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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 選手権編
593/651

プロと出会うサイキッカーDF

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 一足先に試合を終えた立見。次の試合は大晦日となり、他の学校より1日早く試合をこなしたので、中二日は休める。他の1回戦を戦う者はそこから2回戦、1日しか休めないので此処はかなり大きいかもしれない。



「休みっつったのに、お前来る事無いだろ……」



「家でずーっと寝てても暇なんだもん。気晴らしに来ても良いじゃん?」



 1回戦が行われる会場に摩央は立見の偵察係として、2回戦で立見と当たる相手の偵察に来ていたが、そこに何故か弥一の姿もあった。



 昨日試合をしたばかりで、休んでいたが彼は気晴らしに外へ出て来たのだ。



「えーと、確か八重葉とか最神はシードで出番まだだっけ?」



「あっちは2回戦から登場だ。って今はシード校より目の前の試合が最重要だからな?来たからにはちゃんと見てけ」



 改めてトーナメント表をスマホで弥一が確認。八重葉は反対側のトーナメント、最神は立見側の方にそれぞれシードで出場している。



「此処で戦うのが東豪大学附属高校……名前なっが〜、東豪でいっか」



「いちいちフルネームで呼ぶのいねぇから、それで良いだろ。対戦校が天鳥高校だな」



「ああ〜、唐揚げが美味しい大分代表校だ♪」



「それで覚えてんのかよ、総体で立見と試合したろ」



 どちらも弥一にとっては馴染みある高校。天鳥に関しては総体で勝也を欠いた状態で試合をしており、東豪は開会式で共に隣同士となってお喋りした同じ1年、青山番の居る高校だ。



「んで、東豪ってどんなチームなのー?」



「神奈川代表で得点は28点、失点1で勝ち上がった攻守共にレベルの高いチームだな。元々サッカーの名門として知られてるみたいだし」



 主務として、摩央は既に東豪について調べ済み。特徴を弥一に伝えていく。



「1年ながら並外れたフィジカルを持つ青山を中心とした守備に、攻撃は2年の成海と豪山が主に引っ張って……」



「はい?ちょっとストップ、一旦落ち着こうかー」



 弥一の耳に馴染みある立見の先輩2人の名前が出て来て、摩央の話を一度止めた。



「それってあの2人の弟か何か?そう簡単に見つかるような名字じゃないと思うしー」



「俺もそこは「え?」となったけど、開幕戦に向けて集中してる先輩達見て「弟居るんですか?」とか、聞ける雰囲気じゃなかったから」



「成海薬都、豪山智春……いや豪山先輩一緒じゃんって思ってたら、読み方違うんだねー。立見がちはるで、東豪がともはると」



 弥一と同じく摩央も目を疑って、二度見した事を思い出す。




 東豪と天鳥の両チームがフィールドに入り、それに合わせて歓声が沸いてくる。



「いけいけ東豪ー♪」



 一緒に喋った仲の番がいるせいか、弥一は東豪の応援をしていた。




「お、君は東豪のファンか?応援ありがとな!」



「……え!?」



 弥一の応援が聞こえて、男が話しかけて来た。その声に弥一と摩央が振り向くと、弥一よりも隣の摩央の方が驚愕していた。



 パーマのかかった黒髪、年齢は20代前半ぐらいの若い男性。サングラスをかけて、その素顔を隠している。だが摩央から見れば、彼の正体はすぐ分かった。



「ひょっとして、あの……小熊選手ですか?」



「バレたか。サングラスで隠しても分かる人は分かるんだなぁ」



 小熊という男は摩央に自分の正体を見破られ、右手で自分の頭に手をやりながら軽く笑う。



「おおー、プロの人と出会うって凄いね〜♪」



 その弥一も摩央と同じく、小熊が何者なのか知っている。




 小熊俊太(おぐま しゅんた)



 J1の埼玉フォルテに所属するプロ選手で、今年のリーグ得点王に輝いた若手No.1ストライカー。



 185cmの長身に加え、跳躍力を合わせ持ち、ドリブルでの単独突破も得意でパワー、テクニック、スピードと全てが一級品。五輪日本代表に選ばれており、A代表のエース候補とも言われる程の実力者だ。




「やべ、ガチ本物……!さ、サイン……!色紙……!」



 彼のファンである摩央は珍しく興奮気味に、自分の荷物を漁って色紙が無いか探す。



「……ん?君、何かどっかで見たような」



 その小熊は弥一に気づくと、彼の顔を見る。今の弥一もサングラスをかけていて、黒い帽子をかぶって変装していた。



「確か立見の神明寺弥一……じゃないか?」



「あ、違いますー♪」



 小熊に正体を言われるが、弥一は笑顔で誤魔化す。



「そうなのか?結構似てるかなって思ったんだけど」



「言われるんですよー、友達からは名前も似てるからお前そっくりだろ!ってなってましてー。ちなみに僕は与一です♪」



「弥一と与一……それは確かに似てるなぁ」



 咄嗟に友達とのエピソードを作り上げ、自分の名前も一文字だけ誤魔化して弥一から与一と名乗る。東豪のファンとして、此処は過ごすつもりのようだ。




「東豪について知ったのは最近で、そこで1年のDFで要として活躍してる青山君が凄いと思ったんですよー。注目するようになってたら、何時の間にかファンになってました♪」



