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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
もう一つのサイコフットボール 始まりの彼が存在する物語 再会編
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彼らの学校生活

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 新入部員との顔合わせの日を迎え、勝也はキャプテンとして今日から入部する部員達の前に姿を見せた。



「3年のキャプテン神山勝也だ。1年の皆、立見サッカー部にようこそ」



 1年達の大多数が緊張した面持ちだ。



 それを察した勝也は柔らかく笑い、言葉を発する。



「先に言っておくと1年だから試合に出られない、基礎をひたすら積み重ねて行け……なんて事は無ぇ。実力ある奴は1年だろうが公式戦に出すつもりだ」



 一瞬1年達は試合に出られない、そう思ったが勝也は否定。



 実力あれば学年など関係無い、誰でも試合に出られるチャンスがあるという訳だ。



「つまり俺達は高校サッカーの頂点を目指す同志、と同時にポジションを争うライバルでもある。皆それぞれの力を引き出してレギュラーを狙ってほしい、あ……俺のポジションは簡単に下剋上許さねぇけどな?」



 レギュラーを争って行けと、勝也の言葉に1年達の競争心が高まる。


 最後に勝也は勝ち気な笑みを浮かべ、自分からポジションを奪うのは容易じゃないと伝えた。




「んー、お前身長だけじゃなく声もでっかいけど緊張し過ぎじゃねぇか?もうちょい肩の力抜け抜け」



「は、はい!すみません!」



 勝也が期待する注目のGK大門、この中で一番緊張している様子であり彼の自己紹介の後に、勝也は彼の右肩を軽くポンポンと叩き緊張を解させる。



「歳児優也、FW希望です。足の速さならこの学校の誰にも負けない自信あるんでよろしくお願いします」



「ほお…良いね、大口叩く勝ち気な奴は嫌いじゃねぇが言ったからには有言実行を期待させてもらうぜ?」



「はい」



 他にも骨のありそうな奴が居たか、と勝也は笑みを見せる。



 サッカー経験は他の者と比べて浅いとの事、体格も小柄な方の優也だが彼の目を見れば負けん気の強さが感じられた。



 その優也の後に最後の1人、弥一の出番が来た。



 勝也は出来る限り弥一の事を、他の後輩と同じように接していくように心掛けている。


 そうでなければキャプテンとして、先輩として示しがつかないからだ。



「神明寺弥一、リベロ希望ですー」



 あの体でDFがやれるのかと周囲がざわつく中、勝也に驚きは無い。


 元々ミランで活躍していた事を知っているおかげだった。



 騒ぎになりそうなので勝也はその事を伏せているが、次に弥一はこの言葉を発する。




「僕の出る試合は全試合無失点で行くつもりなんでよろしく♪」



 弥一のビッグマウスに、先程以上のざわつきがサッカー部に起こっていた。



「(思いきり目立ちやがった馬鹿……!)」



 これには勝也も頭を抱えたくなってしまうが、キャプテンとしてそんな姿は晒せないので、なんとか平常心を保ち朝練を開始する。





「だって意気込み言えって言ったじゃーん?」



 朝練が終わり、学校の授業を経て現在は昼休憩。



 勝也と弥一はベンチに腰掛けて昼食を食べている。



「言ったけど目立ち過ぎだろうが……!騒ぎにならないようミランの事伏せてたってのに」



 これはこれで騒がれると勝也は思いながら、売店で買った鮭おにぎりを1個平らげて2個目の封を開けた。



「う〜ん、日本のパン美味しいね〜♡」



 当の本人は気にせず、たまごロールのパンを美味しく味わっている。



「(解雇されたってのに元気そうだよなぁ……)」



 おにぎりを食べながら弥一の様子を見る勝也。ミランを追い出されたと聞かされて実は深くショックを受けているのではないかと、傷を広げないように彼がそこに在籍していた事を部員達に黙っていたが、何事も無く過ごしている弟分の姿に一安心する。





