表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 選手権編
566/651

サッカーVSバレー

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「雷子とは中学時代からの付き合いでね、共にバレーをやっていたけど彼女のスパイクは凄いよ。超高校級と言われてるぐらいにね」



「あの人そんな凄いの?検索したら出て来るかなぁ」



 弥一と輝咲は立見駅前の喫茶店に来ていて、2人は向かい合う形で座って先程の雷子について話す。



「へー、最高到達点が高校生で3m超え。そこから振り下ろされるスパイクは強烈で、名前からサンダースパイクって呼ばれてるんだ?」



「同じ高校生であれは中々止まらない。バレーボールの経験無しで受けるのは……正直無謀だと思うよ弥一君」



 輝咲の心配は心から伝わって来る。大事な選手権を前に、怪我でもしたら大変だと。



「まあでも、絶対負けられない戦いって訳じゃなくてただのお祭りだからさ♪どうせなら絶対無い異種格闘技戦みたいなのを楽しむよー」



 雷子の企みは見えていたが、それを輝咲には話さない。言って更に面倒にさせたり巻き込むのを避ける為だ。弥一は心配かけないよう、明るく笑って安心させるように言う。



「……なら、せめて手伝いぐらいはさせてほしい。バレーなら僕もそこは力になれると思うから」



「ん、ありがとう輝咲ちゃん♪」



 何もせずに弥一と雷子のエキシビションを、黙って見ているつもりは無い。彼女の協力を得て、文化祭での勝負に備える。





「おい弥一、文化祭に女子バレーの手伝い行くってマジか?先生から聞いたぞ」



「うん、マジだよ」



 翌日の放課後練習にて、弥一は勝也から声をかけられていた。雷子が幸にもこの話を伝え、それが勝也にも広まったようだ。



「お前は自由にして良いけど、怪我とかそこは気をつけろよ。怪我で良いこと一つもねぇから」



「説得力あるなぁ〜。そこは気をつけるよー」



 総体で怪我をして、数試合出られなかった辛さを味わっている。そんな勝也だから言葉としては重い。無論怪我する事なく、弥一は終わらせるつもりだ。





 土曜日、文化祭が立見高校にて開催されれば、多くの人々で賑わいを見せていた。



「わ〜、夏祭りの時みたいに多くの出店やってるねー♪」



 学生による出店が多く、食欲を誘うような香ばしい香りに弥一は自然と、唐揚げ丼のある出店に足を運ぼうとしていた。



「弥一君、運動前に重い物食べたら駄目だよ」



「は〜い……」



 輝咲が弥一の腕をガシッと掴んで、彼の買い食いを阻止する。こういう時でも、美味しそうな物に釣られやすい所は相変わらずだ。



「随分仲が良さそうね、お二人とも」



 そこに後ろから声が掛かり、弥一と輝咲は振り向く。背後に立っていたのは腕を組んで、勝ち気な笑みを見せる雷子と女子バレーのメンバーだった。



「あ、雷子さん今日はよろしくお願いしますー♪」



 弥一は雷子に対して、明るく笑えば身長差のある彼女の顔を見上げる。



「こちらこそ、君が私のスパイクを止められるか楽しみにしてるから」



「(止めさせる気無いけど)」



 表面で仲良くしながら、心では弥一に1本も止めさせる気など無い。5本全部弥一から決めて、彼に恥をかかせようという企みは変わっていなかった。



「サンダースパイクが実際どんな破壊力なのか全く未知だから怖いですよ〜」



「ああ、私の方で勝手にそう呼ばれてるの知ってるんだ?」



 これに雷子は軽くため息をつく。心を見る限り、本人としてはあまりお気に召してないらしい。



「いつの間にか勝手に付けられたのよ。注目されるのは良いけど、もうちょっと良いの付けてほしいと思ったから」



「(うーん、他人事とは思えないかも)」



 雷子のように本人が知らない間、いつの間にか呼ばれている事はサッカー部も同じだ。



「じゃ、お互い部の良いPRになると良いね」



 内心では自分の完勝を信じて疑わない雷子。表面では弥一に対して微笑みながら伝えれば、その場を後にして女子バレー部のメンバーもぞろぞろと続く。



「行こうか、弥一君」



「うん」



 弥一と輝咲は体育館へと進む。そこがサッカーとバレーの対決となる場だ。





「ぎゃぁぁぁ!!」



 お化け屋敷にて、間宮はゾンビに扮した生徒達に迫られて大絶叫。リアルなメイクにボロボロな服装で迫力が出ていた。



 子供騙しだろうと、勢い良く挑んだが見事玉砕した様子。




「貴方……年下の女の子に好かれて将来その子と結婚する事になる。身近な女の子を大事にした方が良い」



「え、そうなんですか……!?」



 占い師に扮した女子生徒から大門が占ってもらうと、将来そうなると言われて驚かされる。




「皆色々やってんなー、つか本格的なの結構多くね?」



「部活以上に力入れてる気がするのは気の所為かな」



 校内を勝也と京子が共に巡る。1年、2年の時に楽しめなかった分を最後の年で思いっきり満喫していた。出店で買ったオレンジジュースを勝也は飲んでおり、隣で京子がワッフルを食す。



