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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 再会編
516/651

後輩の面倒を見る闘将はリベンジを誓う

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 総体東京予選の2次トーナメントで、立見は空川に続き準々決勝の水川学園を4ー0。


 東京の名門相手に寄せ付けず完勝し、ベスト4を決めていた。



 此処まで勝ち残っているのは立見、真島、桜王、西久保寺の4校。



 夏の総体出場がかかる立見の準決勝の相手は真島となる。




「シードからだけど鳥羽さんが此処まで1番多く得点してますね〜」



「流石東京No.1ストライカーだよな。得意のFKも何本か決めてるし」



 スマホで真島の此処までの戦績を見ていた摩央と彩夏。



 立見と違って真島はシード校で、試合数が少ないにも関わらず鳥羽が現在得点ランキング首位だった。



 2位に立見から優也が入っていて、3位には西久保寺の栄田が上がっている。



 今回準決勝の結果によっては、得点ランキングが大きく変動するかもしれない。



 今立見はシュート練習を行っている最中。その優也は珍しく左足のシュートを撃つ。



「っ……!」



 何時もの右足で放つ時と比べ慣れない感覚。ボールはゴールを守る大門が見送り、ゴールマウスの右上を飛んで過ぎ去っていた。



「お前は右は良いの持ってる、けど左はまだまだ駄目だ。小柄なFWは左右両足使えるようになった方が良いぞ」



「はい……!」



 勝也から指摘されて優也は頷いて答える。



 長所のスピードや右足で優也は此処まで多くのゴールを決めているが、上に行けば行く程き相手はどんどん強く上手い相手が出て来る。



 そうなったら優也の長所を潰して来て、点を取るのが難しくなってくると勝也は見ていた。



 このまま右足しか使えなければ、上のレベルには中々通じないだろうと。



 ならば左足も使えるようになって損は無い。優也は徹底して左足のシュートを蹴り続ける。




「川田!お前も右でシュート行けるようになっとけ。お前のキックの威力は豪山にも負けてねぇからな!」



「は、はい!」



 左足の豪快なミドルを得意とする川田。さらなる武器を身に付けるようにと、勝也は彼にも声をかけていた。



「上村はもうちょいフォーム改善だ。お前それだとボールに充分な力が伝わらねぇぞ」



「あ、はい……!」



 シュートが不得意で、中学時代に全然ゴールを奪えなかった過去を持つ武蔵。



 勝也が直々に後輩のシュートを撃つ時のフォームを見て、改善していく。




「やっぱ後輩の面倒見が良いよなぁ勝也先輩って」



 後輩を指導する勝也の姿を、小休憩しながら眺めていた間宮。



 勝也を見る目はキラキラしていて完全に憧れる目だった。



「そういえば間宮先輩って神山先輩に憧れてるんでしたっけ?」



「ああ、中学の時に立見のあの人の試合を見てな……すっかり惹かれちまったんだ」



 共に休憩する弥一と会話しながら、間宮は当時の事を懐かしそうに振り返る。その時の勝也の勇姿を思い出したのか、うっとりとしていた。



「あの人こそ真の漢だ!って急に立見行きを決めた時はびっくりしたよ」



「そうそう、対戦校だった音村に行くはずがなぁ」



 側で休んでいた影山、田村の2年達も会話に加わり当時の事を話した。



「影山先輩と田村先輩も神山先輩に憧れてですかー?」



 間宮と同じように勝也のサッカーを見て惹かれたのか、弥一は先輩2人にも立見に来た理由を尋ねる。



「うん……まぁ勝也先輩が格好良かったのもあるけど、高校行くなら啓二や草太と同じ所が良いなって思ってさ」



 影山が立見行きを決めた大きな理由は間宮、田村が立見行きを決めた事。1人だけ見知らぬ高校に行くよりも、気心知れた幼馴染や仲間が居た方が良いと思った。



「俺はあれだ。1人の学生が0からサッカー部を立ち上げたのは漫画みたいでかっけぇ!って思ってさ。そこで活躍したら女子からモテるだろって事で入った!」



 清々しい笑顔で田村は右手親指を立てて、白い歯を煌めかせながら言い切る。



 モテたいからと、実にシンプルな理由で立見に来ていた。



「お前サッカーに女の事持ち込み過ぎだろ、雑念がでけぇよ!」



「男なら当たり前だろうがぁ!つか女子に関心ねぇ啓二が何で俺よりチョコレート貰ってんだよー!?」



「知るかぁ!草太も貰ってんなら良いだろうが!」



