメンな、グリン。決してお前が要らなくなったとかそんなんじゃねぇから。お前は俺の数少ない癒しだからな」

「ゴブ……?」


 不安げに俺の顔を見上げてくるグリン。

 そんなグリンに、俺は笑顔で答えた。


「大丈夫。お前は俺にとって必要だよ」

「ゴ……ゴブ~!」


 そう言うと、グリンは俺の胸元に飛びついてきた。可愛いなぁ。

 グリンを受け止めながら、ふと気になったことをインプに訊いてみた。


「そう言えば、お前の魔法の威力ってどれくらいだ?」

「キキィ? キキッ!」


 一瞬首を傾げたインプだったが、そのあとすぐにその場に浮かび上がり、近くの木に向けて両掌を向けた。


「キキー!」


 すると、そこから強烈な突風が生み出され、かなりの強さで木に衝突した。

 突風を受けた木は、少し揺れ、葉を何枚か落とす。


「おお! スゲー! 思ってた以上に威力があるんだなぁ……」


 これは、いろいろと戦いでも有利になりそうだな。

 そんなことを思いつつ、インプを眺めると、インプは再び胸を張って誇らしげな様子を見せた。


「ははは……さてと、そろそろ移動しようか?」


 俺はグリンを抱きかかえ、インプを右肩に乗せながらそう尋ねる。


「今回は運が良かったけど、次も魔物に襲われることなく寝れるとは限らないからさ。早めに人のいる村だか街だかに行きたいんだよな」


 一応そう伝えてみるも、二匹ともよく意味が分かっていないらしく、首を傾げるだけだった。

 思わず苦笑いになったが、仕方がないかと思い直し、気を取り直して再び森の中を歩き始めたのだった。


◆◇◆


「どこまでこの森は続いてるんだよ……」


 あれから3時間。俺はひたすらに森を彷徨っていた。

 体力的には問題ないが、いつ魔物が襲ってきてもいいように警戒していたり、代わり映えのしない森の景色を見続けたりと、精神的にまいっていた。


「今日も森を抜けられないんだろうか……」


 思わずそんな考えが浮かんだときだった。


「ん?」


 一瞬、森の茂みから、生き物の気配を感じた。

 気を引き締め、その方向に警戒しながら視線を向けると、茂みから何かが飛び出してきた。


「こ、コイツは……」

「……」


 茂みから出てきたのは、水色の半透明なゲル状の生物。

 もう言わなくても分かるだろうが……スライムである。


「お、おお……スライムだ……」

「……」


 …………。

 いや、だからどうしたって話なんだけどな?

 当たり前だが、スライムに目、鼻、口などの器官は備わっていない。

 なので、必然的に相手は無口なわけで、俺が話しかけても反応が分かりにくく、ちょっと寂しい気持ちになる。

 そんなどうでもいい感想を抱いていると、不意にスライムは身を縮め、いっきに俺に向かって突っ込んできた。


「さすが魔物……容赦なく攻撃しかけてくるな」


 しかし、俺からすれば遅すぎる動きであるため、難なく躱せてしまった。


「よし……それじゃあ、今回はインプ! お前が戦ってみろ!」

「キキィ!」


 俺の指示に従って、インプは右肩から飛び上がると、スライムと対峙する形で地面に降りた。

 インプは、グリンのように、強化合成用のカードを使用して、レベル上げを行っていない。

 その理由としては、カード合成の機能を使用せずとも、カードのレベルが上げられるかどうかを確認したかったからだ。

 そういういきさつから、今回はグリンではなく、インプで戦ってみることに決めたのである。まあ、本気で戦うなら、インプとグリンの二体で攻めればいいわけだからな。

 インプとスライムは、にらみ合う形で対峙していたが、最初に仕掛けたのはスライムの方からだった。

 スライムは、最初と同じように身を縮ませると、一気に解放して突っ込んでくる。


「インプ! その場で空中に飛び上がって、背後に魔法を浴びせろ!」

「キキッ!」


 俺の指示を受けたインプは、突進してくるスライムの頭上を羽で飛び、避けると、背後に着地すると同時に突風を生じさせ、スライムを弾き飛ばした。


「よし、いいぞ!」


 思っていた以上に威力が高かったらしく、スライムはボールのようによく跳ね、木々にぶつかる。


「インプ! そのまま魔法で追い打ちをかけろ!」


 俺は、スライムが木から剥がれて、態勢を整える前にそう指示を飛ばした。

 すると、インプは少しスライムに近づくと、さっきと同じように魔法を発動させる。

 インプの両掌から生じた突風は、木に張り付いていたスライムを強く打ち据えて、スライムをつぶした。

 そして、スライムは光の粒子となって、消えてしまった。

 スライムがいた場所には、クリスタルとカード、そしてゲル状の何かが落ちていた。

 取りあえず、スライムが倒せたのはいいんだが……。


「やっぱり、グリンより強いな……」

「ゴ、ゴブっ!?」


 思わずつぶやいてしまった言葉に、再びグリンは落ち込むのだった。

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