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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 国内プロ編

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上位のライバル達を追いかける

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 3勝5敗。5連敗の後に3連勝と最悪の流れを脱出して、上位へ向かいつつある東京アウラ。



 とはいえまだ順位としては下位で、上位は全勝の埼玉フォルテを筆頭に横浜グランツやストレングス大阪と続いている。偶然にも東京を下した強豪チームが揃って上だ。



「埼玉強くないー?」



「今年絶好調じゃねぇかってぐらい勝ちまくりだよなぁ」



 昼の時刻、東京アウラの専用バス内で弥一はスマホをチェック。隣の席に座る勝也と共に、J1の順位を確認していた。



 東京アウラの順位は勝ち点9で20チーム中14位。J2降格圏内は抜けて、今日で勝ち点を2桁に乗せられるどうかで、また順位の変動は起こるだろう。



 勝たなければ首位を独走する埼玉フォルテに到底追いつかない。



「滝口さん流石だよなぁ、守備まで連続無失点が続いてJ1の記録を超えそうな所まで来てんぞこれ」



「あの人かぁ、色々盛り上げ上手だよねー」



 試合に出ていた勝也だけでなく、弥一も観戦でその姿を見ていた。味方のチームやサポーターをアウェーの地で大きく盛り上げ、活力を与える日本の闘将。



 その彼を見習ってか、弥一も最近はサポーターを盛り上げる事を意識する。



「ホームだし、今日はどう盛り上げよっかな〜?」



「お前結構向いてたんだな。そういうエンターテイナーとか」



「僕で盛り上がってくれるの嬉しいんだよねー♪」



 試合の方に選手は集中した方が良いと、知らない者がいたらまず言うだろうが、勝也はその事について弥一に何も言わない。



 自分の仕事をきっちりする事を、幼い頃から見て知っているからだ。



「今日の軽食何出て来るかなぁ?この前ようかん食べて美味しかったし、それまた出て欲しい〜」



 そして彼がこんな風にマイペースな所も。






「少しずつ上がって来たな、まだ3勝ではあるとして」



「結構乗ってる感じするから怖いけどさ。後2勝で勝率五分になるし」



 同時刻、横浜グランツの専用バスが試合会場に向かう中で、ユンジェイは現在のリーグでの順位を辰羅川と共に確認。そこで東京の順位が上がって来てる事に気づく。



 横浜は7勝1分で現在2位。ドローの試合が1試合だけあって、首位の埼玉に先を行かれている。



 ユンジェイがゴールを重ね、得点ランキング4位。GK川岸を中心とした守備陣が奮闘して、許した失点は僅か1。ストレングス大阪戦でデイブのヘディングが決まるまで、無失点記録を作り続けてきた。



