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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 再会編
518/651

闘将とサイキッカーDFが築く鉄壁の守備

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

『た、立見先制ゴールー!!前半5分から早くも試合が動き出したぁ!』



『今の神明寺君のロングパス……物凄い曲がりませんでした!?』



 東京で最強とまで言われる真島が早い時間に失点。その真島からゴールを奪ったのが創部2年の新鋭。



 更に弥一のロングパス。ボールが生きてるかのように曲がり、キーパーを欺けば勝也に届けて、最後は闘将が決めてみせた。



 これを目の当たりにしたスタンドは、興奮の坩堝と化す。




「弥一ぃ!お前あんなパス出すなら前もって言えっての!ビックリしたわ!」



「打ち合わせの暇無かったんだもんー!」



 抱き着いてゴールを祝福に来た弥一。その頭をくしゃくしゃと撫でながら、勝也は先程のパスについて言ってくる。



 自分にパスが来るなど聞いていない。結果的に相手を騙し、先制点を決められたので良かったが。



「(俺に来るかと思ったら……あれ凄ぇ曲がりだったなぁ)」



 パスを目の当たりにした豪山も、ボールが勝也にまで曲がるとは思っていなかった。




「すいません!ブロックが出来なくて……!」



「お前のせいじゃないって、俺が不用意に飛び出したから……!」



 勝也のゴールを阻止出来なかった真田。チームメイトに頭を下げて謝罪すると、GKの田山が首を横に振り、自分が悪いと責任を背負う。



「誰のせいとか止めとけ。今は点を取り返す事を考えないと」



 キャプテンとして峰山が皆へ声をかけ、今一度チームを引き締めさせる。



「(今のパス……あんなカーブをFKでもないのにやれちまうのかよ?そんな事が出来る奴は……)」



 一方、前線から弥一のロングパスを終始見ていた鳥羽。



 FKではない所で大遠投のボールを受けて、すぐにあんなカーブを蹴れる弥一に驚愕する。



 世代別の日本代表として世界とも戦った。だが弥一のようなキックを蹴って来た選手は誰もいなかった。



「とんでもねぇチビ君が出て来やがった」



 一言呟いた後、鳥羽はポジションへ走る。





 主に3年を中心に固めて来た真島。高い経験値に加えて、連携力も磨かれている。



 それを現すように、峰山を中心に素早いボール回しが中盤で行われていた。



『戸田、谷口、峰山と真島繋いで行く!』



 ボールスピードが出ている上にパスが正確。加えてショートパスとなれば、簡単にカットは出来ない。



 無理に攻めず、パスで最初は攻撃のリズムを真島は作り出す。先制されても何時ものスタイルは崩さない。



 よしよしと真島の監督も頷き、腕を組んで静観の構えだ。




「無理に取りに行かないでー、右行ってー」



 武蔵辺りが取りに行こうとしていたが、弥一は追うなと声をかける。それよりも密かに上がって来る真島の選手を見つけ、そちらのマークに向かわせた。



「ち…!」



 上がって来る味方へパスをしようと思っていた所に、コースを塞がれてしまう。これに足を止めた谷口は峰山へと繋ぎ、パス回しを続行する。



「焦んな焦んな、じっくり行け!」



 勝也も守備に下がりながら、周囲の味方へ欠かさず声をかけていく。



 こちらが1点リードしてるので慌てる必要は無い。




「っと!?」



 峰山が前にパスを出そうと、一瞬前線へ目を向ける。そこには立見の選手達がパスコースを塞いでいて、峰山は咄嗟に後ろへボールを戻す。



「(去年と比べてパスが出し難い!なんだこの守備は……!?)」



 パスを出すルートが遮断されていき、エースの鳥羽や前線の選手にパスが出せない。



 去年戦った時の立見よりも遥かにやり難い。峰山の中で今の立見に対し、そう感じざるを得なかった




『ボールを持つ時間帯が長くなって来た真島。しかし中々前へ運べず立見ゴールに迫る事が出来ません』



『攻撃型の真島が此処まで攻めあぐねるのは珍しいですね』