「確かに青山は1年でプロ級のフィジカルを持ってるな。まぁ、俺から見れば課題はまだまだ山積みだけどさ」



 2人が話す目の前で試合は始まっており、東豪が攻め込まれる。クロスを上げられるが、番は相手FWに空中戦で競り勝って、頭でクリアしていた。



「あー……ポジショニングちょい甘めだけど、フィジカルでカバーしてクリアしたって感じでしょうか?」



「そうだな。彼の身体能力は脱帽するけど、技術面が甘めだ。ただそこを改善すれば、彼はもっと一流のDFとして活躍出来ると思う」



 今の競り合いは相手FWの方が良い位置に付いていた。それを番は持ち前の身体能力で、カバーして補ってると同じDFの弥一、1流のプロ選手である小熊から見てすぐ分かった事だ。




 守りきって今度は東豪の攻める時間帯。中盤で2年の方の豪山が周囲の選手と上手くパスを繋ぎ、天鳥のプレスを掻い潜る。立見の3年の豪山とはポジションが違えば、体格もプレースタイルも全く違った。



「よっし、良い展開!」



 東豪の攻撃に小熊は良い感じだと手を叩く。



 2年の豪山から高いクロスがゴール前に上がれば、2年の成海が跳躍。長身とジャンプ力によってDFとの空中戦を制し、頭で落とせば東豪の選手がゴールへ蹴り込み、ゴールネットを揺らした。



 東豪の成海はFWで、立見の成海と比べて長身とこちらもプレースタイルなど色々違う。



「小熊さん、熱心に東豪を応援してますけど特別な思い入れがあるんですかー?」



「馬鹿!あの人は東豪のOBだっての!すみません、この野郎は少し疎い所がありまして……」



 小熊が東豪を応援するのは、何か思いがあるのか弥一が尋ねると、横から色紙を探し出した摩央が口を挟む。



「まあ世話になった母校だからね。俺の代で優勝が無理だったから、後輩達にそこは行ってほしいと思って応援してるんだよ」



「小熊さんの代も八重葉って強かったんですかー?」



「強かったけど俺の時は優勝していなかったな。今の八重葉は照皇や工藤といった天才達が加わり大城、村山といった優秀な選手達が成長して今の最強チームが出来上がったんだろう」



 弥一と小熊が話している間に試合は進み、豪山と成海の東豪2年コンビで追加点を決めて、天鳥を2ー0と突き放す。



 後半も変わらず東豪ペースで試合は進み、このまま行けば立見の相手は東豪で決まりだ。



「(前線は190cm近い成海薬都が頭で繋いだり、直接叩きつける……最長身ストライカーと言われる室とタイプが近いな。豪山智春との連携力も高いと来て、あっちは小柄だけどテクニックが高い……それを中心とした中盤に後ろの身体能力が高いDFか)」



 全体的に高い総合力。神奈川予選は激戦区と言われ、そこを高い成績で突破しているので、一筋縄ではいかないだろう。



 摩央は初戦のような圧勝が、今度は無さそうと見ている。




「「ナイスクリアー!」」



 そこに弥一と小熊の声が重なる。ボールを大きくクリアした、番へと向けられた声援だ。2人とも応援と同時に、普通に試合を楽しんでいた。



 試合はこのまま2ー0で終了。東豪が勝ち上がり、立見と2回戦で大晦日の対決となる。




「さて、じゃあ俺はそろそろ戻るよ」



「あ、サインありがとうございます!」



「来年も頑張ってください♪」



 あれから摩央は小熊にサインを書いてもらい、ご満悦みたいだ。立ち去る小熊に弥一はエールを送る。




「君も頑張ってな、与一君」



 それに対して、小熊は弥一へ去り際に一言返していた。





「(食えない子だな。試合を楽しみながらも……あの急所を探るような目は)」



 会場の外に出て来た小熊は振り返り、スタジアムを見上げる。この時、自分と話していた弥一の姿を思い出す。



 ファンを装い、偵察に来ていた事は小熊には既にお見通しだった。知った上で彼は合わせていたのだ。



 試合を見る彼の目は、まるで獲物を狙う狩人。ああいう目はプロでも中々見ない。



「(大晦日、お手並み拝見といこうか)」



 小熊にとって大晦日の立見と東豪の試合が楽しみとなり、弥一のプレーをじっくり観察しようと決めれば、再び歩き出す。




 1回戦はこの日、全て行われる。



 初戦の弥一に負けじと、琴峯の室がいきなり爆発。初戦でハットトリックを達成して、6ー1でチームを勝利に導く。



 更にそれを上回ったのは、大会のダークホースとして注目される牙裏。狼騎が4点を叩き出して、大会得点ランキング単独首位となり、チームも8ー0と大勝。



 大会注目のストライカー2人が、共にハットトリックを達成するも、立見の初戦10ー0とDFの弥一が3点を決めたインパクトには及ばなかった。

摩央「与一ってなんだよ、弓かお前は」


弥一「ゲームで覚えた名前が咄嗟に出て来たんだよねー」


摩央「勉強じゃなくゲームかい。けどまぁ……結構聞く時はあるな」


弥一「 大体めっちゃ強い武器として出て来るからさぁ〜」


摩央「今だとスマホゲーのガチャで限定ピックアップの武器として出そうだ」


弥一「あ〜、回すかどうか迷うヤツねー。それが周年間近だと特にどうしよう!?ってなりがちな〜」

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