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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 選手権編
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日本とイタリアの天才2人による密かなオフ

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 平日の朝、日本の空港に降り立つ人物。トランクを引いて、黒い帽子を深くかぶりながらも、金髪が見え隠れしていた。その正体を隠すようにサングラスもかけた状態だ。



「ふぅ……」



 空港の待合室にある椅子へ腰掛け、軽く息を吐く。スマホを取り出して、時間を確認していると彼に声を掛ける者が現れる。



「イタリアから長いフライトお疲れ様ディーン♪」



 明るい声がすれば、そちらを向くと秋の私服を身に着けた弥一が駆け寄って来る姿が見えた。



「わざわざお前が空港まで出迎えに来てくれた事に驚いたぞ弥一」



 サルバトーレ・ディーン。イタリアセリエAでミランと若くしてプロ契約を交わした、海外のプロサッカー選手。



 弥一とはミランのジョヴァニッシミ時代のチームメイトで、彼らは共に最強の天才集団として不敗神話を築き上げてきた。



「超人気だってのに、良いの?ボディガードとかそういうの無しで」



「そんな大層な身分じゃないだろ。自由に出来る日でそういうのは窮屈だ」



 本人はそこまでの身分ではなく不要だと言うが、彼は将来間違いなく世界最高の選手となる逸材。10年に1人どころではなく、100年に1人と言われる異次元の天才だ。



 今のサッカー界の若手の中で最も注目される彼が、正体を見せればサッカーファンはまず気付く。



「案内してくれるんだろ?行くぞ」



「長旅で疲れてないのー?」



「ずっと飛行機の中だったんだ。動いた方が休める」



 弥一はディーンに日本の東京を案内する役として、彼と行動を共にする。念の為、弥一の方も帽子をかぶって変装はしておいた。





 その頃、立見高校では何時も通り平日の朝練に励んでいた。



「弥一が今日休みって、あいつ体調崩したか?冬が近づいて来て風邪引いたとか」



「いや、あいつ昨日帰りに俺らとパンを美味そうに食ってたし。具合悪そうには見えなかったぞ」



 朝練で汗を流し、小休憩に入る川田へ摩央がドリンクを差し出しながら、2人はこの場にいない弥一について話す。



「秘密のデートとか?」



「学校サボって急に?それはどうなんだ……」



 田村は弥一が誰にも言えないデートしてるな、と面白そうに笑って影山はあまり現実的じゃないような、と考え込む。



「休憩終わりー、お前ら練習戻れー!」



 そこに勝也から休憩の終了が告げられ、部員達は再び練習に戻る。



「(急に昨日連絡来たと思ったら明日学校を休むって、何しに行ったんだよあいつ……?)」



 勝也は弥一から休むという連絡を受けており、顧問の幸にも届いていた。相変わらず自由で行動に迷いが無いなと思いつつ、勝也も再び朝練に励んだ。





「日本と言えば此処だねー、オタクの聖地アキバー♪あ、正式には秋葉原だよ?」



「……なんというか、凄い所だな。広告がアニメのキャラばかりだ」



 弥一の案内で2人は電車に乗って、東京の秋葉原へ来ていた。幸いディーンの事はバレておらず、パニックにはなっていなかった。



 ディーンにとって未知のアキバであり、様々なアニメキャラの看板や広告のある風景を見回している。少なくとも彼が母国に居た時は、こういう光景を見てきていない。



「あれがメイドか。わざわざその格好を外でしてるのか」



 ディーンの目の前には看板を持って、呼び込みをしてる可愛いメイドの姿が見える。彼女と目が合った時だった。



「ディーン、あっち行くよー」



「ん?ああ」



 メイドから遠ざけるように、弥一はディーンの手を引っ張って歩き出す。心の読める彼から見れば、彼女はただの客引きで何も知らなそうなディーンに近付こうとしていた。



 獲物を罠にはめようとする邪な心が見えたので、弥一はメイド達の居る通りを避けて移動する。ボディガードの居ない状態だが、ディーンを守る鉄壁のDFを弥一が務める形だ。




「右!右!ハンドル切ってー!」



「っ!?」



 大型のゲームセンターに来れば、ディーンは初のレーシングゲームに挑戦。彼の操る車は安定せず、弥一が横からサッカーでコーチングするように伝えている。




「おー、一発でゲット凄いー♪」



「さっきよりは簡単だ」



 クレーンゲームでフォルナに似た、白い猫のぬいぐるみをアームで掴めば景品口へ運んで落ちていく。ディーンとしてはこっちの方が得意らしい。





「日本の定番の食事場所はこんな感じか」



「そうだよー、寿司とか天ぷらとか蕎麦ってイメージあるけどラーメンだって日本のソウルフードだからねー♪」



「それぐらい分かる。イタリアに日本食レストランがあるのはお前も知っているだろう」



 ゲームセンターで遊んだ後は少し早めの昼食で、2人はラーメン屋へと入る。向かい合う形で席に座り、弥一は醤油ラーメン、ディーンは塩ラーメンとそれぞれ注文。イタリア人だが彼は日本語のメニューを理解し、流暢な日本語でスムーズに店員と話していた。




「日本で食べるラーメンは美味しいから期待しといて良いよー♪」



 注文のラーメンが来るまでの間、弥一は日本のラーメンは美味いと太鼓判を押してディーンに勧めている。



「変わってないな弥一。明るく、美味い食事を前にすれば嬉しそうだったり幸せそうな所とか相変わらずだ」



「そうー?変わってないって成長無いとか思われそうだなぁ、そりゃ背は伸びてなくて外見の成長は無いかもだけどー」



 その太陽のような明るさはイタリアの時から変わっていなかった。彼がイタリアを離れて日本に帰国した今、楽しく過ごせているようだ。




「……お前がミランを追い出された事については、何も思っていないのか?それとも忘れて無かった事にしたのか?」



 ディーンが口を開くと、弥一の頭の中ではイタリア留学時代の光景が蘇る。イタリアで出会った彼とチームメイト達で過ごした記憶は、日本に帰って来た今も鮮明に記憶として残っている。



「別に忘れてはいないよ」



 それを語る弥一の顔から笑顔は既に消えていた。

大門「本当にただ風邪で休んでる」


摩央「その時間しか食べられない美味い店を見つけて向かった」


翔馬「僕達に見せられない秘密特訓をしてる」


田村「有名な可愛い、または美人の彼女とお忍びデート!」


勝也「皆勝手に色々予想してんなこれ」

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