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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 国内プロ&U-20代表編

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若き日本代表の初陣

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 日本開催のユースチャレンジカップ。



 ヨーロッパからベルギー、南米からコスタリカ、アフリカからコートジボワールと、各大陸の強豪チームが日本に集う。



 千葉にあるサッカー球技場にて、U-20日本代表の試合を見ようと日本ユニフォームを纏い、多くのサポーター達が来ていた。




「……別に変じゃねぇよな?」



 会場のフィールドでアップを済ませ、ロッカールームへ戻ってくれば勝也は鏡で今の自分を確認。



 目の前に映るのは背番号10のユニフォームを着て、右腕にキャプテンマークを巻く自分自身だ。彼は今日、U-20日本代表のキャプテンとして試合に臨む。



 そして結婚してから初めての試合でもある。



「勝兄貴、話始まるからキャプテンは前向いた方が良いよー」



「分かってるって」



 同じ代表ユニフォームを纏う弥一から言われ、勝也はマッテオの方へ向く。




「昨日も伝えましたが相手は南米コスタリカ。堅守からの速攻が鋭く、手堅いサッカースタイルを得意としています」



 大会の初戦となる日本の相手はコスタリカ。同時刻に他会場で、ベルギーとコートジボワールの試合も行われる。



 開催国の日本としては負けられないので、この初戦をしっかり勝っておきたい。



「まずは初戦。このチームとしては初めての海外との試合になりますから慣れる事も兼ね、楽しみ勝ちに行きましょう」



 マッテオからの話は以上で、視線が勝也に向く。此処かららはキャプテンが引っ張る番だと、目で語っているようだ。



「っし……行くぞコスタリカ戦!」



 静かに気合を入れた後、勝也は皆へ伝えるとロッカールームを出て他のメンバーもそれに続く。




「勝也さん日本のキャプテンに選ばれましたが、緊張とかしていませんでしたか?」



 会場には京子と輝咲の姿があって、席に座る京子の膝の上には勝気が座っている。



「キャプテンとかそういうのはこれまで何度もやってきたから大丈夫だとは思うけど、今回は世代別代表のキャプテンって大きな物を背負ってるから……」



 間近で勝也の姿を見てきた京子。彼の責任感の強さは知っていて、気負い過ぎない事を密かに願う。




 ダークネイビーのユニフォームの日本、GKは黄色。



 赤いユニフォームのコスタリカ、GKは黄緑。



 U-20日本代表 フォーメーション 3ー5ー2



      照皇   室


     11    9  



 月城    神山    白羽


  2     10     7



    仙道(政)八神 


     14    5



    青山 神明寺 仙道(佐)


