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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 国内プロ編
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乗らせてはならない者

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「(リードされたから東京は、これで河岸さんの守る横浜ゴールを奪わなきゃなんなくなっちまったな……最低でも1点)」



 前半終了間際、試合が動いて東京アウラと横浜グランツの試合は、1ー0で横浜リードのまま折り返す。



 勝也はもし自分なら此処からどう巻き返すか、それをハーフタイムに考え続けている。



「(もうちょっとシンプルに高さあるジャレスに、そのままロングボールを放り込むか?スペースを突こうにも、あっち寄せ速ぇから探す時間をそんな与えてくれねぇだろうし……)」



 外から見ても横浜の寄せは速く、フリーにさせなかったりターゲットを探す余裕を与えない。当たり前だろうが、高校の時とは全然違う。外から見てもこう思うのだから、実際フィールドに入ればまた違って来るだろう。




「オムライスのお弁当買って来たよ〜♪」



 そこへ何時の間にか抜け出して、早めの夕飯を会場で弥一は買っていた。いきなり弥一が弁当を持って戻る姿に、勝也はギョッと驚く。



「お前何時の間に!?」



「勝兄貴が真剣に考え込んでる間行ってたよー。気づかなかった?」



 弥一は自分の分と勝也の分のオムライスも買って、勝也にも弁当を差し出す。



「あ、悪い。代金の方……」



「え?いらないー」



 勝也がオムライス代を払おうとするが、弥一は自分の奢りだと弁当を開けながら伝える。



「バカ言うなよ。奢られてたまるか」



「僕勝兄貴よりお金稼いでるしー、初めて働いたお金は此処で使いたいからー♪」



「阿呆か、俺みてぇな野郎より涼香さん、または輝咲の方に使っとけ!おら、釣りはいらねぇ!」



 弥一の方がCMや広告で稼いでいるが、勝也は弟分に奢られてたまるかと、意地になって財布から1000円札を取り出し、弥一に弁当の代金を押しつけていた。




「(プロになっても不器用な兄貴だなぁ〜、そういう所好きだけどね)」



 自分に奢られる気のない兄貴分に、弥一はこの場は兄貴分の顔を立てる事にしてオムライスを食す。



「あ〜♡良い卵使っててチキンライスと華麗なコンビプレー最高〜♡」



「お前食レポの練習でもしてんのかよ。美味い、で伝わるっての」



 まるで次のテレビや動画で美味しいご飯を食べた後、良いコメントが出来るようになろうとしてる弟分に、勝也はひたすらガツガツとかきこむように食べていた。




「後半間に合ったー、ご馳走さんっと」



「勝兄貴食べるの早いよ〜」



 味わって美味しく食べたい弥一に対して、勝也はハーフタイムの間にオムライスを完食。後半のフィールドに両チームの選手達が姿を見せ、キックオフに向けて動き出す。



「後半は勿論攻めるしかねぇよな。ダラダラやってたら45分はあっという間に終わっちまう」



「守ってる時は長いけどね〜。攻めなきゃいけない時は短く感じたり不思議なもんだよー」



 勝也が後半に向けて、東京は攻めるだろうと予想するのに対し、弥一はマイペースにオムライスを食べていた。あまり予想する気が無さそうだ。




『東京アウラ左から風岡!神山に返し再び風岡、ワンツーで横浜の守備網を掻い潜っていく!』



 後半も左から攻めに行く風岡。そこへ太一が上がって来て、右のアウトサイドで軽くパスを出してから、ダッシュで縦に走れば太一は予測していたように、右足で風岡の走るコースにパスを返す。



「右寄せろー!」



 横浜のキャプテンにして、日本代表のGK河岸が叫ぶ。風岡はそこから右へと大きく蹴り出した。



 右から上がって来たのは、後半から入った源田賢人。風岡からサイドチェンジのボールを受け取り、今度は右サイドから仕掛けに行く。



『左右に振られてますね横浜DF!』




「(右からの突破は此処までしていないから!)」



 賢人はドリブルのスピードを上げて、右からゴール前に向かって走り、果敢にエリア内へ侵入する。右の攻撃は此処までクロスばかりで、それに慣れてしまった横浜DFの裏をかいていた。



『抜けた源田!一対一、東京ビッグチャンス!』



 斜めから侵入した賢人を止めに行ったDFに対し、賢人は右足で左に軽く転がす。直後に左足で軽く蹴ってDFの左をボールが突破すると共に、自らも突破する。



 GKの河岸と一対一になり、大きなチャンスとなるが賢人の目の前にいる河岸は冷静だ。焦って飛び込もうとせず、賢人の動きを見ている。



「っ!」



 逆に賢人の方が河岸の圧を感じ、躊躇してしまう。折角の大きなチャンスを台無しにしたくないと、賢人は右足で思い切りシュート。低めに左下を飛び、河岸を抜こうとしていた。