「勝也、そろそろ体育館……始まるみたい」



「え?もうそんな時間かよ。んじゃ行くか」



 弥一が女子バレー部の手伝いをするのが気になり、2人は共に彼の姿をこっそり見に行く。他の部と面倒事にならないか、一応の様子見も兼ねてだ。




「皆様、本日は立見高校文化祭にご来場いただき誠にありがとうございます!今回のMCを担当する、JTuberレベルアゲアゲチャンネルのマリーです♪」



 体育館内のバレーコートがある中心部にて、茶髪のロングヘアーを巻き髪にした派手な女子がマイクを握って軽快に喋る。彼女のファンが結構居るのか、マリーへの歓声が結構上がっていた。



「はーいありがとう!あたしの事を知らない人もこの機会に知ってチャンネル登録よろしくー♪って今日はあたしが主役じゃないね!本日のイベントの主役達に登場してもらいましょう!」



 自分のチャンネルをアピールしながらも、マリーはイベントの主役が出て来る壇上の方へとマイクを向ける。



 壇上から弥一、雷子の両名が登場すると2人はイベントのステージに向かう。



「まずは立見女子バレー部のエースアタッカー、繰り出されるスパイクはまさに超高校級!将来の日本代表間違い無しの逸材!泣く子も黙るサンダースパイクこと、大川雷子!!」



「続いてこちらも超高校級、ちっちゃい体で侮るなかれ!かの有名なミランで数年留学後、サッカー部であらゆる攻撃を弾き返し継続中の無失点記録に大きく貢献!小さな鉄壁のDF神明寺弥一!!」



 マリーによる2人の選手紹介が終わり、会場は盛り上がりを見せていた。



「サッカーとバレー、異なる球技で関係なくね?って感じだけど今回はこの球技の異種格闘技戦とも言える対決が行われる訳なんだよねー!ルールはバレー部の方がスパイクを打ち込み、サッカー部がそれを止める事が出来るがどうか!これを5本行い、どちらがより多く決められるのか、止められるかの勝負だよー♪」



「あ、すみませーん」



「え?何?」



 マリーが観客へ今回のイベントの説明を行っている時、弥一が右手を上げて発言する。




「その勝負ですけど、僕1本止められなかったら負けに変更お願いしますー♪」



「!?」



 弥一の申し出に雷子やマリー、体育館内の人々が驚く。一度でも止められなければ自分の負けと、自ら追い込んでいた。



「え、えーと……それ君にめっちゃ不利になっちゃってイベントすぐ終わる可能性あるんだけど〜……?」



「全部止めるから大丈夫ですよ♪」



 打ち合わせには無かった事で、マリーは弥一にヒソヒソと話すが彼の方はこれで良いと譲らない。



「神明寺君、私スパイクを5回連続で決められなかった事なんて今まで一度も無いよ?いいの?」



 これには雷子もアスリートとしてのプライドに火がつき、弥一に鋭い視線を向ける。



「サッカーは一度でも抜かれたら、そこから失点に繋がって負ける事あったりしますから良いですよ♪」



 陽気に笑う弥一と雷子の視線がぶつかり合う。両者合意という事で、イベントはこのまま進められた。



 コート上では雷子側に他の選手も入っている。彼女がスパイクをするにはトス役が必要なので、その為の人員だ。弥一側のコートには弥一1人だが、スパイクを止めた時は素早く輝咲やもう1人女子バレー部員が入って、向こうにボールを返す役目として側に控えている。



「さぁー!まさかの自分から追い詰め、1本もミスが出来ない状況となってしまったサッカー部!バレー部は一撃で決められるのか!?」



 気を取り直し、MCとしてマリーが場を盛り上げる中で雷子はネット越しに居る弥一を見据えていた。



「(こういうエンタメなら加減するとでも思ってる?冗談じゃないわ!)」



 有利な条件にされて、自分やバレーを舐めてるのかと雷子は加減せず、本気のスパイクを弥一のコートに叩き込んでやろうと集中力を高める。それは本番の試合さながらの集中を思わせる程だ。



「では1本目行ってみましょうー!」



「(一撃で決めて恥を更に上乗せしてあげる。調子に乗ってビッグマウスを叩いた事を後悔しなさい!)」



 チームメイトがトスをあげて、雷子は力強く右足で強く床を蹴って飛び上がる。抱えていた思いを叩きつけるように、右手で球を打ち込む。



 ネットを越えて相手コートの右奥を狙った球は、凄まじい速度でラインギリギリの床へ一直線に向かう。打った感触として悪くない。



 決まったと雷子が思った時。




 弥一は雷子のスパイクに対して瞬時に動く。打ち込まれたボールの方向へ飛びつけば、左足を出して球に当てていた。



 ボールが舞い上がれば、輝咲がそれを拾いに行ってコート外に出て行くボールをコート内にトスで戻す。それを助っ人の部員が繋いで向こうのコートへ球を返す。



「ふ〜、1つ目成功〜」



 思ったより体感として速い球が来たが、弥一は足で阻止。



 立ち上がれば、スパイクを止められて呆然としている雷子の姿が見えていた。

弥一「サンダースパイクって何か少年コミックのバレー漫画とかでありそうだよねー」


輝咲「雷子もそんな感じがしてあまり好きじゃないみたいだったよ」


弥一「うーん、シンプルに雷撃!とか?実際長い技名言ったらタイミング狂いそうで今は短い技名の方が流行ってるっぽいしー」


輝咲「そもそも現実で技名を言う暇無いと思うけどね」


弥一「とりあえずサッカーで「行くぞー!僕の必殺ブラインドディフェンス!」とか言ってられないかなぁ。バレちゃうのもあるからー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