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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 総体編
524/652

初の全国大会へ向けて

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 総体に向けて立見の練習の日々、普段慣れ親しむ走り方のピッチ走法だけでなく、よりスタミナ消費の少ないナンバ走法を覚えようと心得のある弥一や優也が伝授していく。



 なお、勝也も太一から教わった経験があるので、彼も教えていた。



「動かすの肘から先までだぞ!腕全体振るうなよー!体の軸もブレんなー!」



 立見のグラウンドで、勝也の指導する大きな声がよく聞こえる。



「全然疲れる……!」



「まだ走り慣れてねぇだけだろ、そのうち慣れるって……!」



 川田が走りながら息を切らし、体力を消耗している横で間宮は勝也が言うなら間違い無いと、教えを守って練習をこなしていた。



 大会まで既に1ヶ月を切っている。期間までに走りを完璧に習得するのは難しそうだ。




 更に他校へ出向き、合同練習も積極的に行う。他の高校との交流も兼ねており、この日は真島高校に来ていた。



「FKしか能が無いって汚名返上するからなチビ君よ!」



「おっとと、根に持つね鳥羽さんー!」



 ボールを持つ弥一、鳥羽が足を出して奪取を狙う。躱したり再び迫ったりと、激しい1on1が展開される。



 弥一に煽られて負けた日から、鳥羽は大半女子と遊ぶ事を日課にしていたが、それは少なくなっていた。



 積極的に部活の練習をこなすだけでなく、スポーツジムにも通ってフィジカルを鍛え上げ、本気の努力をするようになる。



 鳥羽の自分にリベンジしてやる、という心は弥一にしっかりと見えていた。



「(勝たせないけど!)」



 迫って来た所にタイミング良く、体をクルッと右回転させてボールを守ると共に鳥羽を突破。



「(マルセイユルーレット!?)」



 弥一から飛び出した技を決められる。鳥羽の表情が驚きに染まると共に、弥一はゴールに右足で蹴り込み、ネットを揺らしていた。





 他の部員達が合同練習する中、弥一と鳥羽は共にドリンクを飲んで休憩する。



「1つ聞いていいかチビ君」



「どうぞー」



 水分補給して互いに落ち着いたタイミングで、鳥羽から弥一に問う。



「本当に高1か?」



「そこ年齢詐称してたら大問題でしょ〜、ちゃんと高1ですから♪」



 イタリアのミランに数年居たとはいえ、あまりに高い弥一の技術。目の前の無邪気に笑う少年が、鳥羽には底の見えない天才のように思えた。



 留学で爆発的に成長したのか、才能によるものなのか、あるいは両方なのか。不思議と小さな彼に対する興味が尽きない。




「ま、インターハイは頑張んな。うちを破った立見なら結構良い所行けそうだしよ」



 立見が勝ってくれれば、それだけ真島の面目が保てる。そう付け足して鳥羽なりにエールを送っていた。



「いっぱい強い所居るんですよね〜。最神、琴峯、海塚、星崎……あ、この前夕飯に行ったラーメン屋で覚えさせられたんですよー」



「つまりそれまで知らなかったって訳かい」



 全国の強豪校について名前を言っていけば、弥一は神山兄弟から教えられた時を思い出す。



「ま、結局1番の要注意は八重葉に変わりないけどな」



 あれは大変だったなぁと振り返る弥一の横で、鳥羽は絶対王者の高校名を口にする。



「皆満場一致で八重葉が強いって言ってきますねー」



「そりゃ高校3大タイトルを獲得した3冠王だ。真島だって去年負けてるしな」



「真島も戦ったんですかー?」



 鳥羽や真島が八重葉と戦った。それを知って弥一はどんな試合だったか、興味が出て来て鳥羽の顔を見上げる。



「苦い結果だったけどな、5ー0の完敗だ」



 東京で最強クラスと言われる真島。それを八重葉は1点も取らせず、更に5点差をつけて大差の勝利。鳥羽にとって選手権の苦い思い出だった



「やっぱり2人の天才、照皇と工藤っていう人が厄介でした?」



「まあなぁ、同じストライカーとして嫉妬するぐらいに照皇は強い上に巧いし、工藤は元日本代表で天才と言われた工藤康友を親父さんに持つ天才GKだしよ」



