ドイツ遠征 親善試合 日本VSデンマーク
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
ドイツにある4万人が収容出来るスタジアム、ヴェーザーシュタディオン。
此処で本日、日本とデンマークの代表戦が行われる。
満員とまでは行かないものの、スタジアムには多くの観客が入っていた。
「このメンバーでの試合はすっごい久しぶりになるねー。大城さんとかはいなかったけどー」
フィールドで勝也とパス交換を行いながら、弥一は芝生の感触を確認。
U-20のメンバーが大半で当時のメンバーが久々の集結となり、ユースの世界一を勝ち取った彼らに五輪でもやってくれるだろうと、大きな期待を寄せられている。
弥一を中心とした今回の五輪は、歴代最強の黄金世代であると。
「こっから更にオーバーエイジが入ったりで、そのメンバーが更に減らされるかもしれねぇけどな」
弟分からのパスを受け取る勝也は、今回の代表が以前よりも狭き門である事を充分に理解していた。
23歳以上の経験豊富なベテラン達。
そういった者達が数名、間違いなく入る。
彼らに変わって抜けるのが誰になるのか、それが結果によっては自分達になるかもしれないと、メンバーの気は抜けない。
「そこに僕、蹴落とされないように注意しないとな〜」
「「(お前は落ちる心配ねぇだろ)」
自分がベテランと入れ替えで落ちそうと、弥一は喋りながらパスを返す。
勝也からすれば弥一を落とすような事は、まず無いだろうと思っている。
このチームで一番上手く、海外選手との対戦経験を積んでいる弥一が落とされる訳がないと。
「(気を抜いたら、同じポジションの王牙さん辺りに叩き落とされそうだからねー)」
その弥一は勝也の心を読み、しばらく顔を合わせていない日本A代表のDFを思い出す。
埼玉フォルテの滝口王牙。
彼はオーバーエイジの1人として、選ばれる可能性が最も高いと言われている。
ファンの間では弥一と王牙がDFラインを敷けば、守備は盤石だと高評価する程だ。
「というか今回、大変なのはFWとか攻撃陣のアピールだよねぇ」
「だな……」
弥一も勝也も今回のアピール合戦で最も大変なのは、攻撃の方だろうと分かっている。
「デンマークとドイツ、どっちも体格とフィジカルが鬼だから点を取るの難しそうだよ〜」
ちらっと弥一の目が向こうに向くと、体格で勝るデンマークの選手達が軽快な動きを見せていた。
「しかも今回、GKが結構凄ぇからなぁ。余計に難易度上がっちまってるし」
「勝兄貴、あのでっかい人を知ってんの?」
勝也は向こうの守護神、ラースの方を見ていて弥一は詳細を兄貴分へ尋ねる。
「U-20の欧州予選。あの時はイタリアの無双が目立ってたけど、デンマークもラースの活躍があって結構良い所まで行ってたんだよ。あいつが途中で負傷するまでは強豪国を0に抑えて、ドローに持ち込んでたし」
「へぇ〜、あの好青年は結構な名手なんだね〜」
他の予選を細かくチェックしていた勝也。
ラースのプレーを見ており、数年前から厄介なGKとして認識する。
ビッグクラブのブランコス・マドリーが目をつけ、彼をスカウトする程だから優れた選手なのは間違い無いだろう。
「ま、とにかく頑張って行こっか〜♪」
「お前は相変わらず緩いな」
マイペースに弥一は笑うとアップを終わらせ、勝也と共にロッカールームに引き上げていく。
『日本からドイツまで12時間。長い移動を経て、時差の調整は充分か? オリンピックを目指す若きサムライ達の戦いが始まります!』
『相手はデンマーク、ドイツといずれも体格やフィジカルが優れてますから、日本にとっては厳しい連戦ですね。ただ、予選や本戦に向けて良い想定になると思いますよ』
ドイツの観客達による声援に迎えられ、デンマーク側を応援する声が多く、日本にとってはアウェーだ。
両チームの国歌斉唱から、日本の勝也とデンマークDFマイセンによるコイントスが行われる。
結果はデンマークの先攻だ。
「向こうの先攻だ。デンマークの圧やパワーに押し込まれるなよ!」
