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日本の決勝の相手

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

『し……試合終了ー!!なんと日本が、ワールドカップの舞台であのサッカー王国から……ブラジルから勝利!1ー0、またしてもウノゼロだ!!』



『こんな日が来ちゃいましたか……!日本がブラジルを倒す、凄い時代を迎えましたよ!いやぁ素晴らしい!!』



 試合終了の笛が鳴ると共に、フィールドの日本選手達は大金星に大盛り上がり。ブラジル選手達は落胆の色を隠せず、崩れ落ちる者が続出していた。



「俺ら凄ない!?ブラジルに勝てたわぁ!!」



「凄いに決まってんだろうが!ワールドカップの決勝だぞ決勝!」



 かつての黄金世代に続く決勝進出の快挙。それもUー20とはいえ、大きく負け越しているブラジルに勝利。


 超強豪相手に勝って、共にテンションの上がる想真と番は喜び合っていた。



「優也!これ喜んで良いだろ!?ワールドカップ決勝だぞ決勝!」



「分かったからそんな揺らすな冬夜……!」



 大金星でエキサイトしてる冬夜。両肩を掴まれてガクガク揺らされていた優也は、目を回しそうになっている。


 こちらは幼馴染同士で勝利を味わう。




「弥一!やったぞ!決勝だ決勝!」



「あはは〜、お疲れ〜♪」



 大門がフィールドで倒れ、大の字となっている弥一に近づき決勝進出を興奮しながら伝えれば、仰向けのまま弥一は何時もの笑顔で、この試合好セーブを連発した大門を労う。



 弥一が止めなければ、大門が止めなければという危険な場面は沢山あった。


 一歩間違えていたら、ブラジルと立場が今頃逆になっていたかもしれない。



 相変わらずの紙一重な勝利だった。




「決勝だー!!」



「ブラジルに勝つなんて凄いじゃないか!」



「後1つで世界一、此処まで来たらなってくれー!」



 立ち上がって弥一は日本サポーター達の居るスタンドに走り、決勝進出を報告すれば彼らは大いに盛り上がる。




 一方静まり返るブラジルサポーター。その前には敗戦で崩れ落ちる選手達の姿があった。



 ファルグ、ジルバの天才2人が入り高いチーム力を持っていたはず、前評判ではブラジルがイタリアの優勝を阻むのが有力視されていた程だ。



 期待されながら挑んだ結果がこれだった。



 強豪達を相手に勝ち進み、勢いがあったとはいえ日本に負けてしまうとは、夢にも思わなかっただろう。



 それだけに落胆が大きかった。



「ふざけんなよ……」



 1人のサポーターがポツリと呟く。




「決勝にも行けず敗退とかふざけるな!それでもサッカー王国かよ!?」



「ブラジルサッカーに泥を塗りやがって恥晒しが!」



 まるで火が付いたようにブラジルの選手達へと、サポーター達から罵声が飛んで来ていた。



 先程まで選手達を後押ししていた存在が、言葉の刃を向けて来る。



「皆、早く入れ!」



 これにブラジルのコーチやスタッフ達が、選手達を守るように誘導。その中でも彼らの激しい暴言は収まらない。



「お前らタダでブラジルに帰れると思うなよ!」



「ファルグ!日本相手に1点も取れないなんてだらしねぇぞ!」





「あいつら、好き勝手言いやがって……」



 ブラジルのロッカールームは多くの人がいながら、静まり返っている。その中でファルグが頭にタオルを被せた状態で席に座り呟く。



「我々への期待がそれだけ大きかった。負けてしまって裏切られた事で大きな反動となってしまったな」



 チームがどんよりと暗いムードに包まれていると、監督が口を開き選手達と向き合う。



「国の方に帰っても激しく叩かれる、だが……乗り越えるしかない。これを乗り越えて今度こそ勝利して優勝を掴まない限り……王国の真の復活は無い」



 さっきの罵声ぐらいでは済まない。敗退によって地元のメディアも批判したり、記事にもする事は見えている。



 それを跳ね除けて勝たなければならない。それが過去に何度も世界一に輝いた国の宿命だ。




「……守りきれなくて悪い」



「それ言うなら俺もだろ、取れなかったんだ……悔しいけどあいつらの言う通りさ」



 まだ着替える気力は湧かないらしく、ファルグもジルバもユニフォームのままだ。



 ジルバの方は決勝点となってしまった初失点を悔やみ、謝罪していたが、ファルグはお互い様だと自分の頭に被るタオルを取った。



「ディーンと試合する前にとんでもねぇDFと当たっちまうし、あいつを一度も抜く事は出来なかった……」



「神に愛された子供達、ミランの一員だったのは伊達じゃないな……」



 ファルグは自分より遥かに小さな選手、弥一の姿を思い出す。



 どんなフェイントを仕掛けても釣られず、自分を一度も逃しはしなかった。



 特に最後、自分からボールを奪いに来た弥一の目。



 獲物を狩り取る狩人のような目で、自分を見ていたような気がした。




「まだ終わりじゃないだろ。その先のA代表ワールドカップもあるし、クラブの世界一だってある。休んでる暇は無いぞ」



「……お前が励ましてくれるとは全く想定外だった」



「なんだよ、人が折角優しくしてるってのに!」



 ファルグに背中を叩かれると、落ち込んでいたジルバは立ち上がり着替え始める。



 彼らに下を向いている暇は無い。どんなに罵声や非難を浴びようが、次の戦いは待ってくれないのだから。



 それに向けて2人はまた歩き出す。







