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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 再会編
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兄は弟の春を見守る

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「(んー、今日はどうしよっかな〜?)」



 立見高校での昼休憩。購買部には腹を空かせた食べ盛りの生徒達が集い、各々が弁当やパンを購入する光景が見えた。



 その中に弥一が居て、何を食べようか品物を前に考えている。


 狙っていた立見の購買部限定の、炒飯弁当は既に買われて売り切れ、他に何か無いか探して見れば1つのおにぎりに目が止まった。



「(焼き鳥おにぎりかぁ、美味しそうだからこれにしよ)」



 何時もは鮭やおかかといった、定番の具を使ったおにぎりが並んでいたが、この日はあまり見ない物が置いてあって、弥一はこれと決めて右手を伸ばす。



 すると、横から伸びて来た手と弥一の手が触れ合う。



「あ、ゴメン」



「いいよ、気にしないでー……」



 弥一の手と触れた直後、相手がすぐに謝って来ると弥一は振り返りながら、気にしないよう伝えようとしていた。



 彼の言葉は途中で止まり、その人物を見上げる。



 立見の女子制服を着ていてスラッとした長身、凛々しい顔立ちに艷やかな紫髪のショートヘア。



 弥一とその女子の目が合うと、彼女の方から声を発した。



「……弥一君?」



「……輝咲ちゃん?」



 互いに向かって名を呼び合う。



 この時、弥一も輝咲と呼ばれた女子の方も昔の記憶が蘇っていた。



 合気道の道場に当時所属していた柳FCと合わせて通っていた頃、弥一は輝咲と会っている。



「やっぱり弥一君だったんだ。入学式で見かけた時からもしかしてと思っていたけど」



「懐かしいなー、輝咲ちゃん同じ高校だったんだねー♪」



 小学生以来の再会、互いに昔の姿を思い出しながら、共に笑顔を見せた。



「笹川先輩お昼一緒に食べませんかー?」



「あたしもご一緒したいです♪」



 そこへ他の女子生徒達が輝咲へと寄って来て、昼に誘おうとする。



 長身で凛々しく、王子のようなタイプのせいか、輝咲は同じ女子生徒からの人気がかなり高い。


 こうして昼に誘われるのも珍しい事ではなかった。



「すまないね、今日はちょっと先約が入ってるんだ。また次の機会に……ね?」



「あ……はーい♡」



 輝咲は申し訳ないと、昼食の誘いを丁重に断る。



 近距離まで迫られ、輝咲の柔らかな笑みを間近で見た女子は見惚れてしまう。



 弥一と輝咲はそれぞれ昼食を購入し、場所を移動。





「ん……?」



 昼食の弁当を持って外へ向かう勝也、そこによく知る弟分が、背の高い女子生徒と一緒にベンチに座る姿が見えた。



「え……おいおいマジか弥一……!?」



「勝也、何してるの?」



 コソコソと様子を見ている勝也に、後ろから京子が声をかける。



「京子、弥一に春が来たみたいだ……!」





「輝咲ちゃん女子からモテモテだねー」



「はは、嬉しいと思っておくよ」



 校舎の外にあるベンチにて、弥一と輝咲は腰掛けると購買部で買った昼食を食べ始めた。



「小学4年生の時に僕が引っ越しちゃったから、それ以来になるね」



「ああ〜、後もうちょっと早くスマホ持ててたら連絡先交換出来てたのにー」



 弥一がスマホを持てたのは丁度小学4年の時、輝咲が引っ越した後だったので、連絡先の交換は叶わなかった。



 もっと早くからスマホ持てたらなぁ、と呟きつつ弥一は焼き鳥おにぎりを食べている。


 輝咲の方は卵のサンドイッチだ。



「良いじゃないか、僕と君はこうして再会出来たんだから」



「じゃあ忘れない内に今度こそ連絡先を交換しよー♪」





「弥一の奴、もう連絡先を交換かよ……!?会って早々早くねぇか……?」



 物陰に隠れて勝也は2人を見守っており、弥一が早々に連絡先を交換しようとしてる事に驚かされていた。