「よかねぇよ!俺のは全部義理!お前はハート型のどう見ても手作りな本命貰ってんじゃねぇかぁぁ!!」



「ふ、2人ともヒートアップしてるから落ち着いて!」



 田村の立見に来た動機から間宮のバレンタインと、関係無い話から間宮と田村の言い合いになる。



 影山が間に入って止めている時だった。




「お前ら……随分と元気そうで体力有り余ってるみてぇだな?」



「!?」



 いつの間にか3人の側に立っていた勝也。腕を組んでいて、口元は笑みを浮かべている。



 勝也の姿を見て、2年の後輩3人は一気に凍りつく。




「(動機は人それぞれだなぁ)」



 1人勝也が接近してきた事に気付いて、早々に場から離れていた弥一。



 そのまま1年のシュート練習へと混じり、大門を相手に弥一は左足でゴール左下隅を狙った。正確無比なシュートがゴールネットを揺らす。



 あの後2年の3人には、高速サッカーマシンによる練習が行われていたという。





「ふ〜、真島戦が近いせいか今日は熱入れ過ぎちまったかな」



 着替えが終わり、制服姿となった勝也が部室から出て来ると、鍵を持つ京子が戸締まりをする。



「真島には去年の事もあるから、勝也がそうなるのは自然だと思う」



 この時、勝也も京子も去年の秋を思い出していた。




 立見サッカー部が出来てから僅か1年。勝也を中心に破竹の快進撃を続けていた立見は、全国出場の目標まであと一歩という所まで迫る。



 だが立見の望みを断ち切ったのは、真島の2年エースだった鳥羽。彼のFKによる一撃で沈められてしまう。



 試合終了のホイッスルが鳴った時には、勝也は呆然と電光掲示板のスコアを眺めていた。



 真島2ー1立見




 相手は東京で1、2を争う強豪だった。それを相手によく戦ったと評価されるが、勝也の心は決して晴れない。



 惜しかったからと言って負けた事に変わりはなく、全国へ行けなかったという事実は動かないのだから。



「あれから半年ぐらい……か」



 総体の予選で真島と再び戦う事になった。早々にリベンジの機会が巡って来て、勝也の闘志は燃え滾っていた。



 それが今日の力が入った指導に繋がったのだろう。



「3年となって鳥羽君も峰山君もチームの中心として活躍。1年の真田君と優秀なルーキーも入って去年より総合力は増してると思う」



「優秀なルーキーならうちの方も負けてねぇって」



 京子と共に歩き始め、勝也は弥一や他の1年の姿を思い浮かべる。



「あいつら伸びが凄ぇんだよなぁ。練習や試合を重ねれば重ねる程、分かりやすく成長して来るんだよ」



「それに2年も刺激受けてるみたい」



 1年の何人かがスタメンに選ばれ、試合をする姿に2年も奮起している。



 チーム全体が今成長していると、勝也も京子も感じ取っていた。




「あ、勝兄貴に京子先輩お疲れ様でーす♪」



 そこに陽気な声が聞こえ、振り向くと制服姿の弥一が2人の後ろから走って来る。



「何だ弥一?まだ帰ってなかったのか」



 とっくに1年達と帰ったのかと思っていたが、まだ残っていた弟分の姿を勝也は少し意外そうに見る。



「ちょっとお手洗い行っててさぁ、それと今日は一緒に帰る約束してるから♪」



「約束?ああ……」



 人と帰る約束をしていて、誰と帰るのか勝也も京子も察した時。




「じゃ、お邪魔虫はこれにて退散♪後は2人でごゆっくりどうぞ〜♪」



「!?お前、余計な気ぃ使う必要は……!」



 勝也がそれを言い切る前に、弥一は素早く正門の方へと向かっていた。



 その先には弥一に向かって手を振る輝咲の姿。



「向こうも2人でごゆっくりみたい」



「人の事言えねぇだろうが弥一よぉ……」



 仲の良い2人が共に歩くのを遠くで見て京子はクスリと笑う。勝也は軽くため息をつきながらも、2人の歩く姿を見えなくなるまで見守るのだった。

田村「これ良い雰囲気なカップルの回だっけー!?」


間宮「知らんわ!」


影山「僕らきっつい特訓しただけだね……というか僕被害者だよね……!?」


田村「勝也先輩自らが何度もサッカーマシンで速いだけじゃなくきっついコース狙ったりだったよなぁ……」


影山「けど1人ご褒美と思ってるの居るみたい」


間宮「忙しい身なのに俺らの為に時間使ってくれて……あんな熱心に指導してくれる勝也先輩やっぱマジで格好良いわぁ……!」


田村「恋する乙女みたいにうっとりしてんじゃねぇか!?」


影山「啓二って勝也先輩信者みたいな所あるからなぁ」

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