「日本決勝進出おめでとうございます。強豪ブラジルを下しての勝利ですね」



「ええ、満身創痍でよく選手達がやってくれましたよ」



 試合後の記者会見にて、祝いの言葉を受けながらマッテオが最初に応える。



「大門君、急な出場の中で堂々と守り好セーブ連発でしたね。今回のマン・オブ・ザ・マッチは大門君だと上がるぐらいですよ」



「いや、まあ……最初緊張しましたけど、声をかけたりしてくれてなんとか集中出来ました」



 記者達は何本ものシュートを防ぎ切った今日の勝利の立役者、大門に注目すれば彼はカメラを向けられて緊張していた。



「藤堂君が負傷して急遽神明寺君がキャプテンを任されましたが、動揺や混乱とかは特にありませんでしたか?」



「立見でもキャプテンやってるからか、ありませんでしたねー。流石に急なコース変わってのシュートには凄いヒヤッとしましたけど♪」



 一方カメラを向けられてもマイペースを崩さない弥一。




「酒井君、藤堂君と攻守の要が負傷と彼らは決勝戦欠場でしょうか?」



「その予定です、僅か数日で治る物じゃないと説明を受けているので」



 記者達は藤堂、狼騎の怪我の具合がどうなのか質問する。



 対してマッテオの答えは2人の決勝戦欠場を発表。最後は彼ら無しで挑む事となった。



 日本1ー0ブラジル



 酒井1





 決勝の相手を決めるもう一つの試合、イタリア対スペイン。



 当然地元スペインに熱い大声援が送られていた。



 優勝候補の名に恥じぬ高い攻撃力、無敵艦隊と言われる力を見せて多くの得点を準決勝まで積み重ねる。



 ラウド、ダナムのブレッド兄弟を軸とした、自慢のパスサッカーが展開され、この日も得点を積極的に狙おうとゴールに向かう。




 そんな彼らの前に聳え立つ、イタリアが誇る鉄壁の要塞。



 カテナチオがスペインの攻撃を跳ね返し続けていた。




『ラウドからダナム、しかしクライスがこれをストップだ!』



 短くかつ速いパスで繋げてくるスペイン。それを冷静に見て味方に指示を出して対応。


 そこからパスコースを限定的させた所に、兄弟のホットラインをクライスが断ち切る。



 セカンドとなって転がった球をスペインが拾おうとするが、イタリア最速の足を持つトニーの方が、誰よりも速くボールに追い付いていた。



 瞬きする間も無く、トニーから右足のパスが出されて中央のディーンに渡る。




 彼がボールを持った瞬間、ショータイムは開幕。



 寄せていた2人のスペイン選手の間を疾走して行き、ボールは何時の間にか彼の右踵によって上に上がっていた。



 勢い余ったかディーンは舞い上がった頭上のボールより先を走っている。


 これに2人の後ろに居たもう1人のスペインDFが向かう。



 だがディーンはこれで止まらない。



 DFが迫って来た所に、前を向いたまま後ろの落ちて来たボールを右足スパイクの裏で捉え、更にもう1回舞い上げて目の前のDFの頭上を越えさせた。




 既に3人を抜き去ったディーン。これだけで既にスーパープレーだが、彼のショータイムはまだ続く。



 反則覚悟で襲いかかるDF。しかし触れる事すら許さず、次の瞬間には抜かれていた。



 ボールと一体化してるかのようなドリブル。そこからの素早いフェイントにDFは反応出来ずこれで4人抜きだ。



 ドリブルで抜く度に沸き起こるスタンドからの声。残っているのはGKだけ。



 GKは飛び込んで行くが、それもディーンは華麗なターンで躱し、その流れのまま無人のゴールへ左足で流し込む。




『ゴ……ゴォォールー!!なんという事だディーン!スペインを相手に5人抜きのドリブルを達成してのゴール!!』




 5人抜きのゴール。イタリアもスペインも関係なく両サポーターが彼の神業に驚愕してしまう。



 ディーンのゴールに大喝采が沸き起こって、準決勝の会場は興奮の坩堝と化していた。




「あいつ、マジ化け物……」



「本当に同じ人間か……?」



 イタリアのカテナチオを前に1点も取れずにいたブレッド兄弟。その前で驚異的ゴールを決めてみせたディーンを見て、呆然となってしまう。




 これだけでは満足しないのか、ディーンはランドのゴールもアシスト。


 DFをディーンが引きつけた所に間を通す、グラウンダーのスルーパスを裏へ飛び出したランドがGKとの一対一。



 右足のシュートでGKの右脇を抜き、豪快にゴールネットを揺らしてみせた。


 このゴールによってランドは得点ランキング首位のファルグに並ぶ。




 2ー0となった所でディーンは交代、この試合もフル出場はせず、スコアはこれで維持される。



 スペインも最後まで攻めるが、カテナチオの番人クライス、その後ろに控えるイタリアの巨人リカルドからは1点も奪えず、試合終了の時を迎えた。




 この結果、日本の相手はイタリア。



 Uー20ワールドカップ決勝はこの2カ国が世界一の座を争う。



 イタリア2ー0スペイン



 ディーン1


 ランド1

大門「インタビューは未だ緊張するなぁ、どうすればそんな緊張無く答えられるんだ?」


弥一「んー、お笑い動画見たり皆と話してトーク磨いたりすれば行けそうじゃないかなー」


優也「大門が司会みたいに回してトーク……似合わないぞ」


大門「はっきり言うなよ!……俺も想像つかないけどさ」


明「(大門先輩でそうなら、俺もっと似合わないんじゃ……?)」


弥一「明も大門に付き合ってそれやるのも良いかもねー♪(心読んだ)」


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