     3   6   4


       工藤


        1




 U-20コスタリカ代表 フォーメーション 5ー2ー3



  テスタ  アルバン  ライエン


   11     9     10



     サリガン  リュスト


       8      7



 ドーン シャリク カザト シンガード ナバール


  5    4    6     3     2        


        バレス


          1




「(向こうの5バックに対してうちは3ー5ー2。サイドの選手が鍵を握るシステムで、破壊力ある2トップに繋げていくか)」



 この試合ベンチスタートになった光明。外から自分のチームをじっくり観察して、思考を巡らせる。



「(それと彼がどう機能するか、多分それが堅いコスタリカの守備を崩す事に深く関わってくる……)」



 光明の視線はコイントスに立ち会う勝也へと向けられた。




「んじゃ、いっちょ行くか……」



 スタメンの日本イレブンが円陣を組むと、勝也は目を閉じると小さく息をついて、再びその目を開けた時に叫ぶ。



「日本GOイェー!!」



「「日本GOイェー!!」」



 勝也の力一杯の掛け声に続き、皆も声を揃えて叫んだ。これがこのチームの儀式と合宿の時に決めており、全員が合わせる事に成功。



 皆が自分のポジションに散って開始の時を待つ。日本のキックオフで始まる為、センターサークルに置かれたボールの前には、2トップを組む照皇と室が立っている。



 ピィーーー



 主審の笛が試合開始を告げると共に、照皇が軽く蹴り出すと室が後ろへ戻す。その先には勝也。



「っと……!」



 右足でトラップしてコントロールの直後、コスタリカの前線2人が寄せて来た。彼らの動きが見えると、勝也は右の白羽へ左足でパスを出す。



「!?」



 しかしFWのテスタがこれを通さずインターセプト。開始から自陣でパスを取られてしまう。



「後ろ上がってんぞ!気をつけろ!」



「番ー!10行ってー!」



 そこへ飛んでくる弥一、龍尾による2人のコーチング。



 テスタはショートカウンターに繋げようと、エースのライエンへすぐにパスを出すも、寄せていた番がパスを弾く。



 これを想真が拾って前に一旦大きく蹴り出す。開始早々から自陣で取られ、速攻を食らう所だったが一旦難は逃れた。




「コスタリカ立ち上がりからガンガン来てますね……」



「向こうとしては本番前のテストマッチでしょうから、色々試してる段階かもしれません」



 手堅いサッカーというコスタリカのデータとは違い、積極的に前へ出て来る相手に富山は難しい顔を浮かべる。マッテオの方は想定内か、慌てる様子は無い。



「(ま、当然そうなるか。向こうとしては負けられない勝負でもないし、なんのリスクも気にせず模索とか色々出来るからな)」



 その2人と近い位置に座る光明の耳には、2人の会話が聞こえていた。堅守速攻が売りのコスタリカだが、奇襲をかけて日本へ迫って行く。



「(初戦から結構キツいかもしれないか)」



 光明はそう思いながら、フィールド上で走る勝也の姿を見る。




「(此処は室の頭で!)」



 再び日本ボールとなり、番は中盤をすっ飛ばして一気に行こうと、室へのロングパスを右足で蹴った。



「っ!?」



 狙いを見抜いていたのか、これをライエンが体全体で阻止。相手の体に当たったボールは後方へ弾かれ、番より早くライエンは反応して球を追う。



 それよりも早く追いついたのは弥一。ボールをタッチラインに蹴り出して、相手の流れを止める。



 コスタリカのスローインから再開すると、右サイドのナバールが上がってリュストを追い抜く。



「月城2番ー!」



「亨!2だ!」



 そこに重なる弥一と龍尾のコーチング。どっちの声を聞いたのか定かではないが月城は快足を飛ばすと、ライエンからナバールへ出されたスルーパスに追いついて通さない。




「ナイスカット月城ー♪」



 月城がパスを阻止したおかげで再び凌ぎ、弥一は手を叩いて彼のプレーを褒める。



「……」



 その様子を龍尾は日本ゴールマウスから見ていた。




 ボールは想真から政宗。月城へ繋ぐが彼の前は密集していて、走らせてはくれない。これを見て中央の勝也へ戻す。



「てっ!?くぅ……!」



 勝也に対してサリガン、アルバンの2人によるプレス。パスを出せずボールをキープしていくと、倒されてファールの笛が鳴り響く。




「ああ潰された……!」



「向こうマジでグイグイと来てますね。スタイル変えて来てんのかって思うぐらいに」



 ベンチで見守る影山、冬夜の2人。流れを掴めず苦労しているチームに、向こうの積極的なサッカーでバタバタさせられてるという感じに見えていた。




「おい、神明寺ー」



「ん?どうかしたの龍尾さんー?」



 プレーが止まったタイミングで龍尾は弥一を呼ぶ。



「指示は俺が言うからお前は言わなくていい。代わりに好きに動いてて構わねぇし、その方が効率的だろ?」



 何回か声が重なった事に龍尾は指示を一つにした方が良いと、弥一へ動きのみに集中するよう伝える。




 だが弥一には彼の心が見えていた。



「(余計な事すんな。お前より俺の指示の方が正確だ)」



 龍尾は自分の力に絶対の自信がある天才GK。セービングだけでなく指示にも自信を持つ。



 なので弥一より自分の方が優れて、コーチングは主に自分がやった方が良いと思っている。



「好きに動いて良いの?じゃあそうするねー♪」



 弥一は明るく笑えば龍尾にそれだけ伝え、ポジションへ戻っていく。




「(声を出すのも止めないけど)」



 リベロのように自由な弥一。龍尾の言葉に従い黙る気は全く無かった。

大門「なんかあまり噛み合ってる感じしないかな……?」


優也「個々が強くても即席チームだから、連係はまだまだ足りてないか」


春樹「まるで新たに日本のキャプテンとなった勝也さんに、神から試練を課されたみたいだね。でもあの人なら乗り越えられるはずさ」


辰羅川「えーと、あいつは何時もあんな感じか?」


狼騎「憧れの存在に関しては頭のネジが数本飛んだ、残念な野郎と思っとけ」

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