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王国の儀式

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「っ!?」



 アメリカの守備の要デイブ。大会1の巨漢DFによる守備を中心に勝ち上がって来たが、彼の目は見開き呆然となっていた。



 目の前の相手は迫り来る巨体をすり抜け、触る事も許さずアメリカのゴールネットを揺らす。



『ゴ、ゴォォーール!!サルバトーレ・ディーン止まらない!この試合2点目のゴールでイタリア4ー0!アメリカの巨神が棒立ちだ!』



 試合前は聞こえていたアメリカサポーター達による「U・S・A!」の大合唱。ディーンの個人技からデイブを突破して、4点目が決まった時にはその声も影を潜めてしまう。




 相手の大合唱を力で黙らせたディーン。このゴールでまたも途中交代、勝負あったと見て早々に下がっていった。


 なんとかまずは1点でも返そうと攻勢に出るアメリカ。デイブも上がって行く。



 そしてアメリカのセットプレー。無論デイブの頭に合わせて来る事はバレているが、それでも決められる力を持っている。


 キッカーから高く上がったボールに対し、2m10cmの巨体が飛んでスペインの空を舞う。



 何者も彼の領域には届かない。そう思われたがイタリアの2mを超える巨人が飛ぶと右腕を伸ばし、ハイボールを大きな右手で鷲掴み。


 デイブが触れるより先にGKリカルドは収め、アメリカ自慢のセットプレーをシャットアウトしてみせた。



『2m同士の巨体!迫力満点の空中戦を制したのはイタリアの守護神にして巨人!リカルドがアメリカにチャンスを与えない!!』




「(4点取られた上に空中戦で負けるなんて……!)」



 自分の強みがイタリアに通じず、あまりの強さに衝撃を受けるデイブ。


 彼が上がっている隙にイタリアはカウンター。中盤をワンタッチで繋いでランドに渡ると、目の前のDFをダブルタッチで抜き去り、最後の砦トーマスも躱される。ランドは軽く右足で押し込み5点目をあっさりと決めていた。



 現在得点ランキングで首位に立つランド。更にMFながらディーンも上位に居て、カテナチオによる鉄壁の守備だけでなく、攻撃力まで際立つイタリア。



 アメリカを下し日本と同じくベスト4入りを果たす。



 イタリア5ー0アメリカ



 ディーン2


 ランド2


 トニー1





「この後のベルギーとブラジルの試合見るから、今の内に食べておけよー」



 試合を終えてロッカールームに戻って来た日本。スタッフ達が選手達に食事を配っていた。



 その場で手軽に食べられる弁当が事前に作られ、メニューは卵サンドとチキンの照り焼きサンドだ。



「美味しそうー♪僕の分も早くー」



「慌てるなって、ほら」



「どうもー♪……ん?」



 代表スタッフから手渡される弁当、その時弥一は何かに気付く。



 聞き覚えある声が耳に届くと、スタッフの顔を見る。




「えええ!?何で、安藤先輩が此処にー!?」



 マイペースな弥一が珍しく驚きのリアクションを見せると、彼の目の前には今年高校を卒業して、大学に通っているはずの先輩。立見のGKを務めた安藤の姿があって、スタッフの格好でこの場に立っていたのだ。




