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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
始まりの彼が存在する物語 五輪 始動編

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五輪に向けて自ら動き出す超新星のサイキッカー

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「まずは諸君、決勝トーナメントへの進出をよく決めてくれた!」



 この日、ミランの監督を務めるカンピオは試合を終えた選手達へ、ロッカールームで労いの言葉を掛けている。



 今日も勝利を決めた事で首位を独走したまま、ミランは早々にチャンピオンズリーグのベスト16入りを決めたのだ。



「此処からは控え選手達をメインに戦っていくので、主力組はゆっくりと休んでくれ。トーナメントの方で存分に働いてもらう事になるからな」



 次へ行ける事は確定しており、主力組を使い続ける必要は無くなったので、控えにも出番を与えてスタメンで戦ってきたメンバーは休ませる。



 過酷なプロサッカーのスケジュールをこなすには、選手達のコンディションも考えて起用していかなければならない。



 スタメンだけ優れていても、長丁場の戦いは持たないのだから。



「ふ〜、やっと休める〜」



「久々に家でゆっくり家族と過ごせるよ」



「日が空くし、皆を旅行に連れて行こうかな」



 スタメンで戦い続けた選手達は、待ちに待った休みをどう過ごそうかと、それぞれ談笑を始めていた。



「アドルフは新婚旅行に行った方が良いよー。折角綺麗な奥さんもらったんだから♪」



「そうだなぁ。旅行は行きたがってたし、やっぱ連れてかねぇと」



 最近結婚したばかりで新婚なアドルフへ、弥一は先輩として早めに新婚旅行に行けと笑顔でアドバイスを送る。



 ちなみに彼の相手は同じベルギーで美人モデル。


 アドルフが惚れて猛プッシュの末、プロポーズのOKを貰って結ばれた。



 その陰で奥さんとなる相手の心を弥一が読み、アドルフに惚れてる事が分かれば、彼の背中をグイグイ押したらしい。



「俺も彼女と旅行するかな。アドルフ見てたら羨ましくなってきたし」



 グレンメルも彼女と付き合っていて、相手はオランダのパン屋で働く幼馴染と、こちらも可愛らしい女性。



 愛する人と楽しい旅行を考えるだけで、思わず顔が緩んでしまう。



「ディーンは休み、どうするんだー?」



 アドルフは全く話題加わっていない、ディーンに目を向けて休日の予定を聞く。



「まずは寝る。それで自主トレの予定だが」



「(分かってたけど、そこは期待裏切ってほしかったわ……)」



「(この前の休みもそれじゃなかったか……?)」



「(あーもう、相変わらずのカルチョバカなんだからー!)」



 ディーンという男は人生をサッカーへ捧げ、生活の中心がほぼそれなのは皆が分かっていた。



 アドルフはやっぱりなと軽く息をつき、グレンメルは以前の休みも同じ事を言ってたようなと過去を振り返る。



 そして弥一は魔術師へ詰め寄っていく。



「ディーン、百歩譲って寝るのは良いよ?けど自主トレより先にリーナの所へ顔出しときなさい!お世話になってるよねぇ!?」



「急にどうした?リーナには確かに世話になってるから感謝は伝えているつもりだが……」



「全っ然足りなーい!もっとストレートに、情熱的に感謝を伝えなきゃ女子には伝わらないよー!」



 分かっていない様子のディーンへ、弥一による熱血恋愛レッスンが施される。


 基本的にカルチョしか目に行かない彼には、こういったアドバイスが効果的だろうと。



「そういう弥一は奥さんや子供と過ごすんだよねー」



「ディーンにそれだけ言うってなれば、そうなんでしょー?」



 そこへトルク、サルクの2人が左右から弥一を挟み込むように迫り、彼にも休日の過ごし方を問う。




「あ、僕は五輪の日本代表の遠征に合流するよー」



 さらりと弥一は笑顔で休む暇なく、すぐにまたサッカーと関わる事を皆へ伝える。



「ちょっとー!あれだけ人に言っておいて自分は働くって何ー!?」



「働き者の日本人らしいけどさー!」



 自分は休まないのかよ、とイタリアの双子から揃って弥一へのブーイングが飛ぶ。




「(……そろそろ、その時期も近いか)」



 皆が弥一に働き過ぎだろうと言う中、ディーンは彼がそこに目を向け始め、準備を進めてる事が何となく分かった。



 4年に一度、23歳以下の選手が出られる大きな大会。



 オリンピックへ向けて──。




 アメリカ、ロサンゼルスにあるスタジアムにて、人々による大きな活気がそこにはある。



 同じスポーツでもアメフト、バスケ、野球とアメリカを代表する方ではなく、彼らはサッカーで盛り上がっていた。



 地元で人気のプロサッカークラブであるLAビッグバン。



