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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 闘将VSサイキッカーDF編
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息抜きの夏祭り

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「やった……?」



 勝也が見ている先にあるのは、ゴールマウスへ入っているボール。自分側の物ではない。



 紛れもなく弥一側のゴールで勝也は弥一との1on1、初めて勝利を掴んだのだ。



「っしゃぁぁぁーーー!!」



 まるで大舞台でゴールを決めた時のように、猛々しく吠える。やっとの思いで得た1勝がそれだけ嬉しく、達成感が大きかった。



「負けたぁ!悔しい〜!」



 大きく勝ち越してきた弥一だが、勝也に一度の負けを許してフィールドに倒れ込むと、悔しさを空へ向かって叫ぶ。



「弥一君、自分の言った事は覚えてるよね?」



 そこに京子が弥一に近づいて来て、元々の勝敗についての確認を問う。勝也が諦めず何度でも挑み、その内の1回でも負けたらサッカー部に戻ると。



「あはは……心配しなくても、そういう約束破るような最低な事しないですよ。ちゃんと戻りますから、退部届はシュレッダーにでもかけて捨ててほしいってラッキー先生に頼んどきますから♪」



 京子に対して弥一は疲れながらも、マイペースな笑みを見せる。勝負は自分の負けでサッカー部に残り、約束はきっちり守るつもりだ。



「あれ1回限りで終わらせるつもりねぇぞ弥一。こっちは大きく負け越してんだ。こっから負けを取り返してやる」



「まだやるのー?本当しつこいねー」



「先に1on1を提案したのはお前だろ」



 やっと1回勝ったからと言って、そのまま勝ち逃げのつもりは無い。通算で大きく負け越したままでは、勝也としては終われなかった。



「勝也、流石に今日は駄目」



「ほあ〜」



「分かってるって……」



 京子だけでなく、フォルナもそう言ってるかのように鳴き声を上げる。



「しかしさっきの勝兄貴の迫力凄かったなぁ、ちょっとビックリしちゃったよー」



「そうか?こっちはお前に勝とうと凄ぇ必死にやってただけなんだけどな」



 先程ボールを取られた時、弥一は勝也の姿を振り返る。あの殺気にも似た気迫には一瞬驚かされ、足を止めてしまった。



 あれこそが本当の獲物を狙う獣なのかもしれない。





「祭りだー♪」



 8月の末。夏休みの終了が間近な日に、弥一は夜の桜見運動公園へ来ていた。



 何時もの公園とは違って多くの出店が見え、大勢の人で賑わっている。今日はこの場所で夏祭りが開催される日だ。



「気を付けろよー」



「結構賑わってるね」



 勝也と京子も祭りに顔を出して、勝也が青色で京子が赤色と、それぞれ色の異なる浴衣を着ていた。勝気も赤ちゃん用の甚平を着させてもらい、京子が抱っこしている。



 立見サッカー部は各自で日々自主トレを重ねて来たが、今日ぐらいは息抜きをしておこうという事で、今日は皆で桜見の夏祭りへ遊びに来ていた。



 それぞれ浴衣や甚平等を纏い、普段とは違う夏祭りの装いを見せる。



「お前とか特に迷子と勘違いされそうだぞ格好的に」



「摩央それ人の事言えんの〜?」



 弥一と摩央は共に甚平を身に纏い、弥一が青で摩央が黒だ。共に身長が小学校高学年並で、共に高校生には見えない。



「不思議と祭りのたこ焼きとか焼きそばって美味そうだよなぁ、我慢出来ないわ!」



 出店で鉄板の上で調理される焼きそばの音やソースの香り。五感の刺激を受けて食欲が湧くと、川田は我慢出来ず1つ購入に向かう。



「確かに祭りの食べ物は美味く感じるな」



「優也買うのも速いって」



 祭りをどう回ろうかと考えていた武蔵の横で、優也が既にりんご飴を買って味わう姿が見える。



「あ〜、やっぱ浴衣美女は目の保養になるな〜!」



「田村先輩置いていきますよー」



 浴衣を身に纏う女性達の姿に見惚れる田村。そこへ翔馬が声をかけるも、目の前の華に彼は夢中の様子だった。



「げー!全然当たらん!」



「もっとよく狙おうよ」



 間宮と影山は共に射的の方をしていて、間宮が苦戦する横で影山は地道に狙い、密かに当てまくっている。




「摩央、回らないのか?」



「あ、いや……行くけどさ」



 皆が祭りを楽しむ中、摩央がその場に留まっている事に、大門が気付いて声をかけた。



「俺ずっと家に居た時多くて、そんで……友達と一緒に夏祭りってどう回りゃいいんだって考えてた……」



「そうなんだ……じゃあ一緒に回って楽しもうか!」



 祭りは何時も家の窓から見る程度。自分が今みたいに参加するような事は無かったので、回り方が分かっていなかった。なのでスマホで検索しようとした時。大門から一緒に回ろうと誘われる。



「まずはそこでたこ焼き食べて、その後に何かゲームをやってみよう」



「お、おう……!」



 大門に連れられる形で摩央は祭りを楽しみに向かう。




「しかし弥一お前、今日珍しいな?」



「ん?何がー?」



 京子と勝気が出店のゲームを楽しむ姿。それを見守りながら勝也は隣にいる弥一へ話しかける。



「何時もだったら美味そうな食べ物に惹かれて屋台巡りしてそうなのが、全く釣られないって明日雪でも降るんじゃねぇか?」



 弥一は花より団子というタイプで、川田のように屋台の美味しそうな匂いに釣られて、買い食いに走りそうだったが今日はまだ一度もそれが無い。それが勝也には不思議なぐらいだった。



「うーん、すっごい食べたいけど先にお祭り楽しむのは悪いかなぁって」



「悪い?一体誰に……」



 屋台に行こうという欲求を今は我慢してる弥一。一体何を我慢してるのかと、勝也が聞きだそうとした時。



「ゴメン!弥一君待たせた!」



 そこに弥一へと向かって来る、白い浴衣姿の長身の人物が見えた。普段は主にボーイッシュな格好が多い、王子な雰囲気ある輝咲が浴衣姿で登場する。



「輝咲ちゃん、浴衣姿似合ってるねー♪最高♪」



「ありがとう。君も似合ってるよ」



 互いの夏の装いを褒め合った後、弥一と輝咲は共に祭りを回り始める。



「(あいつもしっかり花の方を選んでるなぁ、いや……特別な花だからかな?)」



 2人が一緒に居る姿にそういう事かと、勝也は納得すれば弟分が夏デートに繰り出したのを見送れば、再び家族を見守る方へ戻る。




 立見の息抜きの夏祭りはまだまだ続く。

弥一「僕悪役っぽくなっちゃったけど、とりあえず再びこの場所に帰ってこれましたー♪」


摩央「追放された訳じゃねぇけどな」


弥一「うんうん、立見サッカー部追い出されたら部が廃れてざまぁw的な感じにはならなかったねー」


摩央「追放物の話でも見てきたのかよお前は?田村先輩のハーレム物といい……」

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