アジアカップの負けられない戦い 日本VSウズベキスタン
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
U-20日本代表は今の世代が最強と言われ、大きな期待が寄せられている。
今日のアジアカップでベスト4に進む期待も膨らみ、日本のサッカーファンは彼らが取ってくれるはずと。
そう思って日本からテレビやスマホを使い、応援する者も少なくないだろう。
「はっきり言うて今のU-20日本代表は五輪、A代表にも負けませんわ!」
「攻撃力ある、失点しない、勝てる要素だらけっすわ!世界のトップ取れるチャンス、ついに巡って来たやろ!」
日本の番組でシュートスナイパーが応援団長を務め、他の芸能人と共にU-20日本を応援して、盛り上げていく。
アジアの頂点の返り咲き、その先の世界の頂点を目指す為に、ウズベキスタンとの試合は絶対に負けられない戦いとなる。
勝也はスタジアムを目指して走行するバスの車内で、窓から見えるドーハの景色を眺めていた。
「勝兄貴、緊張してるんじゃないー?」
スマホで輝咲からの応援メッセージをもらい、返事を返していた弥一が兄貴分と話す。
「そんな事ねぇよ、て言いたいけど流石にな……そりゃ緊張はするだろ」
今日勝てば本大会出場、逆に負ければ全てが水の泡となって消えてしまう。
チームを背負うキャプテンとして、その肩に責任が重く伸し掛かってくる。
「大事なアジアカップで本戦出場の懸かる、負けられない戦いだからねー。そりゃ力も入るってー」
そう言って明るく笑う弥一には、緊張している様子が感じられない。
相変わらず羨ましいぐらいにマイペースだ。
「こんなん相手がウズベキスタンじゃなくても緊張するわ……」
「本当、大一番って感じだよな……」
初戦の時よりも緊張してる様子の室と、その隣で冬夜も今日はソワソワして落ち着かない感じがする。
皆が分かっていた。
このチームが出来てから今日の試合が何より大事だと。
「大丈夫、僕達が点を取られなきゃ負けないから♪ねぇリュウさんー?」
「今日も取られる気は無ぇな」
弥一が座席の後ろへ身を乗り出すと、そこにスマホを見る竜尾の姿が見えた。
「相当大事な試合の上に相手の力を思えば、また1点のズシリと重い試合になるだろうぜ」
「そこは絶対重たいよねー」
今日の試合は大きく点が動かない、そんな試合になるかもしれないと弥一、龍尾は揃って予感がする。
「(ウズベキスタンのシャッド・ジャノフか……)」
今回大きく壁として立ち塞がるであろう、厄介な敵の姿を勝也は思い浮かべていた。
ミラン所属の守りを崩し、1点を日本にもたらす。
彼の壁を破ると心に誓えば、選手達を乗せたバスは決戦のスタジアムに到着。
会場前には既に現地や日本、ウズベキスタンの両サポーター達が集まり、盛り上がりを見せている。
両チームが戦う時は確実に迫り来ていた──。
会場入りした日本がアップの為に、決戦の行われるフィールドへ足を踏み入れていく。
「やっぱり……向こう大きい……」
静かに呟く明の前には日本より先に会場入りして、既にアップを始めているウズベキスタンの姿があった。
「全員って訳じゃないけど180cm越えが多いんだよな」
自分より身長がいずれも高いと感じながら、月城は大男達のアップを眺める。
「ハイボールの争いが多くなってきたら厄介だ。セカンドに気をつけて対応しないと」
高い球の争いが増えそうだと想定して、辰羅川はセカンドの争いをイメージで考えていた。
各自が体格ある相手との競り合いを考えると、弥一の方は向こうの注目選手、シャッドと目が合う。
その時、気づいた相手が近づいて来て弥一の前に立つ。
「俺がもう少し早い時期にジョヴァニッシミへ入ってたか、そっちが残ってればチームメイトになってたかもしれないな。小さな狩人君?」
「そうだねー、大きな狩人さん♪」
互いにDFとして、エースを狩る者同士が笑みを浮かべての対峙となっていた。
共にミランで主に使うイタリア語での会話となる。
「君の事はディーンから聞いている。彼が他の選手について多く語る事なんて滅多に無いのに、神明寺弥一って日本人の名は何時も彼の口から出て来たもんだ」
「あははー、お腹いっぱいだってぐらい聞かされてるんじゃないー?」
当時を思い出せば軽くシャッドが溜息をついて、弥一の方は冗談混じりに明るく笑って言う。
「けど、俺は今日で彼の頭を塗り替えるつもりだ。本当に強いDFは日本の神明寺弥一じゃなく、ウズベキスタンのシャッド・ジャノフだってな」
