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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 国内プロ&U-20代表編

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合宿で競い合う者達

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 日本で開かれるジャパンユースチャレンジカップに備え、開催国の日本は千葉で合宿を行う。



「でええっ!」



 195cmを誇る室が佐助を相手に競り勝ち、ヘディングを叩きつける。



「うおっ!」



 跳ね上がって来るボールに対して、ゴールを守る岡田は跳ね上がった球を右手で弾く。しかし弾いた球へ照皇が迫り、想真のブロックを躱して右足で押し込む。



 岡田が飛びつくも指先を掠めるぐらいで、ゴールネットは大きく揺れていく。



「ナイスです照皇さん!」



「室も良いヘディングだった。流石だな」



 ゴールを決めた照皇へ室が近づき、互いのプレーを良いと評価していた。



「あー悔し!止めれんかった〜!」



「泣くなよ?」



「練習で泣く訳ないやろ!」



 悔しがる想真に佐助は彼の負けて大泣きが、強く印象に残ってるせいか声を掛けに向かう。流石に練習で泣く程、想真の涙腺は弱くないらしい。




「流石は高校サッカーきっての天才と長身ストライカーですね。この2トップは強力だと思いますよ」



「ふむ……」



 監督のマッテオの隣で、コーチを務める富山は照皇と室のコンビを絶賛。今のプレーを見てマッテオの方は、考える仕草を見せていた。




「(お、左空いてる!)」



 勝也にボールが流れてキープしていると、左サイドが空いてる事に気づき、右足で左のスペースにパスを出す。



「(はやっ!?)」



 その瞬間、突風が吹くような勢いで月城は左サイドを駆け抜ける。今回集まったメンバーの中で、最速と言ってもいいぐらい月城の足はずば抜けて速い。



 彼の速さにはパスを出した勝也も驚かされる程だ。



 あっという間に追いついた月城は左足で、ゴール前に低いパスを送ればそこには狼騎が走り込んでいた。



 右足のダイレクトボレーで合わせ、狼騎のシュートが風を切り裂く勢いでゴール左上へ向かう。



 このシュートにゴールを守る龍尾が、右腕1本で弾き飛ばして驚異的な反射神経を見せる。



「ちっ……龍尾……!」



「止められても詰めれるって思ったか?甘いぜ狼騎よぉ」



 かつては石立中学の攻撃の要、守備の要で学校を頂点へ導いた2人。狼騎のセカンドへの速さが群を抜いてる事は把握済みで、上手く弾いてCKへ逃れていく。




「工藤も流石ですね。あれを防ぐかって驚かされましたし、月城のスピードも凄い。神山も良いパスが出せて気迫あるプレーを見せて良いですよ」



「ふむぅ……」



 富山の言葉を聞きながらも、マッテオの目はフィールドで競い合う選手に向けられたままだ。




「代表で皆張り切ってるねー」



「まぁ皆代表のレギュラーになって試合に出たいだろうし、そうなるか」



 フィールドの外から2人でパスを出し合い、出番を待つのは弥一と光明の2人。



 彼らは東京アウラに所属する賢人が切っ掛けで会話が始まり、そこから話すようになっていた。



「ただ皆結構課題はあるな。ボールキープじゃなくて急いでパスを出したり、体の軸が安定してなかったりとか」



 光明は選手を観察していて、それぞれの短所を見抜く。一見良いプレーをしてるように見えるが、彼の視点からは良くない所を発見。



「へぇ〜、やっぱ空手の世界チャンピオンの目ってそういうのよく見えてるんだね?」



「大げさだな。俺がそれになったのは子供の頃だったし」



「賢人さんが僕の従弟は世界一を経験してるって、自慢してたから〜♪」



「賢人の奴……あのメガネめ」



 以前に賢人から弥一は光明について教えられ、彼が幼い頃に空手で世界一になった事、ブラジルのクラブにいる事は把握済みだ。



 お喋りな従兄を思えば光明はため息をつく。




「右ー!もっと寄せてけー!」



 フィールドでは勝也のコーチングによる大声が響き、ドリブルで攻めて来る冬夜へ、寄せていた辰羅川に春樹も加えて囲む。



「カウンター!!」



 ボール奪取に成功すれば勝也は速攻の為に走り、一気にゴール前へ自ら向かう。




「彼は随分と元気だな。この中で一番」



「それがあの人の持ち味だからねー」



 勝也のプレーに注目する光明に、長所を知り尽くす弥一はこれが勝也だと伝える。



「あれだけの熱さに皆を引っ張る感じ、根っからのキャプテン向きだ」



