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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 国内プロ編
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新たな始まり

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「っせぇ!」



 青い練習着を身に着けた弥一。FKでゴールに直接蹴り込めば右端に居る壁の選手の頭上を飛び越え、そのままゴール右上に飛んでいく。



 ゴールマウスから外れるかと思えば、左下へ急激に曲がってGKのダイブも及ばず。ゴールネットを揺らしていた。



「やったー♪」



 FKのゴールに喜ぶ弥一と彼に駆け寄って、共に喜ぶ者達。



 次には弥一以外の全員が、同じスポーツドリンクを飲んでいる光景が映る。



「皆の強ーいお供となるアクアクーラ!これを飲んで頑張って行こうー♪」



 弥一がカメラに向けて、アクアクーラと呼ばれるスポーツドリンクのラベルを見せながら、自身も明るい笑顔を見せた。



「あ〜、美味しい〜♡」



 最後に弥一がアクアクーラを飲むと、その美味しさに幸せそうな表情となる。



 これが初めてのCM出演となり、弥一の美味しく飲む姿は全国へと流れたり動画サイトの広告でも見かけるようになった。そしてアクアクーラの売り上げが爆上がりして、過去最高を記録したとネットニュースにも流れる。






「あきゅあきゅ〜らぁ〜」



「ほあ〜」



 神山家にて朝から流れる弥一出演のCMを見て、フォルナと遊びながら、勝気がアクアクーラを飲む弥一に指差す。



「ん〜?勝気飲みたいのかぁ?」



 朝に起きて来た勝也が、息子を抱っこしながら優しく問いかける。弟分が出ているCMにはこの時、しっかりと見えていた。



「まだ早いから駄目、勝気には100%果汁だから」



 スポーツドリンクはまだ勝気には早いと、京子が許さない。我が子を安全に、元気に育てる為に日々色々と勉強中だ。



「ママが駄目って言うから、もうちょっと大きくなってから パパと一緒に飲もうな〜?」



「のみゅ〜♪」



 一方勝也は我が子の可愛さに、ノックアウト寸前となっていた。




「というか弥一君、プロ契約したかと思えばもうCM……雑誌の取材まで受けてるし」



「あいつ出過ぎだろ」



 京子の手には弥一が取材を受けたという、雑誌がそこにある。彼はその中でサッカーについて語っているのが、立見の制服を着た弥一が椅子に座って語る写真と共に、取材内容が掲載されていた。



「ま、俺はサッカーでしっかり稼いで来るさ。J1の開幕戦に向けて、頑張んなきゃなんねぇし」



「その前に卒業式もあるから、色々と忙しいね勝也も」



「忙しくなんのはこれからだ。っと、そろそろ時間だ」



 京子と話す中で勝也が時計を確認すると、時間が迫っている事に気づいて出かける支度を進めていく。



「(今日がプロとして、初の練習か)」



 勝也、そして弥一が今日からプロとして東京アウラの練習に参加する。高校サッカーからプロの世界へ、勝也の新たな戦いが待っているのだ。



「……大丈夫?」



 京子は去年の夏を思い出す。彼がプロの中で思うようにサッカーが出来ず、心身ともに追い詰められていた姿。間近で見ていた彼女にとって心配があった。



「あの時とは違う。もう大丈夫だ」



 心配そうな京子の目を見て、勝也は安心させるように強気な笑みを見せる。あれから向き合い、ぶつかり合って来た。



 新たな世界に飛び込み戦い続け、家族達を守る。やるべき事は明確に見えて、迷いはない。



「おっし、行ってくる!」



 京子、勝気、フォルナに見送られながら勝也は家を出て練習に向かう。






「おっはよ~♪」



「おう弥一。時間通りだな」



 最寄りの駅で勝也は弥一と合流。勝也がジャージなのに対して、弥一は青いキャップにサングラス、カーキ色のカーゴパンツに黒いシャツの上に白い上着を合わせ、私服で来ていた。



「変装してんのにすぐ分かっちゃうんだねー?」



「身長までは変装出来ねぇし、そうじゃなくてもすぐ分かるっての」



 弥一とは幼い頃からの付き合い。勝也から見れば、変装していても弟分だと見抜くのは簡単だ。



「結構顔知られて来たから変装した方が良いって言われて、ガチの変装したんだけどなぁ〜」



 選手権での活躍、更に16歳という若さでプロ契約。CMや雑誌にも出たりと、弥一は急速に世間へ顔を出している。町中で頻繁に声を掛けられ、移動に支障が出るのを避けようと周囲に言われてからの実行だった。



