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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 総体編
528/652

夏の初戦、闘将同士の攻防戦

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 総体1日目、シード校を除いて各高校の1回戦が始まる。



 試合会場となる競技場では、多くの観客が来場していた。場内アナウンスで水分補給を怠らないように、と流れる。



 7月の下旬で燦々と輝く夏の太陽。その下で試合が行われようとしていた。




 立見の相手は徳島の泉神で守備が堅く、キャプテンの泉谷を中心に纏まりある好チーム。



 小学生時代に争った勝也と泉谷。共にキャプテンマークを右腕に巻き、両者はフィールドへ通じる入場口にて、列の先頭で並び立つ。




「よお、泉谷。覚えてるか?俺の事を」



 勝也は気さくに泉谷へ話しかける。声に反応して、彼は勝也に視線を向けた。



「……忘れるかよ、小学校の時に全国で当たって試合しただろ」



 小学校時代に勝也と対戦した事。泉谷はそれを忘れず、今も覚えていた。



「しかしまあ、お前デカくなったよなぁ。昔は俺と同じぐらいじゃなかったか?」



「牛乳好きだから、それ飲んでたおかげかな」



「えー、俺も飲んでたけど180行ってねぇぞ」



 173cmの勝也に対して、泉谷は181cmと長身。同じ物を飲んでるのに不公平だと、勝也は自分より高くなった相手を見る。



「身長で言えば立見はもっと小さいの居るじゃないか」



「あー……」



 もっと小さいのと泉谷から言われれば、勝也にすぐ伝わる。列の後ろの方にて、大門と談笑している弥一の事だと。



「ま、小さくても侮るような事はしないよ。ミランに居た事あって快進撃を続ける立見のスタメンに対して、誰も油断はしないだろうけどな」



「すっかり全国に知れ渡ってんなぁ、うちのルーキー」



 立見が特殊という事もあって、注目は浴びやすい。対戦校として泉谷の泉神も、立見の情報は当然調べている。



「康介、前」



「勝也」



「「あ」」



 その時、前方に居る審判団が歩き始めていた。すぐ後ろに居る選手から声をかけられ、両キャプテンもフィールドに向かって前進。それと共に両チームの列は動き出す。




『照りつける夏の日差し、今年もインターハイの夏がやってきました。共に初出場の立見と泉神、両者共に守備に定評のあるチーム同士の激突です』



『堅守を誇るチーム同士の上に初戦ですからね、1点がより重くのしかかると思います』



 夏の初戦を戦う両者。スタンドからの歓声に迎えられ、入場していた。




 コイントスで相対する立見、泉神の両キャプテン。



「(小学生の時に戦ってた奴が、1つの部を作り上げるなんてな……)」



 泉谷は過去を振り返りながら、今の勝也の姿を見る。過去に対戦して自分を破った相手が、0からサッカー部を作った創設者。



 ドラマの主人公がやるような事を、目の前の人物はやっている。泉谷は凄いと同時に、羨ましくも思えた。



 何も恐れず自由に、大胆な高校サッカーのチャレンジが出来る事を。



「(だからってあの時に続いて勝たせるかよ)」



 コイントスの結果は立見の先攻。泉谷は勝也と握手を交わしてから、泉神イレブンの待つ円陣へ向かう。




「立見が先攻だ、作戦通りサイドから行くぞ」



 立見イレブンの円陣へ勝也が入ると、試合前に立てていた作戦の1つを告げる。



 泉神の守備は中央が堅い。だが彼らの試合を見た限り、サイドからの攻めに若干バタつく所がある。そこが穴だろうと立見は見ていた。



「まずは全国初戦!此処勝ってくぞ!」



「立見GO!!」



「「イエー!!」」



 勝也の掛け声に皆が合わせ、立見の選手達はポジションへと散る。




 時間は午前10時を迎えると、主審の笛が鳴り響く。




 ピィーーー




 豪山が軽く蹴り出し、成海が下げると勝也がボールを持つ。



 そこに泉神の前線2人が素早くプレスに向かう。



「っと!」



 挟み撃ちにされる前に、勝也は左足のアウトサイドで左に横パス。その位置には翔馬が上がっていて、ボールを受ける。



「(サイドからサイド、大きく揺さぶるっと!)



