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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 国内プロ編
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巨神は止まらない

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

『初戦黒星スタートとなった前回覇者の東京アウラ、今日は敵地に乗り込んでストレングス大阪とのアウェー戦となります!』



『大阪は初戦を3ー0で勝って好スタートを切ってますからね波に乗れるかどうか、東京も連敗を避けたいと思いますから大事な試合になりますよ』



 大阪のスタジアムにて、会場は圧倒的にストレングス大阪を応援する声が多い。かなりアウェーの雰囲気が漂うも、東京アウラはプロとして、そういったアウェー戦を何度も経験している。



 今更このアウェーの声援に、押されるという事は無いだろう。



「ほな行くかぁ!デイブ、今日も頼りにしとるからな!?」



「OK、任せてくれ」



 大阪のキャプテンを務めるFWの花川健太(はなかわ


 けんた)。ストレングス大阪一筋で10年以上在籍しているベテラン選手だ。



 その花川から期待の声を掛けられ、デイブは不敵に笑って答えた。




「彼は本当に我々と同じ人類なのですか……?」



 この試合はスタメン起用で左サイド、風岡の代役を任された賢人はデイブの一際大きな姿を見て、自分より本当に年下かと信じられないと思った。



「ビビるなよ。サッカーは大きさでやるんじゃない……彼の巨体に気持ちまで押されるな」



 もう負けられないと、太一は気を引き締めている。この試合は風岡もマグネスもおらず、自分が今日のチームを引っ張ろうという強い思いを持つ。



 デイブは圧倒的に大きく、ぶつかり合いにおいて勝ち目はほとんど無さそうだ。そんな相手にどうやって対抗するか、打ち合わせは既にしてある。



 巨神退治に向けて、キックオフの笛が鳴り響く。



 ピィーーー




「前出ろ前!」



 ボランチの位置から太一が積極的に、味方選手への声掛けを行う。東京の選手達はその後押しを受けてか、序盤から前に出て来た。



『東京いきなり両サイド、佐々木と橋田が上がって来る!』



『序盤からかなり強気で攻めてますね!1点が欲しい!という気持ちが伝わってくるみたいですよ!』



 アウェーの地で東京が序盤から、こんな大胆に上げて来るのは想定外だったのか、大阪の守備は対応が遅れているように感じた。



『松川、左サイドにスルーパス!佐々木が追いつく!』



 東京の司令塔、松川からパスが出て佐々木は1段階ギアを上げれば、これに追いついて左足でクロスを上げる。



 低めのクロスでジャレスにボールが向かう。相手のDFには2mを越える大男がいて、ハイボールはほぼ跳ね返すだろうと、今日の試合では高く上げないようにしようと事前に話し合って決めていた。



「ウオ!?」



 そのままボレーで合わせようとした時、大きく長い脚が伸びてくる。ジャレスがギョッと驚いている間に、デイブが右足で大きく蹴り出す。



『デイブクリアー!これは大きなボールとなったか!?』



『GKが蹴り出したぐらいに飛んでませんか!?一気に東京側まで行きましたよ!』



 デイブのパワー溢れる右足は、GKのパントキック並に飛んで攻め込んでいたはずの東京が、一転してカウンターを受ける格好となってしまう。



「(此処断ち切らないとヤバい!)」



 なんとか止めようと、太一はセカンドを制した大阪が前線の花川に繋ぐと読んで、彼の方へ向かっていく。読み通り花川にボールが来ると、太一の左肩と花川の右肩がぶつかり合う。



「くおおっ!」



 チャージを受けながらも、花川が左足を振り抜いてミドルレンジからのシュート。コースは甘めだが、ボールの勢いはあってゴール左に向かう。



 これを東京GK本道が両掌で弾き飛ばし、左のゴールラインを割って大阪のCKとなる。それと同時に大阪ゴール前で聳え立つ山が動き出した。



『本道が花川のシュートを弾き飛ばし、大阪左からのCK……おっとデイブ上がってきました!大阪は先週の試合でもCKからデイブの頭でゴールを決めているので、2戦連続ゴールなるか!?』



