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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 選手権編
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年が変わっても無双する

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「勝也先輩、京子先輩、新年おめでとうございます」



「おお、今年もイケメンだなぁ輝咲は」



「輝咲さん今年もよろしくお願いします」



 元日の朝を迎え、弥一は輝咲と共に勝也、京子と初詣へと来ていた。



 1月頭の朝なので冷たい風が吹いており、各自がしっかりと着込んで防寒対策は万全。特に弥一と勝也は選手権の試合を控えているので、今風邪を引く事は出来ない。



「初詣って小学校以来だな〜」



「言っても向こうでも正月はあるだろ?」



 懐かしそうに、弥一が初詣を楽しむ人々や風景を眺めていると、勝也の声に振り返った。



「あるも何も勝兄貴、正月を決めたのはイタリアだよ?」



「マジで!?」



「確か1580年にイタリアが決めた、というのは聞いた事がある……」



 イタリアに関して3年間過ごした弥一は色々知っていて、日本で1月に行われる正月はイタリアが発祥だと聞けば、勝也は盛大に驚く。



 京子の方は流石博識と言うべきか、聞いていたようだ。



「弥一君、今年はそういった知識を他の教科に向けてほしいかな」



「あ〜……努力します♪」



 もう少し勉強を頑張ってほしいという輝咲に、弥一は無理だとは言えず、今年は少し勉学も頑張ってみようかなと密かに思った。




 4人は神社まで来ると、それぞれ賽銭箱に小銭をいれて願い事の為に祈る。



「(勝気が元気に育ちますように……勝也が元気よくサッカー出来ますように……)」



 京子は息子の健やかな成長と、勝也が万全の状態でサッカーが出来る事を願う。



「(弥一君が怪我なく全部の試合を乗り越えられますように……)」



 輝咲は弥一の健康を願っていた。他にも願う事はあったが、沢山願い過ぎては叶わないと思ってか、一つだけにしておく。



「(立見のチーム全員が体調万全で試合臨めますように……後、卒業して稼げるようになりますように……出来れば2人を養えて良いアパートに3人で暮らせるぐらいの稼ぎを)」



 結構勝也は色々願っていて、彼が願い終える頃には京子と輝咲の女性陣が既に願い終わり、2人で話していた所だった。



「悪い、願い過ぎたー……」



 そう言いかけた勝也が何かに気づく。待っているメンバーの中に弟分の姿が無い、もしやと勝也は振り向いて確認する。



「(限定ガチャ武器当たりますようにー。後期間限定の絶品フルーツサンドこの前食べ損ねたから今年それ食べたいし。いや、ふわとろオムライスも捨て難いからそっち……あ!テストの勉強で良い点取れますように!これもねがわないとー)」



「なげーよ!そんぐらいで終わっとけって!」



 勝也以上に願いまくっていた弥一。あまりに長いと、兄貴分に首根っこを掴まれた事で、弥一の願いは強制終了となっていた。




「なんというか、今年もあの2人は羨ましいぐらいに仲が良いですね」



「 本当に。あの2人は立見の中で1番の名コンビだと思う」



 弥一と勝也のやりとりが、羨ましいと同時に微笑ましい。それぞれを想う京子と輝咲は、そんな2人を見守っている。





 立見の選手権3回戦の試合は、北海道代表の海幸学園。堅守速攻のサッカーで、北海道予選を勝ち上がり、選手権の1回戦と2回戦も勝ち上がって来た強豪校だ。



 今回は立見も苦戦するのではないかと予想が飛び交う中、前半から早くも試合が動く。



『歳児抜け出したー!』



 勝也のスルーパスに反応し、右サイドからDFの裏に抜け出した優也。彼は今回、何時もの控えと違いスタメンから、右SHのポジションで参加。これには海幸も意表を突かれてしまう。