「日本GO!!」
「「イェー!!」」
円陣を組み、勝也の掛け声からチームへ声を揃えてポジションへ散る。
ダークネイビーのユニフォームの日本、GKは黄色。
赤いユニフォームのデンマーク、GKは緑。
U-23日本代表 フォーメーション 3ー5ー2
照皇 酒井
11 18
月城 神山 辰羅川
2 10 7
影山 八神
14 5
青山 神明寺 大城
3 6 4
工藤
1
U-23デンマーク代表 フォーメーション 4ー5ー1
グルセン
11
エルベア フレアセン ゴート
7 10 9
レザ グラント
8 6
カッセン マイセン タスク ガイス
4 5 3 2
ラース
1
ピィ────
デンマークのキックオフから試合が始まり、立ち上がりはスローペースとなる。
『まずは様子見か。デンマーク、中盤でボールを落ち着いて捌いていきます』
「(のんびりやってんじゃねぇよ!)」
そこへゴールに飢えた狼、狼騎がパスを回す相手へ真っ直ぐ突っ込んでいく。
五輪代表で生き残る為に序盤から積極的だ。
『酒井が寄せる! グラントたまらずバックパス!』
グラントからタスクに渡り、大きく蹴り出して前線のグルセンへのロングパスを狙う。
ビシッ
「!?」
驚異的な反射神経によって、狼騎が近距離まで迫るとグルセンのパスを体で止める。
ボールは宙を舞い、フィールド中央で勝也とフレアセンが同時に跳躍。
「っ!」
同じ10番でも、相手の方が長身でジャンプ力もあった。
勝也に競り勝ったフレアセンは頭で右のゴートに落とす。
「ナイスポスト〜♪」
「!?」
フレアセンのポストプレーを見抜いた弥一が、ゴートの前でボールを取る。
空中戦が相手に有利なら、落とす方を読めば良い。
最も弥一がフレアセンの心を読み、ポストプレーと分かったからこそ可能な守備だが。
『神明寺、ポストプレーを読んでいた! 流石の守備だ!』
弥一がボールを持ち、左にはガイスが上がっていたせいか、スペースが空いている。
そこへ迷わず右足で強くボールを蹴った。
「(この無茶苦茶なパスも久々だなくそ!!)」
シュートを思わせる弾丸パスに月城は反応すると、素早くダッシュで左サイドのスペースを目指す。
『神明寺のスルーパスに月城が走る!』
『速いですよ月城! これ追いつきますよ!』
「2番寄せろー!!」
デンマークのゴールマウスを守るラースから、大きな声によるコーチングが飛び出す。
このままスピードある月城に、ボックス内へ侵入されたくない。
赤い守備陣としては絶対止めたい所だ。
ドリブルで左サイドからゴール前へ迫り、追いついてきたガイスとライン際の競り合いになる。
「(デカいのとあんま競り合いたくないから!)」
月城は左足でクロスを送り、そのボールが照皇へ向かう。
胸付近の高さに対して、照皇は左足のボレーシュートを狙っていた。
バシッ
「!?」
そこへ立ち塞がる巨大な壁。
照皇の前にラースの大きな左手が伸びてきて、月城のクロスを阻む。
ボールは彼の左手により、鷲掴みされていた。
「「おおおっ!?」」
これにはドイツの観客達も驚きの歓声を上げる。
『止めたデンマーク守護神ラース・マッハ! なんと低いクロスに飛び出したかと思えば、片手でボールを取ってしまった!』
『無謀に思えましたが、凄いダッシュ力でしたね! 片手で取ったりと、驚異のGK出現です!』
「(話に聞いてた以上だよあれ〜)」
弥一から見て、優れた欧州のGKの中でも相当高レベルに思えた。
あれから得点してアピールしなければいけない事を思うと、攻撃陣は苦労するだろうなぁと。
弥一「デンマークのグルメといえばスモーブローだねー♪」
勝也「スモーって、デンマークの力士が滅茶苦茶食う飯とか?」
弥一「相撲じゃないから〜。バターを塗ったパンの上に色んな具材を盛りつけるオープンサンドイッチだよー。デンマークの国民食でお昼によく食べられてるみたいだねー♪」
龍尾「デンマークは豚肉も有名だから、それを使った料理のフレスケスタイってローストポークが美味いぜ」
弥一「あ〜、食べたくなってくる〜♪