『絶対これ彼の頭で来ますよね?ただ圧倒的な高さですし東京は今マグネスがいない状態ですから、これはなんとか守りたい所ですね』




「絶対デイブに合わせて来るから、此処は俺が出る。カバーの方頼んだぞ」



 本道は味方DFと話し合い、デイブにおそらく来るだろうと見ている。彼の高さに対抗するなら、手の使えるGKが行こうと作戦が決まった。




「(バレとるやろなぁ、デイブの頭で行くのは)」



 キッカーを務める花川はボールをセットしながら、自分達がどう行くかは相手に読まれている事だろう。



 だが迷いは無い。今の自分達には全てを無視して、粉砕出来る怪物が付いてくれているのだから。花川はデイブを見ると右足で高くボールを送った。



「うわっ!?」



 東京の長身DF岩本がマークしていたが、デイブとぶつかって跳ね飛ばされる。まさに重戦車だ。



『花川蹴った!高い!本道飛び出す!』



 多くの敵味方で密集する東京ゴール前へ、ボールは空を舞いながらデイブの元へ飛ぶ。それを見た本道が飛び出し、デイブと本道が同時にジャンプ。



「(な!?)」



 その本道は空中で驚かされてしまう。



 長身GKで手の使える彼を、デイブの高さが上回っていた。手を伸ばす本道より先に、アメリカの巨神の頭が捉えて放たれる。



 GKの高さに競り勝ってのヘディング。ボールはゴール右へ飛んで、カバーしていた選手も防げずゴールネットが揺れた。



『決まった先制!!ストレングス大阪、デイブ・アーネストの天まで届く高さからのヘディング!分かっていても止められない!!』



『いや高いですって!GKの高さで勝てないなら彼に競り勝てる選手いるんですかね!?』




「(大城とか室とか、高校ですげぇ空中戦に強いの見てきたけど……こいつ本当に俺と同じ世代か!?高過ぎんだろ!)」



 デイブのゴールで盛り上がる大阪サポーター達。その中で勝也は今まで見てきた、同年代の高さを凌駕するデイブに驚愕する。



 しかしこれはただの始まりに過ぎず、デイブの活躍はまだまだ続く。





「ノォォー!?」



 ドリブルで突っ込んで行ったジャレスに対し、デイブが体をぶつけて来る。鍛え上げたブラジル人のフィジカルを、無にするかのようにジャレスを吹っ飛ばして突破を阻止。



 高さだけでなく一対一にも強く、デュエルで圧倒的強さを誇っていた。



『東京アウラ、デイブを中心とした守備陣を前にチャンスが作れない!』



「(徹底して低いパスで攻めているのに、向こうも想定して鍛えたり対応力を多分上げて来ている……恐るべき守備範囲でうちのジャレスが此処まで封じ込められるとは……!)」



 懸命に走り続けて賢人もチャンスを作ろうとしたが、大阪DFも動きに慣れてきたのか、思うように攻める事が出来ていない。冷静に見えるが彼の内心では、点を取れない焦りがあった。





「前回チャンピオンって聞いたけど、そんな強くないな」



「まー、向こうは風岡とかマグネスがおらんし監督も不在や。チーム力が今かなり低下しとるやろし、そうなるんちゃう?」



 プレーが途切れたタイミングで、話しながら給水をする花川とデイブ。アメリカから来日してきた時、東京アウラが強敵だと聞かされたがデイブは今日の相手を強いとは感じていない。



「(噂のヤイチ・シンメイジを出せば良いのに何でベンチにも入れないんだ?)」



 東京のベンチに視線を向けると、アメリカにまで噂の届いていた小さな天才はそこにいない。何故優れた選手を出さないのか、デイブには理解が出来なかった。




 後半にはデイブのクリアボールからチャンスが生まれ、マグネスが抜けたDFの隙を突いて、花川が抜け出してから本道との一対一でゴールを決める。



 2ー0と突き放され、必死に反撃するもデイブや大阪の守備を突破出来ないままタイムアップを迎えてしまう。



『試合終了ー!東京アウラなんと開幕戦から2連敗!一方のストレングス大阪は2連勝となりました!』



『東京はチーム事情があって苦しい時期ですからね。これを乗り越えていけば、また波に乗るかもしれません』




「おいおい、東京なんか弱くないか……?」



「いくらデイブがとんでもないからって、もう少し意地とか見せてほしかったなぁ……」



 東京から来たアウラのサポーター達。チームが苦しい事を理解しているが、それでも意地という物を何も見せないまま、負けた彼らに不安を感じ始める。



 これでは優勝どころか、J1残留も危ういのではないかと。




「(くっそぉ……!)」



 何も出来ずチームの敗北を見る事しか出来なかった勝也。両拳を握り締めて、絶対早く出てやると心に決めた。




 ストレングス大阪2ー0東京アウラ



 デイブ


 花川




 マン・オブ・ザ・マッチ



 デイブ・アーネスト

弥一「あれ?何かアウラやばそうな感じ……連敗続かなきゃいいけど〜」


フォルナ「ほあ〜」


弥一「おー、お前と僕は久しぶりだねー♪」


フォルナ「ほあ〜」


弥一「うんうん、勝てるから東京アウラチャンネル見たりアクアクーラを飲んで応援しようと〜」


摩央「本当に言ってんのか!?お前ん所のPRだよなぁ!」



「アクアクーラ買い占めよう!」


「お小遣い足りるかなぁ!?でも神明寺先輩のアクアクーラー!」


弥一「あれ、他に誰かいたー?」

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