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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 選手権編
582/651

イタリアから来た天才の電撃訪問

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「ん?」



 立見高校は昼休みを迎え、勝也が京子に作ってもらった手作り弁当を食べようとした時。自分のスマホが振動してる事に気付き、手に取る。



「え、マジかよ」



「勝也何かあったの?」



 勝也と昼食を共にする京子。スマホを見て反応する彼に、何かあったのかと目を向けた。



「弥一が放課後の部活に来るって」



 勝也が持つスマホの画面を京子に見せると、そこには弥一からのメッセージが届いている。




『朝は休んじゃってゴメンー!午後は行けるから午後の練習参加するねー♪』



 ゴメンのスタンプ付きだった。





「おい弥一、そんな急に立見訪問って大丈夫なのか?お前今日はscuola(スコーラ)を休んでいると言ってただろ」



「まあそこはなんとかなるって。ちゃんと伝えたからさ?勿論ディーンが来る事は言ってないけどー♪」



 弥一とディーンは今、立見行き電車内の席に2人で座っていた。相変わらず2人が気付かれる気配はなく、周囲は寝ていたりスマホに夢中と、正体がバレる心配は無さそうだ。



 ちなみにディーンの言ったスコーラとは、イタリア語で学校を意味する。



「まさかこれから立見に行けるとは俺も思っていなかった。てっきりアキバで1日過ごすのかと思った」



「それも良いねー。ホビーショップ巡ったりとかもしたかったけど、ディーンにとってはそれよりも良い場所になるかもしれないし」



 ディーンの立見に行ってみたいという気持ちは、心の読める弥一にしっかり届いていた。そこからの彼に迷いは無い。



 放課後の練習には参加する。それだけを伝え、ディーンが来るどころか、人を連れて来るような事も一切伝えていないのだ。



 此処は弥一の悪戯心が芽生えていた。



「立見には神山勝也だけじゃなく面白いのが沢山居るんだよー。僕の同級生で川田保っていうのが立見の人間発射台って呼ばれてて、同じく歳児優也っていうのも歳児タイムって言われててさぁ〜」



 立見に行く前、弥一はディーンに自分の仲間達について語っていく。





「ぶぇっくし!」



「っくしゅ!」



 同じ頃、教室で授業を受けている川田と優也が揃ってクシャミをする。



「(寒くなってきたからなぁ……もうちょっと暖かくするかな)」



「(俺の自己管理もまだまだという事か……)」



 弥一がディーンに2人の事を伝えている事など、知る由もなく気を取り直して授業に集中する。





「到着ー。此処が僕の通う立見だよー♪」



 立見駅に電車が到着して2人は下車。先に弥一が立見駅の外に出れば、ディーンの方へ振り向いて自分の通う場所だと、明るい笑顔で紹介した。



「行く前に立見のパン屋とかどうー?あそこビーフシチューパンにメロンパンとか美味しいんだよ〜♪」



「さっきラーメン食べたからいい。このまま立見に真っ直ぐ向かってくれ」



「了解、行くよー」



 弥一オススメのパン屋への誘いは断り、ディーンは真っ直ぐ立見高校に行く事を望む。その望み通り先程と同じく、弥一が先導する形で歩き始める。




「しかしサッカー部まで行けるのか?俺は部外者なんだが」



「行ける行ける、此処まで来たら最後まで行ってみようよー♪」



 道中にディーンは部外者の自分は入れないのでは、と思った事を弥一に伝えるが彼の方は何の根拠があるのか、大丈夫だと答えて歩みを止めない。



 話してる内に立見高校はもう見えてきていた。



「見えた!あれが僕の通う立見高校だよー」



「あれが……弥一の今通っている場所か」



 弥一が右の人差し指で指し示せば、ディーンは彼の示す高校を興味深そうに眺める。



「さあ、じゃあ行こうかー」



「待て弥一」



 慣れ親しんだ高校に弥一が向かおうとした時、ディーンの右手が弥一の左肩を掴んで歩みを止めさせた。



「どしたの?」



「どうしたもこうしたも、正門の方を見ろ」



 ディーンが目で正門の方を見るよう、促すと弥一はそこに立っている者に気付く。高校を守護する警備員だ。



「部外者の俺はまず通れないだろ。弥一、高校を見せてもらっただけで充分だ」



 立見高校と何も関係無いディーンが、このまま行って通してくれるとは思えない。



「ダメ元で行こうよディーン。通してくれるかもしれないしさ」



「!おい……」



 構わず弥一はディーンの背後へ回り込み、その背中を押して高校へ進もうとしていた。こうなったら弥一は引きそうにないと、ディーンの方が折れて共に正門へ向かう。




「お疲れ様でーす♪」



「ん?おお神明寺君、今朝は見かけなかったけど具合悪かったのか?」



「いやー、ちょっと用事入っちゃって今日はどうしても朝行けなかったんですよー」



 普段から出入りする時、弥一は警備員と挨拶を交わしているので親しい感じだ。



「おや、隣に居る子は誰だ?」



 流石にそのままディーンに気付かずスルー、という事などなく警備員が彼の姿に目を向けた。



「彼は僕の友達で遠くから来たんだけど、立見サッカー部に案内したくて連れて来たんですよー」



「友達って、立見高校じゃ見かけない顔だな……駄目だよ何処の誰かも分からない部外者を入れたりするのは」



 何処の誰か分からない不審者は通せない。何も間違っておらず、警備員としての役目をしっかり果たしている。だが彼を突破しない限り、ディーンがサッカー部に行く事は不可能だ。