「ああ〜、確かに小学生の時キャプテンで中学もやったって聞いて、高校でも1年からずっとだったからなぁー」



 小学生、高校生と弥一は勝也がキャプテンを務める姿を見てきた。唯一いなかった中学時代も、当事者達が思い出として語った事を聞いたおかげで知る。



「彼が立見高校でサッカー部を0から作り、そこに皆がついて来て全国制覇だろ?並の統率力じゃないぞ」



 これも賢人から連絡で聞いている光明。勝也の武勇伝を知って、キャプテンとしての資質が備わっていると、フィールドで今も奮闘する彼の事を評価。



 ただ彼は褒めてばかりでは終わらない。



「このチームを率いるには彼が相応しいだろうけど、だからこそ弱点が生まれてくる」



「分かっちゃった?まー、僕達だけじゃなくマッテオも分かっているとは思うけどねー」



「合ってるかどうか、せーので答え合わせといくか?」



「いいよー、じゃあせーの」



 光明だけでなく弥一も分かった。現状このチームの弱点が。




「「サッカーがストレート過ぎる」」



 弥一と光明の答え合わせが一致する一方、それを知らずに代表選手達は懸命にプレーして、スタメンへのアピールを続ける。




「はぁ〜、初日からウナギが食べられて幸せ〜♡デザートのフルーツゼリーも美味しい〜♡」



 練習が終わっての夕食。うな丼を中心としたメニューが出され、弥一は練習終わりにそれを味わえば、絶品のうな丼による美味しさに心を奪われていた。



 その後のフルーツゼリーも彼を夢中にさせ、美味しく味わって堪能。



「あいつ飯目当てで代表参加しとらんやろな?」



「それは……弥一ならあり得そうだ」



 幸せそうに食うなと思い、弥一を見ていた光輝が1人だけ目的が違うのではと口にし、優也は間を置いてから答える。



 美味しいグルメに目がない弥一なら、ご当地グルメや世界各国の飯が食えると、それ目当てで代表に参加してもおかしくない。優也だけでなく大門、影山も弥一ならと考えていた。



「 おーい皆」



 食堂で皆がお腹を休めて寛いでいる所へ、富山が皆の前にやってくる。



「今の内に皆が着ける背番号を話し合ったりして決めといてくれよ。ただし10番以外な」



「え、10番もう決まってます?」



 10番以外は好きに決めろと言う富山に、佐助は誰が10番を付けるのか気になって聞く。



「マッテオ監督直々の指名で神山に付けてほしいんだってさ」



「!?俺……10番ですか?」



 富山から聞かされた勝也は自分がエースナンバーを付ける事に驚いている。



「まあ昔とか背番号10でキャプテンって特に結構あったしな。とにかくそういう事だから」



 そう言うと富山は足早に去って、食堂には選手達だけが残っていた。




「監督直々のエースナンバー指名って凄いじゃないですか勝也さん!」



「けど俺10番とか付けた事ねぇし……いいのか?」



 慕って来る春樹からの熱視線を浴びつつも、勝也は自分がその背番号を背負って良いのかと考える。



「俺はそれで良いと思います。神山さんの力なら背負うに相応しい」



 照皇は反対せず、勝也が背負うべきだと彼の背中を押す。



 他のメンバーも自分が10番を付けたいという拘りは特に無く、勝也の10番は決まった。




「じゃあ6番は僕にちょうだいー」



 そこにフルーツゼリーを食べ終えた弥一が、6番を希望して挙手。



「!それは駄目だ!勝也さんが付けた番号は僕が付ける!」



「そこ俺も譲れへんわ!」



「えー!?僕6番付けたいよー!」



 これはスムーズに決まらず弥一の他にも想真、春樹が付けたいと立候補してくる。



「キリ無さそうだから決めてくれよキャプテン」



「え、俺がかよ!?」



「こういう時のキャプテンだろ」



 このまま話し合いでは決まらないと見て、龍尾と辰羅川が勝也に託す。



「あ〜……お前ら手っ取り早くジャンケンで決めとけ」




「やったー♪」



「くそぉ!」



「なんでやぁ!」



 ジャンケンの結果、春樹と想真が揃ってグーを出すと弥一がパーを出しての勝利。



 弥一が背番号6の座を掴む。



「(まぁズルはしたけどね?)」



 2人の心を読んでジャンケンを出す手を把握する、弥一だけしか出来ない裏技によって。



 その後に各自の背番号は決まっていき、代表合宿でチーム力を高める日々が続く。

弥一「という訳で代表の背番号6と、背番号10に加えてキャプテンとなりました〜♪」


勝也「軽いなおい!つか代表……いよいよ来たって感じがするわ」


弥一「今回は相手がみーんな海外の選手達だからねー、もう四方八方からごっついプレスが来ると思うよー」


勝也「だろうな。勿論それは覚悟してるし、負ける気は無ぇよ」


弥一「だよねー、それじゃ初陣へGOー♪」

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