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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 総体編
530/651

闘将を襲うアクシデント

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

『これは川田、貴重な先制点を立見にもたらしましたがユニフォームを脱ぎ捨ててしまい主審からイエローカードが提示されました』



『全国の舞台でゴールを決めて嬉しいのは分かりますけどね、しかし昔と比べて厳しくなったもんですよ。昔はそれで喜びを表す選手が多かったものですから』



 ゴールを決めて喜びを爆発させていた川田。テンションが上がり過ぎて、ユニフォームを脱ぎ捨てた事に、主審が川田にイエローカードを掲げる。




 川田はこの後に武蔵と交代して下がった。




「このまま守りに入るなよー!攻めきって勝つぞ!」



 1点を先制した事で、チームが守りに入らないように、勝也は攻めの姿勢を崩すなと大きく声を上げた。



「下を向くな!まだ1点差だ、なんとか同点に追いつくぞ!」



 泉神はもう守ってばかりという訳には行かない。前に出ようと、泉谷の方も攻めろとチームに伝える。




 日差しは時間が経過すると益々強くなっていく。スタンドでは応援や観戦しながらも、多くの者が水分補給をしていた。



 フィールドの選手の方もプレーが途切れたタイミングで、すかさず水で喉を潤したりと、隙あらば水分補給を行う。



「あっつ〜、これ30度超えてねぇ!?」



「今日29度って言ってたけど……走ってる分超えてそうかも」



 頭から自分に水をかけ、田村は予報より暑いと文句を言っていた。影山の方は走ってるのも上乗せしてそうと考え、喉を潤していく。



「守備の踏ん張りどころだ。やらかしはあったけど、後輩の1点を守って勝つぞ」



「ああ、あれはちょっと笑ったわ」



「僕も」



 間宮が川田の1点を守り切ろうと気を引き締める中、先程のパフォーマンスを思い出して、2年の3人は思わず笑ってしまう。



 結果的にカードを貰ってやらかした川田。だが先輩達の良いリラックスになったようだ。




『水島またインターセプトー!後半に入って動きが冴え渡っている!』



『前半は目立っていなかったのですが、急に思い切ったプレーをするようになりましたね』



 中盤で泉神のパス回し。そこへ大胆に前へと出て来た翔馬。これが功を奏したか、インターセプトに成功していた。



「カウンター!!」



 勝也の声と共に、立見の選手達が泉神ゴールへ迫る。相手の守備の意識が向く前に、速攻を仕掛けて追加点を狙う。



 左の翔馬から同じ左サイドの成海。上がって来た中央の影山と繋ぎ、ゴール前の豪山に右足でパス。



 DFを背負う形となって豪山がパスを受ける。泉神のゴール前は敵味方が入り混じり、混戦となっていた。



 前を向くのが困難な状態。豪山はDFやゴールに背を向けたまま、右のインサイドでボールを左へ転がす。



 そこに走り込んでいた勝也。右足でシュートに行こうとしていた。



「(シュート!)」



 勝也を徹底マークする泉谷。撃ってくると察知し、勝也の前に立ち塞がった。シュートブロックの構えだ。



「!?」



 だが勝也はシュートに行くと見せかけ、ボールを見送る。裏をかかれ、泉谷の目が見開いていた。



 瞬間、ボールに向かって1人の選手が右足を振り抜く。



 ゴール前まで上がって、右サイドから中央に侵入する田村だった。



 得意の右足によるシュート。右45度から狙い、GKが手を伸ばすも、ボールはゴールネットの上部に突き刺さる。



『立見2点目ー!速攻から最後は右サイドの田村が鮮やかなシュート!2回戦進出に大きく近づくゴールだ!』



「っしゃーー!!」



 田村の雄叫びと共に駆け寄る立見選手達。喜び合う立見に対して、泉神の方は天を仰いだり、肩を落とす者が多く見られた。




「終わってない!まだ終わってないから!」



 落胆する泉神。キャプテンの泉谷が懸命に声を出して、仲間を励ます。泉神として初めての全国で、このまま負けたくない。




『後半残り時間も少なくなってきました。スコアは2ー0と立見の2点リード!このまま立見が行くか!?』



『泉神はまだ諦めてませんからね。立見が1点を失えばまだ分かりませんよ』



 総体では試合時間が70分。普段よりも早く終了の時が来てしまうので、泉神は1点を取ろうと急ぐ。



「こっち!」



 泉谷が右手を上げる。泉神の左サイドから中央へ、高いボールが上がって来た。



