五輪に向けて始動するU-23日本代表
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
U-23日本代表 遠征メンバー
GK 1 工藤龍尾 清水スピリッツ
12 大門達郎 ジャルゲ05
DF 6 神明寺弥一 ミラン
3 青山番 リンダマール湘南
4 大城鉄二 清水スピリッツ
5 八神想真 ストレングス大阪
2 月城亨 川崎ナイトスター
7 辰羅川弥之助 横浜グランツ
17 広西冬夜 桜見大学
MF 10 神山勝也 東京アウラ
14 影山真樹 東京アウラ
8 三津谷光輝 ストレングス大阪
16 天宮春樹 鹿島ブレイバーズ
15 緑山明 SVブルグ
FW 11 照皇誠 清水スピリッツ
18 酒井狼騎 清水スピリッツ
13 鳥羽尚弥 シエル東京
9 源田光明 バレシア
この18人が遠征メンバーに選ばれ、先のアジア予選。
更に先の本戦を見据えての選考だと、監督を任された工藤康友は語る。
だが、これで最後まで確定とは決まっていない。
最後の最後に此処から落とされて選ばれない可能性があるので、代表選手達にとって僅か18しかない五輪代表の座を争うサバイバルとなるだろう。
今回のドイツ遠征で彼らはスタートを迎える。
「懐かしいね皆〜♪」
イタリアのミランからドイツのミュンヘンにやってきた弥一。
その地が五輪日本代表の合宿所となっており、そこで久々に会う面々と再会して陽気な笑顔で挨拶を交わす。
「しかし……まさかお前が父親とは、未だに信じられない」
「ホントにな。ベビーフェイスなのに手が早ぇよチビ君」
弥一とは久しぶりの再会となる鳥羽と大城。
揃って彼が父親となったニュースは、2人にとって未だに強い衝撃として残ったままだ。
「2人とも人生初めての代表招集おめでとうございまーす♪」
「いや、俺それより下の世代で選ばれた事あるからな?」
「一応俺も」
これが初めての代表と思って弥一は代表入りを祝福すると、世代別で選ばれた経験がある事を2人揃って言う。
「なんやねんお前、結婚して子供出来て他に頭回ってきとらんのとちゃうか?」
そこへ想真が会話に加わり、弥一の肩に腕を回して組んで来た。
「え〜?過去最高に頭回ってるよ〜!家族の事を滅茶苦茶考えててサッカーの事は全然考えられてないぐらいにー!」
「それはアカンやろプロ選手!」
まるで漫才のような弥一と想真の会話に、思わずスタッフ達から笑いを堪えるような声が漏れる。
「俺達からすれば、ようこそドイツへって感じだね」
「そうですね……移動時間、一番かかってないですから……」
元々ドイツのクラブに居るので、大門と明は容易に此処へ到着する事が出来た。
この中で彼らが最も現地の環境になれているはずだ。
「お前らに海外進出を先越されたかぁ」
「いや、トップチームに上がってないのでまだまだですよ」
密かに海外進出の憧れを抱く勝也からすれば、今ドイツでトップチームではないものの、活動している大門と明を羨ましく思う。
「つか元々ドイツ語そんな出来てなかった大門が……結構上手くなったんだな」
「そこはまぁ、弥一と明に教えてもらってなんとかなりました」
勝也が覚えてる限り、元々留学で言葉を覚えていた明と違い、大門はドイツ語を得意としてなかったと記憶していた。
にも関わらず今、この異国の地で暮らしているのは相当な進歩が見られる。
「……大門先輩、物凄く一生懸命やって練習の合間もずっとドイツ語の勉強してました……」
同じ立見で大門の努力する姿を間近で明は見てきた。
それが結果として現れ、今は色んな選手にコーチング出来るようにと、様々な言語の勉強を始めたと聞く。
