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「青い、と思った」

作者: こちょうらん

「青い、と思った。」綺麗なトリコロールを見て、思わずそう口が動いた。「何言ってんだよ。どう考えても3色あるだろ。」台風一過のような日差しが眩しい帰り道で隣を歩く彼はそんな正論でつっこむ。こういうところが論理学者とエンターテイナーの違いなのだろうか。紫色の夢想家の僕は少し考えすぎて、たまに意味のわからないことを言うが、黄色の現実的な彼は、その都度的確なツッコミをしてくれる。「そうなんだけど、違うんだよ。多分青色が一番上にあるからかな。だってサッカーフランス代表のユニフォームは青色だろ?」「うん、まあ確かに、そうだったかもな。」こいつ、チョココーヒーのパピコを食べるのに夢中で話聞いてなかったな、と僕は思った。けどまあIT企業のインターンのESの締切が近づいていて、僕は少し深く考えすぎてしまっているのかもしれないな。ふと下を見ると、雨上がりのアスファルトは濡れてグレーになり、僕らを小籠包のように下から蒸しあげる。暑さに耐えかねて上を見上げると、七色の虹が架かっていた。「その理論で行くと、虹は七色の一番上の赤色だよな。」暑さにうんざりしながら彼は言う。「確かにな。でも虹って同じような色が隣り合ってるから、真ん中くらいにある黄色が正解なんだよね。」と僕が反論すると、暑さでなのか、イラついてなのか、顔をピンクに火照らせながら彼が言う。「お前ってこういう議論の時ほんと自己中だよな。」「でもお前もパピコ二つとも食べちゃったじゃん。」「あ、たしかに。」二人が笑い合っている間に、空が茜色になり見えなくなった虹は、やっぱり赤色なのかもしれない、と思った。こんなくだらないことでずっと会話できて笑い合える僕らはまだ「青い、と思った。」

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