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世界一を決める舞台

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「美味しい〜♡やっぱこれだね〜♡」



 起床した日本選手達。朝食の為に食堂へ集まり軽めにそれぞれ済ませる。



 弥一は好きなフルーツゼリーを食べて、朝から幸福に浸っていた。



「食いたい食いたいってせがまれるから慌てて取り寄せたよ……」



 望む物を用意するのに一仕事したせいか、安藤は軽く息をつきながら朝食を済ませる。



 今回特に弥一が鍵を握る試合になる確率が高い。食べられなくてモチベーションが下がり、力を発揮出来なくなるリスクを避けられるなら安いものだ。




「あ、メッセージ来てた……!」



 食後にスマホをチェックしていた大門。メッセージに気付くと両親や祖父母に弟、更にFC桜見の子供達からも来ていた。



 日本はスペインと比べて8時間進んでいる。こちらが今朝の7時なので向こうは午後3時を迎えてる頃だ。


 色々バタついてスマホを見る暇も無いぐらいだったが、寝てる間に来ていたらしい。



「あいつら大きくなったもんだな」



「わー、身長皆に抜かされたかもー」



 桜見とは弥一、優也も馴染みあって共にサッカーをやった事もある。


 その縁あって大門だけでなく、2人もグルチャに入っている状態。



 送られた画像には初めて会った2年前より成長し、中学生になった桜見の面々が映り、そこには大門の友人である野田の姿もあった。



 1年の時に選手権で共に立見を応援して以来、交流していて今もそれが続いているようだ。



「あ、ちょっとごめんー」



 スマホの反応に気付くと、弥一は一言断わってから席を外し、離れた場所で通話に出る。




「輝咲ちゃんー、電話してくれて嬉しいよー♪」



「忙しい時に連絡しようか迷ったけど、やっぱり決勝戦の前にエールを送りたいと思ってね」



 電話の相手は輝咲。彼女からの連絡のやり取りはスペインに渡っても毎日していて、メッセージが多かったが今日は声を届けてくれた。



「ん?なんかそっち騒がしいねー、何処に居るの?」



「ああ、立見高校だよ。今日決勝戦で代表である君達を応援しようと生徒だけじゃなく関係者とか家族とか勢揃いさ」



 スマホ越しで聞く輝咲の声以外で、多くの人々の声が弥一の耳に届く。



 輝咲の居る場所は立見高校。そこの体育館で日本とイタリアの決勝戦を皆で応援すると決まり、続々と立見に人が集まっている所だ。



 体育館には300インチの巨大スクリーンが設置され、試合が行われる頃には皆が体育館に集結して試合を観戦する。


 輝咲が居るのは、その体育館前の外だ。



「成海先輩に豪山先輩に倉石先輩と、立見サッカー部のOBも皆来てるからね。って、こんなの言ってたらプレッシャーかかってしまうかな?」



「ううん、頼もしくてありがたいサポーターがいてくれるなぁって思ってる♪」



 立見の創立メンバー3人も後輩達が世界の舞台、世界一になる所を見に来ていた。



「いや、倉石先輩には驚いたよ。在学時代はクールで完璧な女性という感じだったけど雰囲気柔らかくなったり、ちっちゃいお子さん連れたりと」



「へぇー、確かにあの人冷静沈着な監督だったからねぇ」



 京子の連れてる子とは弥一も会っている。勝也の墓参りの時に京子と共に現れた、勝也と同じ銀髪の男の子。


 彼がサッカーを観るぐらいに大きくなったんだなぁと、輝咲と会話しながら弥一は時の流れを感じた。




「輝咲ちゃんの声聞けて良かったー。おかげでやる気充分の何時でもかかってこーい!ってバフかかった状態だよ♪」



「そんな良い効果かかるなら、いくらでも聞かせるよ」



「うーん、もっと聞きたいけど出発の時が迫ってるからねー。すっごい名残惜しくて通話切るのやだー」



 このまま声を聞き続けたくて、弥一は通話を切りたくない気持ちが強くなっていく。


 本当は会いたいぐらいだ。



「ちゃんと試合の方で応援するから、ただ……」



「うん?」



 勝って欲しい、勿論輝咲は弥一に対してそう思っている。だがそれ以上に別の思いがあった。




「怪我とかそういうのはしないで、無事に帰って来てほしい」



 藤堂、狼騎と怪我で決勝を欠場し、アジアカップでは辰羅川が負傷。怪我人が続出しているのを見て輝咲は不安になる。


 弥一までそんな目に遭ってしまうのではないかと。



 勝利以上に弥一が無事に自分の元へ帰って来てほしい、それが輝咲の願いだ。



「勿論、無傷で戻って優勝も持ち帰るよ♪」



「うん、気を付けて弥一君」



 電話越しで聞こえる彼の何時もの明るい声。輝咲としてもそれをずっと聞いていたいが、流石にこれ以上引き止めては色々迷惑がかかる。



 輝咲から電話を切れば、日本の決勝を見届けようと体育館に入って行った。




「(益々負けられなくなっちゃったなぁ)」



 日本専用の移動バスが真っ直ぐ、決勝の舞台を目指して移動する最中、輝咲の言葉を受けて弥一は心配かけない為に、無傷でイタリアに勝とうと考えていた。



「カンプノウか……テレビでしか見てなかったのに、まさか行く日が来るなんて」



「凄ぇよなぁ、決勝戦そこでサッカーやらせてもらえるなんて」