「止まるなよー!敵さんは待っちゃくれねぇぞー!」



 放課後の立見サッカー部。



 勝也が自ら走りながら、周囲の後輩達へと声をかけていく。



 急走と緩走を繰り返し、切り替わるタイミングもバラバラに行う、インターバルトレーニングは部員達の体力を容赦無く奪っていた。



 1年達が次々とペースが鈍り、脱落していく中で最後まで上級生について来た1年は弥一と優也のみ。



 そこから休憩後もスタミナ強化を中心としたトレーニングが行われる。


 受験で鈍ったであろう1年の体力を鍛え直す狙いだ。




「おーし、今日の練習は此処まで!全員で片付けてとっとと帰るぞー」



 ほとんどの1年がグロッキー状態の中、勝也は片付けを始めていた。


 体力の差は明らかである。




「久々に練習したって感じ〜」



 夕方となって弥一は大きくうーん、と上に両腕を伸ばしながら歩く。



「最後まで残らずお前早めに帰りゃ良かったのに、確か桜見だろ?」



「どうせなら勝兄貴と話しながら帰ろうって思ってさー」



 隣を歩く勝也に、弥一は見上げて笑顔を見せた。



 そういえば昔も柳FCに通ってた時、よく一緒に帰ってたなと勝也は共にクラブへ在籍していた頃を思い出す。



 互いに歳を重ね成長したが、こういう所は変わっていない。




「あ、美味しそうなパンー。勝兄貴ちょっと寄ってかない?」



「家まで我慢出来ないのかよ。……確かに美味そうだな」



 通りかかった時に見えた、ベーカリーショップの店内にある数々のパン。


 弥一は魅力的な誘いに抗えず、勝也も誘えば彼も空腹のせいか賛成し店へと入る。




「部活終わりのビーフシチューパン最高〜♡」



「良い店見つけてんな弥一」



 店内のイートインスペースにて、弥一と勝也は共に同じパンを味わう。


 部活終わりの空腹状態が最高のスパイスとなり、美味しさが際立ち早々に1個を平らげていた。




「気の合う友達とか出来たのか?」



「勝兄貴それお父さんっぽいよ聞き方ー」



「うっせ、そんでどうなんだよ?」



 メロンパンを食べながら勝也は、弥一に立見での仲間は出来たのかと尋ねる。



「入学式の時に電車で一緒になった同じサッカー部の大門や部の人じゃないけど杉原って同じ1年と仲良くなれたよ♪」



「ああ、とっくにあのでっかいGKと知り合ってたのか」



「ちょっと気が弱いけど良い人だねー」



「もうちょい堂々と出来れば……いや、試合のあいつを見てねぇからそう判断すんのは早いか」



 既に何人かの同級生と友達になっている弥一。その中で大門の話題となれば勝也はキャプテンとしての顔を見せた。



「後はこれ気になったけど歳児って結構凄いと思うよ」



「お前もそう思うか、あいつスピードが田村と互角なだけじゃなくスタミナも想像以上に優れてた。元陸上部って聞いたけどたいしたもんだ」



 弥一と勝也は揃って優也は凄いと意見が合う。現状スピードが立見で最も優れているのは2年の右SDF田村だが、その座もひょっとしたら危ういかもしれない。



「これでこのまま鍛えて行ければ、今年は全国行けるな」



 立見サッカー部を作って2年、未だ果たせていない全国大会出場。


 優秀な1年が入り彼らを鍛え、自分達上級生達と上手く融合していければ行けると勝也は言い切る。



「確か東京予選を勝ち抜くんだっけ?」



 帰国して日本の高校サッカーにやや疎い弥一。メロンパンを食べながら勝也へ確認するように尋ねていた。



「ああ、つっても予選も簡単じゃないからな。俺ら実際2年跳ね返され続けてるし」



 牛乳パックをストローで一口飲んだ後、勝也は続ける。



「去年立見が敗れた東京No.1ストライカー鳥羽のいる真島高校。総合力に関して都内随一と言われる桜王学園。古豪の前川高校と強豪だらけだし」



 後は音村学院にも1年の時負けたしなぁ、と呟きながら勝也は東京の強豪校であろう学校名を弥一に伝える。



「大丈夫だよ勝兄貴」



 パンを食べ終えたタイミングで弥一は勝也を真っ直ぐ見ていた。




「全部無失点で叩きのめすから」



 そこにあるのは無邪気な何時もの笑顔じゃない、勝負師としての強気な笑み。



 紹介の時に言った言葉を弥一は撤回する気など微塵も無い。あれは本気で実現させようと言った言葉なのだから。



「そう言う前にお前はまずレギュラーを確定させる所から始めろ」



「むぐっ」



 勝也は余った残りのあんぱんを弥一の口に軽く押し付け、そのまま弥一はモグモグと美味しさを堪能しつつ食べていた。

弥一「勝兄貴が居ると当たり前だけど本編と違うなぁ〜」


勝也「そりゃ居ないからそうだろ。けどお前と歳児のビッグマウスは一緒じゃねえか」


弥一「そこは大事な所だから変えないよー」


優也「俺も大事な所かあれ?」


勝也「だと思うぞビッグマウス2号君」


優也「つまり1号は弥一ですか」


弥一「何かお笑いコンビみたいになっちゃった〜」

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