 全米1、2を争う名門クラブでコメット・ケイルは背番号24の白いユニフォームへ着替え、プロの舞台に立つ。



「どうしたんだいコメット。急に試合に出たいって、他の活動で色々忙しいはずじゃあ──」



「そろそろ出てアピールしとかなきゃと思ったまでさ」



 監督の言葉が言い終わる前、コメットは口を挟むように発言。


 クラブに所属している彼だが、ほとんど試合に出る事は今まで無かった。



 それでもクラブにプロとして居られるのは、彼の会社がクラブに莫大な富をもたらしているせい。



 さらに、その我儘が許される実力を彼は持っているからだ。



「おいおい、あのプレジデントキッズが試合に出るのかい?」



「ちゃんとサッカー出来るのかねぇ。吹っ飛ばされて怪我しても知らんぜ?」



 対戦相手となるスーパーノヴァの選手達は、両チームの選手の中で最も背の低いコメットに注目。



 いずれも彼を見下していた。



「(丁度あるね──良い踏み台が)」



 最初から向こうの心が筒抜けで、彼らの考えを見たコメットは小さく笑みを浮かべ、密かに企む。




「左!7番に来る!」



 相手が雪崩込んで来る姿に慌てず、コメットはサイド攻撃が来ると指示を送る。



「次!一気に右行くから!」



 その言葉の後に大きく左にスーパーノヴァはサイドチェンジを仕掛け、攻めの形を変えようとした。



 しかし、コメットが読んでいたおかげで守備陣が相手を囲み、早々に攻撃を潰す。




「中央だ!中央から行け!」



 サイドは通じないと思って、真っ向から行こうと大柄な選手がドリブルで突き進む。



 ドカッ



「ギャッ!」



 巨漢の相手にビッグバンの選手が弾き飛ばされ、中央から得点チャンスが生まれようとしている。



 ヒュンッ



「!?」



 だが、ドリブルする選手の足元からボールが何時の間にか消えていた。



 チームメイトが吹き飛ばされた直後、コメットが現れたかと思えば彼は相手からボールを奪取。



 奪われた側からすれば、その動きは全く見えない。



 ビシュッ



 その場でコメットは右足を振り抜き、弾丸を思わせる速さでボールは大きな選手達の隙間を通り抜ける。



「うぉっと!?」



 急に来たロングパスに驚きながらもトラップし、ドリブルに入ろうとするが相手選手達に取り囲まれてしまう。



 ピィ────



 そこへ主審のファールが鳴って、LAビッグバンにFKのチャンス。



 ゴール正面で35m程と距離はある。




「ね、蹴らせてくれないかな?」



「え?」



 本来はキッカーを務める者は決まってるが、この日はコメットが蹴りたいと言い出す。



「あれ狙えるし、決めてみせるからさ」



 狙えると言いきる辺り、相当な自信を持っているように見えた。


 チームメイトのキッカーは場を譲り、コメットがキッカーの位置につく。



「(まさか、あのプレジデント狙う気かよ?)」



「(この距離ならパスだろ。あいつのキック力なら正確さはあってもシュートの勢いは足りないはずだ)」



 先程のパスを見て、流石にコメットが正確無比なコントロールを持つ事は認めざるを得ない。



 小柄な選手ならパワーが足りず、失速してGKが取るか壁が弾き返すかの2択だろうと。



 コメットは助走を取ってから勢いよくダッシュし、ボールに向かって右足を振り上げる。



「(インステップ!跳ね返す!)」



 壁の選手達は蹴り足を見て、その種類だと身構えた。



 インステップキックによって蹴られた球は、長身選手達の頭上を飛び越えていく。



 だが、壁を越えてスピードは出ていてもGK正面とコースは悪い。



「(ど真ん中だ……!?)」



 GKがキャッチしようとした時、手前でボールが激しく揺れ動き始めていた。



 不気味に揺れ動く球は正面から右下へストン、と落ちてゴール右下隅にワンバウンドしながら突き刺さる。



「「オォォォ────!!」」



「何だ今のは!?マジックか!?」



「サッカープレーヤーじゃなくてマジシャンだろ!」



 ロサンゼルスの観客達は驚愕のゴールを目の当たりにし、驚きの歓声が止まず。




「(五輪に向けて僕もアピールしとかないと、選ばれなきゃ意味が無いからな……)」



 チームメイトにゴールを称えられ、会場を自分の色に染めながらもコメットは五輪アメリカ代表の事を考えていた。



 もう1人のサイキッカーも4年に1度の大会へ向けて、その実力を見せ始める。

アドルフ「一体お前は何時から恋のキューピットになったんだよ」


弥一「なった訳じゃないけど、一押しすればゴールなのにじれったいなぁ〜って思っただけだよー」


グレンメル「けどまぁ、ディーンに関してはマジであれぐらい言う方が良いかもな。あいつガチの病気レベルでフットボールに取り憑かれてるから」


トルク「それがディーンだからねー!」


サルク「孤高の男って感じで格好良いよね〜♪」


弥一「とりあえず氷神兄弟もどき、甘やかさないようにー」

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