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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 再会編
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賑やかな食卓で束の間の休息

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「勝兄貴の家に行くの初めてだよー」



「そうだったか?」



 弥一はこの日の夕方、勝也から家での夕食に誘われていた。


 タイミング的にも母の涼香が会社に泊まり込んで、弥一は1人家で過ごす予定だったが、勝也の誘いに行くと返事を返す。



 皆で食べる美味しいご飯を逃せないと、弥一はこの時を楽しみにしていた。



「今日は兄貴の夫婦も珍しく来てるからさ、そんで母さんも張り切って料理多く作ったんだよな」



「あ、太一さんも居るんだ?」



 家までの道を歩きながら話すと、勝也の兄である太一が居る事を弥一は今知った。



 太一は現役のプロサッカー選手でJ1クラブに所属。


 勝也にとってサッカーの師でもあり、弥一も幼いころから世話になっている。



「弥一がミランを追い出されて日本に帰国した事言えば、兄貴凄ぇ驚いてたぜ?「何故だ!?」ってな」



「あ〜、親以外にその事は誰にも伝えてなかったからねー」



 元々弥一のイタリア行きは太一が強く勧めていた。



 彼のコネがあったおかげで、超名門クラブのミランに入る事が出来たのだ。


 それがクラブを追い出されて帰って来たと知れば、驚くだろう。


 勝也もそうだったのだから。




「おし、着いた。遠慮なく入れよ」



「こんばんは〜、お邪魔しまーす」



 年季を感じさせる趣のある一軒家。勝也は持ってる家の鍵でドアを開けると、弥一に中へ入るよう促す。



 弥一が家に入り、勝也も後に続くとリビングには人が集まっていた。



「弥一君!久しぶりだなぁ」



「ご無沙汰してまーす♪」



 椅子に座って烏龍茶を飲んでいた太一。弥一の姿に気付くと挨拶を交わす。


 隣には幼い男の子を抱っこする太一の妻が座っていた。



「こんばんは神明寺君」



 太一と向かい合う形で座る京子。彼女も赤子を抱っこしている状態だ。



「こんばんは倉石先輩ー、勝気(かつき)君も元気そうだね〜♪」



 同じ立見で先輩の京子に挨拶した後、弥一は彼女が大事そうに抱える赤子にも明るく声をかける。



 赤子は勝也と京子の子供、2人は結ばれていた。


 勝気という名前は京子が名付けて、勝也から1文字拝借したらしい。



 弥一がこれを初めて知った時は驚いて、ひっくり返りそうになったものだ。




「いや、まさか弥一君がミランを追い出されるとは。監督によっては自分の考える戦術と選手が合わない事から外すという事はあるけどな……しかし納得行かないなぁ」



 改めて弥一からミランを追い出された事について、聞かされると太一はクビになった本人以上に、納得していなかった。



「おかげで俺の立見に来てくれて助かってるよ。今じゃすっかりレギュラーに定着だ」



 実家の母の手作りである、鶏の唐揚げを食べながら勝也は立見の此処までの戦いを振り返っていた。



 初戦の川木西を4ー0で下し、2回戦で当たった橋岡高校も6ー0で勝利。



 支部予選決勝は、壁代高校の堅守をこじ開けて3ー0で立見は1次トーナメントへの進出を勝ち取る。



 3戦で13得点。3試合連続無失点と初の全国出場に向けて、立見は順調に道を歩み続けていく。




「へぇ〜、凄いじゃないか弥一君」



「勝也、弥一君の足を引っ張っちゃ駄目よ?」



「わーってるよ」



 神山家の父、母が揃って弥一を賞賛し、母に弟分の足を引っ張らないようにと言われれば、苦笑しながらも手作りのお好み焼きを食す。



「キャプテンとして世話してるつもりなんだけど、なぁ弥一?」



「ほぁ?」



「……いや、俺が悪かった。まずは食って口の中を無くせ」