「つい最近一緒にプロ契約したかと思えばすっげぇ突き放された気分だわ」



「勝兄貴も今にCM出演来るでしょー?」



「俺にはどんなんが来るんだよ?」



「喉のケアを大事に!のど飴で今日もしっかり声を出して行こう!って感じの」



「アスリートにのど飴のCM来んのかよ、それ歌手とかが良いだろ」



 もしも勝也がCMに出たらこうだろうと、弥一の妄想話に付き合っている間、歩き続けた2人は目的地に到着。



 去年の夏以来となる東京アウラの練習場だ。






「ハッハー!ついに来たなバンビーノ達よ!」



 練習場へ入れば、同じタイミングで来ていたマグネスと再会。大柄で陽気なイタリア人は相変わらず、弥一と勝也の肩をそれぞれ叩いて挨拶していく。



「マグネスー!相変わらず元気そうだねー♪」



「それが少ない俺の取り柄だからな!」



 やはり波長が合うのか、弥一とマグネスは陽気に挨拶を交わす。




「勝也、お前此処まで来たんだな……」



 そこへ太一もやって来て、弟へと真っ先に声を掛ける。



 普段自分が当たり前のように通っていた場所に、勝也も同じ立場でこれから通う。彼を幼い頃からずっと見続けた、太一にとっては特別だ。



「ああ。後は兄貴のように試合に出るだけだ」



 まだ太一のようにはなれていない。試合に出て活躍してこそ、一流のプロの仲間入りとなる。勝也は第一線で戦い続ける兄の姿を見ていた。




「試合に出る……それが何よりも最難関と言えますね」



 続けてやって来たのは、レギュラー定着を密かに狙う源田賢人。プロについてまだまだ知らない事の多いルーキーへ、それが一番難しいと静かに告げる。



「そうだな。自分の力をアピールしても、試合に100%出られる保証は無い。選手の体調、その日の相手や戦術と色々あるからな」



 賢人に同意するように太一はその通りだと頷き、勝也に教えていた。



「それでも僕達がやるのはアピールのみ。勝也君……この前みたいな調子では絶対レギュラーになれないどころかベンチにも入れませんよ」



 もうスタメン争奪戦が既に始まっているのか、賢人は勝也にプレッシャーをかけてくる。



「この前みたいにはならないっすよ、絶対に」



 勝也はその賢人を真っ直ぐ見て、そうならないと言い切ってみせた。



「(この前と比べて覇気がある……選手権の時といい去年とは全然違う)」



 今日から練習に加わるルーキーの目は強い気持ちが宿り、あの頃とは全然違う。今度は簡単ではないと思いながら、愛用のメガネをクイッと上げた後に賢人は着替えへ向かう。





「おー、神明寺!お前のCM見てアクアクーラ飲みたくなったからつい買っちまったよ!」



「俺も何か飲みたくなってつい、改めて飲むとうめぇわ」



「お買い上げありがとうございまーす♪」



 一方、弥一の周囲には人が集まりCMを見て、アクアクーラを飲みたくなったというのが多数いた。それに対して弥一は笑顔で応える。



 ポジションを争うライバルとなるが、弥一は早くも彼らと馴染んでいく。




「練習場が何時もより賑やかになってませんか?」



「若い力がそうさせてるんだろう。我々もそのパワーを貰って頑張ろうじゃないか」



 チームを率いる監督、工藤康友がコーチ陣と共に姿を現して、何時もの場所に活気が増していると思えた。




「神山勝也です、よろしくお願いします!」



「神明寺弥一です、これからよろしくお願いしますー♪」



 練習開始前に今日から参加する新人選手達がそれぞれ挨拶。その中で弥一と勝也も先輩達へと挨拶していた。



 まず目指すは試合に出る事。彼らのプロとしての戦いが今始まる。

マグネス「アクアクーラなら俺も買って飲んだぞ!途中のエネルギー補給や運動後に実に良い!」


賢人「ああ、弥一君のやっているあれなら僕も口にしましたよ。彼の力の源となるなら、その価値があると判断したので」


勝也「そんな人気なのかよ!?まさか、兄貴も?」


太一「え?ああ、まぁ弥一君の晴れ舞台だったし記念に一本と思って」


勝也「……売り切れ続出するかもしれないから今のうちに買っとこ」

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