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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 選手権編
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ライバル達の反応と祝勝会

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「予選の総得点59ってなんやねん!?」



「ホンマ化け物やな立見!」



 大阪にある八神家にて、想真と兄の直人がリビングでたこ焼きを焼いている。焼き上がった出来たてを食べつつ、立見の予選最多得点のデータをノートPCで見ていた。



「八重葉でも確か49点やったし、東京予選は結構過酷なはずや。これ夏とは全然ちゃうで」



「わぁっとるわ。なめたら火傷程度じゃ済まんやろし……あっつ!?」



「あ、めっちゃ熱いの引きよったなお前」



 夏から秋の間に何があったんだと思いながら、想真がたこ焼きを頬張り続けた時に熱さで手足をバタバタさせる。



「次の選手権で負けて泣きまくって体内の水分無くならんよう気ぃつけや」



「泣く訳ないやろ!」



 からかうように笑う兄の直人に言われながらも、選手権では泣かずに最高の結果で終わらせてやると、想真は熱さで涙目になっており、たこ焼きに泣かされかけていた。



 1年の想真が率いる最神第一高校。大阪予選を無事に勝ち抜き、冬の選手権出場を決めている。





「見ろ、立見のこの結果」



「見ろも何もてめぇ、それ見せんの何回目だコラ」



 牙裏学園のグラウンドで、休憩の合間に春樹から押し付けられるように、狼騎は立見の予選の試合をスマホで見せられていた。



「僕達も点は結構取ってたけどなぁ。立見どころか八重葉にも届かなかったから」



「総得点高い方が勝ちってゲームに何時変わったんだよ?」



 牙裏の岐阜予選は狼騎を中心に、凄まじい得点を叩き出したが、立見と八重葉の総得点には及ばない。それでも45点と全国で3位の記録を叩き出して、得点力の高さを見せ付けていた。



「勝也さんが覚醒して立見の快進撃が始まったんだきっと!これは八重葉も危ないんじゃないか!?」



「選手権楽しむ客じゃねぇか。春樹、てめぇ思い出作りで選手権行く気かおい?」



「そんな訳無いだろ、勿論出るからには優勝に決まってる」



 勝也が活躍してると知れば、彼を崇拝する者として興奮が抑えきれない。狼騎に睨まれる中、春樹は彼の目を真っ直ぐ見てハッキリ言い切る。



「最高の状態の立見と勝也さんを迎え、その上で勝って頂点に立てれば僕は極上の幸福に満たされ、人生最良の日を迎える事になるんだからさ」



「その年で人生最良語んの早過ぎんだろ。優勝は勿論狙うけどよ」



 小さく笑みを浮かべる彼の目は何処か狂気に満ちており、春樹は立見や勝也と戦うのを心底楽しみにしていた。それを見て、狼騎は頭イカれてんなと内心思いながら練習に戻る。





「ぶはっ!はぁっ……はぁっ……しんど……」



 八重葉は静岡予選を圧倒的強さで制し、優勝して間もないが既に日課の練習にチームは切り替えていた。月城がこっそり1人で抜け出し、スポーツドリンクを飲んで小休憩中。



「軽いぞ!もっと当たり厳しく素早く行け!」



 熱の入ったキャプテン大城の声が、八重葉専用のサッカーグラウンドで響き渡る。静岡予選を制しても、彼らは厳しい練習を繰り返す。




「優勝したってのに祝勝会無しで、もう厳しい練習ってなんだよ……少しぐらい浮かれて休んでも罰当たんねぇだろうが……!」



「おい月城!たるんどるー!」



「っ!?すいません、ちょっと休んでただけ……」



 休まず練習を続けるチームに対して愚痴る月城へ、注意する声が耳に轟く。驚きながらその場から立ち上がって頭をさげると、笑いを堪えるような声が聞こえた。



「割と引っかかんなぁ亨。マリーシア得意のくせに」



「勘弁してくださいよ龍尾先輩!マジでビックリしたぁ……」



 怒鳴った人物は龍尾で、彼も休憩の為抜け出している。驚かされた月城は怒った後にホッとして、再びドリンクを飲む。



「あいつも熱入りまくりでさぁ、さっきシュート練習にあんだけ付き合ったのにまだ物足りねぇらしい」



 同じく水分補給する龍尾が視線を向ける先には、懸命に走って練習に取り組む照皇の姿があった。



 同級生の佐助とデュエルとなり、一段とキレの増したフェイントで躱していく。予選の優勝で浮かれている様子は一切感じられない。



「皆そんなに立見が予選最多得点を取ったの警戒してんスか?うちは東京の雑魚チームと違って失点なんかしないでしょ」



 本人達が聞いたら間違いなく怒るであろう事を言えば、月城はそこまでしなくても勝てるだろうと、祝勝会も休みも無い不満を漏らす。



「立見とはPK戦まで行ったから、そうなっちまうんだろうよ。八重葉があそこまで苦戦したのは俺が入学する前まで遡って随分久しぶりみたいだったしな」



「最近はもう得点重ねて無失点当たり前になりましたからね。けど大丈夫でしょう?龍尾先輩が守ってれば失点なんてあり得ないっスから」



「あー……」



 総体で行われた立見とのPK戦。今回も何時も通りに全員止められると思ったが、弥一にゴールネットを一度揺らされている。



 その事は今も忘れておらず、龍尾は後輩との会話の中で夏の戦いを思い返した。



「(確かに完封はした……けど、俺から決めたあいつがもっと攻撃的に出て来たら、神山が負傷してなくて最初から出ていたら、どうなってたんだ?)」



 八重葉にとっては有利な試合条件だった。そうじゃなければどうなってたか、次の選手権でもそうなるとは限らない。予選で快進撃を見せつけた立見が、万全の状態で八重葉と戦う可能性も考えられる。