「この彼でも駄目ですかー?」



「っ!?」



 すると弥一はいきなりディーンの身に着けてる、帽子とサングラスを素早く取っていった。日本に来て初めて彼の顔が今晒される。




「え……えええ!?さ、さ、さ、さ、サルバトーレ・ディーン!?」



 ディーンを見て警備員は驚きのあまり、腰を抜かして地面に尻餅をつく。彼にとって相当な衝撃だったらしい。ディーンの方は警備員に初めましてと、小さく頭を下げていた。



「ちょ、神明寺君!彼ディーンだよな!?何で異次元の魔術師が、イタリアの超至宝が此処に居るんだ!?」



 警備員はパニックに陥り、これが夢なのか現実なのかよく分からなくなってしまう。目の前の金髪の少年が何者で、どれだけ凄いか理解してるからこその驚きだ。



「お忍びの来日なんですよー。それで立見のサッカー部が見てみたいとなって案内しました♪」



「お、お忍び!?本当にそういう事あったのか!初めて見た……!」



 驚いた表情のまま弥一の話を聞きながら、尻もちをついた体勢で警備員がディーンの顔を見上げる。



「それでお願いですけど〜、今回は特別って事でディーンを高校に入れても良いですか?何処の誰かハッキリ分かりますから♪」



「いや、それは……」



 弥一の言うように何処の誰か分かるが、立見ではない部外者を勝手に入れていいのかとOKの返事は出ない。そこで弥一はダメ押しを狙い、尻餅をつく警備員の耳元に顔を近付けた。




「後でディーンに頼んでサイン貰ってプレゼントしますよ?頼めば握手もしてもらえると思うんで」



「!!」



 弥一の囁きを聞いて、警備員の心が激しくぐらつく。




「み……ミスターディーン、握手OK?」



「ん?ああ」



 イタリア語を話せないので警備員は右手を差し出しながら、握手したいと行動で示す。彼の言ってる事を全て理解したディーンも右手を差し出せば、警備員と握手を交わしていた。



「うわぁぁ〜、妻や息子に自慢しないと……!」



「あのー、それで通って良いんですかー?」



「え?ああ、早く通って通って!特別だから!」



 通って良いと許可を貰い、弥一とディーンは共に正門から校内へと入る。




「駄目かと思ったが、まさか本当に通って良いとは」



「だから大丈夫だって言ったでしょー?ディーン後でサイン1枚書いてねー♪」



 あの警備員がサッカー好きの上、ディーンの大ファンである事は彼の心を覗いて既に把握済み。警備員の守備をディーンの力と弥一の交渉術によって、突破に成功していた。





「おーし、全員集まったかー?」



 放課後の立見サッカー部は部室前に集まる。勝也が全員揃ってるかどうか、部員達を眺めて確認していた。



「弥一以外は皆来てまーす」



 摩央も部員の数を確認して勝也を手伝う。この場にいない弥一以外、全員が集まっている。



「ああ、その弥一だけどな皆。昼休みの時に連絡が入って放課後からの練習に顔を出すそうだ」



 昼に弥一からのメッセージを見た勝也が、その事を部員達にも伝えた。皆が今日は休みじゃなかったのかと、何で午後に急に来るんだろうと、場がざわつく。




「ギリギリセーフー!神明寺弥一到着しましたー♪」



 そこに聞き覚えのある、高めの声が部員達の耳に届く。一同が声のした方向へ振り向くと、私服の弥一が駆けつけて来る姿が見えた。



「弥一!重役出勤にも程があんだろー!」



 朝練に参加せず、大幅に遅れて今になって参加の弥一に向かって、間宮から大声が飛ぶ。



「遅れた理由については彼の事を迎えに行ってたからですよー」



「彼……?」



 弥一が皆の前に現れ、理由について語っていた時。1人の人物が部員達の居る場所へと、歩いて近づく。




「ん?……嘘ぉ!?」



「ちょ!待って!?」



「あり得ん!ある訳無いだろぉ!?」



 彼に気付くと部員達がそれぞれ驚きを見せていた。



「な……な……!?」



 勝也もその姿を見れば、口をパクパクさせるのみで言葉を発せられなかった。




「立見の皆さん初めまして、サルバトーレ・ディーンです」



 サングラスや帽子を取り払って素顔を見せた、異次元の魔術師が姿を現して挨拶をした時、立見サッカー部はパニック状態に陥る。

弥一「サプライズ大成功〜♪」


ディーン「弥一、かなり驚いてるみたいだぞ」


弥一「やっぱ折角ディーンがこうして立見来てくれたから、ビックリさせようと思ってさー♪」


勝也「(サインサインサイン!)」


弥一「ディーン1枚って言ったけどサインもう1枚お願い出来るー?」

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