 前半の時間が経過していく。



 ボールを支配するのは真島だが、彼らは思うような攻撃が出来ていない。




「何かボールを支配されてるっていうか……支配させてないか?」



「どういう事〜?」



 今の状況を立見ベンチから見守る摩央。ふと彼が呟くと右隣に座る彩夏に聞こえ、彼女は首を傾げた。



「真島のボールが続いて立見に回ってきてないけど、焦らず落ち着いて守ってるように見えたからさ……」




「此処まで無失点で勝ち上がって来た自信、それで彼らは堂々と強気に守れてるんだと思う」



 彩夏が答えるよりも先に、立ち上がって戦況を見守る京子が答える。



「勿論それだけじゃなく真島が先制されて、精神的優位な所もありそうだけど。今の彼らは少しの事じゃ崩れそうに無い」



 京子の視線の先には、声を上げて指示を飛ばす勝也の姿。




「蹴一少し中央寄れ!智春は5番!」



 熱き闘志を持ってチームを引っ張り活力を与え、自らも懸命に動く闘将。



「水島そっち来るから気を付けてー」



 異次元の先読みで攻撃の芽を摘み取り、相手を徹底して封じ込める狩人。



 何より立見にとって2人の存在が大きい。弥一と勝也によって、何者も通さない鉄壁の守備が出来ていた。




「ちぃ……!」



 業を煮やしたか、鳥羽が前線から下がって中盤でボールを要求する。



 中盤の山本から鳥羽へショートパスが繋がり、ボールを受けた鳥羽が前を向く。




「来たか、ミランのチビ君よ!」



「クビになったから元だけどね!」



 鳥羽の前に立ち塞がるのは弥一、鳥羽はフェイントをかけて振り切ろうとしている。



 チームで随一のテクニックを誇る東京No.1ストライカー。華麗なステップで巧みにボールを操り、翻弄しにかかるが弥一は鳥羽の動きに全く釣られない。



 スッポンのようにピタリと付かれ、突破が出来ない鳥羽は右前方を見た。そこには右サイドを上がり、DFの裏へ飛び出そうとしてる山本の姿。



 鳥羽の視線に弥一が気づくと、右へのパスコースを消しに動く。



「(そっちじゃねぇんだなチビ君!)」



 しかし鳥羽の狙いは違った。



 そちらへと視線を向けないまま、ノールックで鳥羽の右足から逆方向の左へパスが出される。視線を使った鳥羽のフェイントだ。



 パスの先に居たのは峰山。彼とは長い付き合いなので、峰山がそこに走っているのが鳥羽には何となく分かった。



 同時に鳥羽は走り出している。彼ならすぐ返してくると。




「(分かってたよそれ)」



 だがその狙いも、心の読める弥一には筒抜けだった。




 峰山へとパスが出された時、峰山の前に勝也が飛び込んで来て、鳥羽のボールを勝也の伸ばした右足が弾いたのだ。



 セカンドとなった球を弥一が取ると、左足で右サイドの空いているスペースに大きく蹴り出した。



「うぉ!?きっつ!!」



 部内で優也と1、2を争う足の速さを持つ田村。弥一の蹴られたパスは彼のスピードを考え、限界ギリギリを要求したスパルタパスだ。



 弥一からのボールにかろうじて右のラインを出る前に追いつき、右足でトラップ。



 そこから田村が右足で、真島のゴール前に高いアーリークロス。カウンターを受ける真島の守備陣形はまだ整っていない。



 豪山が田之上との空中戦を制してヘディング。地面に叩きつけられたボールはバウンドし、跳ね上がってGK田山の伸ばした手の下をすり抜ける。



 2点目のゴールが決まった瞬間、会場から歓声が沸き起こった。



「2点目2点目ー♪勝兄貴ナイスカットー♪」



 ゴールを決めた豪山を祝福しながら、弥一は勝也にも抱きついて喜んでいた。



 ボールを奪って一瞬でカウンターに持って行き、ボール支配率で劣る立見が追加点。



 優勝候補の真島に焦りが出て来る。

弥一「急に暑くなってきた〜」


勝也「これは……7月8月やべぇぞ、特にインターハイ」


弥一「その大会に出る!という人はしっかり暑さ対策してねー、水分補給ホント大事!」


勝也「何でこんな話になったのか、書いてて作者が暑いってなったからだとよ」


弥一「うちの作者暑いの苦手だからね〜、それでも変わらず書き続けてるけど♪」

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