 それが1ー1のドローで終わった試合。



「つか小熊さんキレッキレだよなぁ……今年更にパワーアップしてる感が強くね?」



「バカ言うなタツ、俺の方が同じストライカーとして強い」



 現在得点ランキング首位に立つ埼玉フォルテの小熊。今の彼は手がつけられず、強いと評価する辰羅川にユンジェイは自分の方が強いと譲らなかった。



「頼もしいなぁ、その調子で今日も頼むよ」



「お前もな、婚約者の彼女に良い所を見せるんだろう?」



「いやまぁ……そりゃ格好良い所は見せたいから」



 励ましたつもりがユンジェイに彼女の事でからかわれ、辰羅川は恥ずかしくなってしまう。



 その会話を彼らの前の席で腕を組み、目を閉じて聞いていた川岸。若手2人は今日もやってくれそうだなと、小さく笑みを浮かべる。





「小熊ー!今日も一発頼むー!」



「小熊ー!」



 埼玉フォルテを乗せたバスが試合会場に到着し、カメラのフラッシュと共に選手達が続々と降りていく。



 一際歓声が大きくなったのは、チームのエース小熊がその姿を見せた直後。本人は多くの声援を背に、選手専用の出入り口へと真っ直ぐ向かっていった。



「リーグの得点トップはやっぱ人気あるなぁ俊太」



「王牙さん達の守備が止めてくれてるからこそですよ。ホント足向けて寝られませんって」



「実際は足向けまくりだったら笑うぜ?」



 小熊と並び立つ王牙。茶化すように後輩へ話しかければ、小熊は先輩に感謝の言葉を述べる。



 埼玉フォルテの得点力の高さも目立つが、それ以上に8試合連続無失点と、J1の記録を超える所まで迫る守備にも注目が高まるばかりだ。



「やっぱ、負けらんねぇよな。下から勢い良く向かって来るガキ共には」



 最近のJ1の試合では10代のルーキーによる活躍が目立ち、例年よりもリーグが盛り上がりを見せている。



 東京の弥一、勝也、ロッド。



 大阪のデイブ。



 横浜のユンジェイ、辰羅川。



 特にこの辺りがチームの原動力となって、チームを押し上げているのは間違いない。



「海外のディーンが注目されてから、10代の台頭が目立ってきてますよね」



「あいつは異次元で特別かと思えば、他にも20になってない奴らがどんどん出て来たり時代が動いてるって感じだよ」



 異次元の天才と言われるディーンを筆頭に、近年では10代の選手による活躍がニュースで流れるのも多くなってきた。



 まるでサッカー界全体が黄金世代を迎えているようで、サッカーの熱も高まっていく。



「まだ小僧共には負けてられません」



「おう、いっちょ今日も大人の力を見せてやるか」



 ルーキー達の活躍に勝利への意欲を高め、小熊と王牙は9連勝を狙って今日の試合に臨む。





『3連勝、少しずつではあるが確実に上への階段を登る昨年覇者の東京アウラ。4連勝を狙ってリンダマール湘南とのホームゲームとなります!』



『結構上がって来てますね東京。この連勝が続けられれば上位は見えてきますし、マグネスの怪我も癒えたりと後は工藤監督が戻ってくれれば完璧ですよね』




「皆今日も盛り上げよろしくー♪」



「「おおー!」」



「東京!東京!東京!」



 試合前に大勢の東京サポーターへ声を掛ける弥一。それに応えるかの如く、早くも大歓声がスタジアムを包みこんでいた。



 コンサートのアイドルがMCで盛り上げるような弥一の振る舞い。それがチームにとって良い影響をもたらす。



 東京ボールでキックオフを迎えれば、東京アウラが大歓声に後押しされる形で攻めに出る。



『東京の中盤、松川、風岡、神山兄弟を中心に華麗なボール回しだ!』




「!(ジャレス!)」



 ボールを受ける勝也。前方には相手のマークを振り切って、湘南ゴール前に走る姿が見えた。



 その瞬間、自分が次にやるべきプレーは頭で考えるよりも体が動く。相手DFが体を寄せて来る前に、勝也は右足でボールを蹴って湘南ゴール前へパスを出す。



『勝也から出たボールに走るジャレス!追いついて左足ー!!』



 勝也のスルーパスに追いつき、左足でトラップすると相手DFに右から強く体を当てられながらも、ジャレスは左足を振り抜く。



 ゴール左下隅に飛ぶ鋭いシュート。GKは咄嗟に右腕を伸ばすが、取り難いコースに飛んでしまった事が大きく、ボールがその手を掻い潜ればゴールネットを豪快に揺らす。



「東京先制点ー!!4連勝に向けて幸先良いゴール!5連敗で沈んでいたチームが確実に浮上している!!」



「当たられながらも良いシュートでしたねジャレス。その彼がゴール前に走る姿を見逃さずパスをすぐに出した勝也も見事です!」




「勝兄貴良いパス出すようになったじゃんー!」



「阿呆か!元からああいうの出せるっつーんだよ!」



 ジャレスがスタンドへ走って吠えている間、弥一は勝也に抱きついてアシストを祝福。ジャレスのチャージに耐え切りながらのシュートも素晴らしかったが、弟分としては兄貴分のパスが良かったらしい。





「グランツ1点先制してリード保ったまま」



「ストレングスは0ー0のまま変わらず」



 東京アウラのスタッフ達が欠かさず他会場の途中経過をチェックして、選手達には伝えずスタッフ陣で共有していた。



 上位を狙う身としては他会場の試合も気になる。



「埼玉フォルテが2ー0、追加点を決めてます」



 その中で首位の埼玉が、相手を突き放すゴールを決めたとスタッフの1人から情報が入って、埼玉の9連勝の確率がグンと高まってしまう。

弥一「足のケアとか大事だけど、喉のケアも大事になるね〜」


勝也「結構試合で声張り上げたりしてるからな。ハチミツの飲み物とか飴は結構口にするし」


弥一「勝兄貴は特に声大きいからケアちゃんとした方がいいねー」


勝也「お前も喉は滅茶苦茶使ってんだろ。サポーターに声かけまくったり動画に出て喋ったりとかで」


弥一「だからハチミツだけじゃなくて喉に良い気軽に食べられる物とか食べてるよー、辛い物は避けたりとかー」


勝也「担々麺とか絶対駄目だよな」


弥一「あ、美味しそう〜。今日のご飯それ食べたい〜♪」


勝也「行くなって!こいつに美味そうな飯とか言ったら駄目だったー!」

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