 自慢のスピードでゴール前へあっという間に来て、DFやGKは彼に釣られて逆サイドから上がって来た、翔馬に気づいていない。



「(ナイス優也!!)」



 優也が相手を引きつけた所に、右足のインサイドでボールを左に転がし、その先に居たのは翔馬。得意の左足で蹴り込み、今日の先制点を決めてみせた。




「見てる彼女さんにゴールをプレゼントして告白するんだよねー?じゃあシュート外せないよねー?」



「っ……!(何で彼女居るって分かって……!?俺そっちを知らない間に分かりやすく見ちまった!?)」



 相手の海幸のエースを揺さぶり、ミスを連発させて封じる弥一。彼によって海幸の攻撃は呪いにかかったように、攻撃が全然決まらず相手監督の頭を抱えさせる。




「敵さん焦ってるぜー!ビビらず攻めとけー!」



 今日の立見は攻撃的。勝也は相手が噛み合ってないと感じ取れば、チーム全体に前へ出ろと声を張り上げた。



『田村アーリークロス!豪山落として、歳児シュート!!立見が止まらない!』



 右の田村のクロスから豪山のポスト。落とした位置に優也が居て、右足を振り切る。早々にゴールを重ね、立見に勢いをもたらしていく。



「(今日は守備に専念して良さそうかなー)」



 初戦や2回戦では、先制点の為に前へ出て行ったが今日はその必要が無い。弥一は完封の方へと、専念する事にした。



 弥一が攻めない分、勝也を中心とした立見がさらなる追加点を狙って攻め上がる。



「どらぁぁーーー!!」



 雄叫びを上げながら、川田は思いっきりロングスローをぶん投げていく。ゴール前の豪山へ一気に届くと、これを額に完璧なタイミングで捉え、ヘディングを叩きつけた。



 跳ね上がる球にGKは触れられず、長身コンビも負けじと活躍を見せる。




「(予選から見ていたが……何故こんなに強い!?攻撃も守備も、彼らは八重葉のように超越している!)」



 海幸の監督は驚愕したまま、フィールドを見つめていた。予選でも圧倒的な強さだったが、選手権に入ってより強くなっているように思える。



 こちらの点は一切入らず、向こうが得点を重ねて点差は開くばかり。教え子達も食い下がるが、相手は最後の反撃も通してくれなかった。



「(高校サッカーで長年戦ってきた。彼らのような攻撃的、守備的、時には焦らしたりと変幻自在に使い分けて……まるでプロのようなサッカーだ)」



 立見のサッカーは、高校サッカーより先の領域へと行ってしまっている。彼から見て、相手の立見はそう見えたらしい。




 立見9ー0海幸



 歳児4


 豪山2


 水島1


 神山1


 成海1



 マン・オブ・ザ・マッチ



 歳児優也




 他会場でも準々決勝へ勝ち上がったチームが、続々と現れる中で今日は波乱が起きていた。




「嘘やろ……」



 想真は目の前の現実を受け入れる事が出来ていない。呆然と電光掲示板を見つめる先に、表示されたスコアが見える。



 最神0ー2牙裏



     酒井


     天宮



『昨年準優勝の最神第一がなんと3回戦で敗退!ダークホースの牙裏が狩り取ってしまったー!』



「なんでやぁぁ〜〜!」



 耐えきれなくなって、想真はフィールドに蹲って大泣き。他の選手達も呆然となったり、芝生の上に倒れ込んで泣いたりと、全員が敗退のショックを受けてしまう。




「よーしよし!神山先輩に一歩近づいたな!」



「何処目指してやがんだてめぇは」



 今日も勝ち残り、春樹は立見や勝也に近づいていると感じて、嬉しくなっていた。その春樹を狼騎が鬱陶しそうな目で見るも、テンションの上がった彼がそれを気にする事は無い。




 琴峯は室が2ゴールと、残念ながら3戦連続のハットトリックはならなかったが、得点ランキングで首位に立つ。チームも3ー1で勝利と、琴峯高校としては史上初のベスト8に残った。



 そして八重葉は照皇が2ゴールと、こちらも連続ハットトリックはならず。だがチームは8点を叩き出し、10ー0と2戦連続の2桁得点での勝利。前回の選手権でもやっていなかった事を、今年の八重葉は達成して、改めて史上最強の高校チームの力を示した。



 選手権は準々決勝へと進む。

弥一「結構さらっと3回戦が終わりましたー」


勝也「まぁ、圧勝だったな」


川田「相手のエース彼女居たのか……こんな大差で負けると、うーん。気まずい感じになるのかな?」


弥一「彼はあの後、彼女に優しく慰められてそのまま結ばれましたー。おめでとう〜♪」


川田「ええ!?なんか勝ったのにすっげぇ負けた気分……!同情して損したー!」


田村「川田!今年は女子からモテまくれ!それがお前を男として強くさせる!」


川田「うっす!」



勝也「俺が卒業した後の立見、大丈夫か?と少し不安になってきたわ」


弥一「大丈夫じゃないー?多分」

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