「次郎!?」



 同級生の影山も安藤の存在に驚けば大門に優也に明と、立見の関係者が駆け寄って来る。



「あー……これでも俺が一番驚いたり戸惑ったりしてるんだよな……」



 スペインの地で再会した安藤。軽く右人差し指で頬を掻きつつ、改めて久しぶりと挨拶した。





「叔父さんから言われた時驚いたよ。調理のサポートメンバーの1人が体調崩して人手が足りないから来てくれって言われてさ」



「まず、あの本橋さんが安藤先輩にとって叔父だというのに驚きましたけどね」



 スタンドにてサンドイッチを食べつつ、弥一達は久々に会った安藤から此処に来た経緯を話してもらう。



 情報担当のスタッフ、本橋慎二が安藤の母の弟であり、安藤にとっては叔父にあたる。


 身内とはいえ、それだけで代表スタッフの補充として大学生の彼が呼ばれる事は、かなりの異例だった。



「お前なら調理の腕に問題は無い、と頼まれてあいつら(間宮、田村)に報告する間もなく昨日スペインに到着。それで今日一緒にサンドイッチ作りを手伝ったって訳だ」



「安藤先輩まさかの繋がりがありましたね……」



「僕も知らなかったなぁ……」



 付き合いの長い影山も安藤にそういったコネがあった事は初耳。美味しいであろう手作り卵サンドやチキンサンドも衝撃で、あまりよく味わえていなかった。




「かなり美味いぞ安藤。試合が終わった身で手軽に食べられるし、たんぱく質をしっかりと摂取出来る良いメニューだ」



「いや、まあそれ俺が考案して作った訳じゃないからな?手伝っただけだから」



 照皇から好評価をもらう安藤。相当気に入ったようで既に完食間近だ。



「あ〜、こんな美味しい手作りサンド食べられるなら安藤先輩Uー20へようこそ〜♡」



「だから俺が作ったあれじゃ……相変わらず美味そうに食うなぁお前は」



 弥一も手作りサンドイッチを美味しく味わい、日本の天才2人から好評を受けると、安藤は作り方を後で教えてもらって覚えようかなと思った。




「お、始まるぞベルギーとブラジル」



 既に完食済みの番が両チームがフィールドに入場して来るのが見えると、そちらに注目する。


 これに勝った方がベスト4で争う相手となるから、日本にとって偵察も兼ねて見逃せない試合だ。




「(此処はやっぱ、アドルフ達に勝ってほしいかな)」



 かつてのチームメイトに勝ってもらいたいと、弥一は内心ベルギーを応援。




『ベルギーとブラジル、この勝者が日本と戦う事となります!強豪同士の一戦、どちらが勝っても手強い相手なのは間違い無いでしょう!』



『ブラジルは順当に勝ち上がり、ベルギーはオランダとの激戦を制してますから……読めませんね』




「何時の間にかめっちゃ黄色いユニフォームのサポーター入っとるわ」



 想真の視線の先に黄色い軍団の姿。スタンドには多くのブラジルサポーターが入っていた。




 そして始まる国歌斉唱、ベルギー国歌ブラバントの歌が終わった後にブラジルの国歌。



 フィールドやベンチの選手達や監督、コーチ陣だけでなくサポーター達が自国の国歌を歌い、スペインでブラジルの大合唱が行われる。




「小さい子まで歌ってる……すげぇ一生懸命だ」



「ブラジルの国際試合じゃ当たり前の光景さ。国民は皆が当たり前のように歌える、それを皆で歌って文字通り一致団結するのが戦う前に王国がやる儀式だ」



 生でブラジルの大合唱を見た冬夜。その迫力に押されていると、光明は特に動揺する事もなく国歌斉唱を聴いていた。



 サポーターの中には子供の姿もあったが、大人と同じように国歌を熱唱。


 老若男女問わずブラジルにとってはサッカーは欠かせない、それが世界一を何度も掴んで来たサッカー王国と言われている国だ。




 国歌斉唱が終わりフィールド中央に進み出る両キャプテン。ベルギーからはルイ、ブラジルからはファルグが出て来た。



「(サッカー王国か……今はそれも昔の話、ベルギーが此処で勝って王国を蹴散らすまでだ)」



 大合唱に対して特に臆する事なく、ルイは175cmあるファルグの姿を見上げている。



 そのファルグはルイと握手を交わした後に早々戻っていった。




「赤い悪魔狩りの始まりだ、行くぞ」



「おう!」



 静かなファルグの声掛け、それに声を揃えるブラジルの面々。




 ベルギーサッカーの躍進で赤い悪魔と恐れられる軍団。それを狩ろうと動き出す王国。




 試合が始まると攻め込むのはベルギーだった。



 ルイを中心に回るショートパスの連続、左へ展開すると左サイドから低いクロス。



 ゴール前でアドルフが早々に左足で合わせて、ダイレクトシュートを放つ。


 ファーストシュートから枠内に向かっており、ブラジルゴールを捉えていた。



『いきなりアドルフ撃ったダイレクト!取った!難しいシュートをブラジルGKジルバ完璧にキャッチした!』



『取りづらい左下行ってますよね?これはよく取りましたね……!』




「ち……!」



 アドルフとしては良いコースを突いたシュートが撃てた。しかしジルバの反応がそれを上回り、倒れ込みながらもキャッチングに成功する。



 周囲が凄いと思う中、ブラジルの天才GKにとっては止めて当たり前のシュートだった。

弥一「ブラジルといえばシュラスコだねー、肉の串焼きでブラジルの定番グルメー♪」


優也「肉の串焼きというと日本で言う焼き鳥みたいなものか」


弥一「焼き鳥ならモモとかつくねとかねぎまが美味しいよねー♪」


安藤「焼き鳥の話になってるし、何時もお前ら此処でこんな調子なのか」


大門「いや、何時もではないです……多分」


宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。


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