そう言うと、シャッドは弥一に対して挑戦的な笑みを見せる。
弥一の方は自分より40cm程高い彼を見上げていた。
彼の心は自分が弥一や日本を倒し、その先のディーンに勝つ。
弥一だけでなくディーンも越えようとしている。
──異次元の天才を止められるのは俺だけだ。
心が弥一に語り掛けている感じがして、弥一は彼の挑戦状を受け取るとアップに向かう。
『アジアカップのベスト4を懸けての決戦、ある意味これが決勝戦と言っても良いかもしれない。U-20ワールドカップ出場はどちらなのか!?日本とウズベキスタン、大一番の試合となります!』
『日本は良い調子で勝ち上がって来ましたが、ダークホースと言われるウズベキスタンも強いんですよね。イラクやイランと中東の強豪達を倒した実力は伊達ではないと思いますし、凄い試合になるかもしれませんね!』
本大会出場を狙う両チーム、それぞれの国歌斉唱を終えて勝也、シャッドの両キャプテンがフィールド中央で向かい合う。
「(ビッグクラブ所属の一流DFが、本戦出場の前に立ち塞がるか──面白ぇじゃんか)」
勝也から見て目の前のシャッドは、日本のワールドカップ出場を阻むアジアの番人。
彼を超えなければ世界へ挑む資格など無いと、勝也は闘志を燃え上がらせる。
「俺達が先攻だ。開始から速攻行くぞ」
円陣を組んで待つ日本イレブンの元へ戻る勝也が、コイントスの結果を皆に伝えた。
「勝って世界だ!日本GO!!」
「「イェー!!」」
大声援の中で勝也の大きな掛け声が響くと、選手達は後に続いて声を揃える。
戦いの準備は両者整う。
白のアウェーユニフォームの日本、GKは黄色。
青いユニフォームのウズベキスタン、GKは緑。
U-20日本代表 フォーメーション 3ー5ー2
酒井 室
18 9
広西 神山 辰羅川
13 10 16
影山 天宮
14 17
青山 神明寺 仙道(佐)
3 6 4
工藤
1
U-20ウズベキスタン代表 フォーメーション 4ー3ー3
ハサフ ラドチェン カマン
9 11 7
トドチェフ
10
カラーゼ ポポフ
5 8
クランスキー シャッド クライフ ホーン
2 6 3 4
ヤッコフ
1
ピィ────
『日本とウズベキスタン、本大会出場の懸かった試合が今キックオフ!』
室が蹴り出して狼騎が後ろへ戻し、2人は早くも相手ゴール前へ一直線に走る。
今大会、共に大量得点を取っている狼騎、室が2トップを組んで今回も多くのゴールを重ねようとしていた。
「(狙いは、あいつにするか──)」
迫って来る日本の2トップを見て、シャッドの目は室を捉える。
その目は獲物を狩る時の狩人に近い、鋭い眼差しだ。
『神山から広西、スルーパスに追いつく!ゴール前はウズベキスタンの大型選手達がしっかり固めてるぞ!』
勝也から出されたパスが冬夜へ渡り、ゴール前を見れば長身揃いの相手DFが待ち構える姿。
それでも彼なら勝てると、左足で冬夜はクロスボールを高く上げた。
室は何時も通り高く跳躍。
ウズベキスタンの大型DFにも負けない、長身FWが得意の頭で合わせに行く。
だが、彼の領域で阻止してくる存在が今回はあった。
「ぐあっ!?」
空中戦で自分の高さに追いつき、激突して跳ね飛ばされる室。
ゴッ
「っ!!」
バランスを崩して右肩から地面に激突した時、室の顔が痛みで歪む。
『シャッド弾いた!室にも負けない高さでクリア、っと?室がフィールドに倒れたまま起き上がりませんね……』
『これは、右肩を痛そうに抑えてますよ』
「室!?おい、大丈夫か!」
「肩だから、足とかじゃなくて……痛っ!」
冬夜から心配されながらも室は立ち上がるが、右肩の激痛は容赦無く彼を襲う。
「こいつは……無理そうだな」
「交代ー!室もう駄目だよー!」
勝也の呟く隣で弥一はベンチに向かって、両手で✕マークを作ると室の続行不能を伝える。
本戦出場を目指す歴代最強と言われる日本が、開始1分ぐらいで早くもアクシデントに遭ってしまう。
弥一「ウズベキスタンのグルメといえばー、プロフと呼ばれる向こうのピラフみたいなのがあって、国民食として欠かせないそうだよ♪」
勝也「肉は主に羊肉や牛肉だよな」
弥一「お、勝兄貴も乗り気じゃんグルメ♪」
勝也「どうせやると思って調べた。ラグマンっていう手打ち麺やシャシリクと呼ばれる肉の串焼きも有名らしいぞ」
弥一「ウズベキスタンの人って体格良いから、肉とか美味しいの沢山食べてそうだねー♪あ〜、シャシリク食べてみたい〜♡」