 隣同士の席となった室と月城。2人ともこれから行くカンプノウについて話していた。



 10万人近くが収容可能という巨大スタジアム。世界最高クラスのサッカースタジアムだ。


 スペインで開催が決まり、決勝戦はそこを使うとなった時は大きなニュースとして、世界中に流れた事がある。



 世界最高の国際試合をするなら、それに相応しい最高の場所を用意しなければならない。


 でなければワールドカップに、フットボールに失礼だと主催側は語っていた。




「凄いスタジアムでやるのはめっちゃ光栄やけど、飲まれて萎縮はアカンで?」



「そりゃしないように気を付けるって」



 凄い相手と凄い会場の組み合わせ。これに飲まれるなと想真の言葉に番は心を強く持つが、踏み入れた事のない未知の場所だ。


 実際はどうなるのかは、行ってみなければ始まらない。



 栄光あるスタジアムは日本を受け入れ、歓迎してくれるのか、皆が話している間に決勝戦のスタジアムは見えて来た。




「おい!あれだよあれ!」



 真っ先に見つけたのは冬夜だった。それが姿を見せた時に彼は興奮しながら、皆へと伝える。




「カンプノウ…!!」



 日本代表の前に雄大な姿を見せた、巨大スタジアムのカンプノウ。多くの歴史を積み重ね、なお君臨し続ける世界最大規模のスタジアムだ。



 バスの窓越しでも纏う雰囲気に圧倒されそうになる。国立競技場を経験した者でも、それとはまた違うカンプノウの迫力を感じていた。



「本当に……凄い所でサッカーをするんだな……」



「うん……」



 数少ない年下組。明と五郎は自分達が今改めて凄い所に居るんだと、カンプノウに驚きながら理解する。




 日本選手達を乗せた移動バスはカンプノウに到着し、選手達は降りてロッカールームへと向かう。



 立派なスタジアムとなればロッカールームもまた立派であり、広々としたスペースが選手達を出迎えた。




「僕達今すっごい贅沢してるよね?」



「此処で軽食なんて贅沢だよ……」



 春樹、影山の2人は揃って軽食として、用意されたカステラを食している。



 試合開始まで時間は空いており、最後のエネルギー補給としてカステラが選手達に用意されていた。



「これだなぁ〜♡八重葉の皆が食べてるの見てなかったらカステラと出会ってなかったかも〜♪」



「いや、流石に出会うだろ普通に」



「そんなカステラ珍しくないし」



 甘くふわふわな生地を堪能する弥一に佐助、政宗と仙道兄弟が揃ってツッコミを入れる。




「ごちそうさまっと、アップ行こ行こー」



 軽食を終えて弥一は真っ先にアップへと向かう。



「お前が先頭を行くのは珍しいな神明寺、キャプテンを任されたせいか?」



「んー、その影響ですかねー?」



 すぐ後に照皇も向かい、追いついて弥一の隣を歩けば言葉を交わす。



 藤堂が負傷し、欠場しているので前回のブラジル戦から引き続き、弥一がキャプテンマークを着ける事は既に決まっていた。




 弥一と共に照皇が足を踏み入れた瞬間、地鳴りのような歓声が響いた。




「……!」



 数々の試合を経験してきた、照皇もこのフィールドの空間は初めてだ。



 全く未知の領域。照皇だけでなく弥一も全身で、今見えている景色を体感しているだろう。



 四方八方、多くの人々が現れた弥一達に注目している。



 この中で試合を後に行う。こんな空間でプロは毎回試合をしているのかと、照皇は改めてビッグクラブの凄さを知った。




「すげ……これがカンプノウのフィールドかぁ……!」



「天井……丸くぽっかり空いてる」



 後から現れた日本選手達も洗礼を受け、春樹は上にサークル状で広がる青空を見上げていた。



「はは、すっご……こんな場所でサッカー、それも決勝戦なんてさ」



「白羽、震えてるけど緊張してるのか?」



「まさか、武者震いだよ……!」



 世界最大規模のスタジアム。その芝生に足を踏み入れれば思わず、白羽は笑ってしまう。


 その体が震えたのに光明は見逃さない。




「(これが世界最高のフィールドかぁ……)」



 満員のスタジアム、そこから伝わる熱気と地鳴りのような歓声。



 弥一には不思議と心地良い。フィールドのセンターサークルで、独特の雰囲気を味わっていた。




 その時、歓声がまた一段と大きくなる。



 人々が最も注目する存在が、弥一達の居る空間に現れたのだろう。気配に気付き弥一は振り返った。



 歴代最強と名高く、再びサッカーの頂点返り咲きを狙うイタリア。



 ディーンの姿があり、ジョヴァニッシミ時代にサッカーを共にやってきた元チームメイト達も居る。




 弥一とディーン。かつて無敵と恐れられた天才集団。その二枚看板が敵同士として、頂点を決める場所で再会した。

安藤「俺選手だったらすっげぇガッチガチの自信しかねぇ」


狼騎「んな自信いらねぇよ料理人」


藤堂「凄い所まで来たもんだな、本当に」


安藤「(ぶっちゃけこの3人でフリートークやりづらっ!)」


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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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