「そんなコソコソしなくても良いんじゃない?」



「いや、此処は2人きりで良い雰囲気の方が……あの子は確か2年……そうか、弥一は年上のお姉さんが好きと……」



 勝也と京子が会話を交わし、勝也がブツブツ呟いていた時。




「勝兄貴何してんのー?」



「!?」



 隠れていた事が弥一にバレてしまい、勝也はもう隠れてても無意味と分かれば、弥一達の前へ京子と共に現れる。



「あー……昼食べようとしたら、お前とその子が一緒に座ってるの見えて……悪い!気になった!」



 ドが付く程に正直過ぎて、弥一が心を読む必要も無かった。



 頭を下げて謝る勝也に、弥一だけでなく輝咲もつい笑ってしまう。



「折角久しぶりに再会したから、勝也さんも彼女さんもお昼一緒にどうですか?」



「え?久しぶりに再会って弥一に……?」



「あれ、勝兄貴覚えてないのー?昔一緒に道場行った時に会ったよー」



 弥一と輝咲は覚えているらしく、勝也は考え込む。



 遡る事小学生時代、柳FCに在籍していた頃の記憶を引っ張り出していく。




「あ!あの時の子か?俺に合気道教えていた」



「そうそう、勝兄貴がすぐに音を上げてギブしてた時ねー」



「余計な事言わんでいい!」



 勝也は弥一に付き合って合気道の稽古をやった事がある。その時に輝咲とも会っていたのだ。



 当時は勝也の方が輝咲より身長は高かったが、今ではこの中で輝咲が最も高く、180cmに届く程まで成長している。



「確か笹川さん、バレー部だったと記憶してるけど合気道も経験してるんだ」



「ええ、嗜むぐらいには」



 京子に対して輝咲は謙遜するが、実際は段持ちの達人レベルであり、小学生の頃は天才と言われる程の実力。


 弥一にとって合気道の師でもある。



 それから昔話に花を咲かせ、共に昼休憩を4人で過ごしていた。




「(弥一がイタリアから帰って来なかったら、こういう再会も無かったかもしれない……だとしたらすっげぇ偶然かも)」



 弥一が居たからこそ、今回の再会はあった。



 もし彼がイタリアから帰っていなかったら、輝咲の事に気付かないまま立見を去っていたのかもしれない。



 面白い偶然だなぁと思いながら、勝也は正門を出ようとしていた。



「勝兄貴ー」



 そこに帰り支度を済ませた弥一が、勝也の所へと駆け寄って来る。



「おう、あれから彼女とはどうなってる?」



 からかうように勝也は輝咲との仲について尋ねる。



「連絡先交換して遊園地行こうってなった♪」



「展開速ぇなおい!?」



 今日再会したばかりで、既に遊園地へ遊びに行こう、という所まで進む弥一に驚かされる。



「でも行くのは総体予選終わってからだよー?」



「ああ…まぁそりゃそうだな」



 初の全国行きを目指している最中、遊ぶのは大会が終わってからだと弥一は決めていた。


 そこはちゃんとしている弟分に勝也は軽く一息つく。



「それで遊園地行くなら勝兄貴や京子先輩も誘おうってなって、それなら勝気君も一緒に楽しむのはどう?」



「お前、遊園地行くなら2人きりでだなぁ……」



 2人きりのチャンスを潰すなと勝也は言いかけたが、京子や勝気と遊園地に行くのは良いなと思った。




「とりあえず大会終わってからのお楽しみだ、次に向けてまた準備しなきゃならねぇし」



「じゃ、全勝で悔いなく遊べるようにしよう♪」



「頼もしいけど油断すんなよー」



 足取り軽く、先を歩く弥一に勝也も進む。



 ひとまず大会に集中、遊び呆けて勝てる程に高校サッカーは甘くない。



 次の対戦校である古豪の前川高校戦に向けて、弥一と勝也の立見サッカー部は練習を積み重ねていく。

輝咲「僕の初登場相当遅かったよね」


弥一「うん、100話以上書いてやっと出番だったからねー」


輝咲「それに比べると今回は総体の予選から早く出られたよ」


勝也「本編が結構回り道してたからな、IFまでそんな迂回しなくていいだろってなった」


弥一「変わらず女子からの人気高かったねー」


輝咲「惹かれさせるような事はしてなかったんだけどな」

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