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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
始まりの彼が存在する物語 五輪 始動編

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思い出語りと仲間達が歩く道

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 暗い夜道で数人の黒尽くめの怪しげな男達が大勢で、大きな一軒家へ忍び込もうと向かう。



 その時、1人の体が赤い光のセンサーに触れて、周囲が赤く光り出していた。



「この家の平和は、必ず守る!」



 そこへ赤いサッカーユニフォームを纏う弥一が登場すれば、黒い格好の男達へボールを右足で蹴り放つ。



「「うわ〜〜!!」」



 そのボールを受けた者達は纏めて吹き飛ばされていた。



「家の平和を守ってくれてありがとう!」



 その家の家族達が出て来て、弥一へ感謝の言葉を伝える。



「警備システムのグレートガーディアン!これで今日から貴方の家も完全無失点♪」



 ラストに弥一は笑顔のカメラ目線で決めてみせ、映像は以上。




「はいオッケー! お疲れ様でーす!」



 CM撮影を撮っていた弥一にスタッフからOKの声が出て、終了だと理解すると出演者と撮影の成功を喜び、分かち合ってからスタジオを離れる。



「ふ〜」



 撮影を終えた弥一は本番の緊張から解放され、一息ついていた。



 チャンピオンズリーグの試合が一段落した弥一に待っていたのは日本での仕事。


 なので今、一時的に帰国している。



「またこれで一発OKって、お前本当に短時間で仕事終えてるよなぁ」



 弥一へアクアクーラの入ったペットボトルを渡す、青いスーツを着た小柄な青年。



「摩央、すっかりマネージャーらしくなってきたんじゃないのー?」



 杉原摩央は立見高校を卒業後、黛財閥へ就職。


 そして弥一の専属マネージャーを担当し、共に行動する事が多くなった。



 弥一を担当するマネージャー候補は数多くいたが、本人直々に摩央を指名したので今に至る。



「お前みたいなグルメバカを制御するのに、そうするしかなかっただけだ」



「ひっど〜、僕そんな美味しい物に見境ないように見えるかな〜?」



「ぜってぇ見えるし、お前は色々前科あんだよ」



 大人同士の会話というより、まるで気心知れた学生同士の会話だと周囲の人間からは聞こえて思った。



 弥一としては全く知らない赤の他人よりも、高校時代からよく知ってる遠慮の無い彼の方が信じられて、何よりも心地良い。



 そこにマネージャーとして有能かどうか、手腕など弥一にとって重要ではない。



「この前のコンビニ弁当のCMやスパイクのCMだったりと、そっちの仕事決まって他の芸能人よりも数超えそうじゃね?」



「何かどんどんその仕事来るんだよねー。アクアクーラの超ヒットが相当インパクト大きかったみたいー」



 スマホでスケジュールを確認する摩央と話しつつ、自分がCM担当するアクアクーラで弥一は喉を潤す。



 今や国内のみならず、世界でもアクアクーラは広まっていた。


 それもU-20ワールドカップで日本を優勝へ導いた事に加え、現在もミランで活躍する弥一の功績が大きく関わっている。



 歴代でこんなにも絶好調だった事は無いと、記事でも取り上げられる程だ。



「はぁ〜、高校時代にパン屋行って食ってた時が懐かしいわ」



「あ〜、覚えてる覚えてる♪シンメイのビーフシチューパンとストロベリーメロンパン、思い出したらまた食べたくなってくるよ〜」



 弥一と摩央にとっては青春の思い出でもあり、それから数年後こうなるのは周囲だけでなく、本人達も想像していなかったかもしれない。



 世界的な有名人となった弥一だが、今も立見のグルメは彼の中で強く残り続けている。




「おい、運転は俺やるって。折角免許取ったし」



「今は運転したい気分だからー」



 外へ出てきて摩央は疲れているであろう弥一を気遣い、運転を申し出るが弥一は譲らず。



 運転席へさっさと乗り込めば、摩央は小さく溜息をつきながらも助手席に座る。


 彼が車の運転好きなのは分かっていたので、こうなる事は何となく予想出来た。



「──高校卒業から、もう2年ぐらいかぁ」



 ふと、車を走らせる中で弥一は呟く。



「お前と輝咲さんの結婚式あったり、気づけば双子の父親と時間経つのが高校の時と比べて早いもんだよ」



 呟いた言葉が耳に入って、摩央が前を見ながらも言葉を返す。


 撮影を終えてから語った高校時代の話が影響し、過去を遡らせる。



