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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第6章 過酷な夏のインターハイ

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日常を過ごす天才に突然の誘い

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 東京予選が終わり、インターハイが始まるまでは1ヶ月以上の期間がある。



 立見サッカー部の試合翌日は完全休養。その翌日は朝練無しで午後の軽い運動のみに調整し、本格的な練習は次の日からだった。




「ふあ~、おはよう~っす~」



 欠伸しながら弥一は部室のドアを開け、先に着いて着替えをしてる部員達と挨拶を交わす。その後ろから大門や摩央も続いて入っており、今日も彼らは揃って登校していた。



「おはよ、眠そうだね」



「そうなんですよ。こいつ、これでも電車でグーグー寝てたんですけどね」



 練習着に着替え終えた影山。弥一の眠そうな顔は見れば分かりやすく伝わる。



 スマホ片手に摩央は電車で弥一が大柄な大門に寄りかかり、寝ていた先程の光景を影山へ教えた。




「あ~、そのうち目ぇ覚めるんでお気になさらず~」



 まだ半分意識が夢の世界ながら、弥一は制服から練習着へ着替えていく。こんな眠そうにしている少年が東京予選MVPを取ったなんて、見た目では信じられない者が多数だろう。



 だが、弥一の働きが立見のインターハイ出場、東京予選優勝にまで導かれたのは事実だ。




「今日は午後からサッカー部に特別コーチが来てくれるんだっけか?」



「ああ、そうそう。それ今日な」



 川田は着替えの最中に今日の予定を確認すると、摩央がサッカー部の予定表をスマホでチェック。見習いとはいえ主務なので、部の予定をちゃんと把握しなければならない。



 今日の午後、確かにコーチが来てくれる事になっている。



「え、そうだったっけ?」



 影山が「お先」と一足先に朝練へ向かった後、弥一は今日の予定を把握していない様子。着替えの手が止まり、今日コーチが来る事を今知ったかのようだ。



「昨日倉石先輩が説明しただろ。誰が来るのかまでは教えてもらってないけど」



「誰が来るんだろう?」



 説明を覚えてない弥一に呆れつつ摩央はそうだと説明。誰が来るのか、京子の説明では明らかになっていない。大門も誰が来るのか気になり、着替えを終えて練習着姿となる。




 立見サッカー部が誕生して2年。初期メンバーの成海や豪山達は3年で、それより上のOBの先輩が来るという事は無い。



 だとしたら他校から名将とか、そういったのが来るのだろうか。気になりながらも立見の朝練は開始される。




 ウォーミングアップを終えて、今日の朝練はミニゲームが行われる。それぞれ1年2年3年と混合で組んでいくと、注目の対決が練習で実現。



 優也の居るチームと弥一の居るチームの激突となり、優也が攻めで弥一が守る展開。



「お前、眠そうにしてたはずだよな!」



「攻めて来る優也を前にしたら眠気覚めたよ!」



 ボールを持つと素早いフェイントをかけ、揺さぶりに行く優也に対して弥一は釣られず、冷静に優也の動きを観察。もう眠気の方は吹き飛んで覚醒しているようだ。




 優也は日々ボールコントロールが上手くなっている。ただ速いだけでは彼も通じないと分かっているようで、元々あったスピードに加えてFWに必要な要素を常に磨いていく。



 この向上心が彼を予選の得点王まで押し上げたのだろう。



 それでもイタリアサッカーを学んで強豪と慣れ親しみ、高校サッカーで東京のライバルを止めてきた弥一から見れば、まだまだ隙がある。その証拠に優也の足元からボールが離れる、一瞬の隙を発見した弥一はボールを瞬く間に掻っ攫う。




「っ!」



 ボールを奪われた優也だが、すぐに弥一を追って取り返そうと走る。



「あぶな!?」



 その動きを分かっていたのか、弥一は優也が迫る前にパスを出してFWに託す。一歩遅かったらカットされてたかもしれず、弥一を一瞬ヒヤリとさせた。




 此処で諦める彼ではない事は分かっている。それは心を読むまでもなく、これまでの付き合いで把握済み。



 奪われてもすぐ食らいつくストライカーと、出来る事なら敵に回したくないタイプの選手。



 DFからすれば中々厄介で、ボールを奪った後にパスをするまで気が抜けない。奪われたら即失点に繋がる可能性が高く、速さに優れた選手を相手する時は何時も以上の集中力が求められる。