 翔馬は左サイドから大きく右へ、左足で蹴られた球は立見の右サイドを上がる田村に向かう。



『左サイドの1年水島から右の田村へ大きなサイドチェンジ!』



 これが上手く通り、田村は右を駆け上がる。



「マーク!9!」



 泉神のキーパーから指示が飛ぶ中、右のインサイドで田村からパスが出された。ゴール前の豪山ではなく中央、勝也がパスに向かって走る。




「ぐっ!?」



 ボールを取ろうとした時。勝也の左肩にズシンと、強い衝撃が伝わって来た。



 勝也に迫っていた泉谷。自らの体格を活かす、強烈なショルダーチャージを左から浴びせる。



 バランスを崩して倒れそうになるが、なんとか踏み止まり、勝也はボールをキープ。



 そこに泉谷の長い左足がボールへ向かい、奪わんと伸びて来た。



「(本当育ち過ぎだっての!!)」



 自分より大きく、逞しく成長した泉谷。嫉妬のような感情が混じりながらも、勝也はボールを足裏で転がして、彼の追撃を躱す。



 一瞬空いたシュートコース。ミドルレンジから狙おうと、勝也は右足を振り上げていた。



「うおお!!」



「でぇ!?」



 そこに再び泉谷のショルダーチャージ。右足でシュートを撃つと共に、勝也は泉谷と共に転倒する。




『神山のシュート!これは上に浮いてしまう!』



『泉谷君がしつこく行って万全のシュートを許しませんでしたね、ナイスディフェンスです』



 泉谷が先に立つと、彼は勝也に手を差し伸べていた。



「昔より厳しく来るじゃねぇの」



「当たり前だろ、こっちはリベンジかかってるんだ」



 力強く引っ張られて、立ち上がれば2人の間で言葉が交わされる。




「(上等、サッカーはこうでなきゃな〜)」



 泉神のゴールキックとなって仕切り直し。ポジションへ戻る勝也の顔は楽しげだ。




「9番そのまま挟んじゃってー!」



 弥一の声と共に、ボールを持つ泉神のFWを、川田と間宮の2人でがかりで挟み撃ち。間宮が奪取に成功すれば、素早く蹴り出してクリアする。



『泉神の速攻!しかし立見が間宮、川田の2人で阻止だ!』



『良い連携ですよ、単独で相手が来ると先読みして守備を一点集中させましたね』




「(あの2人が戦った時は2ー1、1点取られてるんだよねぇ……)」



 勝也と泉谷が過去に試合した最終スコア。春樹の勝ち越しゴールで2ー1だった事を、弥一は改めて思い出す。



「(じゃあ今度は無失点に抑えてやろっと♪)」



 小学生の時と同じように、勝也を勝たせるのは勿論、更に相手を完封する事も狙っている。



 全国から強者が集う舞台だろうと、弥一は無失点に拘り続けていた。

弥一「泉谷さんとはまた違った形の出会いや試合になったなぁ〜、まさか勝兄貴の小学校時代のライバルなんて」


泉谷「本編だと確か……俺ら飯食ってたよな」


弥一「北海道の美味しいグルメを堪能しました♪他にもウニとかイクラとか味わいたかったけどなぁ〜」


泉谷「試合近い時にそれは絶対駄目だろ、美味しいのは分かるとして」


弥一「とりあえずアスリートが食べても大丈夫なジンギスカンか豚丼食べに行こうかー♪」


泉谷「これグルメの話じゃなくてサッカーの話だよな!?知らない間にジャンル変えてないよな!?」


摩央「変わってません、そいつのただの通常運転です」

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