 天才と言われる八重葉の2人。真島もその天才達によって敗れてしまう。



 全国制覇を本気で狙うなら八重葉を、天才達を避けては通れないだろう。



「無失点優勝するの楽じゃなさそうですねー、大変だぁ〜」



 陽の光を浴びながら、う〜ん、と腕を上へ伸ばす弥一。



「(ん?優勝どころか今無失点で優勝するっつったかチビ君?)」



 全国大会初出場。創部2年で達成しただけでも快挙で、上位入賞すれば充分過ぎるぐらいに凄い事だが、鳥羽の耳に入ったのは全国優勝どころではない。




 無失点の全国制覇、弥一は立見の初出場でそれを狙っていた。






 総体は北海道開催で、出場校は52校。



 その52の枠に立見も今年は入り、東京から北海道まで飛行機で向かう事となる。




「あ、こっち美味しそうなプリンにゼリー♪」



 空港にある土産に釣られ、弥一がそちらに向かおうとした時。



「大会終わってから」



「あう〜」



 京子に首根っこを掴まれると、弥一は土産との別れを惜しみながら、専用の移動バスまで運ばれて行く。




 バスで走る事、数十分。立見が大会の間に宿泊するホテルへ到着。



 黛財閥の後押しもあるせいか、グレードの高いホテルに宿泊が可能となっていた。



「すっげ、大会の間は此処で泊まりかぁ……」



 豪華絢爛なホテルの内装に、摩央は辺りを見回している。彼だけでなく、あまりこういう場所に馴染み無い者達にとって、凄い所だと同じように見回している。



「お〜、お土産コーナーも充実しとるわぁ。流石一流ホテルやなぁ〜」



「想真、練習行くんやからはよ行かんとー」



「わーっとるわ、ちょお待っとけ!」



 ホテルにある土産コーナーから、関西弁で喋る者達の声が目立って聞こえて来る。




「(あいつら、最神第一か)」



 関西弁の声に勝也が向くと、後ろ姿だが着てるジャージに学校のロゴが入っているのが見えた。



「ん?」



 土産コーナーを後にして、立見の方へ歩いて来た2人が気付く。



「……なぁ、兄ちゃん?あんた神山勝也やないか?」



「え?ああ、それは俺で間違い無いけど」



 近づいて来た小柄な人物の方が、勝也に近づくと顔を見上げる。



 中性的な顔立ちで女子と間違えてしまいそうだと、間近でその顔を見た勝也の感想だった。



「本物や!本物の神山勝也や!あんたサッカーチャンピオン出とったやろ!?サッカー部を0から立ち上げた漫画みたいな事やった奴って噂やったぞ!」



「マジか!噂の立見と此処で会うってえらい偶然や!」



 最神のジャージを着た2人が、共に勝也を前にテンションが上がる。




「お前、知らない間に関西で結構知名度高くなってたんだな」



「俺の名前そんな広まってたのかよ……!?」



 豪山にからかわれるように、右肩に手を置かれる中、言われた勝也本人の方が戸惑っていた。



「あ、俺は最神第一のサッカー部キャプテンを務める八神想真。こっちは同じチームの三津谷光輝や」



「よろしゅうー」



「ああ、こっちこそよろしく(八神?何かどっかで聞いた事あんなぁ)」



 自己紹介をする2人、勝也は想真の八神という苗字が聞き覚えあると気になった。




「ほな、俺ら練習あるんで〜」



 手を振りながら想真はその場を後にして、光輝も後に続く。




「立見って初出場だけど、ひょっとしてもう結構有名だったりする?」



「多分そうじゃないかな?周囲から見ればドラマみたいだって興味惹かれそうだから」



 そこまで名前が知れ渡ってるのかと、弥一は大門の方を見上げて再確認。



 立見の宿泊するホテルは、どうやら大阪の最神第一と共に過ごす事になりそうだ。

弥一「北海道って言えばグルメの楽園なのに〜!カニ〜、ウニ〜、ジンギスカン〜」


京子「ジンギスカンならアスリートにとって低脂質で、疲労回復や体力維持に役立つ食事って聞くから。それは食べて良いと思う」


弥一「え?やった!ジンギスカン♪ジンギスカン♪」


勝也「一気に機嫌良くなりやがった、生の食い物は試合近いから絶対食うなよ」


弥一「はーい♪」

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