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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 選手権編
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シード校として挑む初戦

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 高校サッカー選手権、東京予選も1次予選が終わり、大会は2次予選へと入った。



 2つのブロックに分けて各校が競い合い、AとBのトーナメント優勝者が東京代表となって、冬の全国大会に出場する事が出来る。



 1次予選から戦い勝ち上がった高校に加え、シード校が2次予選から参戦して、全国への切符を目指す熾烈な争いが、この日も繰り広げられようとしていた。




「結構久々の公式戦だなぁー」



 シード校の立見が初戦を今日迎えて、弥一はフィールドで軽くボールを蹴る。その時、彼に対して視線を向ける者が数多く居た。




「(ミラン帰りの神明寺弥一……マジ小さいな)」



「(けど総体で結構活躍してたし、要注意のDFなのは確かだよな)」



 視線の正体は対戦校の本橋(もとはし)高校。1次予選から勝ち上がって来た彼らは、立見で弥一が最も厄介だと見ている。



 立見は総体で敗退したとはいえ、八重葉とPKまで争った上に無失点のままだ。そして弥一は天才GKと言われる龍尾のゴールネットを、PKといえど揺らしている。



「 (確か八重葉戦で照皇が神明寺を徹底マークして、攻撃参加はさせなかったからFWが守備の時はあいつを前線で徹底マークすれば封じられるはず……)」



 本橋は八重葉がやった方法と同じように、弥一を徹底マークしようと考えていた。



「(あ、そう来ちゃう?)」



 作戦が弥一から筒抜けだと気づかないまま……。





 立見の初戦スタメン



 GK 大門



 DF 間宮 神明寺 田村 水島



 MF 川田 成海 岡本 影山 神山



 FW 豪山



 ほぼ何時も通りのスタメンで、川田は夏に続いて司令塔を任されていた。彼はまだこのポジションで経験が浅く、不慣れだ。こういう本戦でいくつか経験を重ね、成長させようと勝也達で話し合って決めた事だ。



「神山先輩戻ったから俺本来の位置かと思ったけど……」



「良いじゃん、キャプテン直々に司令塔へご指名なんて凄い事だよ?」



「そうそう、この機会に本格的に転向しちゃえば?」



 総体以来の公式戦で司令塔となる川田。あれから日が空いて上手くやれるかどうか、不安に思っているのが弥一から心で見えていた。



 此処は声を掛けておこうかと、弥一が席を立って川田の元へ行こうとした時。




「俺が司令塔の時が1番強い、俺が最強だって思おうよ」



「そうそう、夏の時も行けたしそれで」



 同じ1年の翔馬と武蔵が川田の肩へ、それぞれ手を置けば言葉をかけていた。これを見た弥一の足は立ち止まる。



「そっか……うん、1回思ってみよう。駄目だったらまた一緒に考えてくれるか?」



「当たり前だよ。司令塔駄目だったら攻守で大変になっちゃうし、楽したいからね」



「そこ仲間だから当たり前だろ、とかじゃないのかよー」



「何だよ、お前そういう熱いの希望してたのか?」



 1年同士笑い合う姿を見れば、心配無さそうと弥一は今回声を掛けずそっとしておく。



「大門ー、今日シュート飛んで来ないかもだけど集中忘れずにねー♪」



「当たり前だろ。初戦こそ気が抜けないし」



 弥一は近くで準備を進める大門へ声を掛けてから、一足先にロッカールームを出てフィールドに向かう。




 フィールドに両選手が現れてキャプテン同士のコイントスが行われ、立見が先攻を取ると勝也はそれをチームに伝えた後に円陣を組む。



「相手は1次予選から戦い勝ち続けて波に乗ってる相手だ。飲まれんじゃねぇぞ!」



「立見GO!!」



「「イエー!!」」



 何時もの立見の儀式を終えて皆が開始の位置に着く。





「……何で君がいるのかな雷子、バレーはどうした?」



「休みよ?それで今日サッカー部が試合やるって聞いたから、オフはそれ見て過ごそうってなって此処に足運んだの」



 会場のスタンドに輝咲の隣の席で、同じ2年の女子バレー部員の雷子が何故か共に立見の試合を見に来ていた。



 輝咲としては自分へと、弥一に関する事で気になる宣言をされたから、サッカーを見に来ている彼女が気になってしょうがない。



「お、弥一君スタメンだ。私のスパイク止めたんだからあっさり抜かれないでよー?」



 その雷子は弥一に対して声援を送っていた。今のは単なる声援で気にする事じゃない、輝咲は己にそう言い聞かせておく。





「蹴一、智春」



 勝也が同級生2人を呼ぶと、ヒソヒソ打ち合わせをしていた。



「……うん、まぁ試してみるか」



「おっし、それで行こうぜー」



 成海と豪山は共に頷き、勝也はポジションへ戻る。




 主審が時計を確認すれば、試合開始の笛が吹かれて立見の初戦が今始まった。



 まずは立ち上がり、ゆっくりと豪山、成海がパスを回していく。無難なスタートだと思われた時。



 勝也が何時の間にか前へ上がって来て、成海から勝也に左足でのパスが出される。



 それを勝也は左足でトラップ。ボールを浮かせると、落ちて来た所に右足を振り抜く。



「え……!?」



 この時本橋のGKは前に出ていて、此処まで飛んで来る勝也のシュートが見えた。自らの頭上を行くボールへ右手を伸ばし、掌に当てるが球は吸い込まれるように、本橋ゴールへ入っていく。




「うおぉっしゃー!!」



 勝也はその場でガッツポーズを決め、成海と豪山が駆け寄って他の立見メンバー数人も続いた。本橋の選手達は一瞬何が起こったのか頭の理解が追いつかず、スタンドの観客達は思わぬ超ロングシュートの先制点を見て、開始早々のゴールで早くも盛り上がる。




「え、もう決まっちゃいました〜!?」



「1分まだ経過してないよな!?何秒だこれ……!」



 立見ベンチでは早々に先制点が決まり、摩央や彩夏も驚いてドリンクを用意する手が止まっていた。



「(多分……15秒ぐらい)」



 京子の方は多分そのぐらいに決まったんだろうと、予測しながら冷静にフィールドを見つめる。




「(本橋さーん、僕に警戒してばっかいたら1失点じゃ済まないかもよ?)」



 立ち上がりの失点で、本橋の選手達から心の動揺が感じられた。それを覗き見た弥一は聞こえないと分かりながらも、相手へ忠告するように心で呼びかける。




 開始僅か15秒。ゴールまで50m程あったと思われる位置から、勝也の超ロングシュートのゴール。



 立見が冬の選手権に向けて前進を始めた。

弥一「久々に試合の話を書けたって感じするねー」


勝也「それまでは夏に特訓の日々と夏祭りに文化祭……結構祭り三昧じゃねぇか?」


弥一「あ、忘れてた!」


勝也「忘れ物か?」


弥一「文化祭で出店の食べ物を僕何も食べられなかったよ〜唐揚げ丼とか食べたかった〜」


勝也「そういやお前あれから迫られてたよなぁ、バレー部のスカウト来てくれとかチャンネル出演しないかとか」


弥一「選手権で忙しいから全部お断りしたけどねー」

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