 一方の優也も弥一が今まで立ち塞がったDFの中で、最もやりにくい相手だと感じていた。



 どれだけ速く動いても先回りされ、フェイントをかけても全く騙されない。一番ドリブルの巧い成海ですら、弥一をこれまで突破した事は一度も無いのだ。



 小さい身体で規格外の天才DF。味方だと、これ以上無いぐらいに頼もしいが敵になれば厄介極まりない。




 互いに認め合いつつも、弥一と優也は攻守で競い続ける。





「朝練終了ー!」



 そこに豪山の合図の声がして、各自足を止めた。これで朝練の時間は終わりだ。




「えー、なんだ。良い所だったのにー」



「こっちの台詞だ」



 ミニゲームの勝負がつく前に中断された弥一は不満そうで、優也の方も顔には出していないが、勝負をつけたかったようだった。




「(はぁっ……こいつらの攻防、ホントに1年かよ。レベル高ぇし)」



 同じチームだった先輩達は弥一と優也の競い合い、間近で見て偶然同じことを思っていた。




 東京MVP、得点王は伊達じゃないと。









 朝練が終わり、何時も通り学生として授業へ取り組む。



 どんなに部で優秀な成績を残そうが、学校の勉強や成績をそれで疎かにして良い理由にはならない。学校の勉強もちゃんとするようにと、顧問であり教師の幸からも言われている。





【僕の母は化粧品の会社で働いてるよ、父は海外に単身赴任中だね】



bravoブラボー! 神明寺君、良いねぇ♪」



 この日の外国語はイタリア語を使った授業で、イタリアに3年間居た弥一にとっては最も得意分野。向こうで当たり前のようにイタリア語を話していたので、これぐらいの日常会話は余裕で話せる。



Grazieグラッツィエ♪」



 陽気な教師に弥一は明るく笑って、イタリア語で返した後に席へ座る。今のはイタリア語でありがとう、という意味だ。



 毎回こういう授業だったら良いなと考えていた弥一。気分良く昼休憩を迎え、美味しく昼食の弁当とメロンパンを食べる事が出来て、今日は良い感じと午後の授業に臨む。




 そう甘くないと立見高校からの警告か、弥一は日本史でかなりの苦戦を強いられてしまう。



 桜王との試合の方が楽だと思わせる程、彼にとっては過酷な試練だ。







 午後の授業が終わり、今日は楽だと思っていた弥一は机に横顔をつけて、ひんやりとした感触に浸りながらも疲れていた。



「1-2の神明寺弥一君。1-2の神明寺弥一君。至急校長室へと来てください」



 その時、放送部による校内アナウンスが聞こえて来る。明らかに弥一の名前とクラスを言っており、彼の耳にも届くと机から顔を離す。



「(校長室? この前行ったばっかなんだけど、何か用でも出来たのかな?)」



 何故自分が校長室に呼ばれるのか、心当たりは特に無い。とりあえず至急という事だったので、席を立つと教室を出て校長室を目指す。






 校長室の前に弥一は着いて扉をノックすると、すぐに扉の向こうで声がした。校長の声で「入りなさい」と聞こえ、扉を開けて室内に入る。



「失礼しますー、校長先生。ご用でしょうかー?」



 席に座る校長へ、弥一は自分に用があるのかと思って尋ねた。



「ああ、いや。君を呼んだのは私ではないんだ」



「え?」



 てっきり校長が呼んだのかと思っていたが、そうではないと言われ、弥一の頭の上に疑問符がいくつか浮かぶ。




「こっちの客室の方に居るんだ。先程から君を呼んだ者は待ってるので行ってきなさい」



 校長の視線は室内にある、もう一つのドア。校長室と繋がっている部屋は客室となっていて、校長室からしか入れない。



 だから校長室へ来るようにと、アナウンスがあったのだろう。




 弥一は校長へ一礼してから客室に入る。




 そこには既に来客が椅子へ座って待っていた。過去に何度も会って親しい人物なので、誰なのか弥一は顔を見て瞬時に理解。




「やあ、弥一君」



 黒いジャージを着た神山太一。イタリア留学以前から勝也を通して知り合っており、現役のプロサッカー選手だ。



「太一さん。あ、ひょっとして今日コーチしてくれるのって太一さんだったんですかー?」



「何だ聞いてなかったのか。そうだよ」



 急に何故現役である彼が立見に来たのか、特別コーチが来る事を弥一は朝練の時の皆の話を思い出した。



 わざわざ忙しい身である太一が、何の用もなく此処に居る訳が無いのでコーチ役は彼なんだと理解する。



 弥一も席へ座れば太一と向かい合う。




「立見の試合を見てたよ。弥一君、まさかあそこまでやるとはね……正直想像を遥かに超えていた」



「へへ、ありがとうございますー♪」



 試合の方を太一もチェックしていたようで、弥一のプレーに関してはプロである太一にとっても驚く結果らしい。



 イタリアで成長し、活躍は予想出来たが此処までとは思っていなかった。それが今回太一を突き動かす切っ掛けとなる。




「まぁ今日は立見のコーチで来た訳だが、もう一つ理由はあるんだ」



「え?」



「こういうのは早い方が良いと思ってね、直接君を口説きに来たんだよ。争奪戦が始まる前に」



 それまで和やかに話していた雰囲気から一変。太一の表情は真剣そのもので、冗談で言っているようには聞こえない。



 茶化すような雰囲気ではないと弥一も察知し、次の言葉を待とうと黙る。





「俺のチームに……プロの世界に飛び込んでみないか?」

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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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