「様々な国の選手と問題なく言葉を交わす弥一を見て、俺もそうなりたいと思ったんです。滅茶苦茶大変ですが……」
「お前なら出来そうだろ。頑張れよ」
まだまだ弥一の領域は遠いなと大門は苦笑。
異国の地だが努力家で相談する相手が居るから、勝也は大門なら物に出来そうと彼にエールを送った。
「……」
光明の周囲にはドイツを楽しむ選手達、久々の再会に喜ぶ者達の姿。
それを光明は無言で観察している。
「光明、どうかしたー? スペインのバレシア行って、大幅にステップアップしたのに景気悪そうな顔だよー」
久々に会う策士の表情が冴えない。
その理由は彼の心を見れば明らかだった。
「いや……此処にオーバーエイジの3人が加わって、何時も以上に選ばれるチャンスが少ないなと思ってさ。絶対に頼れるベテラン入るだろ」
「オーバーエイジ……ああ、オリンピックの本戦から23歳以上の人達が参加出来るアレかぁ〜」
予選では自分達のみで戦うが、本戦に勝ち進めば年齢の限定を越えて3人の選手まで登録する事が可能となる。
日本チームにとっては頼れる助っ人だが、それは同時に自分達が本戦に出られる可能性を狭める物でもあると、光明は考えていた。
「ほら、今回は前回一緒だった室や歳児がいないだろ? ただでさえ今も競争厳しいのに、周囲が呑気過ぎるなと思ったもんで」
光明からすれば選手達に危機感が足りていないと思い、自分は何としても残りたいので気を張った状態だ。
「珍しいねー。光明がそんなサバイバルみたいにギラついてるのって」
「……五輪はワールドカップと同じ4年に一度しかない。その上、此処で選ばれなかったら次はオーバーエイジとしての望みだけだ。そりゃギラつきたくもなるだろ」
U-20の時よりも、光明は代表に選ばれたい気持ちが強くなっている。
心でも弥一から見て熱く燃え盛ってる感じだった。
「あの優也に室とゴロちゃん、仙道兄弟も選ばれてないからなぁ〜。次の3人誰落とされるか分かんないから、結構厳しいサバイバルになりそうだねー」
前の代表で共に戦った何人かの選手達は選ばれず、この遠征が代表で生き残る為のサバイバルでもあるなと、弥一は陽気に笑う。
「ま、でもそれは皆分かってると思うから大丈夫じゃないー?」
光明と同じように、弥一も周囲の選手達を眺める。
皆それぞれ談笑してるが、心の中では自分が絶対に代表へ最後まで残り、五輪に出る事を狙っていた。
僅か18の代表の椅子が欲しいと思うのは全員同じだ。
「(落ちた皆もこのままじゃ終わらないだろうし。想像以上の代表争奪戦になるかもね)」
弥一がスマホをチェックすれば、そこには3つのメッセージがあった。
代表呼ばれなかったけどまだ諦めてませんから!
チームで活躍しまくって向こうから呼んでもらえるようにしとく!
すぐに行くから先に行って待ってろ
そこには今回の遠征に選ばれなかった優也、室、五郎の3人からのメッセージ。
五輪への望みは誰一人として、まだ捨ててはいない。
「(ただ試合に勝つだけじゃなく、代表へのアピールも必要かぁ。やる事多くて大変だねー)」
緩くやりつつも弥一は不動のレギュラーを密かに狙う。
勝也「やっぱ日本代表となりゃ、ついに五輪編が本格始動って感じだなぁ」
弥一「クラブでの活動が続いたからねー。馴染みの人がいれば、お久しぶりな人もいるし♪」
勝也「優也とか室が落ちて鳥羽に大城が選ばれたり、凄ぇ事になってきたな」
弥一「大門も海外でドイツ語覚えて生活したりと、あの最初に他の部へスカウトされそうになってたのがこうなるか〜」
勝也「流石に俺も他の国の言葉覚えないとな……!」
弥一「勝兄貴まだ日本語の一刀流なんだねー」