「うおっ!」



 マークする勝也と泉谷。共に地面を蹴って飛び上がり、空に舞い上がったボールを取ろうと、空中戦で競り合う。



 もつれるように、両者がフィールドに落下して倒れた時。



「っ!?」



 勝也の体に痛みが伝わり、顔を歪めた。



 こぼれ球を泉神の選手が拾おうと向かうが、それより早く取ったのは弥一だった。



「走ってー!」



「!」



 弥一の走れという声。反応したのは後半、成海に代わって途中出場の優也だ。



 泉神の左サイド。そこが今ガラ空きの状態になって、弥一は右足ですぐに蹴る。



 シュートでもおかしくない球の速さ。地を這うようなグラウンダーのボールが、左のスペースに向かう。



「くっ!!」



 立見で1番の俊足を誇る優也。素早い反応とスタートダッシュをもって、左のタッチラインを割りそうな所に、左足でトラップして追いつく。



「(無茶苦茶なパスをよこしてくれるな!)



 優也でなければ追いつかず、彼の限界ギリギリを要求したスパルタなパスだった。弥一に内心文句を言いながらも、泉神のゴール前へとドリブルで迫る。



『神明寺から歳児へ長いパスが通った!立見再びカウンター!』



 左斜めから中央に侵入する優也。その前に立ち塞がる泉神のDFが1人。



 これに優也は左足を振り上げる。



「(フェイント!)」



 狙うにはあまりにも強引。これはキックフェイントだろうと相手は見て、飛びつきはしなかった。



 だが優也の左足は切り返さず、振り切ってシュートを放つ。



「うお!?」



 味方のDFがブラインドとなって、優也の左45度のシュートにGKは対応が遅れる。



 正面に飛ぶボール。これを反射的にキャッチしようと行くも、弾いてしまう。



 転がる球に素早く詰める影、シュートを放った優也が迫っていた。DFもクリアしようと足を伸ばす。



 先に捉えたのは優也の右足だった。




 ボールは泉神の左ゴールポストを掠めながらも、ゴールネットを揺らす。



『3点目ー!立見が試合終了間際にダメ押しの追加点!1年の歳児優也が試合を決めました!』



『その前の神明寺君が物凄いパスを出してましたよね!?追いつけないだろうと思いましたが……いや、歳児君あれによく追いつきましたよ』




「歳児タイム炸裂〜♪」



「お前のスパルタなパスのおかげでな」



 スタンドが沸き立つ中、弥一は優也に抱きついてゴールを祝福。



 1点目の川田と翔馬に続き、1年のコンビがゴールとアシストを決めてみせた。




 泉神がキックオフを再開した直後、試合終了の笛が吹かれて立見の勝利が決定する。




「(負けたか……)」



 腰に両手を当てて空を見上げる泉谷。勝也を徹底マークして、彼にゴールを許さなかったが、結果は3点を許してしまう。



「お前体デカくなった分、ハードマークがエグいって」



 泉谷へ声をかけて来た勝也。言葉はそう言いながらも、顔は笑っていた。



「神山……強いチーム作りやがったなぁ」



「俺じゃねーよ、あいつらが強くなってくれただけだって」



 泉谷と話す勝也の視線の先には、勝利を喜び合う立見のチーム。



 これが立見の全国大会初勝利だ。



「じゃ、次は選手権な」



 会話もそこそこに、勝也は立見のベンチへ歩いて行った。




「(次は選手権……)」



 勝也が言った言葉の意味。それがどういう意味なのか泉谷には伝わる。



 総体に続いて選手権も予選を互いに勝ち上がり、全国に出て来て再び会おう。そのメッセージが込められていた。



「(最後だし、絶対勝ち上がらないとな)」



 絶対に予選を勝ち上がって選手権も出る。泉谷は強く決意すると、泉神の選手達の元へ向かう。





「(冗談キツいっての、初戦でこれは無ぇだろ……!)」



 歩く時に伝わる痛み。勝也は左膝を泉谷と競り合った時、負傷していた。



 初戦は勝利したが、キャプテンの負傷と代償はかなり大きい。




 立見3ー0泉神



 川田


 田村


 歳児




 マン・オブ・ザ・マッチ



 水島翔馬

弥一「病院ー!お医者さんー!」


大門「慌て過ぎだ弥一!」


弥一「診察するなら最高の医療施設で!日本で1番だと何処かなぁ……!?」


優也「心配になるのは分かるけどな、そこはマネージャーや先生に任せるしかないだろ」


弥一「しっかりした病院とお医者さんね!?病院の利益しか考えなかったり良い論文狙いの悪い医者とか駄目だからー!」


摩央「ドラマの見すぎだっての!」

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