 勝也に話しかけられて振り向いた弥一。焼きそばを口いっぱい入れて、喋れない状態だった。




「もうミランは凄いプレーヤーばっかだったよー♪すっごい足速い右サイド居たり読み辛いフェイントしてくるFW居たりとかでさー」



 食事しながら弥一が皆へと、ミランでの体験を伝えれば頭の中では、共に過ごしたチームメイト達の顔が浮かぶ。



 どのポジションにも一流の選手達が揃っていて、特に1人の選手がずば抜けていた。



「イタリアの神童サルバトーレ・ディーンとも同じチームだっただろ?彼を見た感想とかどうかな?」



「サインとか貰ったりしてねぇの?」



 身を乗り出す勢いで、太一は聞き出そうとしている。その話には勝也も興味津々だった。



 これには2人の母も「うちの息子達はもう」と、ため息をつきながら、それぞれの嫁と話す。



 2人がそれ程までに興味を持つディーンは、天才の中でも常識離れしたテクニックを持ち、異次元の魔術師と呼ばれている。



 彼を間近で見たり、何度もデュエルを積み重ねた結果、弥一は飛躍的なレベルアップを遂げていたのだ。


 小柄な体のハンデを感じさせず、立見で今活躍しているのも勝也は頷けた。



「ごめんー、サイン貰ってなかった〜」



「マジかぁ」



 ディーンが人にサイン書いてるの見たこと無いけど、内心で付け足しながら、弥一が勝也に両手を合わせて謝っていた。



「その分働くよ♪立見を全国に導いて頂点に立たせるからさー」



 サインを渡せなかった分、サッカーで働くと弥一は陽気な笑顔で立見を全国に連れて行き、優勝させると告げる。



「どうかな、そんな簡単じゃないぞ高校サッカーは」



 太一もかつては今の弥一と勝也のように、高校でサッカーをしてきて大会を経験している。


 その経験から甘く見ない方が良いと、注意が飛んでいた。



「東京がすっごい強いのは勝兄貴から聞いてますよー。真島高校に桜王学園と前川高校が強いって」



 前に勝也から東京の強豪について聞いて、弥一は把握済みだ。



「何だ、まだ全国の強豪は教えていないのか勝也?」



「流石に気が早ぇかなって思ってさ」



 全国行きが確定していない状態で、まだ全国の強豪について教えなくていいだろうと、太一に勝也は話した後で残ったお好み焼きを平らげていく。




「全国は東京を上回る強豪が沢山居る。例えば大阪の最神第一高校に埼玉の星崎高校、この辺りは全国の常連で特に最神は去年の選手権準優勝校だ」



 太一の口から全国の強豪について語られる。


 他にも海塚高校のフィジカルも凄まじい、と彼の語る口は止まらない。



「けど一番は、やっぱ八重葉学園だろ」



「八重葉?」



 今の高校サッカーで一番強い高校、その名前が勝也から出て来た。



「去年に総体、選手権、高円宮杯と全部のタイトルを獲得した絶対王者と言われる所だ」



「そんな強いのー?」



 日本に帰って来てまだ日が浅く、高校サッカー界には疎い弥一。


 強いのかと問えば勝也は小さく頷いた。



「ま、あまりそっち語る前にまずは東京予選だから。勝ち上がればその絶対王者に嫌でも会えるからよ」



「そっか、勝ち上がった時のお楽しみだね♪」



「スマホで調べんのも無しだからな?」



「はーい」



 あまり詳しい事を伝えれば、東京予選を戦う弥一の集中力を奪うかもしれない。


 なので八重葉について勝也は全て語らず、此処で伏せた。



 英気を養い、立見を初の全国へ導く為に、弥一は東京予選の獲物達を狩る事に専念する。

弥一「勝兄貴の実家が凄い賑やかになったねー♪」


勝也「俺と京子に兄貴の夫婦に加えて子供も居るからな」


弥一「でもホント、その年でもう子供が居る事に驚いちゃったよー」


勝也「ああ、俺の子マジ可愛いだろ?」


弥一「親バカ見せてるねー」


勝也「本当に天使が舞い降りたってなったからな!?もうすんげぇちっちゃくて可愛くて可愛くて……弥一聞いてるか!?」


弥一「勝兄貴とりあえず勝気君の所行ってよっかー」

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