「あの、龍尾先輩?」



 何時の間にか険しい表情を浮かべていた龍尾。月城はどうしたんだと、彼に声を掛けていた。



「亨、休憩充分ならシュート練習行くぞ。俺が付き合うからよ」



「え?ちょ、急にどうしたんスか!?」



 このままもう少し休めるかと思った月城だったが、龍尾から練習に誘われて再び戻る事となる。



 弥一と勝也の存在。そして立見の快進撃を知れば、照皇達のように天才GKにも火が灯されたようだ。





「立見サッカー部、選手権出場おめでとうー!」



 立見高校の体育館をパーティー会場として貸し切り、サッカー部や関係者達が集まって、祝勝会が行われていた。



 様々なジュースが用意されたり、ご馳走も大門の実家である飛翔龍の中華料理がずらりと並べられ、武蔵の実家の寿司屋がその場で寿司を握ったりと豪華なパーティーだ。



「この世の楽園だ〜♡ずっと此処に居たい〜♡」



 弥一は大好物である飛翔龍の炒飯を中心に、パーティーの料理を存分に堪能して幸せそうな表情を浮かべる。



「小学校の時に続いてまた弥一がお世話になってるみたいで、輝咲ちゃんありがとう」



「いえ、僕も弥一君と再び出会えて同じ学校に通えてる事が凄く嬉しいですから。こちらこそありがとうございます」



 弥一の母、涼香から感謝を受けると輝咲は礼儀正しく頭を下げた。



「ひょっとして弥一と付き合ってるとか?」



「え?あ……そういう訳では」



 突然涼香から息子と付き合ってるのかと聞かれ、輝咲は若干戸惑いを見せる。



「ああ、ごめんなさいね?弥一にはしっかりした女性が側に居てくれた方が安心で、輝咲ちゃんみたいな子だったら任せられるかなって思っただけだから」



「それは、光栄です」



 そう言われて輝咲は涼香へ微笑むと、内心では嬉しさが込み上がって来た。密かに彼を想う彼女としては嬉しい言葉だ。



 涼香が他の人へ挨拶に向かい、輝咲が弥一に視線を向けると。



「弥一君、これも美味しくて私のイチオシよ♪」



「そうなのー?」



 そこには弥一の側で一緒に食事する雷子の姿があった。



「あーんして食べさせてあげよっかー?」



「ちょっと雷子」



 更に弥一と親しい仲になろうとしている雷子。そこに輝咲が割って入って来る。



「今弥一君に何しようと……いや、君は立見サッカー部の関係者じゃないだろう?」



「えー?私もサッカー部と勝負して関わったし関係者でしょ。こうして入れたから、そこはゆる〜く行こうって」



「(セキュリティが甘いなぁ……)」



 バレー部の雷子がすんなり入れる辺り、サッカーでの立見の守備と違ってガードが甘いと、輝咲は内心そう思った。




 一方の弥一は料理の方に夢中になっている。その時、彼のスマホが揺れ動く。



「あ……」



 画面を見れば、弥一は体育館の外へ向かう。



「大体バレーも恋愛も攻めなきゃー、一気に距離詰めて私が大逆転しちゃうかもよ?」



「それで自分のしようとした事を棚に上げないでくれるかな」



 彼がいないと知らないまま、女同士の間に火花が散っていた。




「あ、俺ちょっと手洗い行くわ」



 勝也が一言伝えてから、体育館の外へ出て手洗いに向かう。そこに弥一がスマホを持って話してる姿が見える。



「(何話してんだ?日本語じゃねぇよな……何語か全然分かんねぇ)」



 何を話しているのか、日本語以外に疎い勝也には、電話で弥一が何言ってるのかは分からない。




「……ディーン」



「!?」



 勝也の耳に人の名前のような言葉が聞こえた。弥一の声から、確かにそれは発せられている。



「(ディーンって、まさか……!?あ、やべ!)」



 考え事をしていたら今の自分の状態に気付き、急ぎ足で手洗いへと向かう。




「じゃ、待ってるね♪」



 勝也が去った後、弥一は電話越しの相手に明るい口調で言って会話を終了していた。

田村「弥一、モテるようになっちまったなぁ〜。お姉さん2人と一緒だぜ?それもタイプの違う美人2人!」


川田「うーん、羨ましい……」


田村「そう思うならお前も早く彼女作れよー!なんだったら景気づけに久々のショートコント行くか!?」


川田「絶対嫌です!」


影山「やった瞬間に多分、暗転になっちゃうね」


間宮「丸々カットだろうよ」

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