 しかし河岸は瞬時に反応。右足で賢人のシュートを弾き、セーブに成功する。



『止めた河岸!高く上がったボールにジャレス、いや!河岸パンチングでクリア!』



 シュートを弾いた事で、横浜ゴールの上空を舞うボール。長身のブラジル人ジャレスが頭で合わせようとするも、河岸が高くジャンプして右拳でボールを弾き出す。



『神山取った!まだ東京ボール、ロングシュートぉー!』



 弾いた所を拾ったのは太一。中央で拾ったセカンドボールを、太一は寄せられる前に右足を振り抜いた。距離は遠いが、しっかり枠に行って横浜のゴールを捉える。



 それを河岸は正面でキャッチして、東京アウラの波状攻撃を断ち切っていた。



『河岸連続セーブ!これが日本を代表するGKだ!』




「さっすがぁ〜、あの状況でボールを見失わず止めきっちゃったね」



 弥一もオムライスを完食して、食後のお茶を飲むと河岸の連続セーブを称賛。一対一を止めた後にクリアしたり、シュートを防いだりと獅子奮迅の活躍だ。



「一対一を決められなかったのは痛ぇな……あの人好セーブでノッてきたら手ぇつけられなくなるぞ」



 勝也は知っている。河岸が好セーブを見せれば、益々プレーが良くなっていく事を。今ので河岸の調子が増していくと、1点を取るのがより大変になってしまう。




「さっきのキックには驚いたけど、もう通さないぜー!」



「く……!」



 再び横浜の攻撃が始まるも、1点を決められた時と違いマグネスはユンジェイに後半、一切仕事をさせない。1点目のユンジェイによるテコンドー仕込みの、上段回し蹴りによるシュートを決められた時は驚かされたが、二度と抜かせんとマグネスの陽気な顔の目には殺気にも似た気迫が宿る。




 時間が経過すると風岡も下がってしまい、スコアは1ー0と横浜グランツのリードは変わらない。後半も終わりが近づいてくれば、横浜は河岸を中心とした守備で1点を守り切るシフトへ完全に切り替える。



「あー、もう時間無いよ〜!」



「お、コーナー!マグネス上がれー……よし、上がってきた!そりゃそうだよな!」



 弥一が時間はもう残り少ないと時計を確認してる間、東京アウラが右からのCKのチャンスを得た。勝也は此処で決めろと、声を大きくさせて声援を送る。



『東京これがラストチャンスか?CKにマグネスも上がって来ました!』



『彼の頭に合えばまだ分かりませんからね』



 2m近い長身はやはり周囲のプロ選手と比べ、一際大きい。長身のジャレスも居て此処はパワープレーに出たようだ。



 右からのCKを蹴るのは賢人。右足で蹴られた球は、マグネスへと向かう。



『マグネス合わせたぁ!』



 空中戦で横浜の選手に競り勝つとピタリと合った高さから、額でボールを捉える。ヘディングは勢い良くゴール左上隅に飛んでいく。



 マグネス自身も良いヘディングと手応えを感じ、ゴールだと思ったが河岸のダイブから伸ばした両腕がボールに届いた。球は弾かれ、ポストを叩くと跳ね返り、混戦となると辰羅川がボールを大きくクリア。



『守った横浜!止めた河岸!今日の彼には神が乗り移っているのか!?ミラクルセーブだ!!』



『完璧なマグネスのヘディングでしたけど、河岸これを止めますか……!やはりミラクルGKは伊達ではないですね』




 河岸を中心に横浜グランツはピンチを乗り越え、喜び合う。一方の東京アウラは決められなかった、マグネスが頭を抱える。



「駄目だぁ〜、あの人ノリまくりだよ〜」



「よりによって今日絶好調の日かよ……今の止めちまうってマジか」



 東京アウラの良い攻めは続いたが、横浜グランツの守護神にことごとく防がれてしまう。これには弥一と勝也も頭を抱えるしかない。



 最後まで攻めたが横浜の牙城は崩せず、東京アウラは開幕戦を落として黒星スタートとなってしまった。



 横浜グランツ1ー0東京アウラ



 ユンジェイ




 マン・オブ・ザ・マッチ



 河岸正勝

弥一「凄いGKがまた増えたね〜」


勝也「いや、増えたっつーかあの人プロの先輩な?それも日本を代表する守護神だからよ」


弥一「横浜は良いGK居て良いなぁー」


勝也「ちなみにあの人、身長180実は行ってないって噂ある」


弥一「そうなの?170cm台のGKが活躍して小柄な選手の時代来てるねー♪この調子で160cm台とか出て来ないかなー?」


勝也「流石に小さ過ぎるだろ!」



五郎「っくしゅん!うーん、花粉症かなぁ?(もっと小さい150cm台のGK)」

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