「氷神兄弟や石田達が卒業して、立見はどうなってるかなぁ」



「そこは彩夏がラッキー先生と連絡取ってたみたいで、京子さんの従弟がチームを引っ張ってるらしい」



「あ〜、京谷君ねぇ。僕に勝つとか越えるとか言ったっけかぁ」



「滅茶苦茶強気じゃねぇかそいつ」



 弥一は神山家へ遊びに行っていた時、そこで京子の従弟である京谷と会っている。


 顔を見るなり弥一を越える、勝つと言ってきて話を聞けば彼もDFで同じリベロという。



 彼が率いてるなら大丈夫そうだなと、弥一は立見が後輩達にしっかり受け継がれている事を信じた。



「確か武蔵は実家の寿司屋を継ぐ為に寿司職人の道行ったんだっけかー」



「そうだな。翔馬に保と同級生のJリーグ入りが続く中、行きたかっただろうけどな……」



「じゃ、同窓会とかやる時に武蔵の家で寿司パーティしようよ♪」



 武蔵が寿司職人を目指して修行中、川田や翔馬がプロ入りを果たしたりと車内は同級生の話題で盛り上がる。



 彼らも立見を卒業してプロ選手になる者がいたり、大学や違う道を目指したりと皆がそれぞれの道を歩いていく。



「その中で大門と優也もまさか、海外へ行くなんてなぁ」



「優也がスペインの2部リーグに大門もドイツの2部リーグ挑戦はビックリした。あいつらにもスカウト来てたんだな」



 弥一と共に立見を支えた要の2人、大門と優也はこの日本に今はいない。



 大門がドイツの2部、優也がスペインの2部とそれぞれのリーグ戦に挑戦する為、弥一と同じく彼らも海外で戦っている。



 ちなみにドイツにはつい最近、明も2部に所属するチームと契約を交わしていた。



「大門の場合、飛翔龍を継ぐっていう道もあったけどね〜。あそこの炒飯を途絶えさせちゃうのは大きな損失で絶対ダメだと思うよー」



「お前がそこの炒飯食いてぇだけだろうが」



 大門は中華料理店が実家なので、そこで料理人として修行して後を継ぐというのもありそうだったが、彼はサッカーを続けていく。



 個人的に食いたいだけに過ぎない事を摩央に指摘されると、弥一の方は陽気な笑みを見せながら運転する。



「ま、スマホの方で何時でもやり取り出来るけど弥一とか直接会うとしたら……ワンチャン互いが五輪の代表に選ばれるとかだよな」



「五輪かぁ──」



 その時、摩央と話して五輪の話題が出て来ると彼の顔が頭の中で蘇る。


 ドイツで会って話した自分以外の超能力者、コメットの顔が。



「摩央、コメット・ケイルって名前は知ってる?」



「ん?そりゃ知ってるよ。アメリカ屈指の資産家、ザガット・ケイルの息子でアメリカのプロサッカー選手と会社の社長っていう二刀流で注目されてるしな」



「サッカーの実力とかどんな感じかなー」



「そこは知らねぇ。あいつは所属してるだけみたいだし」



 赤信号となってブレーキを踏み、停止したタイミングで弥一は隣に座る相棒へ、コメットの事を聞いてみる。



 結構有名人のようで摩央も知っていたが、サッカーの実力は未知数らしい。



「そういや黛財閥の方でもコメットの会社、セカンドケイルとデカいビジネスの話がどうこう言ってたかな……そこは俺みたいな下の奴らとかに任せず、社長達直々に話すみたいだな」



「……」



 コメットは自分と同じ、人の心を読んで掌握してくる。



 自分はサッカーに活用して、向こうは今の活躍を思えばビジネスで主に活用しているように見えた。



「(手を組んで僕とビジネスで一儲けしようとしてたのかな?)」



 この前、コメットが自分に手を組もうと本気かどうか分からないが誘って来た事を思い出す。



 さらなる富を得る為に近づいたのかと。




「いや、とても有意義な時間となりましたよミスター・コメット!」



 黛財閥の応接室にて、黛財閥の社長は白いファッションで固める金髪の小柄な社長とがっちり握手を交わす。



「こちらこそ、直接日本に来て貴方と話せて良かった。ミスター・マユズミ」



 コメットは黛社長の心を掌握し、彼の好きなサッカーで心を掴み、商談を大成功へと導いていた。



 心が読める彼にとっては何時もの事で相手が何を考え、何を望むのか分かるのはビジネスの場で大きな強みとなる。



 それを使って日本の大企業からの信頼をも勝ち取ったコメットは、内心ニヤリと笑う……。

摩央「立見の主務以上に大変過ぎるし!」


弥一「そりゃあ、部活とは全然違うだろうからねー。そう言いながらやってくれてんじゃん♪」


摩央「仕事だからな。これで俺も生活出来たりしてるし」


弥一「摩央の事も養う為に頑張らないとねー♪」

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